65 / 70
第13章:天下を光っつ光っつにしてやんよw
毛利の大どんでん返し
しおりを挟む1576年6月
備中高松城東方。明智勢本陣
「ご主人様。半兵衛さまと官兵衛さまがお見えになりましたです」
いつもよりも元気のないアゲハのアニメ声。アゲハには似合わない。
俺の感情が影響しているんだろうな。信ちゃんが本能寺の変で急死。これが歴史の強制力というものか。
「殿。半兵衛参りました」
「この黒田官兵衛も献策をしたく」
外部の情報を聞きたくなくて、布団をかぶったままの俺の枕元に二人が腰を下ろした。
言うことは分かっているよ。
「殿。こたびはおめでとうございまする」
「天下が転がり込んでまいりましたな!」
だよね。
その言葉だよね。ここで『秀吉に黒田官兵衛がいうセリフ』。
「信長様。本能寺にて羽柴秀吉の謀反にて弑逆(謀反で殺される事)されましてござる!」との知らせがくれば、やっぱ普通の野心家なら考えるさ。
光秀の軍団は、もちろん毛利勢の総力を挙げての、備中高松城後詰50000を相手にして布陣している。
もうあと1日もすれば高松城は開城すると思う。
え?
水攻め?
やってないよ~、そんな銭のかかる事。
冬木造兵工廠で作られた『臼砲』を城の東側台地に並べて、ばかすかうちました。
焼き玉2日も撃っていたら城の建物、全部燃え上がって。
降伏する間もなく、戦力外に。
あとは門を開けてもらうだけの状況に。
「利家殿は現在、上杉の本拠地である春日山城を包囲中。滝川殿の軍団は信濃の兵もあわせて5万。北条攻めのために北武蔵に攻め込んでおりまする」
「織田家を継がれた信忠さま率いる軍団は、一時的に解散。領地へ帰り再編成をしておりまする。現在、丹羽殿がその軍勢を摂津にて再編成をし始めました。
そこへ来ての羽柴の謀反。これを討てば織田家内にて光秀さまに逆らうものなど出てきませぬ。そして天下は……」
両兵衛さん。
わかるよ?
その説得相手が『秀吉』だったらさ!
でもね。
今説得されているのは俺、光秀じゃん。
ヘタレなヲタクな光秀じゃん。
「天下取りたくない光秀」じゃん!
それを焚きつけてもな~んもなんないっしょ。
だいたい正史と違い信忠が生きている。
俺、信忠君に忠誠誓ってそれで引退するんだ。
天下人になったら、お仕事いっぱいになって遊べない!
「ご主人様。大変なのです。今、信忠さまお討ち死にとの知らせです」
え“!?
なんでだよ??
まだ京都にいないでしょ?
多分、瀬田の大橋か安土あたり。
「秀吉の偽報によって油断した所を、坂本から出陣した羽柴勢によって、四方を囲まれお討ち死にです」
「で、では。丹羽殿は?」
「配下を編成していたさなかの、信長様の死。天下の様子見のために国衆が四散しましたです」
その情報を聞いていた半兵衛っち。
「殿。ことは一刻を争います。すでに明智軍団、四方を囲まれております。少なくともそう見えまする、毛利には。この毛利に手を出させないこと。これが肝要にて。即座に京へ転進するためにも」
「秀吉の背後に、西国勢力がいるのは明白。ことによると朝廷や鞆の義昭も糸を引いているかもしれません。
それらが入りまみれ、それぞれの思惑で動いておりまする」
もう光秀には全くわからない!
だいたいがさ。
信ちゃんをなんで秀吉が殺しちゃうのよ。俺が本能寺しなければ信ちゃん、天下取っていたんじゃない?
……見ないようにしてたけど。秀吉と光秀の役どころ、逆転している?
坂本と長浜の領地の時からおかしいと思っていたんだよね。丹波丹後攻めているのは秀吉だしさ。俺は山陽攻めている。
でも明らかに正史の秀吉よりも分が悪くない?
