93 / 154
冬の訪れと高鳴る鼓動(此木視点)
7
しおりを挟む
「だ、大丈夫です、自分でやります……また、シャワーも浴びて来ますし……」
「うん、分かった」
敬久さんは慌ただしくしているオレを眺めながら目を細めると、下着の解けた紐を結んでくれた。
「敬久さん、服着ますか? それとも一緒にシャワー浴びに行きます?」
オレはティッシュの箱を置き、行為前に剥ぎ取った敬久さんの服をソファから拾い上げた。
「誘ってる?」
「ち、違います!わ、わぁ」
敬久さんは「そうなんだ」とクスクスと笑った。そしてオレを抱えてごろりと横になり、彼をソファの背もたれとオレで挟んでいる様な体勢になった。
「ごめん。体、まだ落ち着いていないよね」
彼はハッとして抱える手を離した。
「い、いえ、このくらいは大丈夫です……敬久さんも……体、辛くないですか?」
終わった後に敬久さんとイチャイチャするのは好きだ。けれど体の仕組み上、精を吐き出した後はどうしても気だるさや眠気に襲われてしまう。敬久さんも男なので体はまだ辛いはずだ。
「うん、そこまで辛くないから大丈夫」
「……そうですか。あ、服、着ないと風邪ひいちゃいますよ」
「ふふっ……じゃあ遥君が温めてよ」
敬久さんが色っぽく微笑んで片手を広げたので、何も考えず生身の胸にバッと飛びついてしまった。
「ふふっ……」
「す、すみません……! 今、欲に目が眩んでしまって……」
「ふ、ふふっ、遥君って、本当……楽しいよね」
「そんなに……笑わないでください……」
「ごめんね……ふっ……」
オレの髪に顔を埋めながら敬久さんは押し殺した様に笑った。
「君こそ下を履かないと風邪ひくよ?」
「……ぁ、う、……そ、そうですね……」
敬久さんは笑いながらオレの太腿をスリスリと撫でた。手を滑らせて楽しそうに下着の紐を摘んだり弾いたりしている。
――敬久さんに触られると……また体が反応しそうだ……いや、こんな風に撫でて来るのは……も、もしかしたら、敬久さんはまだしたいのだろうか? ……でも、オレは二回イッたし……三回は……いや、しかし……
オレが悶々とした思いを抱きながら、彼を見つめていると「どうしたの?」と聞かれた。
「……オレは二回イッたのに……敬久さんは、一回だったなあって……考えていて……」
「遥君?」
「や、やっぱり、敬久さんにも、もっと気持ち良くなって欲しいです……」
「遥君、落ち着いて?」
敬久さんはオレの太腿を撫でる手を止めた。彼の生身の胸は心臓の音が聞こえて心地良いのでギュッとしがみついた。
「……オレ……いっぱい、あなたのこと撫でたいんですが……良いですか……?」
「……ははっ」
敬久さんの顔は見れなかったけれど、彼の心臓の音が早くなったのが分かった。
「うん、分かった」
敬久さんは慌ただしくしているオレを眺めながら目を細めると、下着の解けた紐を結んでくれた。
「敬久さん、服着ますか? それとも一緒にシャワー浴びに行きます?」
オレはティッシュの箱を置き、行為前に剥ぎ取った敬久さんの服をソファから拾い上げた。
「誘ってる?」
「ち、違います!わ、わぁ」
敬久さんは「そうなんだ」とクスクスと笑った。そしてオレを抱えてごろりと横になり、彼をソファの背もたれとオレで挟んでいる様な体勢になった。
「ごめん。体、まだ落ち着いていないよね」
彼はハッとして抱える手を離した。
「い、いえ、このくらいは大丈夫です……敬久さんも……体、辛くないですか?」
終わった後に敬久さんとイチャイチャするのは好きだ。けれど体の仕組み上、精を吐き出した後はどうしても気だるさや眠気に襲われてしまう。敬久さんも男なので体はまだ辛いはずだ。
「うん、そこまで辛くないから大丈夫」
「……そうですか。あ、服、着ないと風邪ひいちゃいますよ」
「ふふっ……じゃあ遥君が温めてよ」
敬久さんが色っぽく微笑んで片手を広げたので、何も考えず生身の胸にバッと飛びついてしまった。
「ふふっ……」
「す、すみません……! 今、欲に目が眩んでしまって……」
「ふ、ふふっ、遥君って、本当……楽しいよね」
「そんなに……笑わないでください……」
「ごめんね……ふっ……」
オレの髪に顔を埋めながら敬久さんは押し殺した様に笑った。
「君こそ下を履かないと風邪ひくよ?」
「……ぁ、う、……そ、そうですね……」
敬久さんは笑いながらオレの太腿をスリスリと撫でた。手を滑らせて楽しそうに下着の紐を摘んだり弾いたりしている。
――敬久さんに触られると……また体が反応しそうだ……いや、こんな風に撫でて来るのは……も、もしかしたら、敬久さんはまだしたいのだろうか? ……でも、オレは二回イッたし……三回は……いや、しかし……
オレが悶々とした思いを抱きながら、彼を見つめていると「どうしたの?」と聞かれた。
「……オレは二回イッたのに……敬久さんは、一回だったなあって……考えていて……」
「遥君?」
「や、やっぱり、敬久さんにも、もっと気持ち良くなって欲しいです……」
「遥君、落ち着いて?」
敬久さんはオレの太腿を撫でる手を止めた。彼の生身の胸は心臓の音が聞こえて心地良いのでギュッとしがみついた。
「……オレ……いっぱい、あなたのこと撫でたいんですが……良いですか……?」
「……ははっ」
敬久さんの顔は見れなかったけれど、彼の心臓の音が早くなったのが分かった。
0
あなたにおすすめの小説
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる