17 / 30
17
しおりを挟む
ヘパイストスの鍛冶場を飛び立ったシルフィードは、二つの部隊を連れていました。
ヴァルキリー部隊とタイタン部隊を従えて、南東へと進路を取ります。
私たちの次の目的地は、五大聖地の一つである「生命の泉」でした。
空の旅は、もう危険なものではなくなっています。
絶対的な安全が約束された、快適な時間になっていました。
シルフィードの周りでは、銀色の翼を持つ十体のヴァルキリーたちが飛んでいます。
彼女たちは、美しい隊列を組んで飛行していました。
シルフィードの護衛をしながら、私たちの目や耳になってくれます。
周りの警戒を、少しも怠りません。
その姿は、まるで天から来た使いのようでした。
私は操縦席の窓から、しばらく見とれてしまいます。
「すごいですね、ナナさん。あの子たちは、本当に頼りになります」
私の隣に立つナナさんも、満足した様子でうなずいていました。
彼の新しいエターナルコアは、全てのゴーレムといつもつながっています。
ヴァルキリー部隊とタイタン部隊に、私とナナさんの考えをすぐに伝えられるのです。
私たちは、もはや一つの心を持った、一つの軍団になっていました。
『はい、マスター。彼女たちの敵を探す能力は、シルフィードのレーダーよりも優れています。どんな不意打ちも、もう私たちには通用しないでしょう』
タイタン部隊は、シルフィードの船倉で出番を待っていました。
彼らが活躍するのは、地上に降りてからです。
その黒くて大きな体が、大地を揺らす時が来るでしょう。
私は、今からその時を楽しみにしていました。
船の中では、私は新しい設計図の研究に夢中になっていました。
それは、ヘパイストスの鍛冶場で手に入れたものです。
そこには、物質を原子のレベルで作り変える、特別な技術が書かれていました。
私の「上位修復」スキルと、この技術を合わせれば何かが起きるかもしれません。
もしかしたら、何もないところから物を生み出すことすら、可能になるかもしれないのです。
私は、そんなすごい可能性を感じていました。
もっと知りたいと、私は強く思いました。
古代文明の技術のことや、私の力のことをです。
追放された時は、ただおだやかに暮らしたいと思っていました。
でも、今は違います。
私には、守りたいものができました。
ナナさんやヘスティアさん、それにイグニスもいます。
新しく仲間になった、ヴァルキリーやタイタンたちも大切です。
そして、この世界の、まだ見たことのない美しい景色も守りたいのです。
それら全てを、「侵食する虚無」の悪い力から守りたい。
その強い想いが、私を動かしていました。
その頃、アレス様たちのパーティーは、希望を失いかけていました。
国王から与えられた一週間の時間は、残すところあと一日です。
しかし、「奇跡の修理屋」についての情報は、何一つ見つかっていませんでした。
「くそっ、なぜだ。なぜ見つからないんだ」
王都の安い宿で、アレス様はいらいらしていました。
彼は、その気持ちを隠さずに壁を殴りつけます。
そのこぶしからは、血がにじんでいました。
しかし、彼の自慢だった聖剣は、もう輝きを取り戻しません。
「もう、終わりですわ。私たちは、勇者の名前を取り上げられて追放されるのよ」
魔術師のリナリアさんは、ベッドの上で泣いていました。
彼女は、自分のひざを抱えています。
彼女のきれいな顔は、涙でぐしょぐしょでした。
パラディンのゲオルグも、いつもの自信をなくしています。
部屋の隅で、ただ黙り込んでいました。
彼の心は、完全に折れてしまったようでした。
「一つだけ、気になるうわさがあります」
今まで黙っていた神官のカインが、ぽつりと言いました。
彼の言葉に、パーティーの全員が顔を上げます。
「なんだと、カイン。何かあるのか」
「はい。最近、大陸の南東の方で、とても大きな空飛ぶ船が目撃されたといううわさです。銀色に輝く、鳥のような美しい船だったそうです。その周りには、天使のような兵士を連れていたとか」
「空飛ぶ船だと、ばかな。そんなもの、今あるはずがないだろう」
アレス様は、カインの言葉を笑って相手にしませんでした。
古代の宝である飛行艇は、おとぎ話の中だけのものです。
しかし、カインは真剣な顔で、話を続けました。
「ですが、その船が目撃された時期と場所が、修理屋が現れたといううわさと重なるのです。もしかしたら、その空飛ぶ船に修理屋が乗っているのかもしれません」
それは、とてもとんでもない話でした。
わらにでもすがりたいような、小さな希望です。
しかし、今の彼らにとっては、それしかありませんでした。
「分かった、行こう。その、南東部とやらに」
アレス様が、しぼり出すような声で言いました。
彼の目には、ほんの少しだけ最後の光が宿ります。
彼らは、残された最後の望みをかけて、南東部へ向かうと決めました。
その先に、まさか私がいるなんて夢にも思わなかったでしょう。
シルフィードは、何日か飛んだ後で目的地の空に着きました。
目の下には、どこまでも続く、大きな自然が広がっています。
緑の豊かな森や、大きく曲がりくねって流れる川が見えました。
そして、遠くには、巨大な滝があります。
ゴウゴウと、水が流れ落ちる音がここまで聞こえてきました。
「あそこが、生命の泉ですね」
『はい、マスター。ヘスティアのデータと同じです。あの大きな滝の裏側に、聖地への入り口があるようです』
シルフィードは、ゆっくりと高さを下げていきました。
滝つぼの近くにある、おだやかな湖の上で止まります。
湖の水は、信じられないほど透き通っていました。
湖の底にある、白い砂まではっきりと見えます。
周りには、色とりどりの花が咲いていて、まるで楽園のような景色でした。
「なんて、きれいな場所なんでしょう」
私は、その美しさに思わずため息をもらします。
しかし、その時でした。
おだやかだった湖の水面が、急に激しく泡立ち始めたのです。
「な、何ですか」
ゴボゴボゴボ、と音がします。
水面が、まるで生き物のように盛り上がりました。
そして、そこから巨大な何かが姿を現します。
それは、全身が透き通った水でできた、巨大なヘビでした。
いえ、これは竜です。
その体は、湖の水そのものでできていました。
大きさは、シルフィードよりも大きいくらいです。
二つの目が、青く冷たい光を放っていました。
『警告します、高密度の生命エネルギー反応を検知しました。聖地の守り人、「アクア・レギオン」だと判断します』
ナナさんの落ち着いた声が、操縦室に響きました。
アクア・レギオンは、水の軍団という意味かもしれません。
その名前の通り、水の竜は一体だけではなかったのです。
その周りの湖から、次々と、同じような水の竜が現れ始めました。
その数は、あっという間に数十体にもなります。
『我は、聖地を守る者。何者も、この先へは通さない』
ひときわ大きな水の竜の口から、声が聞こえました。
それは、私の頭の中に直接響いてきます。
どうやら、彼がこのアクア・レギオンのリーダーのようでした。
「私たちは、戦いに来たのではありません。ただ、聖地を訪れてある儀式をしたいだけなのです」
私がそう叫び返すと、リーダーの竜はあざ笑うように体を揺らしました。
『人間が、何を言うか。お前たち人間は、これまで何度もこの聖なる泉をよごそうとしてきた。もう、お前たちの言葉を信じることはできない』
その言葉と一緒に、数十体の水の竜がいっせいに口を大きく開きました。
その口の中に、ものすごい魔力が集まっていきます。
あれは、高圧の水の刃でしょう。
あれを受けたら、シルフィードのよろいでも、無事ではすみません。
『マスター、指示をください。ヴァルキリー部隊は、いつでも出撃できます』
ナナさんが、冷静に私に判断を求めました。
戦うか、それとも別の方法を探すかです。
私は、目の前の水の竜たちを、じっと見つめました。
彼らの体は、確かに水でできています。
しかし、その中心には、核になる青く光る魔石がありました。
そして、その魔石が少しだけ、黒くにごっていることに私は気づいたのです。
あれは、悪い気かもしれません。
もしかして、この子たちは何かに苦しんでいるのではないでしょうか。
私は、一つの可能性に思い当たりました。
彼らが、これほど人間を敵だと思うのには、何か理由があるはずです。
そして、その原因を取り除いてあげれば、彼らと分かり合えるかもしれないと思いました。
「ナナさん、ヴァルキリー部隊は待っていてください。私が、彼らと話をしてみます」
『しかし、マスター。危険です』
「大丈夫です、私に考えがあります」
私は、シルフィードの出口を開けて、船の先に立ちました。
目の下には、今にも攻撃してきそうな水の竜たちがいます。
「皆さん、聞いてください。あなたたちが何かに苦しんでいることは分かります。私に、その苦しみを取り除く手伝いをさせてくれませんか」
私の声は、滝の音で消えそうになりました。
でも、リーダーの竜にはちゃんと届いたようです。
『小娘が、何をばかなことを。我らの苦しみが、お前に分かってたまるか』
「分かります、あなたたちのその体は悪い気にむしばまれていますね。そのせいで、心が乱れて必要以上に攻撃的になっているのではありませんか」
私の言葉に、リーダーの竜は明らかに動揺しました。
その青い目が、大きく見開かれます。
『なっ、なぜお前がそれを』
「私は、壊れたものを直すのが得意なんです。それは、物だけではありません。よごれてしまった、あなたたちの心もきっと直せます」
私は、両手を前に突き出しました。
そして、ありったけの想いを込めて、スキルを使います。
「上位修復」
私の手から放たれた緑色の光は、一本の大きな光の矢になりました。
リーダーの竜の胸にある、黒くにごった魔石へまっすぐに飛んでいきます。
それは、攻撃ではありませんでした。
癒やしと、清めの光です。
私の全てを込めた、一撃でした。
ヴァルキリー部隊とタイタン部隊を従えて、南東へと進路を取ります。
私たちの次の目的地は、五大聖地の一つである「生命の泉」でした。
空の旅は、もう危険なものではなくなっています。
絶対的な安全が約束された、快適な時間になっていました。
シルフィードの周りでは、銀色の翼を持つ十体のヴァルキリーたちが飛んでいます。
彼女たちは、美しい隊列を組んで飛行していました。
シルフィードの護衛をしながら、私たちの目や耳になってくれます。
周りの警戒を、少しも怠りません。
その姿は、まるで天から来た使いのようでした。
私は操縦席の窓から、しばらく見とれてしまいます。
「すごいですね、ナナさん。あの子たちは、本当に頼りになります」
私の隣に立つナナさんも、満足した様子でうなずいていました。
彼の新しいエターナルコアは、全てのゴーレムといつもつながっています。
ヴァルキリー部隊とタイタン部隊に、私とナナさんの考えをすぐに伝えられるのです。
私たちは、もはや一つの心を持った、一つの軍団になっていました。
『はい、マスター。彼女たちの敵を探す能力は、シルフィードのレーダーよりも優れています。どんな不意打ちも、もう私たちには通用しないでしょう』
タイタン部隊は、シルフィードの船倉で出番を待っていました。
彼らが活躍するのは、地上に降りてからです。
その黒くて大きな体が、大地を揺らす時が来るでしょう。
私は、今からその時を楽しみにしていました。
船の中では、私は新しい設計図の研究に夢中になっていました。
それは、ヘパイストスの鍛冶場で手に入れたものです。
そこには、物質を原子のレベルで作り変える、特別な技術が書かれていました。
私の「上位修復」スキルと、この技術を合わせれば何かが起きるかもしれません。
もしかしたら、何もないところから物を生み出すことすら、可能になるかもしれないのです。
私は、そんなすごい可能性を感じていました。
もっと知りたいと、私は強く思いました。
古代文明の技術のことや、私の力のことをです。
追放された時は、ただおだやかに暮らしたいと思っていました。
でも、今は違います。
私には、守りたいものができました。
ナナさんやヘスティアさん、それにイグニスもいます。
新しく仲間になった、ヴァルキリーやタイタンたちも大切です。
そして、この世界の、まだ見たことのない美しい景色も守りたいのです。
それら全てを、「侵食する虚無」の悪い力から守りたい。
その強い想いが、私を動かしていました。
その頃、アレス様たちのパーティーは、希望を失いかけていました。
国王から与えられた一週間の時間は、残すところあと一日です。
しかし、「奇跡の修理屋」についての情報は、何一つ見つかっていませんでした。
「くそっ、なぜだ。なぜ見つからないんだ」
王都の安い宿で、アレス様はいらいらしていました。
彼は、その気持ちを隠さずに壁を殴りつけます。
そのこぶしからは、血がにじんでいました。
しかし、彼の自慢だった聖剣は、もう輝きを取り戻しません。
「もう、終わりですわ。私たちは、勇者の名前を取り上げられて追放されるのよ」
魔術師のリナリアさんは、ベッドの上で泣いていました。
彼女は、自分のひざを抱えています。
彼女のきれいな顔は、涙でぐしょぐしょでした。
パラディンのゲオルグも、いつもの自信をなくしています。
部屋の隅で、ただ黙り込んでいました。
彼の心は、完全に折れてしまったようでした。
「一つだけ、気になるうわさがあります」
今まで黙っていた神官のカインが、ぽつりと言いました。
彼の言葉に、パーティーの全員が顔を上げます。
「なんだと、カイン。何かあるのか」
「はい。最近、大陸の南東の方で、とても大きな空飛ぶ船が目撃されたといううわさです。銀色に輝く、鳥のような美しい船だったそうです。その周りには、天使のような兵士を連れていたとか」
「空飛ぶ船だと、ばかな。そんなもの、今あるはずがないだろう」
アレス様は、カインの言葉を笑って相手にしませんでした。
古代の宝である飛行艇は、おとぎ話の中だけのものです。
しかし、カインは真剣な顔で、話を続けました。
「ですが、その船が目撃された時期と場所が、修理屋が現れたといううわさと重なるのです。もしかしたら、その空飛ぶ船に修理屋が乗っているのかもしれません」
それは、とてもとんでもない話でした。
わらにでもすがりたいような、小さな希望です。
しかし、今の彼らにとっては、それしかありませんでした。
「分かった、行こう。その、南東部とやらに」
アレス様が、しぼり出すような声で言いました。
彼の目には、ほんの少しだけ最後の光が宿ります。
彼らは、残された最後の望みをかけて、南東部へ向かうと決めました。
その先に、まさか私がいるなんて夢にも思わなかったでしょう。
シルフィードは、何日か飛んだ後で目的地の空に着きました。
目の下には、どこまでも続く、大きな自然が広がっています。
緑の豊かな森や、大きく曲がりくねって流れる川が見えました。
そして、遠くには、巨大な滝があります。
ゴウゴウと、水が流れ落ちる音がここまで聞こえてきました。
「あそこが、生命の泉ですね」
『はい、マスター。ヘスティアのデータと同じです。あの大きな滝の裏側に、聖地への入り口があるようです』
シルフィードは、ゆっくりと高さを下げていきました。
滝つぼの近くにある、おだやかな湖の上で止まります。
湖の水は、信じられないほど透き通っていました。
湖の底にある、白い砂まではっきりと見えます。
周りには、色とりどりの花が咲いていて、まるで楽園のような景色でした。
「なんて、きれいな場所なんでしょう」
私は、その美しさに思わずため息をもらします。
しかし、その時でした。
おだやかだった湖の水面が、急に激しく泡立ち始めたのです。
「な、何ですか」
ゴボゴボゴボ、と音がします。
水面が、まるで生き物のように盛り上がりました。
そして、そこから巨大な何かが姿を現します。
それは、全身が透き通った水でできた、巨大なヘビでした。
いえ、これは竜です。
その体は、湖の水そのものでできていました。
大きさは、シルフィードよりも大きいくらいです。
二つの目が、青く冷たい光を放っていました。
『警告します、高密度の生命エネルギー反応を検知しました。聖地の守り人、「アクア・レギオン」だと判断します』
ナナさんの落ち着いた声が、操縦室に響きました。
アクア・レギオンは、水の軍団という意味かもしれません。
その名前の通り、水の竜は一体だけではなかったのです。
その周りの湖から、次々と、同じような水の竜が現れ始めました。
その数は、あっという間に数十体にもなります。
『我は、聖地を守る者。何者も、この先へは通さない』
ひときわ大きな水の竜の口から、声が聞こえました。
それは、私の頭の中に直接響いてきます。
どうやら、彼がこのアクア・レギオンのリーダーのようでした。
「私たちは、戦いに来たのではありません。ただ、聖地を訪れてある儀式をしたいだけなのです」
私がそう叫び返すと、リーダーの竜はあざ笑うように体を揺らしました。
『人間が、何を言うか。お前たち人間は、これまで何度もこの聖なる泉をよごそうとしてきた。もう、お前たちの言葉を信じることはできない』
