僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~

いとうヒンジ

文字の大きさ
50 / 60

VSドラゴン 002

しおりを挟む


「……ふう」

 一発。
 一発だけでいいんだ。
 【神様のサイコロトリックオアトリート】の射程は、光を真っすぐ伸ばせば約一0メートル……拡散させるように放つと、五メートル程。
 充分な間合いがある。
 ドラゴンとの距離を一0メートル以内に持っていけば、それでいい。

「……」

 僕はミアに目配せをして、タイミングを整える。
 ……よし。
 互いの呼吸を見て、脚に力を込めた。
 が。

「うおおおおおおおお! ドラゴン、死すべし!」

 そんなシンプル過ぎる口上を叫びながら、僕らより先んじて突撃していく人影。
 先程僕らにつっかっかってきた冒険者たちだ。

「【アイスボール】!」
「【ウィンドカッター】!」
「【サンダーウェーブ】!」
「【サンドロック】!」

 二0人が陣形を組み、方々からスキルを放つ。

「グギアアアギャアアアアアアアアアアアア‼」

 対するドラゴンは、巨大な翼を羽ばたかせて風を起こす。
 その風はうねりを上げ、二対の竜巻になった。

「うわあああああああああああああ‼」
「ぎゃああああああああああああ‼」

 何人かの冒険者が巻き込まれ、空高く吹き飛ばされていく。

「グラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼」

 すぐさま返しの【ブレス】。
 今度は球状ではなく、地面を薙ぎ払うような火炎。

「っ! 【腐った白薔薇メルヘンフラワー】!」

 僕らの前に飛び出したレヴィが、防御スキルを発動した。
 蒼い波動が炎とぶつかり、相殺される。

「大丈夫か、レヴィ!」
「ま、まだ何とか……でも、これ以上防ぐのは厳しいかもです」
「わかった。とにかく、一旦離れよう」

 僕らはドラゴンの攻撃範囲ギリギリのところまで距離を取り、戦況を窺う。

「くそ……」

 冒険者たちは敵を取り囲み、炎を受け流しながら絶え間なくスキルを発動している。
 防御役と攻撃役を上手くパーティーメンバーに組み込んだのだろう。
 だが、あのままじゃジリ貧だ……いずれ決着はつくだろうが、彼ら自身や街に及ぶ被害が大きくなってしまう。
 早く何とかしないと……。

「……」

 あそこまで戦闘が激化してしまったら、正面切っての接近は不可能に近い。
 一発勝負の先手必勝……それが一番確実で、かつ安全にスキルを発動できる条件だったのだ。
 その目が断たれてしまった今、【神様のサイコロ】の射程圏内に潜り込むのは至難の業だ。

「……」

 考えろ、イチカ・シリル。
 前線で戦っている彼らがダメージを与えているこの状況は、見ようによっては悪くない……ミアに戦闘に参加してもらう必要がなくなったからだ。
 僕のスキルでドラゴンの生命力を1にできれば、それで片が付く。

「……」

 なら、【不死の王ナイトウォーカー】の不死身を利用して、無理矢理突撃するか?
 ミアと一緒に行動する必要がない以上、僕一人が無茶をしても問題はない。
 ……いや、ダメだ。
 一度でもあの炎に焼かれれば、スキル防御のない僕は長時間燃え続けてしまうだろう……そうなれば、いくら【不死の王】で傷を癒しても無意味だ。
 焼かれて治って、焼死して生き返って、また燃えて。
 そんな不毛な炎熱地獄を繰り返すうちに、マナ切れを起こしてしまう。

「……」

 パーティーの誰一人欠けることなく、この緊急依頼を終わらせたい。
 それは何よりも優先すべき絶対事項だ。
 じゃあどうする?
 どうやったら、安全にあいつのところまで近づける?

「……」

 安全に、か。
 捨て去るべきは、その部分かもしれない。

「……なあ、レヴィ。少し頼めるか?」

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました

竹桜
ファンタジー
 誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。  その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。  男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。   自らの憧れを叶える為に。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

処理中です...