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第一章
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あの場所とは、碧と僕が初めてであった場所だ。施設の右側の方にある階段をのぼると、付近一帯が見渡せる丘がある。名前は、星丘という。普通に、星丘といえばいいのだが、僕達は、親しみを込めて『あの場所』と言葉を濁して言っている。ようやく丘のてっぺんにつくと、今まで無言だった碧が手を離して、
「彩人兄はさ。僕にここの施設にいてほしい?」
と、うつむきながら尋ねる。その言い方からある理由が浮かんだ。少し考えたところで、
「もしかしてだけど、碧。養子縁組の話きてたりする?」
そう聞くと、少しだが、頷いてくれた。
「そうか。そうなんだ。僕としては、今まで碧と出会ってから色々と、助けてもらった。そしてこれからも、出来れば一緒にいたいと思う。だって…。何でも話せるの碧だけで、助けてくれたのも碧だから…。」
そう話して言葉に詰まる。碧は、そっと顔を上げて、驚いた顔をした。そして、困り顔で、笑うと、
「彩人兄。泣きそうな顔になってる。昔みたいに、顔に表情出てるよ。そんな顔してると、泣けないよ。」
と言った。その言葉で、いつも無表情な顔が、泣きそうな顔していることを。自覚すると、視界がぼやけてきた。でも泣かない。言わないと。(でも、でも…。)
「でも、養子縁組を話を受ける。受けないしにしても、いつか、離れることだってある。一緒にいたいから…。そういう理由で、片付く話じゃない。だから、僕の気持ちより、碧が、よく自分の気持ちを知って、どうしたいのが考えて。僕に言えるのはそれだけだから。」
と、久しぶりに、自分の気持ちを言葉に表せたと思う。それを聞いて、
「うん。そうする!」
と、希望を持った力強い顔、目になった。それを見た瞬間。(もう出会った頃の、幼く泣き虫な碧はいない。でも、少し寂しがり屋で、自分の意志を持っている碧は、ここにいる。僕達は子どもじゃない。そして向き合わなければだめなんだ。)そう思った。そして、丘を二人手を取って、思い出話に花を咲かせる。
施設に帰ったあと、僕は、ある人たちの存在を忘れていたことに気づいた。唯菜先生は、何をしてきたのかわかっているように、ニコリと笑う。
「彩人兄はさ。僕にここの施設にいてほしい?」
と、うつむきながら尋ねる。その言い方からある理由が浮かんだ。少し考えたところで、
「もしかしてだけど、碧。養子縁組の話きてたりする?」
そう聞くと、少しだが、頷いてくれた。
「そうか。そうなんだ。僕としては、今まで碧と出会ってから色々と、助けてもらった。そしてこれからも、出来れば一緒にいたいと思う。だって…。何でも話せるの碧だけで、助けてくれたのも碧だから…。」
そう話して言葉に詰まる。碧は、そっと顔を上げて、驚いた顔をした。そして、困り顔で、笑うと、
「彩人兄。泣きそうな顔になってる。昔みたいに、顔に表情出てるよ。そんな顔してると、泣けないよ。」
と言った。その言葉で、いつも無表情な顔が、泣きそうな顔していることを。自覚すると、視界がぼやけてきた。でも泣かない。言わないと。(でも、でも…。)
「でも、養子縁組を話を受ける。受けないしにしても、いつか、離れることだってある。一緒にいたいから…。そういう理由で、片付く話じゃない。だから、僕の気持ちより、碧が、よく自分の気持ちを知って、どうしたいのが考えて。僕に言えるのはそれだけだから。」
と、久しぶりに、自分の気持ちを言葉に表せたと思う。それを聞いて、
「うん。そうする!」
と、希望を持った力強い顔、目になった。それを見た瞬間。(もう出会った頃の、幼く泣き虫な碧はいない。でも、少し寂しがり屋で、自分の意志を持っている碧は、ここにいる。僕達は子どもじゃない。そして向き合わなければだめなんだ。)そう思った。そして、丘を二人手を取って、思い出話に花を咲かせる。
施設に帰ったあと、僕は、ある人たちの存在を忘れていたことに気づいた。唯菜先生は、何をしてきたのかわかっているように、ニコリと笑う。
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