12 / 70
第3章:美濃攻めしよう
ゲームの威力を見よ!
しおりを挟む1566年3月
美濃国井ノ口(岐阜市)
「にいちゃん。それはなんだね?」
「へい。遊戯盤です。すごろくよりも面白いですぜ」
「そうかっ! おい、五平、作蔵。やってみるか? 一緒に」
俺は今、行商人に身をやつして潜入作戦を行っている。
日本全国をサブカルで支配する陰謀……げふんげふん。美濃攻略のため、斎藤家の本拠地である稲葉山城の城下町、井ノ口の敵情視察をしているのだ。
何を行商しているかというと、自作ボードゲーム。
金次郎立志伝Ⅵだ。
なぜⅥかは『気分』だ。
それがヲタクの習性。
内容は貧農小作農家に生まれた金次郎が、子供ながらに焚き木を集めて、それを背負いながら勉学に勤しみ、豪農となっていくゲームだ。
焚き木集めは決して、幼馴染でケンカが強い黒髪の女の子に手伝わせてはいけない。そんなことをすれば、いずれ自分が巨人化してしまい人類を滅ぼしかねない。
そういう裏ルールもオプションで作ってある。
すでに織田は合戦と調略で美濃の国衆を寝返らせ、着実に美濃斎藤家の勢力をそいでいる。その一環ですよ。家臣総出で色々な美濃の国衆にアプローチしているんだ。国衆なんかそこら中に縁戚関係あるから、それ伝っていくと結構効果的。
「か~っ!
五平がお代官様にご褒美として一町歩(1ヘクタール)いただいただと? それに比べ俺はまた貧農になっちまった!」
「ウヒヒ。おいらは牛馬耕っていう技術を身につけたぞ!」
楽しんでくれて俺も嬉しい。
貧(農)民ゲームという名前をつけたかったが、ゲームという言葉ではわからないからな。これを村長さんや居酒屋に売りつけて流行らせる。
その後もカードゲームTTRPGなどを流行らせ、いつかは全国大会を! そしてその主催者になってぼろ儲け。その金使って超豪華6畳ワンルーム空間を作るのだ!
さあ次は美濃を支配している斎藤家の武将にボードゲームを売りつけるぞ!
◇ ◇ ◇ ◇
「待った! その手待った!」
「お侍様、さっきから『これが最後じゃ』と何回聞いたか。今回はこの手で通させていただきます」
俺は美濃3人衆の一人、安藤守就の屋敷に入り込んで将棋をさしている。
この前、ルールを教えてから半年。相当楽しんだらしい。だが、ネットの、ぽよ将棋というアプリで三段の俺。勝てるはずがない!
「ではお約束通り、竹中半兵衛様に紹介状を書いていただきたく」
「仕方あるまい。じゃがあの男に勝てるかな。こと戦のこととなると張良・孔明の如しじゃ」
このおっさん安藤守就の娘婿は、あの有名な竹中半兵衛重治。
つまり秀吉の下で活躍した天才軍師です、はい。
この男がどうしても秀吉(ああ、やっと改名しました~)の引き抜きに応じないとかで、その手助けをせよと信ちゃんの命令。
秀吉が天下取るのに、やっぱ必要でしょ? 天才軍師。
なので半年前に秀吉に「これやっといて。必ず役に立つから。勉強にもなるよ~」とプレゼントしておいたゲームがあります。
『秀吉立志伝Ⅶ』
この『秀吉』という名前のところは、プレゼントする人の名前に変える。それで使いまわすのだ。
もちろんⅦは気分。と、行きたいところだがシリアルナンバーです。
無印はもちろん『光秀立志伝』です。
『信長立志伝Ⅰ』はすでに献上済み。突っ返されましたけど。光秀、カナシイ。
◇ ◇ ◇ ◇
「用意はよろしいか? 秀吉殿。遊戯盤の準備。紹介状。先触れ。全て整っている。あとは秀吉殿の力量にかかっている。頼みましたぞ」
「わかり申した。この程度の児戯は、某には造作もない事。光秀殿の手を借りることもこれで最後じゃ、ハハハハ!」
秀吉は既に7回、竹中半兵衛の隠遁先である、ここ美濃国不破郡岩手に調略に来ている。その前には利家のに~ちゃんが調略をしようとしたけど、逆に調略されそうになる始末。
なんだかこの辺の年号があいまいで、ゲームとWeb小説の知識が混乱しちゃっているんだよな。
昔のゲームでは美濃攻略前に秀吉が調略成功しているけど、最近のWeb小説では美濃平定後だそうで。
だが目の前の状況は、1566年美濃平定直前で、すでに秀吉が調略に来て失敗してる?
もしかして、これヤバイ状況?
歴史、早まっちゃってる?
俺のせい?
違うと言って~~!
