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煽りの問と禁断の行為 羊さん 

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 拓也と聖司もよく分からない。彼らは初めての時は、最低だった。なのに、なんで助けてくれたんだ。どうして、気遣いをくれる。いや、身体を犯されてるわけだし気にしなくても良いのかもしれない。しかし、理由が知りたい。何か裏があるのだろうか。濡れタオルで身体を拭きながら、考えるが段々と分からなくなってきた。もう、やめた。考えても考えてもドツボにハマって行くだけだ。

 それよりも、海斗と大地は今どこにいるのだろう。

 想いを自覚してから、彼らの事で頭が一杯だ。海斗の誕生日はいつだろう。大地の好きな色は何色かな。海斗の好きな食べ物はなんだろう。大地は趣味で何をしてるの。海斗と手を繋いで歩いてみたい。大地と食事に行ってみたい。身体は彼らと沢山繋がったが、心でも彼らと繋がりたい。
 だが、彼らと俺には未来があるのだろうか。犯人と被害者の立場を超えられるだろうか。俺が、警察に言わなければ、彼らは捕まらないかもしれない。そうなれば、一緒に過ごせる。その為にも、鍵を見つけてここを脱出して彼らと逃げよう。一人息子が男と一緒になりたいなんて言ったら、両親は泣くかもしれない。しかし、海斗と大地と一緒に一生を過ごしたい。頑張ってやる。俺は、諦めない。


 替えのワンピースを着て、ベットから降りた。少し身体は強張っているが、動けないほどでもない。手錠を嵌められていたが、前回の痣以外特に何も増えていない。そう言えば、あの手錠肌が触れる部分にもこもこが付いてたような気がする。そのお陰かと気付き、有り難いと思ったが、手錠をした拓也が悪いと思い直して感謝しないことにした。

 この部屋には鍵はあるだろうか。正直、用途不明なものに触りたくないが、仕方がない。部屋を捜索したが、何も出てこなかった。くそ、探し損に終わった。

 次の部屋に行くべきだろうか。

 扉の前で耳を澄ませてみる。廊下の音は何も聞こえない。内鍵を外して、そっと扉を開けている。廊下は静かで、誰も居なさそうだ。花柄の壁紙が貼られている所を見るとここは、三階のようだ。右左を見る。両隣にも部屋があった。どっちに行こうか。よし、何となくで左側の部屋に行ってみる事にした。 

 左隣の部屋の扉は、鳩と白鳥が彫刻されていた。誰の部屋か分からないが、取っ手を握り開けてみた。家具の配置は海斗達と一緒だ。違う所と言えば、漫画がそこら辺に散らばっているくらいだろうか。部屋の中央まで足元に気を付けながら歩く。ふと、机の上に箱の様なものが目に入った。何かと思い近づくと、そこには小さな宝箱と秤とPCが置かれていた。PCに張り紙が貼られていて、電源を入れろと書かれている。

 PCの電源を入れると、問題が表示された。

【問。あるものを秤の上にあるビーカーに入れよ。さすれば、宝箱の鍵が手に入るであろう。間違えれば、ここの部屋の狼を呼び寄せる】

【ある物のヒント “茶色の管より生まれし、白き種子を入れよ”】

 は? 何だこれ。思いっきり分からん。茶色の管っていうと、筒の様なものだろうか。筒なんて今までの探索であっただろうか。なかった様な気がする。それに白き種子ってなんだ。そう言えば、ばあちゃんが畑で白い豆を育てていたのを見た事があるが。ここにそれがあるとは限らない。胡瓜とかだろうか。あれも確か中の種は白かった気がするが。いや、茶色の管が当てはまらないから、違う。

 他に何かあるだろうか。スイカとか偶に白い種があるが、時期が外れてるし。花の種とかだろうか。だとしても、外に出れないし。ダメだ。思いつかない。

 ふと、PCの下に小さな紙が挟まっているのを見つけた。もしかして、海斗が置いていったヒントだろうか。PCの下から取り出し、四つ折りになったそれを広げた。

 書かれた文字を見て、頬が熱くなっていくのを感じた。嘘だろ。そんな事しろっていうのか。

【君の可愛い陰茎から、吐き出せば良い。乱れた君はさぞ可愛いだろう】

 ここで、自慰しろっていうのか。そんなの恥ずかしくてできない。しかし、海斗のヒントだ。間違いないのだろう。意を決して、ビーカーを手に取り、ワンピースの裾をめくり上げた。羞恥に耐えながら、萎えた自分の陰茎を掴み扱いていく。海斗の手を思い浮かべながら、快感を高める。

「はぁ、あぁん、んん」

 緩く勃ち上がった陰茎の鈴口から、ぷっくりと滴が浮かび上がる。それを絡め、亀頭を撫ぜ、竿を扱く。大地の舌に舐められた事を思い出す。気持ちがいい。

「あきちゃん、可愛い」と海斗に言われた事を思い出し頬が熱い。

「ふぅ、あ、海斗……大地……んん」

 もうすぐ、イきそうになったその時、隣の部屋からガチャっと扉が開く音が聞こえた。

 まずい。こんな所見つかったらただじゃ済まない。慌てて陰茎から手を離し、PCの電源をオフにする。ビーカーを元に戻し、何処に隠れようか周りを見渡す。ベットの下は覗かれそうだ。こうなったら、カーテンの中だ。ここのカーテンも豪華でたっぷりしている。バレないだろう。急いで、カーテンの中に隠れて快楽に乱れた息を整え潜めた。

 カチャッと音が聞こえ、この部屋に誰かが入ってきたのがわかった。
 誰だ。この部屋の持ち主だとしたら、聖司か幸平か良太の三人のうちの誰かだろう。
 足音が段々と近づいてくる。それに、この足音二人分だ。立ち止まったのか足音が聞こえなくなった。

「ビーカーがズレてる。あきちゃん、ここにきたのか」

「そう見たいだね」

 この声、海斗と大地だ。二人の声に心と身体が嬉しいと沸き立つ。

「何だこれ? 手紙か?」

「海斗書いたの?」

「いや、此処はまだだ」

 沈黙が流れた。何かあったのだろうか。覗いてみたいが、快楽に酔った今見つかると面倒だ。

「はぁー!! ざけんなよ! 幸平の野郎!」

 海斗の怒鳴り声が響く。何があったんだ。非常に気になる。

「海斗、今回は止めないよ。ぶっ飛ばしに行こう」

 大地の静かなる怒りの声に、寒気がする。

「あぁ、行くぞ!」

「その前に、本物のヒント置いておかないとね。よし! 行こう!」

 勢いよく扉を開ける音が響き、勢いよく閉じた音が続いた。どうやら、二人は幸平をぶっ飛ばしに行った様だ。

 どうやら、あのヒントは海斗じゃなく幸平の罠だった様だ。

 そっとカーテンから出て、机を見る。PCの下に同じ様に小さく畳まれた紙が挟まっていた。それを手に取り見る。

【ヒントだ。俺たち日本人の主食は何かな? パン? 麺? それとも?】

 これ、ヒントじゃない。思いっきり答えだろ。
 だけど、二人の優しさを表している文字に暖かさを感じた。胸が苦しい。二人が来なければ今頃、問題を間違えて幸平に襲われていた。
 くそ、海斗と大地に逢いたい。さっき、出ていけば良かった。二人になら、襲われたって構わない。だが、体力と時間を取られるのはなるべく避けたい。仕方がないとため息をついた。

 とりあえず、此処の答えは米で間違いないだろう。しかし、何で米なんだ。白い種子は米だとして、茶色の管って……。稲穂の茎か! なるほど。ということは、調理室へ米を取りに行かないといけないな。

 その前に、扉を開けて廊下に出る。確かこの階のどこかにある筈。やっと見つけた部屋の前で廊下に誰もいないか確認してから、部屋に入った。
 多分この部屋にもあるよな。両開きのクローゼ ットを開けるとスーツと共にタオルと白のワンピースがあった。タオルを取り出し、ベットへと近づく。
 さっきのままなら、ある筈だ。布団の中を探り、目的のものを見つけて高揚した。
 絨毯の上に座り、タオルを敷く。部屋に漂う甘い香りを吸い込む。海斗の香りに頭がくらくらする。見つけたタオルケットに顔を埋め匂いを嗅ぐ。大地の爽やかな香りに心が嬉しいと沸き立つ。
 ワンピースを緩く押し上げる物を撫ぜる。さっき、中途半端で辞めてしまった物は自然に治ると思っていたが、海斗や大地を考えて気持ちが昂ってしまい治らなかった。
 正直歩きづらい為、抜こうと思ったが幸平の部屋は嫌だった。海斗の部屋がいい。海斗と大地なら襲われてもいい。そう思ってしまった俺は病気なんだろうか。

 服の上からじゃ刺激が足らなくて、ワンピースの裾を持ち上げる。陰茎はすでに勃ち上がり滴を溢し、愛撫を待ちわびている。滴を纏わせ、竿を扱いていく。

「あぁ、ん、くぅ、ん」

 部屋に漂う海斗の甘い香りを吸い込み、次にタオルケットに染みた大地の爽やかな香りを嗅ぐ。海斗と大地に包まれている想像をし、陰茎が段々と張り詰めていく。

「かい……と、だ……いち、す、きぃ、んん、くぅん、ああ!」

 寸前の所で、絨毯に敷いたタオルに白濁を吐き出す。
 イった余韻で呆然としていたが、段々と頭が冴えてきて後悔した。あぁ、やってしまった。

 海斗と大地をおかずに抜いてしまった。最低だ。それも、好きな相手の部屋と私物を使ってなんて、変態だ。俺も、変態の仲間入りしてしまった。海斗、大地、ごめんなさい。
 この事は、墓場まで持っていくことにしよう。
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