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第1章.兄をオカズに致す妹【青山円香】
第2話.風速50センチメートル
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五月晴れの通学路を並んで歩く、さえない兄と華のある妹。
先月から2年ぶりに、同じ学校の制服を着て登校している。
今日の快晴よろしく、ご機嫌な様子の妹は、陽気な鼻歌交じりに少し歩調を速めると、ぴょんと路肩の縁石に跳び乗った。
昔から、小学生のときから変わらない、ある種彼女の癖のようなもの。
ある時は、影の上しか歩けない、だったり。
またある時は、石蹴りをしながら歩いてみたり。
誰しもが一度は経験したであろう、そんな登下校の遊びを、妹は高校1年生になった今も続けている。
そしてどうやら今日は、地面を歩けないというルールなのだろう。
平均台の上を軽やかに渡るその背中を、これまたいつものように押してやろうかと思ったが、歩みに合わせて揺れる目の前の丈の短いプリーツスカートの存在が、俺にそれを思い留まらせる。
「そんなとこ歩いてたら、パンツが見えちまうぞ」
ここは、男としてではなく、兄として忠告しておいた。
一応の責任は果たしたので、これで仮に見えてしまっても、それは断じて不可抗力である。
見えたのであって、覗いたのではない。
これは大変重要なポイントだ。主に裁判とかで。
「べつにいいよ~、カワイイの履いてるし」
可愛ければ見られてもいいというその発想は、兄としては少々複雑なものである。
もちろん、男としては大歓迎だが。
「お兄ちゃん、もしかして、妹のパンツ見たいのw?」
挑発するようにニマっと笑みを浮かべ、自らのスカートに手を掛ける妹。
「いいよ、見せてあげる♡ほれ、ちらり♡」
「お前の下着なんざ見えても嬉しくねーよ」
当然、嘘だ。
見えたら嬉しいに決まっているだろう。
見られても気にしないというのであれば、さっさと見せてくれ。
どうした、もっと大胆に捲らないと、この角度からじゃよく見えないぞ。
と、そのとき、俺の欲望が春の空に届いたのか、一陣の風が吹いた。
春一番には間に合わなかったが、この春1番のいいタイミングで吹きすさぶ神風。
お尻までの視界を遮るその”カーテン”が、ふわりと重力を振り切って浮き上がった。
そして姿を現したのは、オレンジ色のデルタ地帯。
魅惑のトライアングル。
ご本人の証言通り、フリル付きの可愛らしいパンツだった。
「うわっ、ちょっ、お兄ちゃん、今の見たっ!?」
「見てない、見てない、お兄ちゃんは何も見てないぞ」
兄は呼吸をするように、妹に嘘をつくことができる。
罪悪感など、とうに無い。
「なんで見てないの!もぅ~、ちゃんと見ててよね!」
え?なになに?どういうこと?この子痴女なの?
男に下着を見られて喜ぶ露出狂だったの?
「正直言うと、お前のオレンジのパンツは丸見えだったぞ」
「違う違う、私のじゃなくて、あの人のパンツだよ」
彼女が指差す人差し指の向こうには、俺たちと同じ学校の制服姿のおさげ女子が一人。
「あー、アレは、俺のクラスの委員長だぞ」
高校1年からこれまでの3年間、ずっと学級委員長を務めているいわゆる真面目系女子。
ちなみに、俺とは3年間同じクラスである。
才色兼備で人当たりが良く、我が校の男子の間では当然の様に大人気である。
そして、実はそれ以上に、同性からの人気が凄まじかったりもする。
要するに、非常にモテモテなのだ、その御方は。
「んで、その委員長のパンツが何だって?」
「なんとなんと、黒のTバックだったんだよ!」
なにぃ!?黒のTだと!!!
あの真面目系おさげ委員長が、黒のTバックを履いているとは···
くそっ!あろうことか、そんな好機を見逃してしまうとは···
くぅ~、見たかったな~!!!
