追放令嬢、魔導と科学で文明開花いたしますわ〜辺境から始める世界再設計〜

☆ほしい

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第59話

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 わたくしは即座に作戦室へ戻りましたの。未来都市群《アウローラ》全域の戦略図が展開され、リゼが慌ただしく情報を整理しておりましたの。

 「敵の侵攻パターン、概略が出ました!」

 「報告なさい」

 「はい! クロノス機関、六拠点からの同時侵攻を開始、各拠点には新型量子融合兵器と思しき装備を配備……!」

 「ふふ、数で押す戦術など、わたくしには通用いたしませんわ」

 わたくしは即座に端末を操作し、迎撃オプションを叩き出しましたの。

 「迎撃モード《オメガ・セプター》起動。全次元対応型迎撃衛星群を、臨戦態勢に移行」

 「衛星、全基連結成功です!」

 「各拠点には、局地防衛モジュールを設置してありますわね?」

 「はい、すでに待機済みです!」

 わたくしはくすりと笑いましたの。

 「ならば、各地の指揮権をエリート戦術士官に委譲。わたくしは中央から一括指揮を執りますわ」

 リゼが即答しましたの。

 「了解です!」

 それにしても、クロノス機関、あのセラフィムを失ってもなお、これだけの即応能力を見せるとは。侮れませんわ。

 「リゼ、各拠点の優先防衛順位を設定なさい。被害予測を元に、資源都市区画を最優先ですわ」

 「了解! 優先リスト作成します!」

 端末に次々と戦術情報が流れ込み、わたくしはそのすべてを一瞬で把握しましたの。精度、速度、臨機応変さ、どれを取っても、わたくしの指揮能力は最高峰ですわ。

 「敵侵攻隊、あと二分で第一接触予想!」

 「よろしいですわ。各局地司令官に通達。迎撃を許可しますわ」

 リゼが頷き、各指揮官に命令を伝達しましたの。

 都市周辺に設置した超高出力魔導砲台が、次々と起動音を轟かせましたの。わたくしの設計した《イグニッション・バスターレイ》ですわ。

 「来なさい。貴様たちの力、わたくしがすべて粉砕して差し上げますわ」

 第一波接触。

 瞬間、各地で魔力の奔流が迸りましたの。新型量子融合兵器とやらが、こちらの迎撃陣に突っ込んできましたけれど――。

 「無駄ですわ!」

 超高密度魔導障壁に衝突し、敵兵器は軒並み爆散しましたの。ああ、実に爽快。

 リゼが興奮気味に叫びましたの。

 「第一波撃退成功! 敵損耗率、七十二パーセント!」

 「当然の結果ですわ」

 だが、これで終わるとは思っておりませんでしたの。わたくしはすぐさま次の手を打ちましたの。

 「リゼ、第二波に備え、可変魔導障壁モードへ移行なさい!」

 「了解!」

 同時に、わたくしは新たなギミックを発動しましたの。未来記念塔から伸びる魔導送電線を介し、都市全体にエネルギーブーストを施しましたの。

 「敵の波状攻撃など、わたくしの未来設計図には織り込み済みですわ」

 リゼが一瞬、苦笑交じりに呟きましたの。

 「……本当に、想定外がないんですね、お嬢様は」

 「当然ですわ。未来を創る者は、常に数手先を見据えていなければなりませんもの」

 それにしても、敵の動きが妙ですわ。あれほどの損害を出してなお、戦術を切り替えず突撃してくるなど、常識的ではありませんの。

 「……リゼ、バックドアの検査を。内部からの攪乱がないか調べなさい」

 「はっ!」

 わたくしは思考を巡らせながら、第二波に備えて指揮を強化しましたの。クロノス機関、貴様たち、何を企んでおりますの?
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