色づく世界の端っこで

星夜るな

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第一章

11 番外編

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「あっ、香山先輩。おはよう。ねぇねぇ、なんで、軽音部に入部したの?なんで。」
と、上目遣いで聞いてきた。さっきまで泣いていたからか目が潤んでるままだ。仲野先生と同様に星井のギャップに驚きを隠せない。
「あぁ、それは、俺は特にやりたいことがなかったから、莉玖が軽音部に入りたいといったから、じゃあ、俺も、と思って入部しました。俺の家は、華道の名家でだいぶ反対されたんですけど、佐久先輩が説得してくれて、今があるんだと思います。」
と照れながら語った。
「う~んと。じゃあ、香山先輩にとってここの部は大事で、和中先輩、日伊野先輩も同じくらい好き?なんだね。」
「そうですね。認めたくはありませんが。」
と、顔を真っ赤にしながら、うなずいた。それを見て仲野先生は、心がポカポカになり微笑んだ。星井は、
「じゃあね、香山先輩。バイバイ。」
と。また次のターゲットを起こしに行くようだ。二人は、心の切り替えが、すごく早いなと一瞬思った。だが、その一言でここまでほっこりとした空気がガラリと変わり、今度こそ泣かせないように、慎重に聞いた。
「星井くん。もう寝ましょうか。もう十分なんでと、聞きましたよね。眠れないなら、私と寝ますか?」
と仲野先生が言うが、フリフリと頭を振り、拒否した。今度は、カヤマ先輩が、
「他に聞きたいことがあれば、聞ききます。莉玖のこともある程度なら知ってるので、。」
と行ったが、それも嫌らしく、二人してどうしょうと思ったとき、ついに星井が和中が寝ているところに向かって、顔面に枕を当ててしまった。
「んー。なんや。痛いな。」
と起きてしまった。
「どないしたんです?こんな夜中に?」
と聞いた。仲野先生が、
「すみません。実は、…。」
と、香山に説明したように事の経緯を話した。
「そうやったんか。気づかへんかったわ。ご苦労様やな。」
と、冗談交じりに言った。今まで黙っていた星井が、
「おはよう!和中先輩。あのさ!なんでなんで、軽音部に入部しょうと思ったの?」
と聞いてきた。やはり、和中も星井の笑顔にびっくりしたが、すぐに、
「それはな。」
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