「あぁぁ~なんかすっげー損した気分だな~もう今日はやる気でねーし、サボってこのまま帰ろっかなー」
「いや、急に萎えすぎでしょ」
「この世の生きとし生けるもの、その全てが憎い···」
「闇堕ちの動機が不純にも程があるよ」
「今後の俺の余生に、いったい何の価値があるというのだろうか···」
「黒Tバックに人生のウエイトを割き過ぎだよ」
「はぁ~、見たかったな~美少女JKのTバック···」
「も~、そんなしょぼくれないでよ···私のパンツでガマンしなさい!ほれ、チラリ♡」
スカートを自ら捲り、先ほどもお目にかかった、オレンジ色の可愛いショーツを見せてくれる円香。
その気遣いは大変ありがたいものではあったが、黒Tバックを見逃した機会損失の傷を癒すのには、少し物足りなくもあった。
「はぁ~、ありがとな円香···でもな、今の俺には、美少女JKのTバックが必要なんだよ。この世には、美少女のTバックからしか得られない栄養があってだな···」
「う~ん、これは重症だなぁ···仕方ない、妹として一肌脱いであげましょうかね!ほら、お兄ちゃん、ちょっとコッチ来て!」
円香に手を引かれ、ビルとビルの間の狭い裏路地へ足を踏み入れる。
円香のヤツ、いったい何のつもりだ?
そして、足を止めた彼女は、俺に背を向けたまま、お尻を突き出すように前屈みになり、制服のプリーツスカートをガバっと捲りあげた。
オレンジのフルバックの布地に包まれた、形の良い桃尻が露わとなる。
な、なんだ?
続けて彼女は、自らのそのショーツに右手をかけると、そのフルバックの布地を締め上げるようにお尻の割れ目に挟み込んだ。
そして、腰周りのゴムを掴み上方へグイッと引っ張り、更にギュッとそのショーツを尻の割れ目に食い込ませた。
「ほら、お兄ちゃん、”フルバックショーツ食い込ませTバック”だよ♡天然物のTじゃなくて養殖のTだけどさ、今日のところはコレでガマンして元気だしてよ♡」
ほれほれと言わんばかりに、突き出した尻を誘うように左右にフリフリと可愛らしく振る円香。
「···ありがとな、円香」
確かにお前の尻から感じるぜ、Tバックからしか得られない栄養と、兄に対する献身の真心を···
しばらくの間、円香の食い込みパンティーの”T”を堪能し、そのエネルギー供給を経て生きる気力を取り戻した俺は、学校へ向かうべく通学路へと復帰を果たした。
再び縁石にぴょんと飛び乗り、歩みを進める円香。
俺は、その揺れるプリーツスカートの向こう側では、パンツが依然としてお尻に食い込んだままであるという事実を知っている。
「エッチなことに寛容な妹がいて、良かったねお兄ちゃん♡」
「あぁ、まったくだ」
おかげ様で、毎日のオカズに困ることはない。
むしろ、竿が何本あっても足りないぐらいだ。
「あ、そういえば言い忘れてたけど、今日の放課後出かける予定があるから、帰りは遅くなるぞ」
「珍しいね、お兄ちゃんがお出かけなんて。お帰りは何時の予定?8時ぐらい?」
「いや、多分10時ぐらいかな」
「そんな遅い時間まで何を···もしかして、女とデートとか!」
ジロリと睨まれるが、当然そんな理由もなく···
「男とだよ」
「男とデート!?お兄ちゃん”ソッチ”もイけたんだ···」
「ちゃうわ!男友達数人で、カラオケに行くんだよ」
「男友達!?お兄ちゃん、友達いたんだ···」
「いるよ、そんな数は多くないけど···」
「何友達?まさか穴兄弟?」
「んなわけないだろ!むしろその逆だよ···」
「えっ!?逆ってことは竿姉妹!?お兄ちゃんって”ネコ”だったの!?こりゃたまげたなぁ~、私的には解釈違いかも···」
兄相手にかってに脳内設定を構築して”たまげる”のはヤメてくれ。
もちろん俺は”タチ”でも”ネコ”でもなく、ただの”ノンケ”である。
「···すまん、今のは俺の言い方に問題があったな。だから、その···童貞仲間だよ···」
「あっ···そっ、そっか、ゴメンね、つまんない事聞いちゃって、ははは···」
ヤメてくれ、気を遣われると、よりダメージがデカいんだ···
「んで、そのさえない童貞達とどこ行くの?やっぱゲーセンで音ゲーとかw?」
まったく気を遣われないのも、それはそれで普通にイラッとするなぁ···
あと、”やっぱ”ってなんだよ。
童貞と音ゲーユーザーの双方に失礼だろ。
「今日はカラオケだよ」
「カラオケか~、童貞達のことだから、”失恋or片想いソング縛り”とかしてそうwって、流石にそんなキモいことはしてないよね、ははは」
···なんで分かったんだコイツ、もしかして超能力者か?
