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イザナギ学院一年生編
第30話 一心同体
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「そして、俺の娘を誑かす害虫だなッ!?」
「王!?」
「お父様!?」
そう言って剣を片手に突撃してくるギルバートを身を捻って避け、ギルバートが扉に顔面から激突する様を見ながら、俺は呟いた。
「いや、そもそも誑かして無いから……」
――コイツ、マジか。
――ん? どうした?
――いや、別に……。
時期的には、もうそろそろソフィアが龍斗の事を気になっている頃だろう。んで、ルート選択によっては先に、学園祭で着るメイド服を龍斗だけにお披露目するミニイベントがもうそろそろのハズ……やっぱ龍斗、お前はナニとは言わんがもげろ。
――ソフィアとは友達ではあるけど、アイツ別のヤツが好きだからなぁ……。
――は?
なんかおかしい事を言っただろうか? 外見普通の中身がもうそろそろ40になるおっさんに、一国の王女様が惚れるわけないだろ。どう考えても、鈍感で難聴。デリカシーもないけどイケメンで、強くて優しい主人公が身近に居たら、ソイツに惚れるに決まってる。……もう既に姉さんも龍斗に惚れてたりすんのかなぁ。
――いやいや、俺みたいなパッとしないダサい奴に惚れるわけ無いだろ? なんだ? あんまりにもモテない俺をからかってるのか? それとも、まさかギャルゲーのやりすぎで男女の友情は必ず恋に発展する! なんて迷信信じてるのか? プッ、強欲の龍様がそんな迷信信じる訳ないですもんね!
――……。
俺が脳内でアウァリティアをからかうと、アウァリティアが実体化してくる。
「お前なにをッ!?」
俺が急に実体化して来た事に驚いた瞬間、アウァリティアの吐いた炎で黒焦げになった。
「いや、なんで?」
「アッハハハハハ! ざまあないな! 今だッ!」
ギルバートが俺の隙を突くようにして、魔銃を取り出した瞬間。
黒焦げになり、茫然とした俺を庇うようにイアが立ちふさがった。
「主は私が守る」
「どいてくれ嬢ちゃん。俺はコイツを殺らなきゃいけないんだ!」
「だったら、私が相手になる」
そのまま硬直状態に陥るかと思われたが……。
「なにをやってるのカナ? お父様?」
黒い笑みを浮かべたソフィアが、いつの間にか俺の隣に居た。
「待て! 待つんだソフィア! 話を聞いてくれ! だってコイツ、複数の女性を自宅に侍らせてるんだろ!? だからパパは、汚物がソフィアに手を出す前に……!」
――いや、悪意のある言い方だな。
「側室が沢山いるお父様だけには言われたくないかなー」
「グッ」
「前に、お父様が城を抜け出していけないお店に行ってたこと、お母様に言いつけちゃおっかな。後、お父様の書斎にある……」
「申し訳ありませんでした。それだけはご勘弁を」
ギルバートは、魔銃を懐にしまって土下座した。
――ソフィア、恐ろしい子。
俺は心の中で戦慄しながら、ソフィアだけは絶対に敵に回してはいけないと心に刻んだ。
「ところで悠馬? イアと一日でずいぶん仲良くなったんだね」
「え? あ、ああ」
「そういえば、イアは一昨日の夜。どこにいたのカナ?」
――へ?
「イアなら……」
「一昨日なら、主と一緒に寝た」
――イアさん? その言い方は……。
「へえ……そうなんだ」
「ち、違うぞソフィア! いかがわしい意味じゃなくてだな!」
「イアって確か、悠馬の好みを反映してるんだもんね? ……ねえ悠馬」
「はい」
俺は黒い笑みを浮かべるソフィアの圧力に負けて、気がつけば正座していた。
「後で、詳しくお話聞かせてね!」
「はい……」
俺が正座していると、土下座していたギルバートが顔を上げて言う。
「取り敢えず、聖人には認定してやる。だが、絶対に俺の娘はやらんぞ! 俺の娘が欲しければ俺を倒してからにしやがれ! このハーレム野郎!」
――ハーレム野郎じゃねえし、そのセリフいう先間違えてんぞギルバート。原作通り龍斗に言ってやれ。後聖人認定? 聞いてない聞いてない、いつの間にそんな面倒なもん貰う話になってんだ!
