色づく世界の端っこで

第一章

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まず最初に卵焼きに手を伸ばす。ゆっくりと口の中に放り込むと……。
だしの味が口いっぱいに広がる。
思わず
「美味しい。」
と呟いてしまった。


「ほんと？！美味しい？良かった。」

笑みを浮かべて僕にグイグイと近づいてくる。


「近い…。」

「ごめん。」
言い方きつかったかな。
なんて思っていると


「彩人兄！このほうれん草のおひたし食べてみて！好きだったでしょ？」

「一番美味しい。」


なんて言う会話を食べるたび言っていると横から笑い声が


「良かったですね碧くん。」

なんて仲野先生がいうから少し恥ずかしくなったのは秘密だ。


「こっちも美味しいです。どうやって作ったか後でレシピ教えてください」

「わかりました。」


ほのぼのとした会話が碧と香山先輩との間で流れる。

寅田さんと和中先輩はというと

「美味しいですね。」

「そうだな。俺は料理無理だから尊敬するな。」

「僕も苦手で…。」

「そうか。まあ、たまには自分で作ってというのもいいかもな。」

「どうせなら一緒に来週あたりしますか？」

「そうしょう」


僕はその会話を聞きながらゾッとした。

何故かというと和中先輩は施設で朝ごはんを作るとき猫の手も知らなかったようだし。実際切るとこをみると危ないという感想しかない。今度二人でしているところを見たら和中先輩、仲野先生に教えようと心に決めた。

日比野先輩、夏海くんはというと

「この卵焼き美味しい。」

「久しぶりに鈴兎と料理でもしょうかな？」

「楽しみですね。何作ります？」

「ん……。ハンバーグとかは？好きだったでしょ？」

「それにしましょう！」

「楽しみだね。」

なんて言う会話を…。
鈴兎の会話のように僕のことを考えてほしかった…。
今まで何回振り回されてきたことか。


そして、最後はみんなで


「ごちそうさまでした。」