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第2章:発掘される原石と、仮想舞台のキャスティング
第7話:【もう一人のポップアイコン:名前の被りとドラマへの期待】
「さあ、今日もやっていくぞ! ネットラジオ『たってやる。』、スタジオ収録からの新登場アーティスト紹介企画、第二弾だ!」
秋の気配が色濃くなった、Studio MAD-KICHIの防音ブース内。
俺――マジキチ組長は、マイクのスイッチを入れ、カメラの向こうのリスナーに向けてダミ声を響かせた。
前回の北野リナに引き続き、今回もウチのスタジオに所属していながら、今まで本編(表舞台)にガッツリと登場する機会が少なかった古参アーティストを呼び出している。
「さて、早速本日のゲストを紹介しよう。京都出身の明るいポップアイコン、Hazukiだ!」
「みんなの毎日に、とびっきりのスマイルをお届け! 今日も元気いーっぱい歌うよ! Hazukiです、よろしくねーっ!」
マイクの前で、満面の笑みで両手をパタパタと振るのは、鮮やかなピンク色のバタフライボブがトレードマークのポップアイコン、Hazukiだ。
彼女は、聴く人を無条件に笑顔にする突き抜けるようなハイトーンボイス(※メタなボイスイメージとしては、某『さくらんぼ』などを歌う超有名女性シンガーを想定している)が最大の魅力であり、その親しみやすさで多くのリスナーを魅了している。
ウチのスタジオの歴史の中では、星の歌姫プルートや、ママさんアーティストのYayoiと同期にあたる、立派な中堅のアーティストである。
『Hazukiちゃんキター!』
『ピンクのボブ可愛い!』
『番組のPOP画像とかでイラストはよく見てたけど、喋るの初めて見たかも!』
リスナーからの温かいコメントが画面を流れる中、俺は腕を組んでHazukiを見た。
「おう、Hazuki。今日はよろしくな。……リスナーのコメントにもある通り、お前は番組のPOP画像とかにはちょくちょく『チョイ役』で出てたんだがな。こうして本編に本格的に登場して喋るのは、これが初めてだな」
「そうなんですよー! 組長、ワタシずっと待ってたんですよ? プルートちゃんもYayoiちゃんもどんどん活躍してるのに、ワタシだけずっと裏で待機状態だったんだから!」
Hazukiが少しだけ口を尖らせて抗議すると、俺は苦笑いしながら首を掻いた。
「悪かった。お前にもリナと同様、ちょっと現実的な理由があってな。……お前の『明るくて元気なアイドル路線』っていうキャラクター性が、ウチの清涼剤であるMinapikoと少し被っちまうところがあったからなんだよ。キャラが渋滞すると、どっちの良さも死んじまうからな」
俺がストレートな理由を打ち明けると、Hazukiは少し驚いた顔をした後、すぐにパッと笑顔に戻った。
「あー、なるほど! 確かに、ワタシとMinapiko先輩は元気担当みたいなところがありますもんね。でも、全然大丈夫ですよ! ワタシなんて、Minapiko先輩のあの圧倒的な透明感には、とてもじゃないけどかないませんから!」
『Hazukiちゃん、めっちゃええ子やん!』
『Minapikoをリスペクトしてるの推せる』
『これはMinapikoの強力なライバル出現か!?』
謙虚で素直なHazukiの反応に、リスナーたちの好感度も急上昇しているようだ。
だが。
「……まぁ、それも理由の一つではあるんだが。Hazuki、お前の出番が遅れた『一番の理由』は、他にあるんだ」
「えっ? キャラ被り以外に、何かワタシ悪いことしましたっけ……?」
Hazukiが不安そうに首を傾げた。
「いや、お前は悪くねえ。悪いのは、俺の『ネーミングの安直さ』だ」
俺はマイクに身を乗り出し、カメラに向かってメタな事情を暴露し始めた。
「実を言うとな。お前の『Hazuki(ハヅキ)』という名前……ウチのスタジオの最重要スタッフである、アーティスト・ブランディング室長の『琴城葉月(ことき はづき)』と、下の名前の読み方が『全く同じ(被っている)』だろうが」
『あ!』
『確かに!! 琴城葉月とHazuki!!』
