死にゲーの世界のキャラに憑依したと思ったら、BL版の世界でした。 ~最悪領主になりきろうとしたが、日本人気質の所為でばれそうです~

番傘と折りたたみ傘

文字の大きさ
66 / 98
1

ライトの衣装

しおりを挟む
 ぎゅっと抱き締められて、何事か分からなくて目が回る。

「レイル様! 可愛いじゃねぇか!」

 顔を上げれば、ライトの顔が間近に見えた。頭の上にはグランデ以上に先が尖った黄色の三角耳がピコピコと折れたり伸びたりして揺れる。

「ライト。レイル様が折れてしまいます」

「おぁ、そうだな」

 若干緩んだ腕の中から脱出した。ライトを見て、唖然とした。

「き、騎士様?」

「ん? まぁ、レイル様を守る兵士ではあるから、間違ってはいない」

 両腕を組んだライトが着ている衣装は、騎士の衣装だった。いつも着ているような兵士の服ではない。城の王を守るような騎士様だ。白銀の上着に紋章が並び、腰から下げられている長剣の鞘に宝石と彫刻がありとても美しい。それとライトの笑みが重なり、完全な太陽の騎士様だ。それと、黄色のふわふわとした尻尾。狐の騎士様。

「かっこいい……」

 羨ましい。狐の耳と尻尾を抜いて、騎士の格好はカッコ良すぎる。レイルの華奢な体じゃなく、ライトの体だったらなぁ。

「ありがとうよ。俺達よりも、レイル様は猫か?」

 ライトの視線が俺の全身に向けられる。少し恥ずかしい。

「そうみたいだ」

「いい趣味ですね。とても似合っていますよ」

 グランデが俺達の側にやってくる。二人の視線に胸がドキドキする。

「俺達の衣装を見た瞬間、絶望したが、レイル様のは正解だな」

「なんだよ! 俺はこんな格好より、二人みたいな方が」

「いえ、レイル様はそれで大丈夫です。とても愛らしいですよ」

「あぁ、可愛い。それ以上の可愛いのとかは危ないからだめだ」

 別に可愛さを求めていない。俺は、かっこいいとか男らしい衣装を求めているんだ。それに、この衣装以上の可愛いのは危ないとかよく分からん。

「心配、要りません。私がきちんとエスコート致します」

 グランデが俺の足元に跪いた。片手を取られ、上目遣いにドキドキする。

「今夜は、私と共に参りましょう」

 お、王子様だ! 姫君に対してするであろうこの対応。惚れない奴がいるのだろうか。

「お、俺その」

 ダメだめな領主だけど、お願いします。そう言うつもりだったのに、もう片手を誰かに触られているのを感じ、視線を向けるとそこにはライトがいた。グランデと違い、近くに立ち、片手を取られている。柔らかな笑みのおかげか見下ろされているのに、恐怖や嫌悪感を感じない。

「守ってやる、俺と一緒に行こう」

 それから、手の甲に落とされる唇の柔らかさに、唖然とした。俺、キスされたのか。それに気づいた瞬間に頬が熱くなるのを感じる。

「あ、俺……」

「「「キャー!!」」」

 鼓膜が破れるかと思った。いや、メイドさん達がいたのをすっかり忘れていた。

「かっこいい」やら「可愛い」やら言葉の乱舞で、俺は顔を伏せ両手で顔を覆った。恥ずかしくて、皆の顔を見れない。

「さぁ、此処は私の部屋ですから、出て行って下さい」

「見せ物じゃねぇぞ!」

 グランデとライトの声が聞こえる。二人がメイドさん達を部屋から追い出しているらしい。

「さぁさぁ、皆さん行きますよ」

 グレアの声が聞こえ、次に扉の閉まる音が聞こえてきた。

「レイル様。大丈夫ですか」

「すまねぇ。あいつらがいるの忘れちまってた」

 両手を外し、顔を上げると二人が申し訳なさそうに、眉を下げていた。その姿を見ていると、悪い事をして反省している犬の様に見える。

「大丈夫。ありがとう」

 二人が安心した様に、笑った。

「皆で一緒に行こう」

 それが俺の答えだ。二人と一緒に行きたい。優しい二人と一緒なら、きっと楽しいだろう。

「そうですね。それでは、行きましょうか」

「おう、行こうぜ」

 二人に挟まれて、手を繋ぐ。右手はグランデ、左手はライト。手の大きさも指の細さも違う二人の手だけれど、共通して言えるのはとても柔らかく温かいと言う事だった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

悪役令息に転生したらしいけど、何の悪役令息かわからないから好きにヤリチン生活ガンガンしよう!

ミクリ21 (新)
BL
ヤリチンの江住黒江は刺されて死んで、神を怒らせて悪役令息のクロエ・ユリアスに転生されてしまった………らしい。 らしいというのは、何の悪役令息かわからないからだ。 なので、クロエはヤリチン生活をガンガンいこうと決めたのだった。

同性愛者であると言った兄の為(?)の家族会議

海林檎
BL
兄が同性愛者だと家族の前でカミングアウトした。 家族会議の内容がおかしい

ユキ・シオン

那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。 成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。 出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。 次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。 青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。 そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり…… ※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと

mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36) 低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。 諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。 冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。 その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。 語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

処理中です...