自称泣きゲーのモブに転生~メーカーは泣けるとかほざいてるけど理不尽なヒロイン死亡エンドなんていらねぇ!!

荒星

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イザナギ学院一年生編

寄り道 戦慄! 名もなき地下墳墓攻略戦!

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 俺達は今、名もなき地下墳墓にソフィア、冬香、エミリーヌ、真司、兵藤、俺の6人で来ていた。

「ふう……。結構進んだね」

「そうだな、今は145階層の安全地帯だから。次のボスはブリザードドラゴンか」

 ――よし、やるか!

「これより! 第二回チキチキ! ダンジョン内料理勝負を始める!」

 俺がそう言った瞬間、冬香と真司の二人は叫び出した。

「何を言い出すんだ悠馬!?」

「そうよ! 言っていい冗談と悪い冗談があるわよッ!」

 ソフィアは、発狂しだした二人を見て首をかしげる。

「どうしたの? 二人共。というか第二回チキチキ! ダンジョン内料理勝負って何?」

「それはだな……」

 説明を終えると、皆は概ね前向きな返事をかえしてくれた。

「うん! ちょっと面白そう!」

「師匠がそこまで言われるなら是非!」

「一回経験してみるのも手かもしれないと、わたくしは思いますわ!」

 それでも、二人はまだ抵抗する。

「正気かい!? あんな地獄、体験する必要なんて!」

「ふざけないで! 私は絶対に嫌だからッ!」

 そうして冬香が逃げようとしたので、俺は奥の手を使うことにする。

「なあ真司。確か前、お前言ったよな?」

「な、何をだい?」

「頼むよ悠馬、今度なんでも付き合うからさ。って言っただろ? お前」

「グッ……確かに言った。言ったけど……」

 尚も食い下がろうと真司に、俺は少し芝居がかった口調で挑発した。

「それともあの時のお前は、妹のために何でもするって覚悟は無かったのかな? あーあ、お前にはがっかりだぜ」

「バカにしないで貰おうか、悠馬。僕は何をすれば良い?」

「んじゃ、逃げ出した冬香を……」

 そのまま、俺が言い終わるのを待たずに真司は駆けだす。

 ――流石シスコンファントム……妹を引き合いに出せば一瞬だな。

「な!? また裏切るんですか尾野さんッ!」

「ごめんね冬香ちゃん、これは僕のプライドに関わる問題なんだ」

 そして一瞬で冬香に追いつくと、真司は抵抗する間もなく冬香を気絶させた。

 ――おい、俺確かに言い切って無かったけどさ。一言も気絶させろのきの字も言ってねえぞ? なのにアイツ、躊躇なく冬香に腹パンしやがったぞ。やっぱアイツ、危ねぇな……。

「な、なにも腹パンして気絶させることも無かったんじゃ……」

 俺は冬香を担いでこちらに戻って来た真司に、引きつった顔で問う。

「だって、冬香ちゃんだけ地獄を見ないで済むなんて許される訳ないじゃないか」

 そう笑顔でのたまう真司の目は、軽くキマっていた。

 ――ダメだ、今のコイツにはもう言葉が通じそうにない。これからコイツのあだ名はサイコパスシスコンファントム先輩だな。

「あー……。えーっと、全員揃ったことだし始めようか」





 三時間後。俺達は150層のボス部屋にて、ブリザードドラゴンと相対していた。

 ――さあ皆! イカれたパーティーメンバーを紹介するぜ! まずは一人目の紹介だ!

「何見てんだあぁん!?」

 天真爛漫で可憐。唐揚げが大好物でお茶目な一面を持つが一転! 今はそんな性格も鳴りを潜め、ヤクザ座りでこちらを睨みつけメンチを切る。神聖サンチェス法国の第一王女のソフィア!

「……」

 黒髪ツインテールの幼馴染で世話焼き系のツンデレヒロインから一転! 物言わぬ不動明王像となった新時代の仏像系ヒロイン! 上田冬香!

「わー! ほんもののドラゴンさんですの!」

 体は15歳、心は5歳! おかあさま大好き! 大きいお友達の心を掴み取る、エミリーヌ・ブラウン!

