社畜おじさん、仕事を辞めて辻ヒーラーになる。

七渕ハチ

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第三章前半『おじメダル配布作戦』

第99話 フィナーレと重要なお知らせ

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『今ので最後です』

『了解でござる!』

 イベントも二日目の終盤。金のメダルが全て配れたため、コヨミさんに連絡する。時間ぎりぎりになったのは手心調整によるものかもしれない。

「あれ、どこ行った?」

「木の陰にもいねー」

「あ! 看板に終了って書いてある!」

 変更した看板がすぐに見つかる。人の波に飲み込まれないよう急いで移動。隠れて透明化を解除し周りに紛れた。作り続けた銅のメダルも品切れで、後はホームを眺めながら終わりを待とう。

『ナカノ殿、お疲れさまでした!』

『コヨミさんもお疲れさまでした』

 合流したところ触手頭を外してマント着ている。今は鎧姿だけでも混乱を招く可能性があった。

『二日とはいえ、あっという間でござったな』

『本当にそうですね』

 やりたいことを実現できた達成感に加え、訪れてくれたプレイヤーが十分に楽しめたか不安が残る。アンケート用紙を置くのも手だったか。

 荒れたままの畑ではなぜかキャンプを行ったりと自由だ。テントを張ってバーベキュー用のコンロを出し、人が自然と集まっている。騒がしさは控えめで和気あいあいな空間だった。

 きっと、こちらで始めから用意したとしても野暮に思われるのがオチ。年齢はともかく、ゲームにおいては先輩ばかり。遊びも任せた方が上手くいくことはあった。


≪間もなくイベントが終了します≫


 システムメッセージが流れると、にわかに活気が増す。

「畑で準備しまーす!」

 何をと疑問になる声が聞こえてコヨミさんと顔を見合わせる。すると、察したのかなんなのか。数人のプレイヤーが畑に向かい、他は道を挟んだ側で待つ。

『ふむ、我々も楽しませていただきましょう』

 慌てる必要はまったくないので少し後方に立つ。すでにエリアは時間と共に暗くなって、キャンプの明かりが消えると夜が深まった。

「そろそろ始めまーす!」

 謎の合図に皆がしんと静まる。


――ポン!


 気の抜けた音が聞こえて光の筋が畑から上がった。印象的な風景にこれはもしや、と感じ取る。


――ドン!


 心地の良い破裂音が身体に響き、真っ暗な空に光が花開いた。リアルに負けず劣らずの迫力と華やかさ。いつぶりかの花火だ。

「たーまやー!」

「かーぎやー!」

「おーじやー!」

 歓声に続いて次々に打ち上がる。こんなに近い距離で観賞できるのもゲームならでは。煙が少ないため十二分に楽しめた。

『風流でござるな』

『いいものを見れました』

 本来であれば招く側が仕込んでおくべきレベルの締め括り。イベントの終わり方までは考えておらず、最後にも反省と勉強だ。

 ありがたいことにホームは今も混雑中。花火を上げるプレイヤーたちが示し合わせるのは難しい。おそらく定番の賑やかしアイテムなのだろう。ここで贅沢に使ってくれて感謝だった。


――ドンドン、ドドーン!


 まさにフィナーレという矢継ぎ早の花火に沸き立つ。カウントダウンを始めるシステムメッセージも目に入らなかった。

 しかし、だからといって延々には続かない。せっかくなので絶景を直接堪能しつつも、適度にスクリーンショットで記念を残す。刹那的になり切れないのは歳のせいだと、意識するのも引っ張られすぎか。


≪イベントの終了に伴い転送が行われます≫


 鳴りやまぬ花火の音に重なる歓声が遠くなり、浮遊感を覚えると視界が一方向に伸びた。変化は一瞬で元のホームにすぐ戻って来る。

 周りで騒ぐプレイヤーはいなくなって、隣にコヨミさんがいるだけ。夜空には星が輝き静けさに満ちていた。


≪運営よりお手紙が届きました≫


 妙なタイミングでの通知だ。メニューを開いて確かめたところ、次回イベントについての重要なお知らせ、と何かドキリと思わせるタイトルだった。



 ◇



【DAO】イベント会場Part11【第三回】

 42 名前:名無しの古代人
    ついに終わってしまった

 43 名前:名無しの古代人
    交流イベントで考えればな
    まあ良かったんじゃね

 44 名前:名無しの古代人
    果たして生産は輝いたのか

 45 名前:名無しの古代人
    大手のPVPに引っ張られた感

 46 名前:名無しの古代人
    ランダム訪問なら色々見て回れたろ
    こだわってたのも多かったし

 47 名前:名無しの古代人
    参考にしたい内装はスクショ済み

 48 名前:名無しの古代人
    内装アイテムは売れてそう

 49 名前:名無しの古代人
    マーケットで売れ筋を見れるぞ
    やっぱ最近の履歴だと多くなってる

 50 名前:名無しの古代人
    売れてなんぼ
    お得意様ができればあがり

 51 名前:名無しの古代人
    特定のプレイヤーに頼むのはな
    懇意になるハードルは高い

 52 名前:名無しの古代人
    紅騎士団とかのお抱えに頼んでみたい

 53 名前:名無しの古代人
    それは逆に仲間内すぎて
    一見さんはお断りされそう

 54 名前:名無しの古代人
    妖精おじぐらいのユニーク性があれば

 55 名前:名無しの古代人
    たとえ自分を売り出したとてだ
    有名になるのは運次第

 56 名前:名無しの古代人
    おじのホームは興味本位に行ったもんな

 57 名前:名無しの古代人
    話題になるのはでかい

 58 名前:名無しの古代人
    俺も終了時刻に合わせて訪問予約した
    無事に花火を打ち上げられたわ

 59 名前:名無しの古代人
    複数人が花火を用意してたね
    かなり盛り上がってたよ

 60 名前:名無しの古代人
    終わりに訪れる発想はなかった

 61 名前:名無しの古代人
    やっぱ人気があると強い
    賑やかし目的で行くのもいるし

 62 名前:名無しの古代人
    なんか次回イベントのチラ見せ出てる

 63 名前:名無しの古代人
    攻城戦?

 64 名前:名無しの古代人
    絶対にPVPですやん
    規模が大きそう

 65 名前:名無しの古代人
    今回のイベントが影響するってさ
    訪問者が多かったホームが登場?

 66 名前:名無しの古代人
    城は紅騎士団ぐらいしかイメージない
    それもほぼ未完成だし

 67 名前:名無しの古代人
    生産イベは前座だったのか

 68 名前:名無しの古代人
    次を絡めるのはありでしょ

 69 名前:名無しの古代人
    訪問者の数かー
    優遇されてる印象が出ちゃうな

 70 名前:名無しの古代人
    そりゃトップ勢は目立つもん
    活躍した報酬だ

 71 名前:名無しの古代人
    最近はゲームの顔が意外と大事
    内輪ノリと言えど外ばかり見てもね

 72 名前:名無しの古代人
    何はともあれ闘争が戻ってきた

 73 名前:名無しの古代人
    闘争勢はいつになっても元気だな
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