歴史が早まってしまい光秀、歴史知識チートが出来なくなっている件。
◇ ◇ ◇ ◇
「ま、参りました……」
お~い、秀吉く~ん。
半年のアドバンテージ、どうしちゃったのよ?
四半刻(30分)と持たずに、完敗だよ。
余裕の優男、竹中半兵衛。何事もなかったように扇子使ってゆっくりと冷を取る。
きっと顔には出さないけど、嬉しいんだよな。
この対戦型、半兵衛立志伝Ⅷ。
君にあげた秀吉立志伝バージョンを、秀吉君向けチート仕様にしたんだけどね。
たとえば、中村の大政所、仲おっかさんの所で一晩寝ると全回復出来るとか、チート仕様にしたんだ。
なぜそれを使わない!!??
し、仕方ない。
このままでは信ちゃんのかんしゃくが爆発する。
俺は背負ってきた別のボードゲームを目の前に置いた。
「流石、美濃にこの人ありと知られた今孔明殿。このような簡単な遊戯は幼稚でありましたか。では仕切り直し。今度は鬼難しいゲームを……」
「鬼難しい? げいむ?」
ははは、ついつい令和言葉を使っちまったい。
とにかくルールブックの和綴じ本を差し出し、眼を通してもらった。
途端に半兵衛っちの顔が真剣になる。
そりゃそうだ。
そのゲーム。スウェーデンのヘンタイ的なやり込みゲームを作ることで有名なパラドックスなゲーム会社の、鉄の心臓4という奴の戦国バージョンだ。
補給兵站はもとより、技術革新兵器開発教育思想。その国の特産製品などが隠しパラメータで動いている。
これを趣味人である俺は、時には徹夜、長い時は五徹、六徹をして有志が作ったMODによるMMOで、無数の強豪を撃破してきた。
やり込みでは誰にも負けん!
「これはすごいですね。賽の目は……」
「正二十面体のサイコロ五個を使います。1/10000の数値までは出せます」
そう言ってあの冬木製作所(単なる元馬小屋だが)で正確無比に加工制作した五個のサイコロを手渡す。
これまた驚愕の眼。
「やりたくなりましたね。御一緒いたしましょう」
ということでゲームを始めました。
◇ ◇ ◇ ◇
「参りました」
ゼイゼイ……
か、勝った……
延々、10日間。
秀吉に食事作ってもらい、病弱な半兵衛っちを寝かせている間に、作戦練って、データ集計。前のターンの結果から次の初期データを算出。
これもうやりたくないっす。
遊びだから作ったけどね。
遊びだからやりたいけどね。
真剣勝負は・・・
「拙者、やりたくないでござる!」
さっき半兵衛っち、起きてきましたよ。
これから
「さあ、ゲームを始めよう」
とか言ったら、『I♡人類』やめて、尾張へ逃げかえります。
と思っていました。
それが先程の
「参りました」
ですよ。
「これはあなたが作った物でしょう。私はこの遊戯の中に、戦の神髄を見ました。つまり作ったあなたは戦の神髄を知っておられる」
急に居住まいを正し、俺に礼を取った。
「喜んで織田家、いえあなた様、明智十兵衛光秀様にお仕えいたします。ぜひ某に戦の神髄を指南していただきたく」
え?
戦?
の?
神髄?
なにそれ、美味しいの?
隣から槍が何本も突き刺さるような鋭い視線が来ているような気がするけど、今更「秀吉を手伝って天下を取らせてあげてね」とか言っても無駄?
10
あなたにおすすめの小説
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
俺が悪役令嬢になって汚名を返上するまで (旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)
南野海風
ファンタジー
気がついたら、俺は乙女ゲーの悪役令嬢になってました。
こいつは悪役令嬢らしく皆に嫌われ、周囲に味方はほぼいません。
完全没落まで一年という短い期間しか残っていません。
この無理ゲーの攻略方法を、誰か教えてください。
ライトオタクを自認する高校生男子・弓原陽が辿る、悪役令嬢としての一年間。
彼は令嬢の身体を得て、この世界で何を考え、何を為すのか……彼の乙女ゲーム攻略が始まる。
※書籍化に伴いダイジェスト化しております。ご了承ください。(旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
名もなき民の戦国時代
のらしろ
ファンタジー
徹夜で作った卒論を持って大学に向かう途中で、定番の異世界転生。
異世界特急便のトラックにはねられて戦国時代に飛ばされた。
しかも、よくある有名人の代わりや、戦国武将とは全く縁もゆかりもない庶民、しかも子供の姿で桑名傍の浜に打ち上げられる。
幸いなことに通りかかった修行僧の玄奘様に助けられて異世界生活が始まる。
でも、庶民、それも孤児の身分からの出発で、大学生までの生活で培った現代知識だけを持ってどこまで戦国の世でやっていけるか。
とにかく、主人公の孫空は生き残ることだけ考えて、周りを巻き込み無双していくお話です。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる