NPC専用カウンセラーとしてお悩み相談に乗っていたら、いつの間にか伝説の聖獣たちをセラピーしてしまい救国の英雄になっていた

☆ほしい

文字の大きさ
8 / 8

しおりを挟む
俺の言葉と、手の温もりが伝わったのだろうか。
ルシウス王子の震えが、少しだけ収まったように見えた。彼の虚ろだった瞳に、わずかながら光が戻ってくる。

彼は、自分の手を包む俺の手と、俺の顔を、交互にゆっくりと見比べた。
そして、子供が母親に助けを求めるような、か細い声で呟いた。

「君は……誰……?」

「ケイ、と申します。ただの、旅の者です」

俺は、自己紹介を繰り返した。
今は、俺が何者であるかは重要ではない。ただ、彼にとって安全な存在であると認識してもらうことが、何よりも大切だった。

俺は、彼の手を優しく握ったまま、ゆっくりと言葉を続ける。
急かさず、焦らず、彼のペースに合わせる。これが、パニック状態にある相手と接する時の鉄則だ。

「驚きましたよね。怖い思いをされたでしょう。でも、もう大丈夫です。アレクシオス様も駆けつけてくださいました。あなたは、もう安全な場所にいます」

俺は、彼が置かれている状況を、一つ一つ丁寧に説明していく。
安心できる要素を、具体的に言葉にして伝えることで、混乱した彼の頭の中を整理する手助けをするのだ。

「……兄上が……?」

「はい。あなたの知らせを聞いて、誰よりも先に駆けつけてこられました。とても、心配されていましたよ」

俺がそう言うと、ルシウスの瞳が大きく揺れた。
彼の心の中で、兄であるアレクシオスの存在は、きっと複雑なものなのだろう。憧れ、劣等感、そして少しの恐怖。それらが、ごちゃ混ぜになっているに違いない。

「でも……僕のせいで、村が……みんなが……」

再び、彼の表情が罪悪感に歪む。
トラウマの引き金となった光景が、彼の脳裏に蘇ろうとしていた。ストレス値が、再びじりじりと上昇を始める。

ここで、俺はあえて強い口調で、彼の自己否定を遮った。

「それは違います」

「え……?」
ルシウスは、驚いたように俺の顔を見た。

「村が襲われたのは、あなたのせいではありません。悪いのは、百パーセント、襲撃してきた連中です。あなたは、被害者です。自分を責めるのは、絶対に間違っています」

俺は、彼の目を真っ直ぐに見つめて、きっぱりと言い切った。
曖昧な慰めは、時には毒になる。今は、彼の間違った認識を、はっきりと正してやる必要があった。

「でも、僕がここにいなければ、彼らはこんな酷い目には……」

「いいえ。もしあなたがここにいなくても、彼らはいずれ、どこかの村を襲っていたでしょう。彼らの目的があなたであったとしても、その手段として村を巻き込んだのは、彼らの選択です。その責任を、あなたが負う必要は、一切ありません」

俺の言葉は、カウンセリングというより、もはや説得に近いものだったかもしれない。
だが、彼の心を縛る「罪悪感」という名の鎖を断ち切るには、これくらいの強い介入が必要だと判断した。

ルシウスは、俺の言葉に何も言い返せなかった。
ただ、大きく見開かれた瞳で、俺の顔をじっと見つめている。彼の心の中で、俺の言葉が反響し、彼の凝り固まった思考に波紋を広げているのが分かった。

『ルシウスの精神的デバフ【恐慌】が、精神的デバフ【自己嫌悪】に変化しました』
『ルシウスの「ストレス値」が、98から80に減少しました』

よし、第一段階はクリアだ。
パニック状態からは脱し、彼は自分の内面と向き合う段階に入った。ここからは、より繊細なアプローチが必要になる。

俺は、バスケットから『リリア特製・勇気の出るパン』を一つ取り出した。

「お腹が空いていませんか?これをどうぞ。食べると、少しだけ勇気が出る、特別なおまじないがかかっているんです」

俺がそう言ってパンを差し出すと、ルシウスは戸惑いながらも、それを受け取った。
そして、小さな口で、一口、パンをかじった。

素朴な小麦の甘みが、口の中に広がったのだろう。
彼の強張っていた表情が、ほんの少しだけ、和らいだ。

「……美味しい……」

「よかった。さあ、ゆっくりでいいですから、全部召し上がってください」

彼は、子供のようにこくこくと頷き、黙々とパンを食べ始めた。
その姿を見ていると、彼が王子であるということを、一瞬忘れてしまいそうになる。彼はただ、傷つき、怯えている、一人の青年に過ぎなかった。

