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第12章:ドラゴンスレイヤー!
激戦はやだなぁ
しおりを挟む目の前に首があります。
柿崎なんちゃらの首。
元令和ボーイの俺も、この戦国時代にだいぶ慣れて来たけど、やっぱ生首はやだ。
生首・生爪・生タラコならば、絶対にタラコがいい!
「うむ。よくやった慶次。まだひと働きしてもらうゆえ、後方で待機しろ。それからこれを」
俺は自分の陣羽織の肩衣の部分をちぎって、渡す。
「その矢傷、これで手当てしろ。それからこれを」
高濃度のアルコールと共に包帯代わりの布を渡す。身につけているものを下賜するするのってもらう方は名誉と感じるらしいからさ。
これってちぎって包帯にするの。加速するとき使うとかっこいいかなって、赤いのと白いの縦線で入れようと思ったけど笑われてやめた。
道頓堀の太郎ちゃんを思い出すと自分でも思ふ。
なので赤いです。これなら血も目立たない。
「はっ。この慶次、家宝にいたしまする」
なんか天下一の傾奇者の面影、全くなくなっちゃったよ。城持ち大名になったら、遠山の金さんみたいにお忍びでもいいから無法者とタイマン張ってね。
あ、それとそのアルコール飲まないの!
全く世話の焼ける奴らだねぇ。
「殿。敵の殿、いや先鋒は崩壊いたしました。ばらばらになり谷の奥へ逃げ込んでおります。いかがなさいますか?」
いかがなさいますかと言ってもさ。
光秀に臨機応変な作戦期待しないでよ。やっぱここは。
「官兵衛よ。その方の新しき視点ではここはどうする?」
丸投げ~
「は、殿が天下を取るために必要なことは……モゴモゴ。殿に置かれては既に布石を打っていらっしゃるかと。
それを生かすには、この谷間で敵の崩壊を狙う手以外に方法はございませぬ」
そうだよね。
ここで謙信取り逃がすと、再起してきて西国を攻めている時に後ろから襲われちゃう。
「退くか。進むか。この場に止まるか」
「とどまるべきかと」
「ここで堅陣を」
両兵衛君たち。
堅陣って言ってもね、川の周囲500m程度の田畑ですよ。ここにどうやって堅陣張るの?
「煙です」
「煙幕を」
いやいや。
煙幕って攻める側に有利じゃね?
「攻めまする」
「逆落としです」
逆落とし?
「木曽義仲です」
「倶利伽羅峠ですな」
火牛なんか噓でしょう?
あれって作り話。
「音です。煙幕の中、大きな音で士気を崩壊させ」
「十字砲火。その後突撃。ここに殿の天下への道が開け……モゴモゴ」
なるほど。
士気を崩壊させるための煙幕ね。
でも
「そんなに素早く煙幕が張れるのか?」
「殿。ここに冬木殿からの手紙が」
『艦長。こんな時のために煙幕急速展開装置を作って置きました。てへっ』
おまいは、奥目の優秀な技術長か!?
いろいろとヲタクネタ教えたけど、よく覚えているなぁ。さすが俺が掘り出したヲタク才能。
「よしっ。細かい作戦の詰めは両兵衛に任せる。
俺は兵士を鼓舞してくる」
両陣営が一時的に陣を再配置しているすきに、兵に声をかける事にしよう。ナポレオンも一人一人の名前を憶えていて兵士に感激されていたな。
これをやってみよ……。
あ、光秀の記憶メモリー、揮発性だった。
どうしよう??
「光秀様! 儂らたとえ上杉の軍勢が10倍攻めて来ようともぶっ飛ばしますぜ」
「越後勢が突撃して来ようとも、俺たちの鉄砲の餌食になるだけ!」
「片手片足になっても戦い抜きますぜ。武器がなくなっても石を投げ、それもなくなったら拳で。それすらなくなったら敵の耳を食いちぎり……」
ぎゃ~。
日露戦争の旅順攻防戦みたいな地獄を作らないでよね!
士気が高すぎるのも問題です。
「十左。大丈夫だ。敵はたった9倍だ。負けはせん。
喜十左。敵には鉄砲は少ない。長射程の長弓は多数あるがな。
吾十左。そこまでしなくともよい。降参してから敵の寝首をかけ」
あ~、よかった。
みんな認識番号と名前を左袖に縫い付けてあるんだよ。
それ見ながら返事していたけど、なんか変だった?
「ご主人様~。煙幕の準備と総員待機位置につきましたです」
シュピッっと敬礼する代わりに、かっこつけて邪眼ポーズをするアゲハ。
お前もこれでヲタク免許皆伝だ。
でも眼帯はしないように。戦いの時に困るっしょ?
「よ~し。倶利伽羅峠の戦いバージョン2.1発動!」
折よく海風に変わったため、谷間を峠の方に吹き上げる煙幕が張られていく。
さあどう出る?
軍神よ。
そのまま突っ込んでくれば蜂の巣。左右は山岳地。
こちらには天才軍師2名の策が待っている。
光秀、楽勝~♪
「殿っ! 左右の山岳地にて迂回していた2個中隊が、上杉勢と遭遇戦! 援軍の要請!」
「やられました。わたくしの策と同じ手をうって参りました。謙信を甘く見ました」
「ですが、ここは好機。左翼は激戦になろうとも戦線維持。右翼別動隊は俊足を生かして後退。そしてあれとあれを使いましょう」
だからね。
こそあど言葉は禁止です。
今度、軍務規則にきちんと書くんだ、絶対に!
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