【完結/R18】恋人として君と過ごす日々

テルマ江

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二人しか知らない秘密・後編(柊山視点)

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「オレ、色々されている所が見えていたら多分……逃げたくなっちゃう気がするので……これ、付けていて良いですか……」

 遥君は黒いアイマスクを持ちながら言った。アイマスクは普通に眠る時用の物だったけれど、何故かベッドに並べられていた。同じ引き出しに入っていたからだろうか。

「え、うん……」
「……ははっ、何だか……目隠しプレイみたいですね……」

 遥君は照れながら言った。僕は「みたい」ではなくて、目隠しプレイそのものだと思ったけれど言わずにおいた。

「……見えないのって怖くない? あまり無理をしたらダメだよ」
「敬久さんは、オレに怖いことをしないですし……大丈夫ですよ……」

 遥君はモゴモゴとした口調で呟いた。彼は以前から僕の人間性を過大評価している。

「僕は……遥君の思うような人間じゃないかもしれないよ?」
「ふふっ……そんなことないですから。それに、自分ですぐに外せますし」
「君が良いなら……かまわないけれど……」
「ありがとうございます……」

 遥君は僕と向かい合うような姿勢になると、アイマスクを着けて正座した。何故正座なんだろうなと思いながら、まじまじと彼の姿を観察してしまう。

――遥君、たまにとんでもないことをするけれど、今回も中々だなあ。これから彼にいけないことを僕が色々とするみたいだ……いや、色々はするけれど……

 白っぽいグレーのパジャマを着た清楚な遥君が、黒いアイマスクを着けている姿は危うい感じがする。

――このアイマスクは普通に寝る時用の物で……こういった趣向に使う物ではないんだけれどな

 口元に手を当ててジッと見つめていると、遥君がアイマスクをずらして僕を見た。

「敬久さん、どうしましたか?」
「いや、遥君のこの姿……何だか、見ていたくなってしまって……」
「えっと……そうなんですか……何故でしょうね」

 遥君は困ったようにキョロキョロと視線を泳がせた。

――手首とかを拘束するような器具……買わなくて良かった……遥君、多分、妙に似合いそうだし……

 遥君と交際して間もない頃、体を重ねるかもしれないので準備しておこうと思い、インターネットの通販サイトで様々な物を揃えた。通販サイトでは体を拘束するような器具も販売していたけれど、流石にそれは購入はしなかった。

――そういう物を買ってしまったら、僕の欲望がエスカレートしそうだからなあ

 彼を閉じ込めてしまいたいという薄暗い欲望があるので、拘束するような器具が僕の家にあると遥君の身が危ない。

「敬久さん……今、オレのこと、見ていたいんですよね」
「うん、遥君とこういうことするの、不思議って言うか……新鮮な感じがして……」
「ふふっ……新鮮さを感じてくれるのは嬉しいです……」
「うん……」

 嬉しそうに笑う顔が魅力的だったので、凝視していると遥君が近づいて来た。僕は彼の肩を撫でながら引き寄せた。

「どうしたの、遥君?」
「いや……敬久さんがオレを見ている間、あなたに触ったりしようかなって……」

 遥君はそう言うとアイマスクを着け直した。

「このまま状態であなたに色々するのも、新鮮じゃないですか……?」

 遥君の目はアイマスクで見えなかったけれど、口元が誘うように微笑んでいた。

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