「お兄ちゃんの友達って、全員もれなく童貞なの?」
「少なくとも、今日の面子はそうだな。全員、性行為どころか、俺以外は異性とデートすらしたこと無いヤツらだ」
「”俺以外は”って···えっ!?お兄ちゃん、女の子とデートしたことあるのっ!?」
「あ、あるよ···」
「どこの誰と!?」
「···青山さんちの、円香ちゃんと」
「ナチュラルに妹を異性としてカウントしてるんだ···ヤバいヤツじゃん」
「やっぱダメか···」
「や、別に、ダメじゃないけどさ///···でもそっか、お兄ちゃん、私以外の女の子とデートしたことないんだ~」
にたにたと口角を緩ませて、ひどくご満悦なマイシスター。
「うるせーな、ほっとけ」
なんでお前はそんな嬉しそうなんだ。
身内がモテないというのは、むしろ悲しい出来事の部類だと思うのだが。
「お兄ちゃんが帰り遅くなるなら、私もお出かけしてこようかな~」
「なぁ、それって、もしかして男とデートか?」
さっきやられた仕返しに、軽口を挟んだつもりだったのだが、思わず、語調が荒くなってしまった。
らしくもない。
俺らしくも、兄としても。
「うん!もちろんそうだけど♡」
··· ··· ···
沈黙。
心臓の唸り声だけがカラダを駆け巡る、そんな一瞬の深い沈黙だった。
「わわわっ!?そ、そんな顔しないでよっ!嘘だよ嘘っ!嘘だから、心配しなくても女子だけのメンバーだから、ね」
はっ、と我に返った。
俺は今、いったいどんな顔をしていたのだろうか。
妹の貞操を心配する女々しい”兄”の顔か。
それとも、嫉妬に狂った弱々しい”男”の顔か。
「それならいいんだけどさ···」
大きく息を吐き、呼吸を整える。
徐々にだが、冷静さが戻ってくるのが分かる。
大丈夫、大丈夫だ···
だって俺は、お前の”お兄ちゃん”だからな···
「お兄ちゃんはさ、妹のことが大好きなシスコン野郎だから、私を他の男に盗られたくないんだよね♡」
ひょいと縁石から跳び下り、彼女の頭の高さが俺の目線よりも低くなって、自然と上目遣いになる。
その、俺を見つめる澄んだ瞳があまりにも綺麗で···
「そんなんじゃねーよ···」
不覚にも、目を逸らすことを忘れてしまった。
「···じゃあさ、私のこと、嫌いなの?」
探るように小首を傾げ、すがるように制服の裾を掴む彼女。
その仕草に”女”を感じてしまった俺は、やはり兄である前にひとりの”男”なのだと実感させられる。
はたして彼女は、いったいどんな言葉を望んでいるのだろうか。
「どうしてお前はいつもそう極論で語るんだ。1と0にも間は」「いいから、答えてよ!」
間髪いれずに言葉を挟まれ、今度は腕をとられた。
別に彼女にヤンデレ属性は無いので、この場合”腕を切り落とされた”とかではなく、単純に、カラダを密着させて腕に腕を絡ませてきたのだ。
彼女のそのブレザーさえも押し退ける柔らかさが、俺の左腕とその他もう1点を固まらせる。
おっぱい柔らけ~///
それに、めっちゃ良い匂いするし///
そしてなにより、この体温がなんとも愛おしい///
「···まぁ、”嫌いではない”ことは確かではあるが」
じとー。
いわゆる”ジト目”というやつで睨みをきかせてくる彼女。
すげー、アニメや漫画以外で初めてお目にかかったぞ、ソレ。
”もっと気を利かせろ”という、彼女なりの無言の圧力···
「じゃあ、おっぱいのことは好き?」
その豊満な乳を自らの両手でグイッと挟み込み、ゆっさゆっさと上下に揺らす。
「代々大好きであります!!!」
「ご先祖様まで巻き込むな」
「はぁ~、しかたない、今日のところはそれで許してあげる」
露骨な溜息混じりに、上から目線でものを言う彼女。
いったい何様なんだお前は。
俺はお前の、お兄様なんだぞ。
