色づく世界の端っこで

星夜るな

文字の大きさ
14 / 87
第一章

14

しおりを挟む
軽音部に入部させられて、初めての土曜日。朝七時に寮を出ようとすると玄関には虎田さんがいた。
「おー。おはようさん。朝早いな。どっか出かけるのか。」
「はい。」
と短い返事をした。(流石に、朝はそこまで元気は出ないか。)すると、虎田さんは、少し困った風に笑いながら、
「気をつけていくんだぞ。」
と言ってくれた。歩きで三十分経つと今日目指していた場所についた。そこは、『星井児童施設』と書かれている。ここは、僕が育った施設だ。もう施設と言うより、家と言ってもいいと思う。すると、中から人が出てきた。
「おはよう。彩人兄。久しぶり!少し痩せたかな?」
と気遣ってくれる。
「おはよう。大丈夫だよ。あおい。」
というと、碧は、プゥ~と頬を膨らませ
「彩人兄の大丈夫は。全然信用ならないんですけど。」
と言ってきた。碧は、短い黒髪で、体が細くよく女の子に間違われるらしく、服装は、シンプルが多いが、言葉遣いが可愛いので、意味があるのか。と疑問に思っているが、秘密だ。
ちなみに、十四歳で、中学二年生だ。まだ、彼女はいないらしい。ボーッとしていると、碧が、
「彩人兄はさ。もう施設出ていったんだし、手伝いに来なくても大丈夫なのに。」
と真剣な顔で話した。
「うん。でもね。今までお世話になったし、ここをほんとの家だと思ってるから。そう思ってるんだけど、もうここに来たら駄目?」
と聞くと、頭をすごい速さで横に振った。
「それは嬉しいよ。ありがとう。」
「いえいえ。」
と返す。唯一、こうして長く喋ったり、言葉遣いが和らぐのは、碧だけで、喋っていると、ストレスから開放されて、心がポカポカになる。ただ変わらないのは、無表情だけだ。
「そういえば、碧。今日僕ここに来ると入ってないはずなんだけど、なんで起きてるの?休みは、起床、八時でしょう?」
と、疑問に思ったことを、尋ねると
「うん。、言ってないよ。ただ、彩人兄が来る気がして、早く起きちゃった。」
と笑いながら。あー癒やされる。と、平和だな。なんて思っていた。しかし、数分後まさか。この人たちが、ここに居るなんて。想像していなかった。そして、朝、虎田さんが困っているような、笑顔を見せた理由を聞いとけばと思った瞬間だった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...