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高熱がキッカケだったのか、何の因果かは分からないけど、私は前世の記憶を取り戻した。
青Fと酷似している世界で、同じ名前の国や学校名に、同姓同名の私・・・・。
これってつまり、これから入学する[王立アカデミー学院]に、青Fの攻略キャラ達も居る可能性‥“大”だよね?
ってことは、主人公のライバルとして登場する、悪役令嬢やその取り巻き達も、居る可能性は“大”よねぇ~‥。
「…っはあぁ~~。‥私の魔力量は12歳の時に身バレしてるから、入学からは逃れられないし…。あの学院に行かないと〔魔法薬剤師〕の免許も取れないし~~‥。」
ここで入学を拒否したとすれば・・・・。
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
それでも入学を拒否しますか?
▶︎はい
いいえ
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
Loading.....
───王立アカデミー学院への入学を拒否したリリアンは、ティタ二ア王国の安寧を揺がす危険人物として特定され、処刑される事になった。
【Bad End】
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
…ダヨネー。絶対こうなるよねーー。
(──うん。入学拒否の選択は、“無い”な。。)
って…。
「ああぁ~っっ‥ダメだぁ~~~。。」
光希の記憶を取り戻したせいか、思考回路が攻略ルートを選ぶみたいな、“ゲーム脳”になっちゃってる…。
(ここは現実! 現実の世界!!)
非現実なゲームの世界じゃないんだから!!
(‥やり直しなんかきかないんだから、しっかり考えないと!)
私は抱えた膝にぐりぐりと額を押し付け、思考をリセットすることにした。
「‥ふぅー…ちょっと落ち着こう‥。こういう時こそ、冷静に…冷静に…。」
───‥とにかく。
私は青Fの攻略キャラ達には関わりたくないのだ。
もちろん悪役令嬢や取り巻きも同上だ。
だって青Fのゲーム内容は、
『いかに攻略対象とイチャラブできるか。』
それだけに重きを置かれたものだった。
今が現実だからこそハッキリと言える。
あんな【イチャラブ推進ストーリー】に巻き込まれたら最後、私の夢は一瞬で水の泡と消える。
青Fの主人公は学院での授業中、休憩中、休日さえも、攻略キャラ達と関わる度に《イベント》が発生して、どんどん勉強はそっちのけになっていた。
つまり、攻略キャラ達と関わる=勉強時間が削られる図式の完成って訳だ。
私が目指してる〔魔法薬剤師〕の免許を取るには、才能だけでなく、魔術に魔法、薬剤に関する熟知が必要なのに、その勉強時間が削られるんだよ。
それを分かってて攻略キャラ達に関わるとか…ねぇ?
どー考えても、“無い”でしょ。
そんな訳だから、私は全力で攻略キャラ達を避ける必要があるんだけど。
(さて、どうしたものか…。)
幸いなことに?私は今、青Fの登場人物が出現する[場所]と[タイミング]を思い出せる。
ってことは《恋愛イベント》が起きないように、[フラグ]を回避することだってできる筈だ。
後は‥青F通りに彼等や彼女達が学院内に居るなら。
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
『卒業まで会わないようにする!』
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
…とかは…うん‥絶対に無理だろうなぁ…。
「あぁ~も~~…早くも面倒になってきた…。」
攻略キャラ達との関わり合いを一切求めてない今の私は、これから起こるだろう様々な《イベント》に対して、彼等の[好感度]を下げる行動を取ることになるから、要するに波乱万丈な未来しか想像できないんだよ…。
ようやく熱が下がって動けるようになってきたのに、気分はブルーを通り越してブラックだ。
やる気が全く出ない私は、未だに怠い体を膝を抱えて支えながら、カーテンの隙間から覗く窓の外を見た。
薄暗い室内とは違い、外はちょうど夕日が沈みかけていて、温かなオレンジ色に町並みが染まっている。
(ってことは、そろそろ仕事に出ているお父さんとラルフ兄と、教会から弟妹達が帰ってくる頃か…。)
多分、倒れた私の看病の為に、母は外出を控えて別室で内職をしているはずだ。
私の家──フォートレック家は、家族が多いにも関わらず、使用人が一人もいない。
いや、前は居たけどね。
私が9歳の時までは、まだうちの経営は安定してたし、使用人だって三人ほど居たのよ。
フォートレック家は400年以上続いている昔からの商家だ。
店自体も何店舗か持っていて、王都の中心街に本店があることもあり、ティタ二ア王国の中では有名な方だったりする。
だけど今は借金まみれで、店員を雇うのでギリギリで、使用人を雇う余裕がございません‥。
そういう訳で、私はいつも母と手分けして家事をやってるんだけど。
(私が倒れちゃったから、ここ数日はお母さんに無理させちゃったな…。)
そもそも、うちが借金まみれになったのは、父のお人好しな性格が原因だったりする。
私が8歳になる頃、父は友人から大きな商談を持ち掛けられて、その資金援助をお願いされた。
父は培ってきた経験から、持ち掛けられた商談は上手くいく可能性が低いと断ったんだけど、友人は成功することを信じていて、『せめて資金援助をして欲しい。2年で利子を付けて返すから。』と低頭でお願いされて断りきれず、父は友人に結構な金額を貸したそうだ。
しかし、1年も経たずに友人が起こした事業は失敗し、その日を境に、うちは“借金まみれ”となってしまった。
貸した金額が返ってこないならまだしも、なぜ借金まみれになったのかって?