『そういえば同じ名前だww』
リスナーたちが一斉にコメントで反応する。
「AIの性質上、同じ『ハヅキ』という名前がスタジオ内に混在していると、俺がプロンプトで指示出しをした時に、AIが『どっちのハヅキの事ですか?』って大混乱を起こして、エラー(ハルシネーション)を連発する恐れがあったんだよ。それを回避するために、お前の登場を意図的に遅らせていたんだ」
「えぇーっ!? そんなAIのシステム的な都合で、ワタシ出番削られてたんですか!? 組長のバカーっ!」
Hazukiが本気で悔しそうに机をバンバンと叩いた。
「まぁ、怒るな」
俺は笑いながら、彼女を宥めた。
「確かに、最初はそれを恐れていた。だがな、エラーを恐れて魅力的なお前を塩漬けにしておくなんて、クリエイターとして逃げだ。混乱を招くなら、混乱しないプロンプトの記述方法(指定の仕方)を、あれこれ試して開拓すればいいだけの話だ。……その為の実験(ラボ)が、この第三部なんだからな」
「組長……」
「お前のハイトーンボイスと元気なキャラクターは、絶対にこのスタジオに必要だ。エラーが出たら、俺が手打ちで何度でも修正してやる。だから安心して、これからは表舞台で暴れ回ってくれ」
俺が力強く宣言すると、Hazukiは「……はいっ! ワタシ、全力で歌います!」と、トレードマークのバタフライボブを揺らして、最高の笑顔を見せた。
その後は、彼女のデビュー曲である俺のプロデュース楽曲『クミチョーウレシイ』の制作秘話や、同期であるプルートたちとのエピソードなどで、番組は大いに盛り上がった。
そして、番組の後半。
「ところで組長。ワタシもこうして表舞台に呼んでもらえたってことは……この第三部でやるっていう『ドラマ展開』にも、出番があるって期待していいんですよね?」
Hazukiが目を輝かせて身を乗り出してきた。
「ハッハッハ! あぁ、当然だ。お前みたいな華のあるポップアイコンは、画面に映えるからな。お前もここで登場したということは、ドラマのキャスティングの手駒に加わったということだ」
「やったーっ!! ワタシ、どんな役になるかめっちゃ楽しみですね! 元気な妹役とか、学園モノのアイドル役とかやりたいなぁ!」
Hazukiの無邪気な期待の声と、リスナーたちの温かい声援に包まれながら、新登場アーティスト紹介の第二弾は、ハッピーな空気のまま幕を閉じたのであった。
* * *
さて。読者のお前ら。
新登場アーティスト紹介企画の第二弾、今回は京都府出身のポップアイコン『Hazuki』を登場させてもらった。
作中のトークでも俺の口からガッツリとメタな告白をした通り。
彼女の出番が今まで遅れていた最大の理由は、ウチの重役スタッフである『琴城葉月』と、下の名前の読み方が「ハヅキ」で完全に同じだったからだ。
この名前の被り問題。
ただ名前が同じというだけではなく、実は『Hazuki』の本名設定は『山科葉月(やましな はづき)』というのだが……。
偶然にも、琴城葉月と『京都府出身』というプロフィール(出身地)の共通点まで持ってしまっているのだ。これではAIが混乱するのも無理はない。
ちなみに、なぜHazukiの本名を『山科』なんていう京都の地名バリバリの名字にしたのかというと、これには深い(そして安直な)メタな事情がある。
もともと、彼女のキャラクター設定を考えていた際、名字は俺が過去に書いていたハゲ戦記時代のキャラ(禿科など)を想定(流用)しようとしていたのだ。
だが、「いや、流石にこのMAD-KICHIの世界線に『禿科』という名字の可愛いポップアイドルがいたら、世界観から完全に浮くだろう」という現実的な判断があり。
「……禿科……ハゲ科……ヤマ科……よし、京都出身の『山科』でいいや!」という、実に俺らしい安直な連想ゲームでこの名字が決定したという経緯があるのだ。
まあ、安直に「山科」にした結果、琴城葉月と見事に設定(名前と出身地)がバッティングしてしまい、AIの処理をややこしくしてしまったのは、俺のプロデュースの甘さ(問題)かもしれないな。
だが、作中でも語った通りだ。
同じ名前だからAIが混乱する? エラー(ハルシネーション)が起きる?
