4 / 6
14話目 上塗られた都市、アルファポリス
しおりを挟む
アルファポリスにはありとあらゆる国や街の食文化がひしめいていた。俺とサターシャは一軒一軒それらを廻り、料理に口を付けるたび舌鼓を打った。
いや、料理だけではない。サターシャが入ってみたいと言った雑貨屋や服屋、アクセサリー屋に至るまで、それら全ては超一流(俺にはよくわからないがサターシャがそう言ってた)の店ばかりであった。品揃えも、前衛的なデザインも、小説家になろうではあまり見ないと言う話であった。
「凄いですね……。アルファポリスって……」
何軒も店を廻り俺はくたくたであったが、サターシャはと言うとそんな事も気にならないくらいこの世界に興味津々の様だ。
「どうやら……。相当気に入ったようだな」
「はい! 私決めました……その——」
「ああ、解ってるよ。ここに残りたいんだろ? サターシャの好きにすればいいさ」
サターシャは、小説家になろうにはないお洒落な生活をしたいと言ってここ、アルファポリスに転移してきた。短い付き合いではあったが、サターシャの夢が叶うなら、俺はそれを応援したいと心から思った。少し寂しいけどね。
「進さん。本当に……ありがとうございました!」
「おいおい。礼を言うのはまだ早いだろ? サターシャの職場が決まるまでは付き合うよ」
「いえ! そんな! そこまでしていただなくても大丈夫ですよ!」
「小説家になろうでは最強の転移者でも、サターシャはここでは一人の女の子だ。それに散々飯も奢って貰っちゃったからな。それくらいさせてくれよ」
まあ、本音を言えば、サターシャが心配ってのも勿論あるんだけれど、やっぱり別れるのがちょっと悲しいって自分勝手な話なんだけどな。
「今日はもう遅い。宿にでも泊まって明日から本格的に探そう」
「あの、本当にいいんですか?」
「ああ、勿論だよ。どんな仕事に就きたいんだ?」
「お洒落なカフェの店員さんとか憧れますよねえ。でも本屋さんも魅力的かも! 色んな書物に囲まれた落ち着いた空間……、でもお花屋さんとかもいいかもなあ……」
「ま、まあとりあえず……。それは今晩ある程度絞るとして……。サターシャ、言いずらいんだけど……」
「宿代ですね! 大丈夫ですよ。任せてください!!」
*** *** ***
俺とサターシャはまた街をぶらつき、木製の、屋根はレンガの、煙突がオサレの、まるで童話の世界に出てくるような一軒の宿に行き当たった。俺の想像通り、サターシャがここがいいと言うもんだから、俺達は早速その宿へと入る。
ドアを開けると、カウンターに座っていた細身の男が話しかけてきた。
「いらっしゃい。お二人は相部屋で?」
「ああ、ベッドはダブルで——」
「別でお願いします」
——チッ
「部屋が別だと一泊100,000ゴールド。二人で200,000ゴールドになるけど宜しいですかな?」
「サターシャ、ほら見ろよ。相部屋だと150,000ゴールドになるぞ。全然お得——」
「はい、別でお願いします」
——チッ
「それじゃあ、ここに二人の名前を記入してください。それからライセンスの提示を——」
「「ライセンス?」」
俺とサターシャは初めて聞く言葉に顔を見合わせる。
それを不思議そうに宿屋の男は眺めてきた。
「あの、ライセンスってなんのライセンスですか? 住民票みたいなもの?」
「宿に泊まるのに資格が必要なのか? なにか試験でもあるのか?」
「あんたら……。まさかアマチュアか……?」
「「アマチュア?」」
「ライセンスって言ったらプロのライセンスだろ!? まさか……本当に持ってないのか!?」
「プロってなんのプロの事だよ?」
「ええ、持ってませんけど……」
その瞬間、宿屋の男は血相を変えた。まるで、目の前に突如として現れた重罪人でも見るように。
「侵入者だあああああ!! アマが紛れ込んでるぞおおおおおおおおお!!」
宿屋の男の悲鳴にも似た叫びと同時に、屈強な男たちが宿屋へと押し入ってきた。
「警備さん!! この二人、ノーライセンスです!!」
「おい! なにすんだよ! 離せ!!」
「ちょっ……! やめてください!!」
「黙れこの無法者が!」
抵抗する俺らに構わず、宿に入ってきた男たちは俺とサターシャを拘束し、無線の様なものでどこかのだれかと会話をしている。
「ええ。ええ。そうです。二人、捕らえました。これより地上に排除します」
いや、料理だけではない。サターシャが入ってみたいと言った雑貨屋や服屋、アクセサリー屋に至るまで、それら全ては超一流(俺にはよくわからないがサターシャがそう言ってた)の店ばかりであった。品揃えも、前衛的なデザインも、小説家になろうではあまり見ないと言う話であった。