それは、友人が無断で父の名を保証人欄に書き、色んな所からお金を借りていたからなんだけど。
その事を問い詰めるべく、父が友人に連絡を取ろうとしたら、既に友人は消息を絶ってて、探すことができなかったらしい。
(…とまぁ、そんなこんなで今に至るんだけどさ…。割と幸せなんだよなぁ~これが‥。)
私の境遇って、一般的には運がツイてない部類なんだろうとは思う。
でもね。この世界目線で言うと私達家族なんて全然マシな方で、もっと酷い境遇の人達はいっぱい居るんだよ‥。
それに父だって、許可なく勝手に名前を使われた側なのに、私達に対して『自分が悪かった!』と愚痴や言い訳を一切せずに平謝りしまくりだったし、7年経った今尚、父は『絶対に金銭は貸さない!』と信念を持って猛省してるんだもん。
だからさ、もうそれで良いんだよね!
素直でお人好しな父のことが私達家族は大好きなのだ。
だからこそ私は、私達家族は、みんなで『フォートレック家の借金を最短で返すぞー!』って、一丸となって頑張ってるんだけど。
‥まぁ、これ以上は考えても堂々巡りになりそうだし、ちょっと息抜きでもしますかね。
私はフゥーッと息を吐いて抱えた膝を解くと、代わりに枕を抱きしめてベッドに座り、部屋の入り口に耳を澄ませた。
…トタ‥トタトタトタタタ。
────バタン。
「リアねぇ、おきてるかなぁ…。(だいじょうぶかなぁ…。)」
「あ、おきてる!(よかったぁー。)」
「「リアねぇ、ただいま!((よかったぁ~~。))」」
「お帰り、ルナ、レイ。神父さんのお話は楽しかった?」
私が座るベッドまで走り寄ってきたこの子達は、妹のルティナと、弟のレストイ。
双子でまだ5歳だ。
借金まみれになってから生まれたこの弟妹は、実は我が家の元気の源だったりする。
母はこんな状況で二人を授かったと知った時、家計が逼迫する事になるからって、最初は産むのをすごく悩んだらしい。
だけど報告を受けた父や兄と私が諸手を挙げて喜ぶ姿を見て、まぁどうにかなるっしょ!と吹っ切れたんだって。
生まれた双子の姉であるルティナは、母譲りの淡い金色の髪で、瞳の色は私と同じ瑠璃紺。
弟のレストイは、父譲りの私と同じ淡い青磁色の髪で、瞳の色は琥珀色。
二卵性だからそっくりではないこの子達は、でも長い睫毛にクリッとした大きな目元は似ていて、小さな体をベッドの縁から乗り出して私の顔を見つめてくる仕草がとっても可愛い。
「きょうのおはなしは『ルーシーとおやさいさん』だったよ!(たのしかったよー。)」
「ニンジンさんとピーマンさんとナスビさんとトマトさんがでてきたのー。(たのしかったぁ。)」
「そっかそっか~あの絵本ね~、懐かしいなぁ。」
二人の頭を優しく撫でてあげながら、私は相槌を打つ。
「「リアねぇ、しってるの? ((すごーい!))」」
「ふふふっ 今度お話してあげるね。」
「「ほんと? やったぁ!((わぁーい!))」」
声を揃えて満面の笑顔で抱きついてくる二人に、さっきまでのブラックな気分が一気に吹き飛ぶ。
(くぅ~~っ 可愛い!可愛すぎる~~~っ)
───とまぁ、こんな感じで。
私の弟妹は、と~っても可愛いのだ。ムフフ♪
(ハァ~~、癒されるわ~~~。)
これは余談になるけど。
弟妹が通う街の教会は幼児教育の場になっていて、この国では王族貴族以外の子供達は3歳から6歳までに基本的な読み書き算と道徳、この世界の創世にまつわる神学を教わることになっている。
そして7歳から魔力判別の儀を受ける12歳までは、家業に見合った学堂に通うか職人の元に弟子入りして、文法や算術、医学や薬学、技術を教わる。