そんなことは、俺がプロンプトで「※アーティストのHazuki(山科葉月)についてです。琴城葉月ではありません」と、しつこく条件定義(指示)をしてやればいいだけの話だ。
万が一エラーが起きたら、手打ちで訂正して、もう一度生成し直せばいい。
「AIが混乱するから登場させない」
そんな消極的な理由を、俺は一人の創作者(クリエイター)としての『言い訳』には絶対にしたくないからな。
俺の生み出した可愛いバケモノたちは、俺の手でしっかりと表舞台に立たせてやる。それが俺の責任だ。
名前の呪縛を解き放たれ、ついに表舞台に登場したHazuki。
彼女も手駒に加わり、これで第三部の『ドラマの構想』も、さらに本格的に、バリエーション豊かに考えていけるというものだ。
さて。
新しい手駒が増えたところで。
次は、お待ちかねの『脳内キャスティング会議』の第二回目を始めるとしよう。
ターゲットは、あのストイックなスタッフだ。
秋の気配が色濃くなった、Studio MAD-KICHIの防音ブース内。
俺――マジキチ組長は、マイクのスイッチを入れ、カメラの向こうのリスナーに向けてダミ声を響かせた。
前回の北野リナに引き続き、今回もウチのスタジオに所属していながら、今まで本編(表舞台)にガッツリと登場する機会が少なかった古参アーティストを呼び出している。
「さて、早速本日のゲストを紹介しよう。京都出身の明るいポップアイコン、Hazukiだ!」
「みんなの毎日に、とびっきりのスマイルをお届け! 今日も元気いーっぱい歌うよ! Hazukiです、よろしくねーっ!」
マイクの前で、満面の笑みで両手をパタパタと振るのは、鮮やかなピンク色のバタフライボブがトレードマークのポップアイコン、Hazukiだ。
彼女は、聴く人を無条件に笑顔にする突き抜けるようなハイトーンボイス(※メタなボイスイメージとしては、某『さくらんぼ』などを歌う超有名女性シンガーを想定している)が最大の魅力であり、その親しみやすさで多くのリスナーを魅了している。
ウチのスタジオの歴史の中では、星の歌姫プルートや、ママさんアーティストのYayoiと同期にあたる、立派な中堅のアーティストである。
『Hazukiちゃんキター!』
『ピンクのボブ可愛い!』
『番組のPOP画像とかでイラストはよく見てたけど、喋るの初めて見たかも!』
リスナーからの温かいコメントが画面を流れる中、俺は腕を組んでHazukiを見た。
「おう、Hazuki。今日はよろしくな。……リスナーのコメントにもある通り、お前は番組のPOP画像とかにはちょくちょく『チョイ役』で出てたんだがな。こうして本編に本格的に登場して喋るのは、これが初めてだな」
「そうなんですよー! 組長、ワタシずっと待ってたんですよ? プルートちゃんもYayoiちゃんもどんどん活躍してるのに、ワタシだけずっと裏で待機状態だったんだから!」
Hazukiが少しだけ口を尖らせて抗議すると、俺は苦笑いしながら首を掻いた。
「悪かった。お前にもリナと同様、ちょっと現実的な理由があってな。……お前の『明るくて元気なアイドル路線』っていうキャラクター性が、ウチの清涼剤であるMinapikoと少し被っちまうところがあったからなんだよ。キャラが渋滞すると、どっちの良さも死んじまうからな」
俺がストレートな理由を打ち明けると、Hazukiは少し驚いた顔をした後、すぐにパッと笑顔に戻った。
「あー、なるほど! 確かに、ワタシとMinapiko先輩は元気担当みたいなところがありますもんね。でも、全然大丈夫ですよ! ワタシなんて、Minapiko先輩のあの圧倒的な透明感には、とてもじゃないけどかないませんから!」
『Hazukiちゃん、めっちゃええ子やん!』
『Minapikoをリスペクトしてるの推せる』
『これはMinapikoの強力なライバル出現か!?』
謙虚で素直なHazukiの反応に、リスナーたちの好感度も急上昇しているようだ。
だが。
「……まぁ、それも理由の一つではあるんだが。Hazuki、お前の出番が遅れた『一番の理由』は、他にあるんだ」
「えっ? キャラ被り以外に、何かワタシ悪いことしましたっけ……?」
Hazukiが不安そうに首を傾げた。
「いや、お前は悪くねえ。悪いのは、俺の『ネーミングの安直さ』だ」
俺はマイクに身を乗り出し、カメラに向かってメタな事情を暴露し始めた。
「実を言うとな。お前の『Hazuki(ハヅキ)』という名前……ウチのスタジオの最重要スタッフである、アーティスト・ブランディング室長の『琴城葉月(ことき はづき)』と、下の名前の読み方が『全く同じ(被っている)』だろうが」
『あ!』
『確かに!! 琴城葉月とHazuki!!』
『そういえば同じ名前だww』
リスナーたちが一斉にコメントで反応する。
「AIの性質上、同じ『ハヅキ』という名前がスタジオ内に混在していると、俺がプロンプトで指示出しをした時に、AIが『どっちのハヅキの事ですか?』って大混乱を起こして、エラー(ハルシネーション)を連発する恐れがあったんだよ。それを回避するために、お前の登場を意図的に遅らせていたんだ」