「後は、あのお方と会ってこい。それでお前は晴れて世界に20人といない聖人の仲間入りだ。どうだ? 嬉しいだろ」
――嬉しくないから。てか、ギルバートがあのお方っていうレベルの奴って一体……?
「敵に塩を送るような真似で興は乗らんがな。全く、何が悲しくて娘とハーレム野郎の身分を釣り合うようにせにゃならんのだ……」
「うーん、学生時代のお父様のお話を知ってる身としては。お父様に人のことを言う権利はないんじゃないかな」
ソフィアはそう言うと、ギルバートを引きずっていく。
「ま、待ってくれ! 俺はコイツと違って皆に誠実だぞ! レイラもリリーも希美もケイトも皆ちゃんと側室として……」
「それじゃあ私はお父様とお話があるから。イドラ様の所に悠馬を案内して」
「かしこまりました」
ソフィアがそう言うと、脇に控えていた執事が答えた。
「それじゃ悠馬、また日本で!」
「お、おう……」
俺が呆然としていると、先ほどの執事が声を掛けてきた。
「それでは鈴木悠馬様、ご案内いたします」
「あ、はい。お願いします」
俺が執事に着いていくと、城の地下に案内された。
――ここで処刑されるわけじゃないよな……。
――そんなわけないだろ、イドラと会うと言っていたではないか。
俺がイドラとは誰の事なのかアウァリティアに聞こうとしたその時、俺と手をつないでいるイアが口を開いた。
「確かにイドラの気配を感じる。まさか本当にここにいるなんて」
「えっと、イアはイドラって誰か知ってるの?」
「イドラは支配領域を無理やり広げるために、ヨグ=ソトースが色んな星の生物を殺しまわったことに反対して出てった、私達の同類。
「それがなんでこの国の重要人物みたいに?」
――イドラはあちら側の神でありながら、大昔天界にまずヨグ=ソトースが侵攻してきた際にこちら側として活躍したことで、こちら側の神として迎えられた女神だ。お前も名前くらい聞いたことぐらいあるだろうが。
――あー……。名前だけなら。
「この先が、イドラ様のお待ちしている神殿でございます」
そしていよいよ、俺達は神殿の前まで辿り着いた。
「んじゃ、行くか」
「ん」
イアと手をつなぎながら、俺は神殿の奥まで進む。
「よく来ましたね、鈴木悠馬」
神殿の奥に辿り着くと天幕のようなものがあり、そこから声が響いてきた。
「久しぶり、イドラ」
「ナイアーラトホテップ、本当に貴方なのですか?」
「ん」
「また随分と変わりましたね……今の貴方は、外見だけではなく中身まで変容している。あなたにいったい何が? 何故精神の構造が殆ど人間と同じように?」
「ヨグ=ソトースとその配下たちと戦って力を失いかけた時に、主の。人間の精神や感情を読み取ったせいでこうなった」
「なるほど……。それにしても驚きです。常に周りを蔑み嘲笑している癖に、全てに無関心だった貴方がヨグ=ソトースと争ったのも驚きですが、何よりも人間を生き物全てを虫けら扱いしないどころか、人間に心を許すだなんて……そんな事、以前までなら天地がひっくり返ってもあり得ないと思っていました」
――もうそろそろ良いかな?
「あのー」
「あぁ申し訳ありません。あり得ないものを目にしてつい……。私が貴方を呼んだ理由はただ一つ、何故そこまでして力を得ようとするのですか? それを私は確認しなければなりません」
――なんだ、そんな事の為に呼ばれたのか? そんな事決まってる、それは……。
「大切な人達を守るために、目の前に立ちふさがる理不尽を打ち砕くためだ」
「ですが、貴方は自分と何一つ関わり合いのない人間まで助けている。名声の為ですか? 助けることが将来自分にプラスになると考えているから? 義務だから? それとも……偽善?」
「さあな、そんな事深く考えたことねえよ。それに……」
「それに……?」
「俺はしたい事をして、助けたいから助けてきただけだ。魂が叫ぶんだよ、こいつを死なせたくねえって。だから、助けたくねえなコイツって思ったら助けないんじゃないか? 多分」
「貴方の意思はどこまでも汚れなく、愚直で真っ直ぐなのですね。まるで遠き日のあの人やあの子を見ているよう……」
――誰だそれ。
「ありがとうございます。貴方が邪な者ではない事がよくわかりました。もし貴方が必要とするなら、私は全力で貴方の力となりましょう。鈴木悠馬」
「よく言う、主に読心術まで使っておいて」
――なにそれ、そんなの使われてたの!? 嘘ついてたらどうなってたんだ!?
