色づく世界の端っこで

星夜るな

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第一章

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彩人と、空は部室に入ってきた。
そして、オレンジジュースを渡されて飲んだ。


「「ありがとうございます。」」

お礼を言っている星井は、少し顔がこわばっていた。



「この前は、本当にありがとうございました。あのときのことを簡単に話すと、あれは、父親です。」


そう言うと、みんな?が頭に浮かんでいた。それもそのはずだ。
施設に関わってきていない僕らは、事情を詳しく知らない。

「でも、彩人親いなかったんじゃ?」
不思議に思い、鈴兎が聞いた。


「僕の場合は、両親は、二人共生きています。」

「そうだったんだ。」
なるほどとみんなうなずいた。



そして、星井は、続きを話した。


「昔は、父と母と僕の3人暮らしだったけど、父のほうが浮気症でよく女の人がコロコロ変わってた。そして、いつも、癖のある女の人で、母も耐えてはいたが僕が五歳の頃とうとう母が離婚して新しい人と結婚して僕だけが一人ぼっちというか。母は、新しい人との子がいるから、一緒に連れていけないって言われて。父にも、無理出てけて言われて。ここに来たんだ。…というわけです。」




皆、泣くのを我慢していた。
あまりに想像ができない。その事情に…。
僕らは、何かしらの大きなものを背負っているけれど、頑張れるのは、家族…両親がいるからだ。

当たり前のその存在に…。

簡単に、『大丈夫?』なんて言えない。

だから、みんな下を向いて…いる。


「彩人兄。それで、なんでその父親が来てたの?」


そう。僕達もそれが聞きたかった。


「その後、施設に入って、僕、ピアノコンクールとか、作詞作曲とかでたくさんの賞金とか、依頼とか来て…それで、多分だけど、僕といれば、お金がたくさんもらえる。そう思ったんだと思う。だから、父親が一緒に暮らす代わりにお金を稼いでこい。って言われてて…。「何それ!!意味わからない!彩人兄!それ受けないよね!」行かない。一回落ち着こう。」

碧は、はっとして
「ごめん。」

少しショボーンとしていた。

僕達は、また下を向いた。今度は、涙ではなく怒りを鎮めるために。

星井の父親をなんでそんなことしたんだって怒りに任せて殴りたい。

けれど、それでは、解決できない。
何もできない。それを噛みしめるように。


「星井くんこの話、少しこちらで預からせてもらってもいいですか?」

「はい。」


「ありがとうございます。こちらでも、対策考えて行きます。」



「ありがとうございます。」



「星井くん。今失礼なこと考えました?」


「いえ。」


「そうですか。では、今日は解散ですね。さよなら。」


ぞろぞろと僕らは部室をあとにした。
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