その後、魔力判別の儀で魔力量が突出している者以外は本格的に家業を継ぐか職人になるんだけど。
私は12歳で魔法の才を見出されて道を逸れる事になったんだよね。
(…まぁ家の借金を早く返済する為にも、学院に行くのはメリットではあるんだけどさ‥。)
私の夢が〔魔法薬剤師〕の免許を取ることなのは、この職業になればものすごーーーーく稼げるからだ。
私が住むティタ二ア王国では、[王立アカデミー学院]でのみ〔魔法薬剤師〕の免許を取得できる。
というのも〔魔法薬剤師〕は読んで字の如く、誰もが使える魔術領域の[火][風][水][土]の元素に加えて、魔法領域の[光]と[闇]の元素を織り交ぜた薬を作り出せる、謂わば“薬剤師のスペシャリスト”で、各国に従事者が数名しか居ないほど貴重な職業なのだ。
当然〔魔法薬剤師〕は国の管理下で、従事者は国外への移住禁止や、国からの注文を最優先で受けなければならない等、ある程度の自由が制限される。
だけどね、ここからが本題。
その代わりに毎月、国から“多額の給金を貰える”のよ!
通貨単位にすると分かんないと思うから目安として例えるとね。一般的な給金の、まぁ3~5倍は貰えるようになるの。
ね。最短で借金を完済したいなら、これは目指すっきゃないでしょ?
うちは母が国有数の〔薬剤師〕で、(薬剤師も結構稼げる職業なんだけど) 私は幼い頃から母に師事していたから、将来は私も〔薬剤師〕になってフォートレック家を支えるつもりでいたんだけど。
私の魔力量が膨大な事が判って、その可能性が広がったという訳だ。
閑話休題。
「リアねぇ、おねつ、もうだいじょうぶ? (まだきついかな…。)」
「おねつ、さがった?? (まだきついかな…。)」
心配そうに私の顔を覗き込む弟妹は、…うん。マジ天使。
(どっちもひたすら可愛いに尽きるわ!!)
思わず二人を抱き締めてしまった私は、…うん。
きっと姉バカなんだと思う。
青Fと酷似している世界で、同じ名前の国や学校名に、同姓同名の私・・・・。
これってつまり、これから入学する[王立アカデミー学院]に、青Fの攻略キャラ達も居る可能性‥“大”だよね?
ってことは、主人公のライバルとして登場する、悪役令嬢やその取り巻き達も、居る可能性は“大”よねぇ~‥。
「…っはあぁ~~。‥私の魔力量は12歳の時に身バレしてるから、入学からは逃れられないし…。あの学院に行かないと〔魔法薬剤師〕の免許も取れないし~~‥。」
ここで入学を拒否したとすれば・・・・。
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それでも入学を拒否しますか?
▶︎はい
いいえ
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
Loading.....
───王立アカデミー学院への入学を拒否したリリアンは、ティタ二ア王国の安寧を揺がす危険人物として特定され、処刑される事になった。
【Bad End】
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
…ダヨネー。絶対こうなるよねーー。
(──うん。入学拒否の選択は、“無い”な。。)
って…。
「ああぁ~っっ‥ダメだぁ~~~。。」
光希の記憶を取り戻したせいか、思考回路が攻略ルートを選ぶみたいな、“ゲーム脳”になっちゃってる…。
(ここは現実! 現実の世界!!)
非現実なゲームの世界じゃないんだから!!
(‥やり直しなんかきかないんだから、しっかり考えないと!)