「イドラよ」
そこで終わりかと思われたその時。
「ロト!?」
一昨日からだんまりを決め込んで、一切反応しなかったロトが実体化した。
「アスタロトですか……」
「我はイドラに聞かねばならぬことがある。すまぬが悠馬。我が話している間、外に出てくれぬか?」
「え? お、おう? もういいのか? イドラさんとやら」
「ええ、私が貴方に聞きたかったのはそれだけです」
「了解、それじゃあ俺は外に出てるから」
そして暫くすると、ロトが神殿の奥から出てきた。
「もう大丈夫、なのか?」
「うむ、少なくとも我の中では答えが出た」
「そうか……」
俺はそれだけを聞くと、イアと手を繋いで歩き出す。
「悠馬」
「なんだ?」
「乗っ取られかけたとは言え、我が昔やったことは許されることではない。亡くなられたソロモン様に顔向けも出来ん。だが……罪を許されることはなくとも、例え悠久の時をかけようとも我は少しづつ罪を償っていこうと思うのだ。どうすればいいのかはまだわからぬがな」
「そっか……じゃあどうすればいいのかを見つけるためにも、長生きしないとな。仕方ないからその長い旅、俺も付き合うぜ。相棒」
「待て悠馬、お前が付き合う必要など……」
「何言ってんだ、俺達は一心同体だろ? 文字通り、な。それにさっきも言っただろ、俺はしたい事をするだけだ」
「すまぬ……」
「おいおい泣くなって」
その後、俺達は日本へと帰還した。
「王!?」
「お父様!?」
そう言って剣を片手に突撃してくるギルバートを身を捻って避け、ギルバートが扉に顔面から激突する様を見ながら、俺は呟いた。
「いや、そもそも誑かして無いから……」
――コイツ、マジか。
――ん? どうした?
――いや、別に……。
時期的には、もうそろそろソフィアが龍斗の事を気になっている頃だろう。んで、ルート選択によっては先に、学園祭で着るメイド服を龍斗だけにお披露目するミニイベントがもうそろそろのハズ……やっぱ龍斗、お前はナニとは言わんがもげろ。
――ソフィアとは友達ではあるけど、アイツ別のヤツが好きだからなぁ……。
――は?
なんかおかしい事を言っただろうか? 外見普通の中身がもうそろそろ40になるおっさんに、一国の王女様が惚れるわけないだろ。どう考えても、鈍感で難聴。デリカシーもないけどイケメンで、強くて優しい主人公が身近に居たら、ソイツに惚れるに決まってる。……もう既に姉さんも龍斗に惚れてたりすんのかなぁ。
――いやいや、俺みたいなパッとしないダサい奴に惚れるわけ無いだろ? なんだ? あんまりにもモテない俺をからかってるのか? それとも、まさかギャルゲーのやりすぎで男女の友情は必ず恋に発展する! なんて迷信信じてるのか? プッ、強欲の龍様がそんな迷信信じる訳ないですもんね!