「デュフフ。エミリーヌたん、ハァハァ」

 ダサいチェック柄のシャツ着てグルグル眼鏡。プラスポスターの刺さったリュックサックにバンダナ、そしてエミリーヌに怪しい目を向ける不審者! 兵藤理玖!

「ユルサナイ……ユルサナイ……ユウマモコノキモチヲアジワエ……」

 そう言いながら、トイレに向かってコカトリス肉を投げてくる石像! 尾野真司!

 以上。実況は俺、鈴木悠馬がウムドレビの毒にやられ腹下し中の為。エイプリルフールアプデで実装された、毒状態のみで入れる中に居る間は無敵のネタアイテム。どこでもトイレボックス(洋式バージョン)の中から、備え付けの監視カメラを通じてお送りします。




 ――さあ始まりましたブリザードドラゴン戦! この個性的なパーティーメンバーでどのような戦いを見せてくれるのでしょうか! アスタロトさん、どう見ますか?

 ――まずこのメンツで戦えるわけなかろうが。

 ――ごもっともなご意見ですねぇ、アウァリティアさんはどうでしょうか?

 ――え、俺にも振るの? まず元凶のお前がトイレから出r……

 ――アウァリティアさん、ありがとうございました。それでは実況に移りたいと思います。

 ――オイ。

 俺はアウァリティアの声を無視しながら、監視カメラの映像へと視線を移した。

「オラァ! 気合いが足りてねぇぞトカゲ野郎!」

 ――おっと!? 魔法職のソフィアがインファイトに持ち込んだァ!

「これでも食らいやがれッ! パニッシュメント・レイ・真!」

 ソフィアは拳に魔法を纏わせると、ブリザードドラゴンが咄嗟に振るった尻尾に拳が当たった途端に、ブリザードドラゴンの尻尾が吹っ飛んだ。

 ――は? なんだありゃ……。

「クラエッ! コカトリスアタック!」

 ――シスコンサイコパスが行ったァ!

 真司はコカトリス肉を投擲し、ブリザードドラゴンの翼が石化する。そしてパニックになったブリザードドラゴンが翼を無理やり動かそうとして、翼が鈍い音を立てて落ちた。

「きゃ!」

 そしてブリザードドラゴンが激痛にのたうち回りながら放った、強行動のブリザードブレスがエミリーヌに直撃しそうになった瞬間。

「エミリーヌたんは僕が守る!」

 兵藤が、どこからか取り出したサイリウムセイバーでブリザードブレスを受け止めた。

 ――あれ。例のトランプと同じでエイプリルフールで実装された、使い捨てお守りのサイリウムセイバーバージョンじゃね?

 「……」

 ――遂に本命登場! 不動明王と化した冬香が遂に動き出すッ!

 そのままのたうち回るブリザードドラゴンの真横に、冬香改め不動明王が現れると、不動明王は手に持った燃え盛る剣を振り上げる。

 ――なんだあれ……。

 不動明王の持った燃える剣がより一層その炎の勢いを増し、天井にまで届きそうなレベルになった直後。不動明王はその剣をブリザードドラゴンに振り下ろした。

 ――えぇ……。

 そして不動明王の剣は、ブリザードドラゴンの首を斬り飛ばすどころか、その上半身を跡形もなく消し飛ばした。
  



 一時間後。

 俺は腹の調子がよくなり、トイレから出てきた。

「ふぅ……中々に激戦だったぜ」

 そして、お腹をさすりながら地面に向かって第一歩を踏み出した瞬間。俺は頭を鷲掴みにされる。

「なん……だ」

 俺が顔を上げると、至近距離から俺の顔を覗き込む不動明王の姿があった。

「は、ははは……なあ冬香。話し合おうぜ? 俺たちきっと分かり合えるって」

 そのまま不動明王の手を振りほどき、後ずさろうとしながら涙目で許しを請うも、不動明王の手が俺に向かって伸びる。

「ギャァァ!」


 俺は一生、この日の事を忘れたくても忘れられないと思った。
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