その言葉と一緒に、数十体の水の竜がいっせいに口を大きく開きました。
その口の中に、ものすごい魔力が集まっていきます。
あれは、高圧の水の刃でしょう。
あれを受けたら、シルフィードのよろいでも、無事ではすみません。
『マスター、指示をください。ヴァルキリー部隊は、いつでも出撃できます』
ナナさんが、冷静に私に判断を求めました。
戦うか、それとも別の方法を探すかです。
私は、目の前の水の竜たちを、じっと見つめました。
彼らの体は、確かに水でできています。
しかし、その中心には、核になる青く光る魔石がありました。
そして、その魔石が少しだけ、黒くにごっていることに私は気づいたのです。
あれは、悪い気かもしれません。
もしかして、この子たちは何かに苦しんでいるのではないでしょうか。
私は、一つの可能性に思い当たりました。
彼らが、これほど人間を敵だと思うのには、何か理由があるはずです。
そして、その原因を取り除いてあげれば、彼らと分かり合えるかもしれないと思いました。
「ナナさん、ヴァルキリー部隊は待っていてください。私が、彼らと話をしてみます」
『しかし、マスター。危険です』
「大丈夫です、私に考えがあります」
私は、シルフィードの出口を開けて、船の先に立ちました。
目の下には、今にも攻撃してきそうな水の竜たちがいます。
「皆さん、聞いてください。あなたたちが何かに苦しんでいることは分かります。私に、その苦しみを取り除く手伝いをさせてくれませんか」
私の声は、滝の音で消えそうになりました。
でも、リーダーの竜にはちゃんと届いたようです。
『小娘が、何をばかなことを。我らの苦しみが、お前に分かってたまるか』
「分かります、あなたたちのその体は悪い気にむしばまれていますね。そのせいで、心が乱れて必要以上に攻撃的になっているのではありませんか」
私の言葉に、リーダーの竜は明らかに動揺しました。
その青い目が、大きく見開かれます。
『なっ、なぜお前がそれを』
「私は、壊れたものを直すのが得意なんです。それは、物だけではありません。よごれてしまった、あなたたちの心もきっと直せます」
私は、両手を前に突き出しました。
そして、ありったけの想いを込めて、スキルを使います。
「上位修復」
私の手から放たれた緑色の光は、一本の大きな光の矢になりました。
リーダーの竜の胸にある、黒くにごった魔石へまっすぐに飛んでいきます。
それは、攻撃ではありませんでした。
癒やしと、清めの光です。
私の全てを込めた、一撃でした。
52
あなたにおすすめの小説
『ゴミ溜め場の聖女』と蔑まれた浄化師の私、一族に使い潰されかけたので前世の知識で独立します
☆ほしい
ファンタジー
呪いを浄化する『浄化師』の一族に生まれたセレン。
しかし、微弱な魔力しか持たない彼女は『ゴミ溜め場の聖女』と蔑まれ、命を削る危険な呪具の浄化ばかりを押し付けられる日々を送っていた。
ある日、一族の次期当主である兄に、身代わりとして死の呪いがかかった遺物の浄化を強要される。
死を覚悟した瞬間、セレンは前世の記憶を思い出す。――自分が、歴史的な遺物を修復する『文化財修復師』だったことを。
「これは、呪いじゃない。……経年劣化による、素材の悲鳴だ」
化学知識と修復技術。前世のスキルを応用し、奇跡的に生還したセレンは、搾取されるだけの人生に別れを告げる。
これは、ガラクタ同然の呪具に秘められた真の価値を見出す少女が、自らの工房を立ち上げ、やがて国中の誰もが無視できない存在へと成り上がっていく物語。
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
聖水が「無味無臭」というだけで能無しと追放された聖女ですが、前世が化学研究者だったので、相棒のスライムと辺境でポーション醸造所を始めます
☆ほしい
ファンタジー
聖女エリアーナの生み出す聖水は、万物を浄化する力を持つものの「無味無臭」で効果が分かりにくいため、「能無し」の烙印を押され王都から追放されてしまう。
絶望の淵で彼女は思い出す。前世が、物質の配合を極めた化学研究者だったことを。
「この完璧な純水……これ以上の溶媒はないじゃない!」
辺境の地で助けたスライムを相棒に、エリアーナは前世の知識と「能無し」の聖水を組み合わせ、常識を覆す高品質なポーション作りを始める。やがて彼女の作るポーションは国を揺るがす大ヒット商品となり、彼女を追放した者たちが手のひらを返して戻ってくるよう懇願するが――もう遅い。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~
いとうヒンジ
ファンタジー
ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。
理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。
パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。
友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。
その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。
カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。
キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。
最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。
俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~
風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【完結】特別な力で国を守っていた〈防国姫〉の私、愚王と愚妹に王宮追放されたのでスパダリ従者と旅に出ます。一方で愚王と愚妹は破滅する模様
岡崎 剛柔
ファンタジー
◎第17回ファンタジー小説大賞に応募しています。投票していただけると嬉しいです
【あらすじ】
カスケード王国には魔力水晶石と呼ばれる特殊な鉱物が国中に存在しており、その魔力水晶石に特別な魔力を流すことで〈魔素〉による疫病などを防いでいた特別な聖女がいた。
聖女の名前はアメリア・フィンドラル。
国民から〈防国姫〉と呼ばれて尊敬されていた、フィンドラル男爵家の長女としてこの世に生を受けた凛々しい女性だった。
「アメリア・フィンドラル、ちょうどいい機会だからここでお前との婚約を破棄する! いいか、これは現国王である僕ことアントン・カスケードがずっと前から決めていたことだ! だから異議は認めない!」
そんなアメリアは婚約者だった若き国王――アントン・カスケードに公衆の面前で一方的に婚約破棄されてしまう。
婚約破棄された理由は、アメリアの妹であったミーシャの策略だった。
ミーシャはアメリアと同じ〈防国姫〉になれる特別な魔力を発現させたことで、アントンを口説き落としてアメリアとの婚約を破棄させてしまう。
そしてミーシャに骨抜きにされたアントンは、アメリアに王宮からの追放処分を言い渡した。
これにはアメリアもすっかり呆れ、無駄な言い訳をせずに大人しく王宮から出て行った。
やがてアメリアは天才騎士と呼ばれていたリヒト・ジークウォルトを連れて〈放浪医師〉となることを決意する。
〈防国姫〉の任を解かれても、国民たちを守るために自分が持つ医術の知識を活かそうと考えたのだ。
一方、本物の知識と実力を持っていたアメリアを王宮から追放したことで、主核の魔力水晶石が致命的な誤作動を起こしてカスケード王国は未曽有の大災害に陥ってしまう。
普通の女性ならば「私と婚約破棄して王宮から追放した報いよ。ざまあ」と喜ぶだろう。
だが、誰よりも優しい心と気高い信念を持っていたアメリアは違った。
カスケード王国全土を襲った未曽有の大災害を鎮めるべく、すべての原因だったミーシャとアントンのいる王宮に、アメリアはリヒトを始めとして旅先で出会った弟子の少女や伝説の魔獣フェンリルと向かう。
些細な恨みよりも、〈防国姫〉と呼ばれた聖女の力で国を救うために――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる