活字世界の異世界日記~出生先はウェブ小説~

いずくかける

文字の大きさ
3 / 6

13話目 舌の肥えた都市、アルファポリス

しおりを挟む
 テーブルには、ウエイターがひっきりなしに運んでくる料理が端から端まで並べられていた。口を付けるたび、その全てが今まで食べたおいしかった料理ランキングを更新していく。(物を食べたのは初めてであるが)
 アルファポリスに着て、俺とサターシャがふらりと入った店はどうやら大当たりだったようだ。

「すごいです! この料理、本当においしい」
「サターシャもそう思うか? これだけの味、さぞかし有名な店なんだろうな」

 妙味に手が止まらなかったのは、どうやら俺だけではなかったらしい。サターシャは自分が頼んだピザを平らげ、俺が注文した分にまで手を伸ばしていた。
 ピザ、パスタ、前菜は勿論の事、サラダや水に至るまでおいしく感じてしまう。だがしかし、ひとつ疑問が残る。

「なんでこの店がガラガラなんだ?」

 これだけの店ならば、店前に長蛇の列を作りそうなもの。しかし、店内には俺達と一組の客しかいなかった。先程街をぶらついた時、満席であった店も少なくはなかったと言うのに。

「さあ、もしかしたら時間的なものなのかも。この世界の人達が食事を取る時間と今の時間がずれているとかじゃないですかね?」
「いや、他の店に人は入っていたよ。……あれ?」

 ふと目をやると、俺達の他の唯一の客。一組の男女が席を立つ様子が目に入った。そのまま会計をしている様に見えるが、おかしい。彼らのテーブルに並べられた料理にはあまり手を付けてないように見えるが。
 会計をしながら、その男女が話し合う内容が折れの耳にまで聞こえてきた。

「もう、だからやめようって言ったじゃない」
「まあ、たまには冒険したくもなるんだよ。ちゃんとした店で飲み直そうぜ?」
「お金はまだしも時間の無駄よ。今度からはお気に入り登録の少ない店には行かないわよ」

 え?
 まさか、この料理に不満があるのか?
 会話を聞いていたのはサターシャも同じだったようだ。

「小説家になろうの高級店でもこれだけおいしいものは出てきませんでした。あの二人は本当に口に合わなかったんでしょうか?」
「気になるな。他の店に入って確かめてみようか」

 食事を済ませた俺達は、軽く腹ごなしがてら街をぶらつき、目に入った店に舌鼓を打った。一件目よりも二件目の方が、二軒目よりも三件目の方が、三件目よりも四軒目の方が、遥かに俺達を感動させた。
 結論から言って、アルファポリスで俺達が訪れた飲食店にはハズレがひとつも存在しなかった。
 当たり前である。それらは全てプロの店であったのだから。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...