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第一章
17 碧
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僕は、星井碧。中学二年生。星井児童施設に入っている。僕の両親は、仲がよかった。しかし、二つ下の妹ができると一変した。両親は、妹だけを可愛がり、僕のことは二の次にするようになった。それでも僕は、両親といれる。それだけで満足だった。しかし、それは、突然に終わりを迎える。妹の誕生日の日だった。当時僕は、六歳。妹は、四歳。外食して帰る途中で、居眠り運転をしていた、五十六歳の男性が、トラックのまま僕達の車に突っ込んできた。奇跡的に、僕は、助かり、現在の僕の居場所。星井児童施設にやってきた。それは、雪が降る日のことだった。僕は、家族を失って、知らない場所へと行く不安で心が押しつぶされそうだった。唯菜先生は、僕を優しく迎えてくれたが、信じたくなくて星丘と呼ばれる場所に逃げてしまった。そこには、先客がいた。どうやら、周りに見える風景を眺めている。目元を隠していたサラサラの髪が、風になびき、目元が見えた。その瞬間、涙がポロポロこぼれ落ちた。見る人によれば、その顔は、何も感じない無表情に見えるだろう。しかし、僕には、悲しげな。今にも泣きそう。助けてと言いたげな。でも言えない。そんな顔に見えた。そうか。ここは、同じような人が集まる場所なんだ。と理解した。僕だけじゃない。そう思っていると、その人が、僕に気づいた。そして、少し驚いたような顔をして、笑った。
「こんにちは。今日くる予定の子でしょ。僕は、彩人。八歳だよ。よろしく。ここは寒いから、戻ったほうがいいよ。迷ったなら、一緒に戻ろう。」
と言ってくれた。どうやら、迷子認定を受けたようだ。寒いから戻ったほうが…って、彩人もなのに。
「うん。僕は、碧です。六歳。よろしくね!えっーと。彩人兄。」
と笑顔で返した。不思議と、この人とは仲良くやれそうだ。そう思った。
「こんにちは。今日くる予定の子でしょ。僕は、彩人。八歳だよ。よろしく。ここは寒いから、戻ったほうがいいよ。迷ったなら、一緒に戻ろう。」
と言ってくれた。どうやら、迷子認定を受けたようだ。寒いから戻ったほうが…って、彩人もなのに。
「うん。僕は、碧です。六歳。よろしくね!えっーと。彩人兄。」
と笑顔で返した。不思議と、この人とは仲良くやれそうだ。そう思った。
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