サハギンに転生した俺、最弱から進化して海の覇王になりました

第71話

外洋制圧を完了した俺たちは、次に練兵へと移行した。

フィンが隣で手早く報告する。

（王、各部隊の再編成完了です！　突撃隊、遊撃隊、防衛隊、それぞれ訓練プランも整いました）

（即座に実施しろ）

（了解ッ！）

指揮官たちが号令を飛ばす。

「突撃隊、白兵戦特訓開始！」

「遊撃隊、索敵・撹乱訓練に入れ！」

「防衛隊、壁戦術と防衛配置を徹底だ！」

海底に訓練の掛け声が響く。

突撃隊は高速遊泳からの突撃、骨槍による強襲、隊列を乱さず連携している。
遊撃隊は哨戒と奇襲を繰り返し、防衛隊は防壁の構築と篭城戦術を鍛え上げる。

フィンが小声で言った。

（王、このままいけば、一ヶ月後には各部隊の練度は倍以上になります）

（遅い。三週間で仕上げろ）

（了解ッ！）

同時に、武器と装備の改良にも着手した。

鍛冶班のクラブ型モンスターたちが鋏を鳴らしながら報告する。

「王よ、新型武器完成間近！」

「瘴気結晶と超硬甲殻を融合させた、新型骨槍だ！」

「超再生金属を使った防具も試作成功してる！」

フィンが確認する。

（王、どの装備から量産しますか？）

（まず突撃隊用の骨槍。それから遊撃隊の軽装、防衛隊用の超硬盾）

（了解ッ！）

工房が火を噴き、次々と新装備が生産されていく。

練兵と装備改良が進む中、俺自身にも変化が訪れていた。

ある瞬間、全身を駆け抜ける異様な感覚。

力が湧き上がり、筋肉が膨張し、骨が鳴った。

フィンが驚いた顔を向けた。

（王、これは……）

直後、システムウィンドウが出現した。

――【レベルアップ】
――【レベル上限突破】
――【レベル100到達】

さらに続いて、詳細が表示される。

【ステータス】
種族：アビサルオーバーロード
レベル：100
HP：1500／1500
MP：300／300
筋力：450
敏捷：520
耐久：480
知力：100

（……跳ね上がったな）

筋力も敏捷も、耐久も、圧倒的な次元に達していた。

そして、もう一つ。

新たなスキルが表示された。

――【支配領域（超級）】
（支配下に置いた配下の数、領土の規模に応じて自身の全能力が強化される）

フィンが目を見開いた。

（王……新しい力を……）

（当然だ。これが支配者の力だ）

その瞬間、新たなウィンドウが浮かび上がった。

――【進化条件達成】
――【進化選択肢提示】

システムのアナウンスが冷たく告げる。

【進化選択肢】
①深海魔皇（アビスロード）：海域支配特化、絶対領域展開
②古代海王（オールドマリナ）：耐久力と再生特化、絶対不滅体
③滅海覇神（ネプチューンドレッド）：破壊力と制圧特化、戦闘系スキル大幅強化

選択を迫るウィンドウが、目の前に浮かんでいた。