秀吉はどうやら毛利とつるんでいる。特に吉川元春と通じている。なんか因幡国(鳥取県)の鳥取城でうさん臭い、なあなあな戦していたんだよね。
生ぬるい兵糧攻めしてさ。
でも。
「頼みの綱はやはりあれしかないかと」
「そうでございまする。そろそろ始まっている頃合いかと」
そりゃここ10年間かけて仕掛けたけどね、策略を。
「安国寺恵瓊どのがきましたです」
毛利の外交僧が来たよ。
煮ても焼いても食えない鉄面皮。
正史では秀吉の味方をして、最後まで毛利を押さえ込んだ策士でもあるから、ここは何としてでも外交を成功させねばなんない。
ぜ~んぶ、半兵衛官兵衛に投げていい?
光秀、信ちゃんが死んだことで意気消沈して寝込んでいる事にするからさ。
やっぱ無理ですよね。
遂に大将の仕事しなくちゃなんないとこまで来ちゃった感じ?
いまさら秀吉君に降伏しても、打ち首で三条河原にさらされちゃう未来しか思い浮かばないよ。
おとぎ話的な説で、「実は光秀は生き延びていて江戸時代にフィクサーの天海という坊主になっていました!」とかなんないかな。
家康君とは仲良くなっているからワンチャンありかと思うんだけど。
ちょっと脱出の準備しておくかぁ!
◇ ◇ ◇ ◇
「明智光秀殿。拙僧、こたびは毛利輝元の書を持参してまいりました。御受け取りを」
なんか異常に頭の大きな坊さんが、うちの秘書に親書らしきものを渡した。
こいつが安国寺恵瓊だね。
さて何を告げに来たのか?
奉書を広げてみる。
「……輝元殿が光秀殿へ希望するものはただ一つ。
天下をお取りください。そして……」
な、なんちゅ~こと言い出すねん!
「サブカル教を立ち上げていただきたく」
サブカル教!?
なにそれ。聞いてないよ!
そりゃさ。
日本中に文化侵略していたさ。北は松前の蠣崎家から南は琉球まで。
それが毛利の屋台骨を壊した?
「家臣の中にも、こたびの明智殿との戦。猛反対するものが多く。頑迷な重臣の方々もこれを押さえられなくなり申した。一向宗の中にも本願寺から離れて明智殿を慕うものも多く」
吉川さんとか、絶対毛嫌いするよね。
ヲタク文化。
フィギュア。ゲーム。コスプレ大会。萌絵。BL、GL。ふっと猿。メイド喫茶……
我ながらいろいろと流行らせましたよ。
これが最終的に俺の首を繋げた感じ?
でも。
サブカル教ってなんぞ?
俺、宗教大っ嫌いよ?
まさか教祖に祭り上げる気じゃないでしょね?
「よかったですね。殿。これで陰の実力者です」
「いえ。天下人に表も影もないですぞ。これからは公然と天下を狙いましょうぞ!」
もう、官兵衛の口をふさぐ気も起きません。
この神輿から降りる方法を教えてくれたら、天下あげる!
0
あなたにおすすめの小説
俺が悪役令嬢になって汚名を返上するまで (旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)
南野海風
ファンタジー
気がついたら、俺は乙女ゲーの悪役令嬢になってました。
こいつは悪役令嬢らしく皆に嫌われ、周囲に味方はほぼいません。
完全没落まで一年という短い期間しか残っていません。
この無理ゲーの攻略方法を、誰か教えてください。
ライトオタクを自認する高校生男子・弓原陽が辿る、悪役令嬢としての一年間。
彼は令嬢の身体を得て、この世界で何を考え、何を為すのか……彼の乙女ゲーム攻略が始まる。
※書籍化に伴いダイジェスト化しております。ご了承ください。(旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
名もなき民の戦国時代
のらしろ
ファンタジー
徹夜で作った卒論を持って大学に向かう途中で、定番の異世界転生。
異世界特急便のトラックにはねられて戦国時代に飛ばされた。
しかも、よくある有名人の代わりや、戦国武将とは全く縁もゆかりもない庶民、しかも子供の姿で桑名傍の浜に打ち上げられる。
幸いなことに通りかかった修行僧の玄奘様に助けられて異世界生活が始まる。
でも、庶民、それも孤児の身分からの出発で、大学生までの生活で培った現代知識だけを持ってどこまで戦国の世でやっていけるか。
とにかく、主人公の孫空は生き残ることだけ考えて、周りを巻き込み無双していくお話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる