僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~

いとうヒンジ

文字の大きさ
33 / 60

次なる地

しおりを挟む


 昼の集合時間に合わせ、僕とレヴィは繁華街へと向かった。
 そこでしばらく手持無沙汰にフラフラしていると、通りの向こうから満面の笑みで駆けてくる少女が一人。
 もちろん、ミア・アインズベルその人である。

「イチカ~! レヴィ~! 良い知らせよ! ブラックマーケットについての情報をゲットできたわ!」

 金髪を煌めかせながらドヤ顔をする彼女に対する正しい反応は、

『わあぉ! さっすがミアさん、僕らにできないことを平然とやってのける! そこにシビれる憧れるゥ!』

 であることに間違いはないのだが、ミアが情報を得たことを事前に聞かされていた僕は、引きつった笑みしか浮かべられなかった。

「……何よ、その顔。もっと喜ぶか驚くか跪くかしなさいよ」
「跪きはしないけど……いやまあ、実はさ」

 と、先程遭遇した真っ白なカミサマについてミアに話す。
 ミアは不機嫌そうに眉をひそめ、大きな溜息をついた。

「まーたあのカミサマに会ったってわけ? 何よそれ、全然レアキャラじゃないじゃない。普通の知り合いじゃない」
「僕もそう思うよ、ほんと」
「まあ、これでレヴィもカミサマを直に見たわけだし、イチカの妄想の産物って可能性はなくなったわね」
「そんな可能性を考えてたのかよ」

 普通に傷ついたぞ。
 僕の話を全く信じてくれていないじゃないか。

「それにしても、カミサマはどうして私には会ってくれないのかしらね」
「さあ……でも、心配はしてたよ」
「心配? 何を?」
「ミアくんのことを気に掛けてやってくれって」
「何それ。親じゃないんだから」

 軽く肩をすくめるミア。

「別に会いたいわけじゃないけど、せめてそのご尊顔くらいは拝みたいものよ」
「顔っていっても、普通の女の子だぜ?」
「イチカが虜になるくらい可愛い、でしょ?」
「僕がいつ虜になったなんて言ったよ」
「言わなくても顔に書いてあるわ。わかりやすいんだから」

 確かにカミサマの容姿は整っているが、その情報は伝えていなかったはず……本当に顔に出るタイプなのだろうか。

「カミサマの話をする度に、『ロリコンの僕には堪りませんぞ!』って顔になるわ」
「僕はロリコンじゃないしそんな喋り方もしてない!」
「レヴィが仲間になるって決まった時も、『こ、これでいつでもロリコン欲を満たせますぞ、グエッヘッヘ』って顔をしてたわ」
「お前には僕がどう見えてるんだよ!」
「え? 人の皮を被った性獣?」
「純粋無垢な目でとんでもねえこと言うなや!」

 とんだ風評被害だった。
 仮に僕が性に奔放な獣だとしたら、今すぐ仲間をやめてほしい。
 そちら側が自助努力してほしい。

「とにかく、情報があるわ。落ち着いて話せる場所に行きましょ」

 一通り僕を貶して満足したのだろう(迷惑な奴だ)、ミアは話を進めるために移動を提案する。

「じゃあ、あそこのカフェにでも入るか。ほらレヴィ、行くぞ」
「ロリコンは話しかけないでください。ロリコンが移ります」
「そんな簡単に移ってたまるか!」

 風邪じゃないんだから。
 それにお前はロリの側だろうに。

「あと、ここでしっかりはっきりさせておくけれど、僕は決してロリコンじゃないからな。むしろ逆、年上の綺麗系なお姉さんがタイプなんだ」
「うっわぁ、聞きたくねーです。イチカさんの好みとか、そこら辺に落ちてるゴミよりも興味ありません」
「言い過ぎにも程があるだろ。せめてもう少し僕に興味を持ってくれよ」
「興味ならありますよ。この人、いつ痛い目に合うんだろうと興味津々です」
「僕の不幸を積極的に望むな。悪魔か」

 全く、僕の周りには口の悪い女子しかいないらしい。
 この先仲良くやっていけるか不安である。





「次のブラックマーケットの開催地はクイーンズらしいわ」

 カフェに移動した僕らは適当にお茶を注文し、早速ミアの手に入れた情報を共有してもらう。

「クイーンズって、あの?」
「そう、あのクイーンズよ。田舎者のイチカでも、さすがに名前くらいは知っているみたいね」
「お前、一々僕を小馬鹿にしないと会話ができないのか?」
「馬鹿になんてしてないわよ。見下しているだけ」
「より質が悪いじゃねえか!」

 僕、何か嫌われるようなことしましたっけ?

「冗談よ、冗談……で、イチカも知ってるクイーンズだけど、レヴィも聞いたことはある?」
「はい。今はどうかわかりませんが、三百年前は有名でした……カザス地域を治める領主、クライリー家が住む街として」

 レヴィは神妙な面持ちで答える。

「その通り。エーラ王国が建国してから千年弱、権力者の入れ替わりは何度も起こったけど、このクライリー家はずっと変わらずに領主の地位を維持している珍しい家系の一つよ」
「ふーん……詳しいんだな」
「イチカに教養がないだけじゃない?」
「……」

 隙あらば馬鹿にしてくるな、こいつ。
 まあ、今回はミアが正論過ぎるので返す言葉もないが。

「……領主が住んでる街で違法すれすれの市場を開くなんて、主催者も肝が座ってるな」
「彼らは完全なランダムで国中から開催場所を選んでるらしいから、そんなこともあるんでしょ。主催者側の心配をするよりも、私たちの運の良さを祝いましょ」

 ミアの言う通り、どこで行われるかもわからないブラックマーケットがカザス地域で開かれるというだけで、かなりの運を消費している。
 今は素直にそれを喜ぼう。

「件のクイーンズは、ここからどれくらいかかるんだ? 無教養な僕に教えてくれよ」
「無知を自覚するのはいいことだけど、頼み方がなってないわよ。『どうかこの浅学菲才な私に教えを授けてくださいませ』と言いなさい。さんはいっ」
「さんはいっ、じゃねえ。言わないよ」

 指揮棒を振る動作をするな。
 僕はそこまでプライドをなくしてはいないのだ。

「クイーンズへは、大体一カ月弱ってところかしら。何か移動手段があれば別だけど」
「カザスには車の類は普及してないし、列車も走ってないからな……諦めて徒歩か馬車しかないか」

 領主であるクライリー家様の意向かは知らないが、カザス地域の文明発展度合いはすこぶる悪い……そりゃ、アルカやサリバの街並みが煉瓦造りなのも頷ける。
 何でもかんでも機械化することが至高と言うつもりもないが、便利にできるところは変えてほしいものだ。

「ついでに嘆願書でも提出する? 時代遅れの治世には懲り懲りだってね」
「一瞬で捕まるからやめてくれ」

 ともあれ、今後の指針は決まった。
 レヴィのスキルを封じるため。
 僕らは一路、クイーンズを目指す。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました

竹桜
ファンタジー
 誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。  その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。  男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。   自らの憧れを叶える為に。

処理中です...