私は抱えた膝にぐりぐりと額を押し付け、思考をリセットすることにした。
「‥ふぅー…ちょっと落ち着こう‥。こういう時こそ、冷静に…冷静に…。」
───‥とにかく。
私は青Fの攻略キャラ達には関わりたくないのだ。
もちろん悪役令嬢や取り巻きも同上だ。
だって青Fのゲーム内容は、
『いかに攻略対象とイチャラブできるか。』
それだけに重きを置かれたものだった。
今が現実だからこそハッキリと言える。
あんな【イチャラブ推進ストーリー】に巻き込まれたら最後、私の夢は一瞬で水の泡と消える。
青Fの主人公は学院での授業中、休憩中、休日さえも、攻略キャラ達と関わる度に《イベント》が発生して、どんどん勉強はそっちのけになっていた。
つまり、攻略キャラ達と関わる=勉強時間が削られる図式の完成って訳だ。
私が目指してる〔魔法薬剤師〕の免許を取るには、才能だけでなく、魔術に魔法、薬剤に関する熟知が必要なのに、その勉強時間が削られるんだよ。
それを分かってて攻略キャラ達に関わるとか…ねぇ?
どー考えても、“無い”でしょ。
そんな訳だから、私は全力で攻略キャラ達を避ける必要があるんだけど。
(さて、どうしたものか…。)
幸いなことに?私は今、青Fの登場人物が出現する[場所]と[タイミング]を思い出せる。
ってことは《恋愛イベント》が起きないように、[フラグ]を回避することだってできる筈だ。
後は‥青F通りに彼等や彼女達が学院内に居るなら。
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
『卒業まで会わないようにする!』
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
…とかは…うん‥絶対に無理だろうなぁ…。
「あぁ~も~~…早くも面倒になってきた…。」
攻略キャラ達との関わり合いを一切求めてない今の私は、これから起こるだろう様々な《イベント》に対して、彼等の[好感度]を下げる行動を取ることになるから、要するに波乱万丈な未来しか想像できないんだよ…。
ようやく熱が下がって動けるようになってきたのに、気分はブルーを通り越してブラックだ。
やる気が全く出ない私は、未だに怠い体を膝を抱えて支えながら、カーテンの隙間から覗く窓の外を見た。
薄暗い室内とは違い、外はちょうど夕日が沈みかけていて、温かなオレンジ色に町並みが染まっている。
(ってことは、そろそろ仕事に出ているお父さんとラルフ兄と、教会から弟妹達が帰ってくる頃か…。)
多分、倒れた私の看病の為に、母は外出を控えて別室で内職をしているはずだ。
私の家──フォートレック家は、家族が多いにも関わらず、使用人が一人もいない。
いや、前は居たけどね。
私が9歳の時までは、まだうちの経営は安定してたし、使用人だって三人ほど居たのよ。
フォートレック家は400年以上続いている昔からの商家だ。
店自体も何店舗か持っていて、王都の中心街に本店があることもあり、ティタ二ア王国の中では有名な方だったりする。
だけど今は借金まみれで、店員を雇うのでギリギリで、使用人を雇う余裕がございません‥。
そういう訳で、私はいつも母と手分けして家事をやってるんだけど。
(私が倒れちゃったから、ここ数日はお母さんに無理させちゃったな…。)
そもそも、うちが借金まみれになったのは、父のお人好しな性格が原因だったりする。
私が8歳になる頃、父は友人から大きな商談を持ち掛けられて、その資金援助をお願いされた。
父は培ってきた経験から、持ち掛けられた商談は上手くいく可能性が低いと断ったんだけど、友人は成功することを信じていて、『せめて資金援助をして欲しい。2年で利子を付けて返すから。』と低頭でお願いされて断りきれず、父は友人に結構な金額を貸したそうだ。
しかし、1年も経たずに友人が起こした事業は失敗し、その日を境に、うちは“借金まみれ”となってしまった。
貸した金額が返ってこないならまだしも、なぜ借金まみれになったのかって?
それは、友人が無断で父の名を保証人欄に書き、色んな所からお金を借りていたからなんだけど。
その事を問い詰めるべく、父が友人に連絡を取ろうとしたら、既に友人は消息を絶ってて、探すことができなかったらしい。
(…とまぁ、そんなこんなで今に至るんだけどさ…。割と幸せなんだよなぁ~これが‥。)
私の境遇って、一般的には運がツイてない部類なんだろうとは思う。
でもね。この世界目線で言うと私達家族なんて全然マシな方で、もっと酷い境遇の人達はいっぱい居るんだよ‥。
それに父だって、許可なく勝手に名前を使われた側なのに、私達に対して『自分が悪かった!』と愚痴や言い訳を一切せずに平謝りしまくりだったし、7年経った今尚、父は『絶対に金銭は貸さない!』と信念を持って猛省してるんだもん。
だからさ、もうそれで良いんだよね!
