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番外編
颯斗と龍哉の日常2. R18
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「おいで、颯斗」
手招きされると、従わずにはいられない。
先ほどと同じように龍哉の膝の上に体を投げたした。
どれほど叩かれるだろうか。トォーズは本当に久しぶりだ。耐えられるだろうか。
背中で握った手が汗ばんでくる。
「最近、少し生活が乱れていたね。しっかりルールを思い出させてあげないといけないな」
ウォームアップですでに熱を持った尻をトォーズの先で撫でられる。冷たい革の感触に、勝手に震えが走った。
確かに最近気が緩んでいた。お互いに忙しいのもあって、龍哉とはさ生活がすれ違っていた。見られていると思えば、自らを律することもできるが、自分一人だけだと思うと少しずつルールを疎かにしてしまっていたのは事実だ。龍哉との約束はかろうじて守っていたから、その場でお仕置きされてはいなかった。だいぶ見逃してくれていた、ようだ。
「声は我慢しなさい」
声を出せないのはつらい。体に力が入りやすくなって、痛みが増すから。
颯斗はかすかに頷いて、奥歯をしっかりと噛み締めた。
滑らかな革が颯斗の臀部を丸くなぞっては離れていく。何度か繰り返され、なかなかこない衝撃にふと息をついた瞬間、乾いた破裂音とともに皮膚がじんと熱くなった。
「――っぅ! ……」
懲罰のためではないからか、まだほとんど痛みは感じなかった。体の奥まで届く打擲ではなく、皮膚の上で弾けるような打ち方だ。
ゆっくりと時間をかけて、トォーズが振り下ろされる。一打ごとに少しずつ場所を変え、尻全体が均一に染まるように打たれた。そして、また初めの位置に戻ると今度は少しだけ強く打たれるのだ。
それを繰り返し、四周目が終わる頃には颯斗はじっとしていられなくなっていた。
「っ、……ぅぁ!」
声を堪えきれない。
尻が燃えるように熱かった。
「ゆる、して……、龍哉、さんっ」
思わず嘆願の言葉が口をついた。
これ以上されると、変なスイッチが入りそうだった。痛みが痛みだけではなくなってしまう。
「声は我慢しなさいと言ったはずだ」
冷淡な声が降ってきた。
打擲が止む。
(……しくった)
息も絶え絶えだが、マズイ状況になったことだけはわかっていた。
「躾をしなおした方が良さそうだね」
龍哉が颯斗の体を膝から下ろした。
崩れ落ちるように床に這った颯斗は、龍哉が手を伸ばしたテーブルを見た。
口枷を手に取り、龍哉はソファに座り直した。
「颯斗」
びくりと体が震えた。
慌てて姿勢を直す。膝をつき、背筋を伸ばした。龍哉の手に握られた口枷から目が離せない。
「どうして我慢できなかった?」
「ごめん、なさい」
「どうしてか、聞いているんだよ」
「っ……、痛くて、我慢できませんでした」
痛くて、苦しくて、熱くて、勝手に嘆願の言葉がこぼれ落ちてしまった。
「意志が足りなかった?」
「っ、はい」
我慢しろと言われたのだから、声を出してはいけなかった。どんなにつらくても我慢するように教えられた。言ってもいいのはセーフワードだけ、と骨身に染みたはずなのに。
颯斗は唇を噛んだ。
「こら、噛むんじゃない。颯斗、何一つ君が傷をつけていいものなどないんだよ」
奴隷のすべてはご主人様のものだからね、と龍哉が目元を細めた。
「意志が足りなかったのなら、手伝ってあげよう。――口を開けなさい」
颯斗は差し出された口枷を見つめて逡巡したが諦めるように目を閉じた。口を大きく開けると、シリコン製の棒のようなものを噛まされる。
(……あああっ! くそっ……)
声が出せないのは屈辱だ。唾液でドロドロになるのも羞恥心を煽る。
それに、言葉を奪われることは、自分自身の意志を奪われることに似ているような気がするのだ。龍哉の意志が颯斗を塗り替えていく。抗議の声も苦痛への呻きすら封じられ、されるがまま、龍哉の気持ち一つ。体を拘束されるよりも、言葉を奪われることの方がつらい。
「いい顔だ。躾の意味を、ちゃんと思い出させてあげよう」
龍哉が立ち上がり、颯斗にも立ち上がるように手で合図する。
忸怩(じくじ)たる思いで、颯斗はのろのろと指示に従った。
座ったままで鞭打たれるよりも立って行われる鞭打ちの方が百倍痛い。思い切り鞭を振り抜くことができるから、本気でやれば皮膚が裂けることもある。まさかメンテナスのスパンキングでそこまで打たれることはないだろうが、明日はまともに座れない可能性はある。
(くそっ! 油断した……)
後悔してもあとの祭り。
「ソファに手をつきなさい」
颯斗はゆっくりとソファに手をついた。
後ろに立つ龍哉からは全てが見えているだろう。無防備に背を向け、剥き出しの尻を差し出し、颯斗は諦めるようにそっと目を閉じた。
おわり
手招きされると、従わずにはいられない。
先ほどと同じように龍哉の膝の上に体を投げたした。
どれほど叩かれるだろうか。トォーズは本当に久しぶりだ。耐えられるだろうか。
背中で握った手が汗ばんでくる。
「最近、少し生活が乱れていたね。しっかりルールを思い出させてあげないといけないな」
ウォームアップですでに熱を持った尻をトォーズの先で撫でられる。冷たい革の感触に、勝手に震えが走った。
確かに最近気が緩んでいた。お互いに忙しいのもあって、龍哉とはさ生活がすれ違っていた。見られていると思えば、自らを律することもできるが、自分一人だけだと思うと少しずつルールを疎かにしてしまっていたのは事実だ。龍哉との約束はかろうじて守っていたから、その場でお仕置きされてはいなかった。だいぶ見逃してくれていた、ようだ。
「声は我慢しなさい」
声を出せないのはつらい。体に力が入りやすくなって、痛みが増すから。
颯斗はかすかに頷いて、奥歯をしっかりと噛み締めた。
滑らかな革が颯斗の臀部を丸くなぞっては離れていく。何度か繰り返され、なかなかこない衝撃にふと息をついた瞬間、乾いた破裂音とともに皮膚がじんと熱くなった。
「――っぅ! ……」
懲罰のためではないからか、まだほとんど痛みは感じなかった。体の奥まで届く打擲ではなく、皮膚の上で弾けるような打ち方だ。
ゆっくりと時間をかけて、トォーズが振り下ろされる。一打ごとに少しずつ場所を変え、尻全体が均一に染まるように打たれた。そして、また初めの位置に戻ると今度は少しだけ強く打たれるのだ。
それを繰り返し、四周目が終わる頃には颯斗はじっとしていられなくなっていた。
「っ、……ぅぁ!」
声を堪えきれない。
尻が燃えるように熱かった。
「ゆる、して……、龍哉、さんっ」
思わず嘆願の言葉が口をついた。
これ以上されると、変なスイッチが入りそうだった。痛みが痛みだけではなくなってしまう。
「声は我慢しなさいと言ったはずだ」
冷淡な声が降ってきた。
打擲が止む。
(……しくった)
息も絶え絶えだが、マズイ状況になったことだけはわかっていた。
「躾をしなおした方が良さそうだね」
龍哉が颯斗の体を膝から下ろした。
崩れ落ちるように床に這った颯斗は、龍哉が手を伸ばしたテーブルを見た。
口枷を手に取り、龍哉はソファに座り直した。
「颯斗」
びくりと体が震えた。
慌てて姿勢を直す。膝をつき、背筋を伸ばした。龍哉の手に握られた口枷から目が離せない。
「どうして我慢できなかった?」
「ごめん、なさい」
「どうしてか、聞いているんだよ」
「っ……、痛くて、我慢できませんでした」
痛くて、苦しくて、熱くて、勝手に嘆願の言葉がこぼれ落ちてしまった。
「意志が足りなかった?」
「っ、はい」
我慢しろと言われたのだから、声を出してはいけなかった。どんなにつらくても我慢するように教えられた。言ってもいいのはセーフワードだけ、と骨身に染みたはずなのに。
颯斗は唇を噛んだ。
「こら、噛むんじゃない。颯斗、何一つ君が傷をつけていいものなどないんだよ」
奴隷のすべてはご主人様のものだからね、と龍哉が目元を細めた。
「意志が足りなかったのなら、手伝ってあげよう。――口を開けなさい」
颯斗は差し出された口枷を見つめて逡巡したが諦めるように目を閉じた。口を大きく開けると、シリコン製の棒のようなものを噛まされる。
(……あああっ! くそっ……)
声が出せないのは屈辱だ。唾液でドロドロになるのも羞恥心を煽る。
それに、言葉を奪われることは、自分自身の意志を奪われることに似ているような気がするのだ。龍哉の意志が颯斗を塗り替えていく。抗議の声も苦痛への呻きすら封じられ、されるがまま、龍哉の気持ち一つ。体を拘束されるよりも、言葉を奪われることの方がつらい。
「いい顔だ。躾の意味を、ちゃんと思い出させてあげよう」
龍哉が立ち上がり、颯斗にも立ち上がるように手で合図する。
忸怩(じくじ)たる思いで、颯斗はのろのろと指示に従った。
座ったままで鞭打たれるよりも立って行われる鞭打ちの方が百倍痛い。思い切り鞭を振り抜くことができるから、本気でやれば皮膚が裂けることもある。まさかメンテナスのスパンキングでそこまで打たれることはないだろうが、明日はまともに座れない可能性はある。
(くそっ! 油断した……)
後悔してもあとの祭り。
「ソファに手をつきなさい」
颯斗はゆっくりとソファに手をついた。
後ろに立つ龍哉からは全てが見えているだろう。無防備に背を向け、剥き出しの尻を差し出し、颯斗は諦めるようにそっと目を閉じた。
おわり
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