色づく世界の端っこで

第一章

44

「わかりました。」

僕にはそういうしかなかった。

あの頃のように…。

「お前の家で話すか。どうせアパートだろ。」

「いや、寮なので…。」

「はぁ～～。使えねえな。じゃあファミレスでいいか。お前が奢れよ。俺は一切払わないからな。」


「…。」


「返事しろよ。はい。だろ。」


「…はい…。」

「最初からそういえよ。面倒くせーな。」


学校から近いファミレスについた。

「なぁに頼もうか。…。俺はコーヒーにしとくか。お前は。」

「僕は、水で大丈夫です。」


「なんだつまんねぇな。まあいいか。」

「おまたせしました。コーヒーです。ごゆっくりどうぞ。」

微笑みかけながら定員さんはそう言って頭を下げた。


「じゃあ。話進めるか。お前さ。俺んとこな来いよ。あんな場所いても、意味ねぇだろ。だったら俺んとこ住んでお金を渡したほうがいいだろ。あんな親いないろくでもないやつがいたところなんてな。ハハ。」

「行きませんよ。僕は、あの場所が大切ですから。話それだけみたいなので、失礼します。」

僕は、素早くカバンを持ちそこを立ち去る。今回は仕方なくコーヒー代を払った。

「おい！！ふざけんな。ちょっと待…。」


父は、キレて僕の胸元を掴もうとしたが人の目があることに気づき。

「覚えとけよ。」

その一言ですんだ。




ファミレスを出ると安心して、ため息をついた。
そして、唯菜先生に、電話をかけた。


プープルループルル。

「あっ。もしもし。彩人です。」

「あら。珍しいわね。どうしたの？」

「今日、僕の父とあったのでもしかしたらそっちに行くかもしれないので気をつけてほしくて。」

「…そうなのね。あの時と同じことを言ってたの？」

「はい。今回は、なんともなかったんですが…。」

「…そう。…彩人は、大丈夫？こっちのことは、私に任せなさい。気をつけるのよ。」

「はい。それと、このことはあ」

「碧に言わないで。よね。もちろんよ。今週来てくれるのを楽しみにしているわ。」

「ありがとうございます。」





僕は、携帯をしまいながら、もう、父に会いませんようにと。


仮にも平和だった生活が進みますようにと。


願いながら寮まで帰っていった。