素直でお人好しな父のことが私達家族は大好きなのだ。
だからこそ私は、私達家族は、みんなで『フォートレック家の借金を最短で返すぞー!』って、一丸となって頑張ってるんだけど。
‥まぁ、これ以上は考えても堂々巡りになりそうだし、ちょっと息抜きでもしますかね。
私はフゥーッと息を吐いて抱えた膝を解くと、代わりに枕を抱きしめてベッドに座り、部屋の入り口に耳を澄ませた。
…トタ‥トタトタトタタタ。
────バタン。
「リアねぇ、おきてるかなぁ…。(だいじょうぶかなぁ…。)」
「あ、おきてる!(よかったぁー。)」
「「リアねぇ、ただいま!((よかったぁ~~。))」」
「お帰り、ルナ、レイ。神父さんのお話は楽しかった?」
私が座るベッドまで走り寄ってきたこの子達は、妹のルティナと、弟のレストイ。
双子でまだ5歳だ。
借金まみれになってから生まれたこの弟妹は、実は我が家の元気の源だったりする。
母はこんな状況で二人を授かったと知った時、家計が逼迫する事になるからって、最初は産むのをすごく悩んだらしい。
だけど報告を受けた父や兄と私が諸手を挙げて喜ぶ姿を見て、まぁどうにかなるっしょ!と吹っ切れたんだって。
生まれた双子の姉であるルティナは、母譲りの淡い金色の髪で、瞳の色は私と同じ瑠璃紺。
弟のレストイは、父譲りの私と同じ淡い青磁色の髪で、瞳の色は琥珀色。
二卵性だからそっくりではないこの子達は、でも長い睫毛にクリッとした大きな目元は似ていて、小さな体をベッドの縁から乗り出して私の顔を見つめてくる仕草がとっても可愛い。
「きょうのおはなしは『ルーシーとおやさいさん』だったよ!(たのしかったよー。)」
「ニンジンさんとピーマンさんとナスビさんとトマトさんがでてきたのー。(たのしかったぁ。)」
「そっかそっか~あの絵本ね~、懐かしいなぁ。」
二人の頭を優しく撫でてあげながら、私は相槌を打つ。
「「リアねぇ、しってるの? ((すごーい!))」」
「ふふふっ 今度お話してあげるね。」
「「ほんと? やったぁ!((わぁーい!))」」
声を揃えて満面の笑顔で抱きついてくる二人に、さっきまでのブラックな気分が一気に吹き飛ぶ。
(くぅ~~っ 可愛い!可愛すぎる~~~っ)
───とまぁ、こんな感じで。
私の弟妹は、と~っても可愛いのだ。ムフフ♪
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そして7歳から魔力判別の儀を受ける12歳までは、家業に見合った学堂に通うか職人の元に弟子入りして、文法や算術、医学や薬学、技術を教わる。
その後、魔力判別の儀で魔力量が突出している者以外は本格的に家業を継ぐか職人になるんだけど。
私は12歳で魔法の才を見出されて道を逸れる事になったんだよね。
(…まぁ家の借金を早く返済する為にも、学院に行くのはメリットではあるんだけどさ‥。)
私の夢が〔魔法薬剤師〕の免許を取ることなのは、この職業になればものすごーーーーく稼げるからだ。
私が住むティタ二ア王国では、[王立アカデミー学院]でのみ〔魔法薬剤師〕の免許を取得できる。
というのも〔魔法薬剤師〕は読んで字の如く、誰もが使える魔術領域の[火][風][水][土]の元素に加えて、魔法領域の[光]と[闇]の元素を織り交ぜた薬を作り出せる、謂わば“薬剤師のスペシャリスト”で、各国に従事者が数名しか居ないほど貴重な職業なのだ。
当然〔魔法薬剤師〕は国の管理下で、従事者は国外への移住禁止や、国からの注文を最優先で受けなければならない等、ある程度の自由が制限される。
だけどね、ここからが本題。
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私の魔力量が膨大な事が判って、その可能性が広がったという訳だ。
閑話休題。
「リアねぇ、おねつ、もうだいじょうぶ? (まだきついかな…。)」
「おねつ、さがった?? (まだきついかな…。)」
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皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!?
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みゅー
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余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
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