――……。
俺が脳内でアウァリティアをからかうと、アウァリティアが実体化してくる。
「お前なにをッ!?」
俺が急に実体化して来た事に驚いた瞬間、アウァリティアの吐いた炎で黒焦げになった。
「いや、なんで?」
「アッハハハハハ! ざまあないな! 今だッ!」
ギルバートが俺の隙を突くようにして、魔銃を取り出した瞬間。
黒焦げになり、茫然とした俺を庇うようにイアが立ちふさがった。
「主は私が守る」
「どいてくれ嬢ちゃん。俺はコイツを殺らなきゃいけないんだ!」
「だったら、私が相手になる」
そのまま硬直状態に陥るかと思われたが……。
「なにをやってるのカナ? お父様?」
黒い笑みを浮かべたソフィアが、いつの間にか俺の隣に居た。
「待て! 待つんだソフィア! 話を聞いてくれ! だってコイツ、複数の女性を自宅に侍らせてるんだろ!? だからパパは、汚物がソフィアに手を出す前に……!」
――いや、悪意のある言い方だな。
「側室が沢山いるお父様だけには言われたくないかなー」
「グッ」
「前に、お父様が城を抜け出していけないお店に行ってたこと、お母様に言いつけちゃおっかな。後、お父様の書斎にある……」
「申し訳ありませんでした。それだけはご勘弁を」
ギルバートは、魔銃を懐にしまって土下座した。
――ソフィア、恐ろしい子。
俺は心の中で戦慄しながら、ソフィアだけは絶対に敵に回してはいけないと心に刻んだ。
「ところで悠馬? イアと一日でずいぶん仲良くなったんだね」
「え? あ、ああ」
「そういえば、イアは一昨日の夜。どこにいたのカナ?」
――へ?
「イアなら……」
「一昨日なら、主と一緒に寝た」
――イアさん? その言い方は……。
「へえ……そうなんだ」
「ち、違うぞソフィア! いかがわしい意味じゃなくてだな!」
「イアって確か、悠馬の好みを反映してるんだもんね? ……ねえ悠馬」
「はい」
俺は黒い笑みを浮かべるソフィアの圧力に負けて、気がつけば正座していた。
「後で、詳しくお話聞かせてね!」
「はい……」
俺が正座していると、土下座していたギルバートが顔を上げて言う。
「取り敢えず、聖人には認定してやる。だが、絶対に俺の娘はやらんぞ! 俺の娘が欲しければ俺を倒してからにしやがれ! このハーレム野郎!」
――ハーレム野郎じゃねえし、そのセリフいう先間違えてんぞギルバート。原作通り龍斗に言ってやれ。後聖人認定? 聞いてない聞いてない、いつの間にそんな面倒なもん貰う話になってんだ!
「後は、あのお方と会ってこい。それでお前は晴れて世界に20人といない聖人の仲間入りだ。どうだ? 嬉しいだろ」
――嬉しくないから。てか、ギルバートがあのお方っていうレベルの奴って一体……?
「敵に塩を送るような真似で興は乗らんがな。全く、何が悲しくて娘とハーレム野郎の身分を釣り合うようにせにゃならんのだ……」
「うーん、学生時代のお父様のお話を知ってる身としては。お父様に人のことを言う権利はないんじゃないかな」
ソフィアはそう言うと、ギルバートを引きずっていく。
「ま、待ってくれ! 俺はコイツと違って皆に誠実だぞ! レイラもリリーも希美もケイトも皆ちゃんと側室として……」
「それじゃあ私はお父様とお話があるから。イドラ様の所に悠馬を案内して」
「かしこまりました」
ソフィアがそう言うと、脇に控えていた執事が答えた。
「それじゃ悠馬、また日本で!」
「お、おう……」
俺が呆然としていると、先ほどの執事が声を掛けてきた。
「それでは鈴木悠馬様、ご案内いたします」
「あ、はい。お願いします」
俺が執事に着いていくと、城の地下に案内された。
――ここで処刑されるわけじゃないよな……。
――そんなわけないだろ、イドラと会うと言っていたではないか。
俺がイドラとは誰の事なのかアウァリティアに聞こうとしたその時、俺と手をつないでいるイアが口を開いた。
「確かにイドラの気配を感じる。まさか本当にここにいるなんて」
「えっと、イアはイドラって誰か知ってるの?」
「イドラは支配領域を無理やり広げるために、ヨグ=ソトースが色んな星の生物を殺しまわったことに反対して出てった、私達の同類。
「それがなんでこの国の重要人物みたいに?」
