BLゲームのモブに転生したので陰ながら暗躍せてもらおうと思う

及川証 (アカシ)

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学園編

悪魔に貰ったスキル「投擲」

 やっと授業が終わった。

 授業の後に目的があるとやたら長く感じる。

 俺は教科書をしまうと廊下に出た。

 ―――

「……何故ついてくるんですか」

「ついてきてはいけないのか?」

(はい、動きづらいことこの上ないです)

 なんて言う度胸はない。

 笑って誤魔化しつつ歩く俺。

(そういや確かルードは平民だったから裏庭に呼ばれてイジメにあってた……けど、いつだ??―――いや、無闇に探すよりはいいかもしれない)

「シュウマ。何を考えている」

「えっ、いやっ、次の授業なんだろなーと」

「お前は分かりやすい嘘をよくつくな」

 アラウディ様は笑う。

 何が面白いのか全く分からない。

「お前平民のくせに―――」

 遠くから学生の怒鳴り声が聞こえてきた。

(ジャストタイミング!)

 俺は足早に裏庭へと急いだ。

 ―――

 ルードは3人の男子生徒に囲まれ逃げる事が出来なくなっていた。

(チャーンス)

 隣には丁度良くアラウディ様もいる。

 ルードとアラウディ様ルートが今の俺にとって一番好ましいが、欲を言えば推しはアーク。 

 だけど俺の平穏のためにはアラウディ様とくっつかせたい。

「アラウディ様。少しここでお待ちを」

「このくだらない物を見てろと?」

「すぐに戻ってきますので」

 心底嫌そうに顔を顰めるアラウディ様を無視し俺はアラウディ様が見えない位置に立ちポケットから一粒の小石を取り出した。

「投擲!」

 俺は思いっきり壁に石をぶつける。

 石は壁を叩き、角度を変え、まるで意思を持つように跳ね返る。 

 寸分違わず3人の頭へと順番にクリティカルヒットした。

(よおしっ!流石スキル!)

 普通の「投擲」ならば対象を見ながら武器を投げなければならない。

 しかし悪魔の与えるスキルは一段グレードが高い。

 悪魔の与えた「投擲」はどんな場所にいても100パーセント対象に当たる。

「お前、私の頭を叩いたなっ?!」

「違いますっ私も頭を叩かれ―――」

「言い訳するなっ」

 先程までの仲良しこよしはどこへやら、3人は取っ組み合いの喧嘩を始めた。

「お前ら何やってるかっ!!」

 怒鳴りながら走ってきたのはビネガー先生。

 戦闘授業専門だからか随分と身体がいかつくまるで熊のようだ。

「せっ、先生……」

「これは、その―――」

「言い訳は職員室で聞く。来い」

 3人は首根っこを掴まれ引きずられていった。

(三流モブ丸出しだったな)

 視線だけで見送る。

「あっ、あのっ!」

 ルードはアラウディに近寄り頭を下げた。

(よっしゃ!)

 喜びでガッツポーズが出る。

 ルードとの伏線回収が無事成功した。

 少し離れているからか聞こえない。

(でもBL世界だからな。腐ラグは立ったぞ)

 俺は上機嫌でその場から離れた。

 ―――2人の視線が、確かに俺を追っていたとも知らずに。

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