絶望の白 〜狼の館から脱出せよ〜

番傘と折りたたみ傘

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自覚 第五の狼

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 体が揺れる。ここはどこ? 手を動かそうとしても動かない。それにこのうるさい声は誰の声だ。

 段々と覚醒してきた俺を襲ったものは、強力な快楽だった。全身から快感が襲う。

「なぁぁ、ん、あぁ、でぇえ!」

「おぉ、起きたか」

 目の前にいる顔に絶望した。なんで、拓也がいるんだ。俺は確か海斗の部屋にいたはずだ。それなのに、どこか違う部屋に連れ込まれていた。海斗や大地と違い、様々な物が部屋中に、置かれている。それもどれもが、男の屹立を模倣した物や、手錠、用途不明なものばかり。

「随分と気持ち良さそうだったが、どんな夢を見てたんだ」

 そう問われて、頬が熱くなる。俺、夢の中で海斗と大地に抱かれてた。求められ嬉しく、幸せな夢。それなのに、起きればこの状況、最悪だ。

 ぐちゅぐちゅという水音に合わせて、お腹からの快感が攻めてくる。自分を見下ろして、絶望が深まる。両手はベットに手錠で繋がれ、裸で拓也に組み敷かれていた。胸の飾りに振動するものをつけられ、天を向いている陰茎の鈴口から何やらリングが顔を出していた。なんだよこれ。

「そろそろ、大きくしても大丈夫だろ」

 そう告げられて、後孔からものを抜かれる。ピンク色の屹立を模倣した物だ。俺はあんな物に、犯されていたのか。拓也がそれをベットの上におき、緑色のものを手に取る。それは、ピンク色のものより大きい屹立をだった。ふざけんな、あんな物挿れられたら裂けちまう。

「やめろ! そんなデカいもの入るわけ無いだろ!」

「入るさ。なんたって、俺のものを受け入れることができたんだ。ちょっと、力を抜けばな」

 そう言った拓也に、緑色の屹立を後孔に押し当てられる。反対の手が俺の鈴口から出ているリングに手がかかり、少しだけ押し込まれた。

「ひあぁぁ! ああぁぁああ!」

 びりびりとした痛みと快感がお腹に響き渡る。陰茎に気を取られ緩んだ後孔にぐぶっと緑のものが挿入された。狭い入り口をミチミチと押し広げ、奥まで挿れらてしまった。

「ほら、入っただろ」

「苦しい……抜け……」

「まだまだだな。ほら、こうすれば狂うほど気持ちいいぞ」

 その言葉と共に、パチっと何かの音が聞こえた。

「ああ! いやあぁぁ!」

 胸につけられたものが震え出す。びりびりと響き、快楽に頭の中が塗りつぶされていく。
 それと共に、鈴口のものを出し入れされながら、後孔に挿入された緑のものを抽送される。

 全身から湧き上がる暴力的な快楽に、耐えきれずイかされた。吐き出すこともできない陰茎はビクビクと痙攣し、快感が身体の中に渦巻く。イったのに、長引く余韻に何も考えられない。

「さぁて、次は俺のを呑み込んで貰いますか」

 カチャカチャとベルトを外す音が響く。逃げたいのに、繋がれた両手と快楽に染まった身体が邪魔をする。
 ちゅぽっと緑のものを引き抜かれ、熱く硬いものを押し付けられる。俺、挿れられるのが避けられないのなら、海斗と大地のものが良い。心を裏切るように後孔が疼く。助けて、お願いだ。

「嫌だ!!」

「すまんな」

 さっきまでニコニコとしていた拓也の顔が、悲しげに変わる。だが、容赦なく拓也の屹立が俺の後孔に埋め込まれていく。

「ああぁぁああ!」

「すぐ終わらせるから」

 痛みはない、快感が全身を貫いているのに、痛い痛いと泣くものは何なんだろうか。苦しいと訴えてくるものは、俺の心なのだろうか。それとも、理性なのだろうか。体は喜び鳴いているのに。

「海斗達が羨ましいな」

 ぐちゅぐちゅと水音が響く部屋の中、拓也の囁きが聞こえたが快楽に流されて理解できず、俺の喘ぎに消された。

 奥へ奥へと突かれ、じわじわと快楽に理性が支配されていく。何も考えられない。

「ほら、イけ」

 その言葉と共に、陰茎挿入されていたものを引き抜かれ、優しく扱かれる。

「いぅ、あぁあああ!!」

 慣れ親しんだ陰茎からの快楽に負け、イってしまう。とぷとぷと鈴口から白濁が溢れ落ちた。拓也もイったのか、お腹の奥が熱いものが広がっていくのが分かった。
 拓也が俺の顔を覗く。気怠そうな表情が強面を少し柔らかくしている。

「海斗達も嬉しいだろな。こんなに可愛い子が自分達の部屋のベットの上で、布団に包まって幸せそうに寝ていたらな。堪らんだろな」

 そう言われて、奇行を見られたことに気が付いた。

「二人には言わないでくれ!」

「なんでだ?」

「赤の他人が自分の布団に寝てたら、気持ち悪いだろ……」

 自分で言って、傷ついた。そうだよ、気持ち悪いだろ。俺、海斗達に嫌われたくないのに、欲に負けてしてしまった。なんて事を。

「おいおい、泣くなって」

 拓也の指が俺の目元を拭う。知らぬうちに涙が出てしまったようだ。

「彼奴らなら、間違いなく喜ぶと思うぞ。だから、泣くなよ」

 そう言った拓也に、頭を撫ぜられる。

「別に、慰めてくれなくても」

「可愛い弟が泣いてるんだ。お兄ちゃんとしては、慰めないとな」

 拓也は、俺の兄さんじゃないだろ。それに、弟に手を出す兄はダメだろ。
 拓也の陰茎が抜かれ、胸につけられたものも外された。最後に、手錠も外され自由になった。

「さて、片付けますか」

 テキパキと道具を仕舞っていく拓也。案外綺麗好きらしく、道具も消毒し定位置があるのかその位置においていく。全てを片付け、最後にタオルとワンピースを手渡される。

「すまんな。今、水取ってくるから、待っててくれ」

 ぼーっと、その後ろ姿を見送った。
 静かになった部屋の中を観察する。家具の配置は海斗達と一緒。壁紙は青の三角形が散りばめられている。所々にある収納棚に用途不明な道具が無ければ、普通の部屋だ。

 他に見るものも無くなり、今の自分の現状を考えた。もう、自分を誤魔化せない。時折苦しくなる胸やふわふわしてくる感情、奇行の正体。
 紛れもなく、俺は……海斗と大地に恋してしまったようだ。

 彼らに好きだと言われると、嬉しくなってしまう。触れられると、喜んでしまう。海斗は強引だけど優しい所が好きだ。大地は変な性癖があるけど、思いやりのある所が好きだ。まだ、あって間もない俺は、二人の事を全然知らない。知りたい。彼らに会いたい。しかし、ここを出なければ、俺は壊されてしまう。ここを出て、海斗達と話をしよう。沢山話をして、好きだって伝えよう。そう考えると勇気が湧いてきた。よし、鍵だ。あと二つ。絶対ここを出てみせる。

 そう決意をしていると、拓也が戻ってきた。水差しと、コップを手渡される。

「俺は、もう行かないとならん。外から鍵を掛けて行くから、中でゆっくりして行くと良い。鍵は内側から開けられるから心配するな」

「なんで、追い出さない?」

 ここは、拓也の部屋だろう。赤の他人がいたら嫌じゃないのだろうか。

「海斗の部屋で寝ていたとしても、疲れただろう。俺は気にしなくてもいい」

 ガシガシと頭を撫ぜられる。痛いって!

「じゃあな、ふわふわちゃん」

 そう言った拓也は部屋を出て行った。カチャリと鍵が閉まる音が響き、静寂に包まれた。
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