「じゃあさ、お前は俺のこと、どう思ってるんだ」
「好きだよ、大好きだよ。そんなの当たり前でしょ」
あっけらかんとした声色だが、どこか真面目な顔で···
「私はお兄ちゃんのことが大好きだよ」
少し遅れて、ふと思い出したかのように、ニコッと彼女は笑顔をつくった。
「···そうかい、そりゃありがとよ」
今度は上手く彼女から目を逸らすことができた。
俺は今、傍から見たらどんな表情をしているのだろうか。
透き通るような、どこまでも青く、青い、青空を見上げる。
「なぁ、妹よ」
「な~に、やっと言うべき言葉を思い出せた?」
言いたい言葉は、わかっている。
教えられなくても、俺は知っている。
思い出すまでもなく、忘れることもできずに。
これまでも、今も、多分、これからも。
そして、それは言うべき言葉ではないということも···
兄が、妹に、伝えるべきではない。
知らないままでいい。
言えないままでいい。
俺は彼女の”兄”でいい。
「なぁ円香、今夜はさ···月が綺麗だといいな」
今できる、精一杯の笑顔を彼女へ贈った。
それが、せめてもの、”兄”からの応えだ。
「···今日は新月だから、月は見えないと思うけど?」
午前8時23分、ロマンティックは停止中。
先月から2年ぶりに、同じ学校の制服を着て登校している。
今日の快晴よろしく、ご機嫌な様子の妹は、陽気な鼻歌交じりに少し歩調を速めると、ぴょんと路肩の縁石に跳び乗った。
昔から、小学生のときから変わらない、ある種彼女の癖のようなもの。
ある時は、影の上しか歩けない、だったり。
またある時は、石蹴りをしながら歩いてみたり。
誰しもが一度は経験したであろう、そんな登下校の遊びを、妹は高校1年生になった今も続けている。
そしてどうやら今日は、地面を歩けないというルールなのだろう。
平均台の上を軽やかに渡るその背中を、これまたいつものように押してやろうかと思ったが、歩みに合わせて揺れる目の前の丈の短いプリーツスカートの存在が、俺にそれを思い留まらせる。
「そんなとこ歩いてたら、パンツが見えちまうぞ」
ここは、男としてではなく、兄として忠告しておいた。
一応の責任は果たしたので、これで仮に見えてしまっても、それは断じて不可抗力である。
見えたのであって、覗いたのではない。
これは大変重要なポイントだ。主に裁判とかで。
「べつにいいよ~、カワイイの履いてるし」
可愛ければ見られてもいいというその発想は、兄としては少々複雑なものである。
もちろん、男としては大歓迎だが。
「お兄ちゃん、もしかして、妹のパンツ見たいのw?」
挑発するようにニマっと笑みを浮かべ、自らのスカートに手を掛ける妹。
「いいよ、見せてあげる♡ほれ、ちらり♡」
「お前の下着なんざ見えても嬉しくねーよ」
当然、嘘だ。
見えたら嬉しいに決まっているだろう。
見られても気にしないというのであれば、さっさと見せてくれ。
どうした、もっと大胆に捲らないと、この角度からじゃよく見えないぞ。
と、そのとき、俺の欲望が春の空に届いたのか、一陣の風が吹いた。
春一番には間に合わなかったが、この春1番のいいタイミングで吹きすさぶ神風。
お尻までの視界を遮るその”カーテン”が、ふわりと重力を振り切って浮き上がった。
そして姿を現したのは、オレンジ色のデルタ地帯。
魅惑のトライアングル。
ご本人の証言通り、フリル付きの可愛らしいパンツだった。
「うわっ、ちょっ、お兄ちゃん、今の見たっ!?」
「見てない、見てない、お兄ちゃんは何も見てないぞ」
兄は呼吸をするように、妹に嘘をつくことができる。
罪悪感など、とうに無い。
「なんで見てないの!もぅ~、ちゃんと見ててよね!」
え?なになに?どういうこと?この子痴女なの?