パンを半分ほど食べたところで、ルシウスは顔を上げた。
その瞳には、もうさっきまでの虚ろな色はない。代わりに、深い悲しみが、水のように湛えられていた。

「僕は……無力だ」

ぽつりと、彼が呟いた。

「兄上のように、剣を振るうこともできない。賢者様のように、知恵で国を導くこともできない。僕にあるのは、ただ、平和を願うだけの、何の力もない心だけだ。……そんな僕が、王になれるはずがない」

劣等感。
それが、彼の悩みの根源だった。
あまりにも偉大な兄と、賢すぎる臣下。その二人に囲まれて育った彼は、常に自分の無力さを感じ続けてきたのだろう。

「今回の事件で、よく分かった。僕の理想なんて、暴力の前では、あまりにも脆くて、無意味なんだ。民を守りたいと願うことと、実際に守れることは、全く違うんだ……」

彼の目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。
それは、自分の不甲斐なさに対する、悔し涙だった。

俺は、彼の涙を拭うことはしなかった。
今は、泣くだけ泣かせてやった方がいい。感情を溜め込むことは、心の毒になる。

彼のストレス値は、一時的に上昇したが、涙と共に、少しずつ、安定を取り戻していく。

やがて、涙が枯れた頃、俺は静かに口を開いた。
特殊な選択肢が、また俺の視界に浮かんでいた。

【選択肢】
→あなたには、あなたにしかできないことがある。
→アレクシオス様も、あなたを必要としているはずだ。
→力だけが全てではない。

俺は、一番上の選択肢を選んだ。
彼に必要なのは、自己肯定感を高めてやることだ。

「ルシウス様。あなたは、本当に無力なのでしょうか?」

「え……?」

「確かに、あなたは剣を振るうことはできないかもしれない。でも、あなたには、兄であるアレクシオス様にも、賢者様にもない、特別な力があると、俺は思います」

「僕に……特別な力……?」
ルシウスは、信じられないという顔で、自分自身を見下ろした。

「はい。それは、『人の痛みに寄り添う力』です」

俺は、彼の目を真っ直ぐに見つめて言った。

「あなたは、村が襲われた時、自分のことよりも先に、村人たちのことを心配していました。自分のせいで、と心を痛めていた。それは、あなたが彼らの痛みや悲しみを、自分のことのように感じることができる、優しい心を持っている証拠です」

「……」

「その優しさは、決して弱さではありません。むしろ、王として最も大切な資質の一つだと、俺は思います。民の痛みを理解できない王に、良い国を作ることなんて、できるはずがありませんから」

俺の言葉に、ルシウスは息を呑んだ。
彼のコンプレックスだった「優しさ」が、俺によって「強さ」として再定義されたことに、彼は戸惑っているようだった。

「アレクシオス様の強さは、国を守るための『剣』です。賢者様の知恵は、国を導くための『羅針盤』です。そして、あなたの優しさは、民の心を癒し、国を一つにまとめるための『光』になる。どれか一つが欠けても、この国は成り立たない。三つの力が合わさって、初めて、本当に強い国になるんじゃないでしょうか」

俺は、自分の考えを、ありのままに彼に伝えた。
それは、スキルによるものではなく、俺自身の、心からの言葉だった。

「僕は……光……?」

「はい。あなたは、アレクシオス様の強すぎる光が作る影を、優しく照らすことができる、唯一の存在です。だから、自分を無力だなんて、もう言わないでください」

俺がそう言って微笑むと、ルシウスの瞳から、再び涙が溢れ出した。
しかし、それはもう、先程までの絶望の涙ではなかった。
長い間、彼の心を覆っていた暗い霧が、晴れていくのが分かった。

『ルシウスの精神的デバフ【自己嫌悪】が解除されました』
『ルシウスの「ストレス値」が0になりました』
『ルシウスの「幸福度」が最大になりました』
『ルシウスの「信頼度」が最大になりました』
『称号【王の癒し手】を獲得しました』
『クエスト【賢者の憂鬱】の達成度が50%上昇しました』

立て続けに流れるメッセージが、俺のカウンセリングの成功を告げていた。
ルシウスは、しばらくの間、子供のようにしゃくり上げて泣いていたが、やがて、涙で濡れた顔を上げて、俺に微笑みかけた。

それは、まるで雨上がりの空にかかる虹のように、儚くも、美しい笑顔だった。

「……ありがとう、ケイ。君のおかげで、僕は、僕が僕であることに、少しだけ誇りを持てそうだ」

その時だった。
俺たちの後ろから、ゆっくりとした足音が近づいてきた。
振り返ると、そこには、複雑な表情を浮かべたアレクシオス王子が立っていた。彼がいつからそこにいたのか、俺は全く気づかなかった。

「……ルシウス」

アレクシオスは、ぶっきらぼうに、だが、どこか優しさの滲む声で、弟の名を呼んだ。

「兄上……」

ルシウスは、少しバツが悪そうに、顔を伏せる。
二人の間に、気まずい沈黙が流れた。

「……怪我は、ないか」
アレクシオスが、絞り出すように言った。

「……うん。大丈夫。兄上こそ、ごめんなさい。僕のために、危険な目に……」

「馬鹿者!お前は俺の、たった一人の弟だ!兄が弟を守るのは、当たり前だろうが!」
アレクシオスは、そう怒鳴ると、乱暴にルシウスの頭をわしわしと撫でた。

その手つきは不器用だったが、深い愛情に満ちていた。
ルシウスは、驚いたように目を見開いた後、堰を切ったように、再び泣き出した。今度は、兄の胸に顔を埋めて、声を上げて。

俺は、その光景を、少し離れた場所から静かに見守っていた。
十年間、すれ違い続けていた兄弟の心が、今、ようやく一つに繋がった瞬間だった。

この国は、まだ大丈夫だ。
この二人なら、きっと、素晴らしい国を築いていける。俺は、そう確信した。

落ち着きを取り戻した後、アレクシオスは俺に向き直った。
その表情は、以前会った時よりも、ずっと穏やかになっていた。

「ケイ。お前には、礼を言わねばならんな。俺の、そしてルシウスの心も救ってくれた」
「俺は、何も。お二人が、元々、互いを大切に思っていただけですよ」

「ふん、謙遜はよせ。……それで、襲撃犯のことだが」
アレクシオスの表情が、険しいものに戻る。

「数名を捕らえることに成功した。だが、どいつもこいつも、頑なに口を割らん。毒を仕込んでいて、尋問の前に自害しようとする者までいた。相当、手強い組織だ」

やはり、ただの賊ではなかったか。
その背後には、相当な覚悟を持った黒幕がいる。

「ケイ。お前に、頼みがある」
アレクシオスは、真剣な目で俺を見つめた。

「俺に、ですか?」
「ああ。お前のその不思議な力で、奴らの口を割らせることはできないか?奴らが誰に雇われ、何を目的としているのか。それを、聞き出してほしい」

捕虜の尋問。
それは、俺のスキルが最も効果を発揮する場面かもしれない。
だが同時に、危険も伴う。俺は少しだけ考えたが、答えはすでに決まっていた。

「……やってみましょう」
この国の未来のために、俺にできることがあるのなら。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

元公務員、辺境ギルドの受付になる 〜『受理』と『却下』スキルで無自覚に無双していたら、伝説の職員と勘違いされて俺の定時退勤が危うい件〜

☆ほしい
ファンタジー
市役所で働く安定志向の公務員、志摩恭平(しまきょうへい)は、ある日突然、勇者召喚に巻き込まれて異世界へ。 しかし、与えられたスキルは『受理』と『却下』という、戦闘には全く役立ちそうにない地味なものだった。 「使えない」と判断された恭平は、国から追放され、流れ着いた辺境の街で冒険者ギルドの受付職員という天職を見つける。 書類仕事と定時退勤。前世と変わらぬ平穏な日々が続くはずだった。 だが、彼のスキルはとんでもない隠れた効果を持っていた。 高難易度依頼の書類に『却下』の判を押せば依頼自体が消滅し、新米冒険者のパーティ登録を『受理』すれば一時的に能力が向上する。 本人は事務処理をしているだけのつもりが、いつしか「彼の受付を通った者は必ず成功する」「彼に睨まれたモンスターは消滅する」という噂が広まっていく。 その結果、静かだった辺境ギルドには腕利きの冒険者が集い始め、恭平の定時退勤は日々脅かされていくのだった。

社畜だった俺、最弱のダンジョンマスターに転生したので、冒険者を癒やす喫茶店ダンジョンを経営します

☆ほしい
ファンタジー
過労死した俺が目を覚ますと、そこは異世界のダンジョンコアの前だった。 どうやら俺は、ダンジョンマスターとして転生したらしい。 だが、与えられた俺のダンジョンは最低ランクのF級。魔力を生み出す力は弱く、生み出せる魔物もスライムやゴブリンといった最弱クラスばかり。これでは、冒険者を呼び込んで魔力を得るなんて夢のまた夢だ。 絶望する俺だったが、ダンジョンの創造機能を使えば、内装を自由にデザインできることに気づく。 「……そうだ、喫茶店を開こう」 前世で叶えられなかった夢。俺は戦闘を放棄し、ダンジョンの入り口に木造の喫茶店『やすらぎの隠れ家』を作り上げた。メニューは、前世の知識を活かしたコーヒーと手作りケーキだけ。 ところが、そのコーヒーには異常なまでの疲労回復効果が、ケーキには一時的な能力向上効果が付与されていることが判明。噂を聞きつけた訳ありの冒険者たちが、俺のダンジョンに癒やしを求めて集い始めるのだった。

過労死した家具職人、異世界で快適な寝具を作ったら辺境の村が要塞になりました ~もう働きたくないので、面倒ごとは自動迎撃ベッドにお任せします

☆ほしい
ファンタジー
ブラック工房で働き詰め、最後は作りかけの椅子の上で息絶えた家具職人の木崎巧(キザキ・タクミ)。 目覚めると、そこは木材資源だけは豊富な異世界の貧しい開拓村だった。 タクミとして新たな生を得た彼は、もう二度とあんな働き方はしないと固く誓う。 最優先事項は、自分のための快適な寝具の確保。 前世の知識とこの世界の素材(魔石や魔物の皮)を組み合わせ、最高のベッド作りを開始する。 しかし、完成したのは侵入者を感知して自動で拘束する、とんでもない性能を持つ魔法のベッドだった。 そのベッドが村をゴブリンの襲撃から守ったことで、彼の作る家具は「快適防衛家具」として注目を集め始める。 本人はあくまで安眠第一でスローライフを望むだけなのに、貴族や商人から面倒な依頼が舞い込み始め、村はいつの間にか彼の家具によって難攻不落の要塞へと姿を変えていく。

勇者召喚に巻き込まれた俺は『荷物持ち』スキルしか貰えなかった。旅商人として自由に生きたいのに、伝説の運び屋と間違われています

☆ほしい
ファンタジー
ある日突然、クラスメイトたちと一緒に異世界へ召喚された俺、高橋昇(タカハシノボル)。クラスメイトが次々と強力な戦闘スキルを授かる中、俺が貰えたのは【荷物持ち】という地味すぎるスキルだった。 「勇者様の荷物を運ぶだけの存在など不要だ」 そう言って、王様は俺にわずかな金貨を握らせて城から追放した。途方に暮れたが、この【荷物持ち】スキル、実はアイテムを無限に収納できるだけでなく、その気になれば巨大な岩や建物すらも収納できる規格外の空間操作能力だと判明する。 これなら商人として自由に生きていけると、俺は各地を旅しながら行商を始めることにした。しかし、山賊に襲われた村に救援物資を瞬時に届けたり、輸送困難な貴重品を運んだりするうちに、俺の存在は裏社会で噂になっていく。本人はのんびり旅をしたいだけなのに、いつしか「どんな不可能も可能にする伝説の運び屋」と呼ばれるようになっていた。

社畜生活に疲れた俺が転生先で拾ったのは喋る古代ゴーレムだった。のんびり修理屋を開店したら、なぜか伝説の職人だと勘違いされている件

☆ほしい
ファンタジー
過労の末に命を落とした俺、相田巧(アイダタクミ)が目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界だった。神様から授かったスキルは「分解」と「再構築」という、戦闘には向かない地味なもの。 もうあくせく働くのはごめんだと、静かな生活を求めて森を彷徨っていると、一体の小さなゴーレムを発見する。古代文明の遺物らしいそのゴーレムは、俺のスキルで修理すると「マスター」と喋りだした。 俺はタマと名付けたゴーレムと一緒に、街で小さな修理屋を開業する。壊れた農具から始まり、動かなくなった魔道具まで、スキルを駆使して直していく日々。ただのんびり暮らしたいだけなのに、俺の仕事が完璧すぎるせいで、いつの間にか「どんなものでも蘇らせる伝説の職人」だと噂が広まってしまい……。

追放された俺の木工スキルが実は最強だった件 ~森で拾ったエルフ姉妹のために、今日も快適な家具を作ります~

☆ほしい
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺は、異世界の伯爵家の三男・ルークとして生を受けた。 しかし、五歳で授かったスキルは「創造(木工)」。戦闘にも魔法にも役立たない外れスキルだと蔑まれ、俺はあっさりと家を追い出されてしまう。 前世でDIYが趣味だった俺にとっては、むしろ願ってもない展開だ。 貴族のしがらみから解放され、自由な職人ライフを送ろうと決意した矢先、大森林の中で衰弱しきった幼いエルフの姉妹を発見し、保護することに。 言葉もおぼつかない二人、リリアとルナのために、俺はスキルを駆使して一夜で快適なログハウスを建て、温かいベッドと楽しいおもちゃを作り与える。 これは、不遇スキルとされた木工技術で最強の職人になった俺が、可愛すぎる義理の娘たちとのんびり暮らす、ほのぼの異世界ライフ。

パワハラで会社を辞めた俺、スキル【万能造船】で自由な船旅に出る~現代知識とチート船で水上交易してたら、いつの間にか国家予算レベルの大金を稼い

☆ほしい
ファンタジー
過労とパワハラで心身ともに限界だった俺、佐伯湊(さえきみなと)は、ある日異世界に転移してしまった。神様から与えられたのは【万能造船】というユニークスキル。それは、設計図さえあれば、どんな船でも素材を消費して作り出せるという能力だった。 「もう誰にも縛られない、自由な生活を送るんだ」 そう決意した俺は、手始めに小さな川舟を作り、水上での生活をスタートさせる。前世の知識を活かして、この世界にはない調味料や保存食、便利な日用品を自作して港町で売ってみると、これがまさかの大当たり。 スキルで船をどんどん豪華客船並みに拡張し、快適な船上生活を送りながら、行く先々の港町で特産品を仕入れては別の町で売る。そんな気ままな水上交易を続けているうちに、俺の資産はいつの間にか小国の国家予算を軽く超えていた。 これは、社畜だった俺が、チートな船でのんびりスローライフを送りながら、世界一の商人になるまでの物語。

外れスキル【畑耕し】で辺境追放された俺、チート能力だったと判明し、スローライフを送っていたら、いつの間にか最強国家の食糧事情を掌握していた件

☆ほしい
ファンタジー
勇者パーティーで「役立たず」と蔑まれ、役立たずスキル【畑耕し】と共に辺境の地へ追放された農夫のアルス。 しかし、そのスキルは一度種をまけば無限に作物が収穫でき、しかも極上の品質になるという規格外のチート能力だった! 辺境でひっそりと自給自足のスローライフを始めたアルスだったが、彼の作る作物はあまりにも美味しく、栄養価も高いため、あっという間に噂が広まってしまう。 飢饉に苦しむ隣国、貴重な薬草を求める冒険者、そしてアルスを追放した勇者パーティーまでもが、彼の元を訪れるように。 「もう誰にも迷惑はかけない」と静かに暮らしたいアルスだったが、彼の作る作物は国家間のバランスをも揺るがし始め、いつしか世界情勢の中心に…!? 元・役立たず農夫の、無自覚な成り上がり譚、開幕!

処理中です...