――イドラはあちら側の神でありながら、大昔天界にまずヨグ=ソトースが侵攻してきた際にこちら側として活躍したことで、こちら側の神として迎えられた女神だ。お前も名前くらい聞いたことぐらいあるだろうが。
――あー……。名前だけなら。
「この先が、イドラ様のお待ちしている神殿でございます」
そしていよいよ、俺達は神殿の前まで辿り着いた。
「んじゃ、行くか」
「ん」
イアと手をつなぎながら、俺は神殿の奥まで進む。
「よく来ましたね、鈴木悠馬」
神殿の奥に辿り着くと天幕のようなものがあり、そこから声が響いてきた。
「久しぶり、イドラ」
「ナイアーラトホテップ、本当に貴方なのですか?」
「ん」
「また随分と変わりましたね……今の貴方は、外見だけではなく中身まで変容している。あなたにいったい何が? 何故精神の構造が殆ど人間と同じように?」
「ヨグ=ソトースとその配下たちと戦って力を失いかけた時に、主の。人間の精神や感情を読み取ったせいでこうなった」
「なるほど……。それにしても驚きです。常に周りを蔑み嘲笑している癖に、全てに無関心だった貴方がヨグ=ソトースと争ったのも驚きですが、何よりも人間を生き物全てを虫けら扱いしないどころか、人間に心を許すだなんて……そんな事、以前までなら天地がひっくり返ってもあり得ないと思っていました」
――もうそろそろ良いかな?
「あのー」
「あぁ申し訳ありません。あり得ないものを目にしてつい……。私が貴方を呼んだ理由はただ一つ、何故そこまでして力を得ようとするのですか? それを私は確認しなければなりません」
――なんだ、そんな事の為に呼ばれたのか? そんな事決まってる、それは……。
「大切な人達を守るために、目の前に立ちふさがる理不尽を打ち砕くためだ」
「ですが、貴方は自分と何一つ関わり合いのない人間まで助けている。名声の為ですか? 助けることが将来自分にプラスになると考えているから? 義務だから? それとも……偽善?」
「さあな、そんな事深く考えたことねえよ。それに……」
「それに……?」
「俺はしたい事をして、助けたいから助けてきただけだ。魂が叫ぶんだよ、こいつを死なせたくねえって。だから、助けたくねえなコイツって思ったら助けないんじゃないか? 多分」
「貴方の意思はどこまでも汚れなく、愚直で真っ直ぐなのですね。まるで遠き日のあの人やあの子を見ているよう……」
――誰だそれ。
「ありがとうございます。貴方が邪な者ではない事がよくわかりました。もし貴方が必要とするなら、私は全力で貴方の力となりましょう。鈴木悠馬」
「よく言う、主に読心術まで使っておいて」
――なにそれ、そんなの使われてたの!? 嘘ついてたらどうなってたんだ!?
「イドラよ」
そこで終わりかと思われたその時。
「ロト!?」
一昨日からだんまりを決め込んで、一切反応しなかったロトが実体化した。
「アスタロトですか……」
「我はイドラに聞かねばならぬことがある。すまぬが悠馬。我が話している間、外に出てくれぬか?」
「え? お、おう? もういいのか? イドラさんとやら」
「ええ、私が貴方に聞きたかったのはそれだけです」
「了解、それじゃあ俺は外に出てるから」
そして暫くすると、ロトが神殿の奥から出てきた。
「もう大丈夫、なのか?」
「うむ、少なくとも我の中では答えが出た」
「そうか……」
俺はそれだけを聞くと、イアと手を繋いで歩き出す。
「悠馬」
「なんだ?」
「乗っ取られかけたとは言え、我が昔やったことは許されることではない。亡くなられたソロモン様に顔向けも出来ん。だが……罪を許されることはなくとも、例え悠久の時をかけようとも我は少しづつ罪を償っていこうと思うのだ。どうすればいいのかはまだわからぬがな」
「そっか……じゃあどうすればいいのかを見つけるためにも、長生きしないとな。仕方ないからその長い旅、俺も付き合うぜ。相棒」
「待て悠馬、お前が付き合う必要など……」
「何言ってんだ、俺達は一心同体だろ? 文字通り、な。それにさっきも言っただろ、俺はしたい事をするだけだ」
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その後、俺達は日本へと帰還した。
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