男に下着を見られて喜ぶ露出狂だったの?
「正直言うと、お前のオレンジのパンツは丸見えだったぞ」
「違う違う、私のじゃなくて、あの人のパンツだよ」
彼女が指差す人差し指の向こうには、俺たちと同じ学校の制服姿のおさげ女子が一人。
「あー、アレは、俺のクラスの委員長だぞ」
高校1年からこれまでの3年間、ずっと学級委員長を務めているいわゆる真面目系女子。
ちなみに、俺とは3年間同じクラスである。
才色兼備で人当たりが良く、我が校の男子の間では当然の様に大人気である。
そして、実はそれ以上に、同性からの人気が凄まじかったりもする。
要するに、非常にモテモテなのだ、その御方は。
「んで、その委員長のパンツが何だって?」
「なんとなんと、黒のTバックだったんだよ!」
なにぃ!?黒のTだと!!!
あの真面目系おさげ委員長が、黒のTバックを履いているとは···
くそっ!あろうことか、そんな好機を見逃してしまうとは···
くぅ~、見たかったな~!!!
「あぁぁ~なんかすっげー損した気分だな~もう今日はやる気でねーし、サボってこのまま帰ろっかなー」
「いや、急に萎えすぎでしょ」
「この世の生きとし生けるもの、その全てが憎い···」
「闇堕ちの動機が不純にも程があるよ」
「今後の俺の余生に、いったい何の価値があるというのだろうか···」
「黒Tバックに人生のウエイトを割き過ぎだよ」
「はぁ~、見たかったな~美少女JKのTバック···」
「も~、そんなしょぼくれないでよ···私のパンツでガマンしなさい!ほれ、チラリ♡」
スカートを自ら捲り、先ほどもお目にかかった、オレンジ色の可愛いショーツを見せてくれる円香。
その気遣いは大変ありがたいものではあったが、黒Tバックを見逃した機会損失の傷を癒すのには、少し物足りなくもあった。
「はぁ~、ありがとな円香···でもな、今の俺には、美少女JKのTバックが必要なんだよ。この世には、美少女のTバックからしか得られない栄養があってだな···」
「う~ん、これは重症だなぁ···仕方ない、妹として一肌脱いであげましょうかね!ほら、お兄ちゃん、ちょっとコッチ来て!」
円香に手を引かれ、ビルとビルの間の狭い裏路地へ足を踏み入れる。
円香のヤツ、いったい何のつもりだ?
そして、足を止めた彼女は、俺に背を向けたまま、お尻を突き出すように前屈みになり、制服のプリーツスカートをガバっと捲りあげた。
オレンジのフルバックの布地に包まれた、形の良い桃尻が露わとなる。
な、なんだ?
続けて彼女は、自らのそのショーツに右手をかけると、そのフルバックの布地を締め上げるようにお尻の割れ目に挟み込んだ。
そして、腰周りのゴムを掴み上方へグイッと引っ張り、更にギュッとそのショーツを尻の割れ目に食い込ませた。
「ほら、お兄ちゃん、”フルバックショーツ食い込ませTバック”だよ♡天然物のTじゃなくて養殖のTだけどさ、今日のところはコレでガマンして元気だしてよ♡」
ほれほれと言わんばかりに、突き出した尻を誘うように左右にフリフリと可愛らしく振る円香。
「···ありがとな、円香」
確かにお前の尻から感じるぜ、Tバックからしか得られない栄養と、兄に対する献身の真心を···
しばらくの間、円香の食い込みパンティーの”T”を堪能し、そのエネルギー供給を経て生きる気力を取り戻した俺は、学校へ向かうべく通学路へと復帰を果たした。
再び縁石にぴょんと飛び乗り、歩みを進める円香。
俺は、その揺れるプリーツスカートの向こう側では、パンツが依然としてお尻に食い込んだままであるという事実を知っている。
「エッチなことに寛容な妹がいて、良かったねお兄ちゃん♡」
「あぁ、まったくだ」
おかげ様で、毎日のオカズに困ることはない。
むしろ、竿が何本あっても足りないぐらいだ。
「あ、そういえば言い忘れてたけど、今日の放課後出かける予定があるから、帰りは遅くなるぞ」
「珍しいね、お兄ちゃんがお出かけなんて。お帰りは何時の予定?8時ぐらい?」
「いや、多分10時ぐらいかな」
「そんな遅い時間まで何を···もしかして、女とデートとか!」
ジロリと睨まれるが、当然そんな理由もなく···
「男とだよ」
「男とデート!?お兄ちゃん”ソッチ”もイけたんだ···」
「ちゃうわ!男友達数人で、カラオケに行くんだよ」
「男友達!?お兄ちゃん、友達いたんだ···」
「いるよ、そんな数は多くないけど···」
「何友達?まさか穴兄弟?」
「んなわけないだろ!むしろその逆だよ···」
「えっ!?逆ってことは竿姉妹!?お兄ちゃんって”ネコ”だったの!?こりゃたまげたなぁ~、私的には解釈違いかも···」
兄相手にかってに脳内設定を構築して”たまげる”のはヤメてくれ。
もちろん俺は”タチ”でも”ネコ”でもなく、ただの”ノンケ”である。
「···すまん、今のは俺の言い方に問題があったな。だから、その···童貞仲間だよ···」
「あっ···そっ、そっか、ゴメンね、つまんない事聞いちゃって、ははは···」
ヤメてくれ、気を遣われると、よりダメージがデカいんだ···
「んで、そのさえない童貞達とどこ行くの?やっぱゲーセンで音ゲーとかw?」
まったく気を遣われないのも、それはそれで普通にイラッとするなぁ···
あと、”やっぱ”ってなんだよ。
童貞と音ゲーユーザーの双方に失礼だろ。
「今日はカラオケだよ」
「カラオケか~、童貞達のことだから、”失恋or片想いソング縛り”とかしてそうwって、流石にそんなキモいことはしてないよね、ははは」
···なんで分かったんだコイツ、もしかして超能力者か?
「お兄ちゃんの友達って、全員もれなく童貞なの?」
「少なくとも、今日の面子はそうだな。全員、性行為どころか、俺以外は異性とデートすらしたこと無いヤツらだ」
「”俺以外は”って···えっ!?お兄ちゃん、女の子とデートしたことあるのっ!?」
「あ、あるよ···」
「どこの誰と!?」
「···青山さんちの、円香ちゃんと」
「ナチュラルに妹を異性としてカウントしてるんだ···ヤバいヤツじゃん」
「やっぱダメか···」
「や、別に、ダメじゃないけどさ///···でもそっか、お兄ちゃん、私以外の女の子とデートしたことないんだ~」
にたにたと口角を緩ませて、ひどくご満悦なマイシスター。
「うるせーな、ほっとけ」
なんでお前はそんな嬉しそうなんだ。
身内がモテないというのは、むしろ悲しい出来事の部類だと思うのだが。
「お兄ちゃんが帰り遅くなるなら、私もお出かけしてこようかな~」
「なぁ、それって、もしかして男とデートか?」
さっきやられた仕返しに、軽口を挟んだつもりだったのだが、思わず、語調が荒くなってしまった。
らしくもない。
俺らしくも、兄としても。
「うん!もちろんそうだけど♡」
··· ··· ···
沈黙。
心臓の唸り声だけがカラダを駆け巡る、そんな一瞬の深い沈黙だった。
「わわわっ!?そ、そんな顔しないでよっ!嘘だよ嘘っ!嘘だから、心配しなくても女子だけのメンバーだから、ね」
はっ、と我に返った。
俺は今、いったいどんな顔をしていたのだろうか。
妹の貞操を心配する女々しい”兄”の顔か。
それとも、嫉妬に狂った弱々しい”男”の顔か。
「それならいいんだけどさ···」
大きく息を吐き、呼吸を整える。
徐々にだが、冷静さが戻ってくるのが分かる。
大丈夫、大丈夫だ···
だって俺は、お前の”お兄ちゃん”だからな···
「お兄ちゃんはさ、妹のことが大好きなシスコン野郎だから、私を他の男に盗られたくないんだよね♡」
ひょいと縁石から跳び下り、彼女の頭の高さが俺の目線よりも低くなって、自然と上目遣いになる。
その、俺を見つめる澄んだ瞳があまりにも綺麗で···
「そんなんじゃねーよ···」
不覚にも、目を逸らすことを忘れてしまった。
「···じゃあさ、私のこと、嫌いなの?」
探るように小首を傾げ、すがるように制服の裾を掴む彼女。
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はたして彼女は、いったいどんな言葉を望んでいるのだろうか。
「どうしてお前はいつもそう極論で語るんだ。1と0にも間は」「いいから、答えてよ!」
間髪いれずに言葉を挟まれ、今度は腕をとられた。
別に彼女にヤンデレ属性は無いので、この場合”腕を切り落とされた”とかではなく、単純に、カラダを密着させて腕に腕を絡ませてきたのだ。
彼女のそのブレザーさえも押し退ける柔らかさが、俺の左腕とその他もう1点を固まらせる。
おっぱい柔らけ~///
それに、めっちゃ良い匂いするし///
そしてなにより、この体温がなんとも愛おしい///
「···まぁ、”嫌いではない”ことは確かではあるが」
じとー。
いわゆる”ジト目”というやつで睨みをきかせてくる彼女。
すげー、アニメや漫画以外で初めてお目にかかったぞ、ソレ。
”もっと気を利かせろ”という、彼女なりの無言の圧力···
「じゃあ、おっぱいのことは好き?」
その豊満な乳を自らの両手でグイッと挟み込み、ゆっさゆっさと上下に揺らす。
「代々大好きであります!!!」
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「はぁ~、しかたない、今日のところはそれで許してあげる」
露骨な溜息混じりに、上から目線でものを言う彼女。
いったい何様なんだお前は。
俺はお前の、お兄様なんだぞ。
「じゃあさ、お前は俺のこと、どう思ってるんだ」
「好きだよ、大好きだよ。そんなの当たり前でしょ」
あっけらかんとした声色だが、どこか真面目な顔で···
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少し遅れて、ふと思い出したかのように、ニコッと彼女は笑顔をつくった。
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今度は上手く彼女から目を逸らすことができた。
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透き通るような、どこまでも青く、青い、青空を見上げる。
「なぁ、妹よ」
「な~に、やっと言うべき言葉を思い出せた?」
言いたい言葉は、わかっている。
教えられなくても、俺は知っている。
思い出すまでもなく、忘れることもできずに。
これまでも、今も、多分、これからも。
そして、それは言うべき言葉ではないということも···
兄が、妹に、伝えるべきではない。
知らないままでいい。
言えないままでいい。
俺は彼女の”兄”でいい。
「なぁ円香、今夜はさ···月が綺麗だといいな」
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……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
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私にはできない。
私は。
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