「えぇーっ!? そんなAIのシステム的な都合で、ワタシ出番削られてたんですか!? 組長のバカーっ!」
Hazukiが本気で悔しそうに机をバンバンと叩いた。
「まぁ、怒るな」
俺は笑いながら、彼女を宥めた。
「確かに、最初はそれを恐れていた。だがな、エラーを恐れて魅力的なお前を塩漬けにしておくなんて、クリエイターとして逃げだ。混乱を招くなら、混乱しないプロンプトの記述方法(指定の仕方)を、あれこれ試して開拓すればいいだけの話だ。……その為の実験(ラボ)が、この第三部なんだからな」
「組長……」
「お前のハイトーンボイスと元気なキャラクターは、絶対にこのスタジオに必要だ。エラーが出たら、俺が手打ちで何度でも修正してやる。だから安心して、これからは表舞台で暴れ回ってくれ」
俺が力強く宣言すると、Hazukiは「……はいっ! ワタシ、全力で歌います!」と、トレードマークのバタフライボブを揺らして、最高の笑顔を見せた。
その後は、彼女のデビュー曲である俺のプロデュース楽曲『クミチョーウレシイ』の制作秘話や、同期であるプルートたちとのエピソードなどで、番組は大いに盛り上がった。
そして、番組の後半。
「ところで組長。ワタシもこうして表舞台に呼んでもらえたってことは……この第三部でやるっていう『ドラマ展開』にも、出番があるって期待していいんですよね?」
Hazukiが目を輝かせて身を乗り出してきた。
「ハッハッハ! あぁ、当然だ。お前みたいな華のあるポップアイコンは、画面に映えるからな。お前もここで登場したということは、ドラマのキャスティングの手駒に加わったということだ」
「やったーっ!! ワタシ、どんな役になるかめっちゃ楽しみですね! 元気な妹役とか、学園モノのアイドル役とかやりたいなぁ!」
Hazukiの無邪気な期待の声と、リスナーたちの温かい声援に包まれながら、新登場アーティスト紹介の第二弾は、ハッピーな空気のまま幕を閉じたのであった。
* * *
さて。読者のお前ら。
新登場アーティスト紹介企画の第二弾、今回は京都府出身のポップアイコン『Hazuki』を登場させてもらった。
作中のトークでも俺の口からガッツリとメタな告白をした通り。
彼女の出番が今まで遅れていた最大の理由は、ウチの重役スタッフである『琴城葉月』と、下の名前の読み方が「ハヅキ」で完全に同じだったからだ。
この名前の被り問題。
ただ名前が同じというだけではなく、実は『Hazuki』の本名設定は『山科葉月(やましな はづき)』というのだが……。
偶然にも、琴城葉月と『京都府出身』というプロフィール(出身地)の共通点まで持ってしまっているのだ。これではAIが混乱するのも無理はない。
ちなみに、なぜHazukiの本名を『山科』なんていう京都の地名バリバリの名字にしたのかというと、これには深い(そして安直な)メタな事情がある。
もともと、彼女のキャラクター設定を考えていた際、名字は俺が過去に書いていたハゲ戦記時代のキャラ(禿科など)を想定(流用)しようとしていたのだ。
だが、「いや、流石にこのMAD-KICHIの世界線に『禿科』という名字の可愛いポップアイドルがいたら、世界観から完全に浮くだろう」という現実的な判断があり。
「……禿科……ハゲ科……ヤマ科……よし、京都出身の『山科』でいいや!」という、実に俺らしい安直な連想ゲームでこの名字が決定したという経緯があるのだ。
まあ、安直に「山科」にした結果、琴城葉月と見事に設定(名前と出身地)がバッティングしてしまい、AIの処理をややこしくしてしまったのは、俺のプロデュースの甘さ(問題)かもしれないな。
だが、作中でも語った通りだ。
同じ名前だからAIが混乱する? エラー(ハルシネーション)が起きる?
そんなことは、俺がプロンプトで「※アーティストのHazuki(山科葉月)についてです。琴城葉月ではありません」と、しつこく条件定義(指示)をしてやればいいだけの話だ。
万が一エラーが起きたら、手打ちで訂正して、もう一度生成し直せばいい。
「AIが混乱するから登場させない」
そんな消極的な理由を、俺は一人の創作者(クリエイター)としての『言い訳』には絶対にしたくないからな。
俺の生み出した可愛いバケモノたちは、俺の手でしっかりと表舞台に立たせてやる。それが俺の責任だ。
名前の呪縛を解き放たれ、ついに表舞台に登場したHazuki。
彼女も手駒に加わり、これで第三部の『ドラマの構想』も、さらに本格的に、バリエーション豊かに考えていけるというものだ。
さて。
新しい手駒が増えたところで。
次は、お待ちかねの『脳内キャスティング会議』の第二回目を始めるとしよう。
ターゲットは、あのストイックなスタッフだ。
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