「凄いですね……。アルファポリスって……」
何軒も店を廻り俺はくたくたであったが、サターシャはと言うとそんな事も気にならないくらいこの世界に興味津々の様だ。
「どうやら……。相当気に入ったようだな」
「はい! 私決めました……その——」
「ああ、解ってるよ。ここに残りたいんだろ? サターシャの好きにすればいいさ」
サターシャは、小説家になろうにはないお洒落な生活をしたいと言ってここ、アルファポリスに転移してきた。短い付き合いではあったが、サターシャの夢が叶うなら、俺はそれを応援したいと心から思った。少し寂しいけどね。
「進さん。本当に……ありがとうございました!」
「おいおい。礼を言うのはまだ早いだろ? サターシャの職場が決まるまでは付き合うよ」
「いえ! そんな! そこまでしていただなくても大丈夫ですよ!」
「小説家になろうでは最強の転移者でも、サターシャはここでは一人の女の子だ。それに散々飯も奢って貰っちゃったからな。それくらいさせてくれよ」
まあ、本音を言えば、サターシャが心配ってのも勿論あるんだけれど、やっぱり別れるのがちょっと悲しいって自分勝手な話なんだけどな。
「今日はもう遅い。宿にでも泊まって明日から本格的に探そう」
「あの、本当にいいんですか?」
「ああ、勿論だよ。どんな仕事に就きたいんだ?」
「お洒落なカフェの店員さんとか憧れますよねえ。でも本屋さんも魅力的かも! 色んな書物に囲まれた落ち着いた空間……、でもお花屋さんとかもいいかもなあ……」
「ま、まあとりあえず……。それは今晩ある程度絞るとして……。サターシャ、言いずらいんだけど……」
「宿代ですね! 大丈夫ですよ。任せてください!!」
*** *** ***
俺とサターシャはまた街をぶらつき、木製の、屋根はレンガの、煙突がオサレの、まるで童話の世界に出てくるような一軒の宿に行き当たった。俺の想像通り、サターシャがここがいいと言うもんだから、俺達は早速その宿へと入る。
ドアを開けると、カウンターに座っていた細身の男が話しかけてきた。
「いらっしゃい。お二人は相部屋で?」
「ああ、ベッドはダブルで——」
「別でお願いします」
——チッ
「部屋が別だと一泊100,000ゴールド。二人で200,000ゴールドになるけど宜しいですかな?」
「サターシャ、ほら見ろよ。相部屋だと150,000ゴールドになるぞ。全然お得——」
「はい、別でお願いします」
——チッ
「それじゃあ、ここに二人の名前を記入してください。それからライセンスの提示を——」
「「ライセンス?」」
俺とサターシャは初めて聞く言葉に顔を見合わせる。
それを不思議そうに宿屋の男は眺めてきた。
「あの、ライセンスってなんのライセンスですか? 住民票みたいなもの?」
「宿に泊まるのに資格が必要なのか? なにか試験でもあるのか?」
「あんたら……。まさかアマチュアか……?」
「「アマチュア?」」
「ライセンスって言ったらプロのライセンスだろ!? まさか……本当に持ってないのか!?」
「プロってなんのプロの事だよ?」
「ええ、持ってませんけど……」
その瞬間、宿屋の男は血相を変えた。まるで、目の前に突如として現れた重罪人でも見るように。
「侵入者だあああああ!! アマが紛れ込んでるぞおおおおおおおおお!!」
宿屋の男の悲鳴にも似た叫びと同時に、屈強な男たちが宿屋へと押し入ってきた。
「警備さん!! この二人、ノーライセンスです!!」
「おい! なにすんだよ! 離せ!!」
「ちょっ……! やめてください!!」
「黙れこの無法者が!」
抵抗する俺らに構わず、宿に入ってきた男たちは俺とサターシャを拘束し、無線の様なものでどこかのだれかと会話をしている。
「ええ。ええ。そうです。二人、捕らえました。これより地上に排除します」
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スーパーのビニール袋で竜を保護した
チー牛Y
ファンタジー
竜は、災害指定生物。
見つけ次第、討伐――のはずだった。
だが俺の前に現れたのは、
震える子竜と、役立たず扱いされたスキル――
「スーパーのビニール袋」。
剣でも炎でもない。
シャカシャカ鳴る、ただの袋。
なのにその袋は、なぜか竜を落ち着かせる。
討伐か、保護か。
世界の常識と、ひとりの男の常識が衝突する。
これは――
ビニール袋から始まる、異世界保護ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる