サハギンに転生した俺、最弱から進化して海の覇王になりました

☆ほしい

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第40話

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俺はアビスシェルロードのむき出しになった肉に牙を突き立てた。
柔らかい。
今までの硬質な殻とは違い、深海の獣にしては脆すぎるほどだった。

「ぐっ……やめろ……!」

(誰が止まるか)

抵抗の声も無視して、俺はさらに牙を深く食い込ませた。
一噛みごとに肉が裂け、骨が砕け、熱い血が溢れ出す。

「馬鹿な……! 我が、この海域最強の我が……!」

(最強? なら喰われて当然だ)

俺は口を開き、咥えたまま首を振った。
肉が裂け、アビスシェルロードの身体が痙攣する。

「まだ……終わらぬ……!」

(終わるんだよ)

動きが鈍った巨体の心臓を狙って一気に牙を突き立てた。

ズバッ、と血が噴き出す。

「ぐ、あ、あああ……!」

アビスシェルロードが苦しげに泡を吐いた。

もう勝負はついている。
だが、俺は追撃の手を緩めない。

水圧噴射で身体を押し上げ、さらに上から牙を叩き込んだ。

「まだ……我が……!」

(しぶといな)

そんな断末魔を上げる暇すら与えない。
俺は牙を抜いてから再び突き刺し、心臓を粉砕した。

グシャリと嫌な音が響き、巨体がびくりと跳ねた。

そして、動かなくなる。

感知スキルが告げた。

──敵意、完全消失。

(終わった)

ウィンドウが開いた。

【経験値を超大量に獲得しました】
【レベルが35に上昇しました】
【新スキル:深海圧耐性(初級)を習得しました】
【進化条件を一部達成しました】

新たな力。
さらに俺を高めるための糧だ。

だが、今はそれよりも──

俺は無造作にアビスシェルロードの死体に喰らいついた。

骨を砕き、肉を食らい、血をすすり、すべてを我がものとする。

「こんな化け物が……この海に……」

「もう誰も……奴を止められない……」

遠巻きに見ていた小型のモンスターたちが、呆然とした声を漏らしていた。

(当然だろうが)

喰らいながら、俺は考える。

この海は広い。
俺が知らない領域も、まだ無数にあるだろう。

だが、それもすべて──

(いずれ俺のものになる)

力が、溢れていく。

【筋力が大幅に上昇しました】
【敏捷が大幅に上昇しました】
【耐久が大幅に上昇しました】

今の俺なら、深海の圧力すら物ともしない。

深海圧耐性スキルの効果も加わり、身体がさらに強化されていく。

俺は喰らい尽くしたアビスシェルロードの残骸を蹴飛ばし、周囲を見渡した。

敵意はない。
恐怖と絶望、そして諦めだけが広がっている。

「……海の……覇者だ……」

「オーシャンロード……いや……それすら超える存在……!」

「神……いや……悪魔だ……!」

(いいぞ)

こうして恐れられるのは、悪くない。

俺は再び水流支配を展開し、深海の奥へと進み始めた。
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