【完結/R18】恋人として君と過ごす日々

テルマ江

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冬の訪れと高鳴る鼓動(此木視点)

※4

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「体の準備できているので……オレと……しませんか?」
「うん……したいな」

 耳元でそう囁くと、敬久さんはオレの背中を撫でながら返事をしてくれた。

「じゃあ、寝室行こうか……」

 敬久さんは体を離すと熱っぽい眼差しでオレを見てくるので、耐えられなくなって目をそらした。

「あの、今日は……ソファでしませんか……」
「え、かまわないけれど、どうしたの?」
「オレ……今日、色々考えて来て……この間、あなたにすごいことしたいって言ったじゃないですか……」
「あー……うん」

 呼吸が乱れそうになったので、一度大きく息を吸い込んだ。

「それで……したことない場所で……してみたいなって考えて……あと、もう一つ準備してきて」
「もう一つ?」

 敬久さんは興味深そうに聞き返して来た。

「……そ、その……し、下着……少し、やらしいやつっていうか……そういうのを………履いてきました……」

 喉は潤っているはずなのに声が枯れそうだ。オレは机の上に置いていたハーブティーをグッと飲み干した。

「…………今、履いているの?」
「はい……」

 敬久さんは口元に手を当ててオレの服をジッと見た。

「……見ますか?」
「うん」
「分かりました……変だなって思ったら言ってくださいね。すぐ脱ぎますから……」
「そんなこと思うわけないよ」

 敬久さんにそう言われてホッとした。

――良かった……でも実物を見て困惑されたらすぐに脱ごう……

 オレはモゾモゾとスウェットを脱ぎ、ソファの上に畳んで置いた。

「こういうやつです……」

 上に着ているTシャツで隠すようにしながら、少しだけ下着を見せた。

「そこだと見えないなあ。もっとよく見せてよ……ほら、こっち……」

 腕を引っ張られたので、ソファの上に膝立ちになった。
 
「紐で結ぶやつ?」
「はい……」
「……服、捲ってもっと見せて」

 オレの太腿を撫でながら欲望が滲んだ声色でそう言った。

「うぅ……こ、こうですか」
「もっと上まで捲って欲しいな」
「わ、分かりました……」

 オレはTシャツを胸の辺りまで捲り、敬久さんに体を見せた。

「どうでしょうか……」

 見せつけているような格好が恥ずかしくて目を泳がせた。下着は黒色のサラサラした生地で出来ており、両サイドを紐で結ぶタイプの物だ。布面積は少ないけれどちゃんと男性用の作りになっている。

「あの……敬久さん……」

 敬久さんはオレの太腿をぐにぐにと揉みながら下着を見ている。

「やっぱり、困りますよね……すみません、すぐ脱ぎますから……」

 さすがに困らせたかなと思い、下着を脱ごうとするとその手を止められた。

「全然困ってないから大丈夫だよ。遥君がさっきからこんな下着を履いていたんだなって思ったら、ずっと見ていたくなっちゃって……」

 オレの下着の紐を指で弄くりながら言った。

「そ、そうなんですね……」

 困惑されてはいないようなので、胸を撫でおろした。そういえば、先日アイマスクを付けていた時もしばらく見られていたなと思い出した。

「今日はここでするんだよね……僕、コンドームとか取って来るよ」

 敬久さんが立ち上がろうとするので、手を引っ張った。

「遥君?」
「……ゴムも潤滑剤も、そこにあるオレのカバンに入っています」
「ありがとう。そっちも準備してくれたんだね」
「いや……準備っていうか……いつも……その……持って来ていて……」
「うん?」

 敬久さんはオレの顔を見つめて首を傾げた。

「……ここに来る時は、いつも持って来ています。敬久さんの家にある分が、なくなっていたら使おうと思って……」

 オレは彼とそういったことをする機会を逃したくなくて、彼の家に行く時はいつもコンドームやら潤滑剤を荷物に忍ばせていた。

――このことは……彼に初めて言ったな……わざわざ言うことでもないけれど……知られたのは恥ずかしいな……

「……知らなかったな。……いつもって、もしかして、初めてした時も?」
「…………はい」
「遥君って本当に健気だよね」

 敬久さんはオレの太腿を優しく撫で、ふっと微笑んだ。

「んん……」

 手が内腿の辺りを指先で撫でて来るので、体が反応してしまった。

「内腿の痕、ちょっと薄くなって来たね」
「また、痕つけてください……」
「うん」 
「敬久さんもしたいことがあったら、何でも言ってくださいね……オレ、頑張りますから」

 給湯室でニヤついていた時に思い出した『ニーズをヒアリングして引き出す』という言葉を頭に浮かべながら言った。

「……そうだなあ」

 考える風にしながら、欲望が滲んだ瞳をオレに向けてくる。彼の顔は微笑んでいたけれど、少しだけ余裕がなさそうに見えた。

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