サハギンに転生した俺、最弱から進化して海の覇王になりました

第72話

選択肢は三つ。
深海魔皇、古代海王、滅海覇神。

（……決まっている）

俺は迷わず選んだ。

【③滅海覇神（ネプチューンドレッド）を選択しますか？】
【はい／いいえ】

「はい」を選択した瞬間、全身に激痛が走った。
骨が軋み、筋肉が爆発し、鱗が剥がれ落ち、新たな皮膚が生成される。

フィンが叫ぶ。

（王！？　何が……！？）

（進化だ。邪魔するな）

進化の光が周囲を呑み込み、海水すら押し返していく。

システムが告げた。

――【進化完了】
――【種族が「滅海覇神（ネプチューンドレッド）」に変化しました】
――【新スキル「深淵轟覇」「海哭の咆哮」「滅海領域」獲得】

俺は生まれ変わった。

フィンが興奮を押し殺しながら確認してくる。

（王、進化……成功ですね！？）

（ああ）

フィンがすぐに報告を続けた。

（新たなスキルの確認を！）

（言え）

（「深淵轟覇」──敵集団への広範囲重撃スキル！　「海哭の咆哮」──敵軍士気低下＋感知妨害！　「滅海領域」──自身周囲の敵全体に継続ダメージと支配力低下効果！）

（完璧だ）

全てが、次なる侵攻に最適化されている。

フィンがさらに続けた。

（王、新しい能力値の確認を！）

ステータスウィンドウが開いた。

【ステータス】
種族：滅海覇神（ネプチューンドレッド）
レベル：100
HP：2500／2500
MP：450／450
筋力：620
敏捷：680
耐久：630
知力：150

フィンが目を見開いた。

（……規格外です）

（当然だ）

俺は拳を握り、周囲の水を震わせた。

（次にやることはわかってるな）

フィンが即答する。

（はい、王。外洋制圧の次、いよいよ陸地への侵攻準備ですね）

（陸も、全て支配する）

（了解ッ！）

すぐに命令を飛ばす。

（全軍、陸上侵攻部隊への再編成に取り掛かれ！）

「了解ッ！」

「遊撃隊、地上適応訓練開始！」

「突撃隊、浮上強襲演習へ！」

「防衛隊、上陸防衛戦術を叩き込め！」

拠点内に指示が飛び交い、兵たちが一斉に動き出す。

フィンが報告に来た。

（王、陸地侵攻作戦立案班、編成完了しました）

（すぐに作戦案を提出しろ）

（了解ッ！）

俺はさらに指示を重ねた。

（新装備の開発も加速しろ。地上戦用の装備を至急設計しろ）

（了解！）

鍛冶班が再びフル稼働を始める。

（水上浮上装置、軽量化骨槍、跳躍強化装備、開発開始ッ！）

進化した俺と、進化した軍勢。
次なる侵攻の準備は、着実に進んでいった。