氷花学園サブカルチャー部!ー学園で人気の美女達が集まる部活だけど、ホントはオタクで残念な彼女たちと楽しいスクールライフを送ります。

荒星

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第八話 「人は見かけで判断できない」

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 嶺二達が演劇部に着くと、演劇部は簡易版ロミオとジュリエットをやっていた。一通り見終え、嶺二達は席を立ち次の部へ向かう途中で竜也と合流し、ボードゲーム部で大負けしたり茶道部で竜也がお茶をこぼしたり、色々な部を見て回っていると昼休みになった。
 現在嶺二達は購買で食べ物を買い、どこの部も使わない教室で作られた休憩スペースで昼食を取っている。

「いやー、結構見て回ったな」

「そうだな」

「そういえばさ、この学校って一体いくつ部活あるの?」

 嶺二が疑問を口にすると、竜也は少し悩みながら言った。

「いや、非正規の部活もあるから全部把握してるわけじゃないんだが。少なくとも正規の部活だけでも20はあるぞ?」

 最低でも20!? と嶺二は驚いた。道理で沢山見て回ったはずなのに、まだまだ見学できていない部活があるはずである。

「ま、先輩曰く。全部回るなんてどうあがいても不可能だから、最低限行きたいところだけマークして効率よく回れってさ」

 ーーコミケかなんかかな?

 と嶺二は竜也の言葉を聞いて脳内で突っ込んだ。竜也と直樹にはわからないであろうから、無論口には出さないが。

「午後の部はどうする」

 昼休みが終わりに近づき、直樹がこの後の予定を聞いてきた。

「俺はぶらぶら歩いて回っかな」

 竜也が、空き缶をゴミ箱にシュートしながら言った。

「嶺二はどうするんだ?」

「僕は午後用事があるから別行動かな」

「そうか」

 その後、嶺二は竜也たちと別れて雪菜と合流する為に靴箱に向かった。



「遅い!!」

「ごめんごめん」

 嶺二が少し息を切らしながら靴箱に着くと、もう既に雪菜が先に着いていた。

「移動しようとしたら人の波に飲み込まれちゃって」

「全く、こういう混雑しそうな時は少し早めに移動するのがベストでしょ?」

「その通りです……」

「それじゃあ行きましょうか」
 
 雪菜と嶺二は、いよいよ魑魅魍魎の住みかという噂の旧部室棟へと向かった。


 
「……外から見ても薄気味悪いわね」

「……そうだね」

 旧部室棟の入り口の前に立ち、雪菜と嶺二は少し尻込みをしていた。

「ホントにここで会ってるの?」

「僕に言われても……」

 雪菜に言われて嶺二は手紙を確認するが、やはり旧部室棟と書いてある。
 
「いつまでも迷ってても仕方がない、行こう」

 嶺二は覚悟を決めて、旧部室棟へ足を踏み入れた。

「それはそうだけど……ってちょっと待って!」



「うぅ……ここなら本当に何か出てきそう」

 雪菜がおびえながらそう言うと、嶺二は無言で頷いた。

「「「うおー!!!」」」

「ぴっ!」

 どこかから突然歓声が聞こえて、雪菜は一瞬震えた。

「あ、ココだよ雪菜。サブカル部って書いてある」

 遂に嶺二達は目的地に辿り着いた。

「……ねえ嶺二、隣の部室見てみなさいよ」

 雪菜に促され嶺二が目を向けると、そこには黒魔術研究会と書かれたプレートが扉に付いていた。

「ホントにあったんだ、黒魔術研究会」

「ね、ねえ嶺二。今からでも遅くないし引き返さない? こんな部が隣にあるなんて相当よ相当! それにサブカルチャー研究部なんて聞いたこともないし! まともなんて保障何所にもない!」

 雪菜がそう帰ろうと催促してくるが、嶺二は覚悟を決めて扉を開けた。
  
「失礼します!」

 そこには、魔法少女のコスプレ衣装とお祭りで見かけるようなお面を付けた怪人が炬燵に居た。

「ようこそ我が部へ」

 その瞬間、嶺二は扉をそっと閉じた。

「え? なに? ニュースで聞くボイスチェンジャー使ったような声がしたけど!?」

 どうやら雪菜は嶺二の後ろに居たせいで、衝撃的な光景が見えなかったようだ。

「いやいや、そんなまさか。きっと見間違いだ、そうに決まってる」

 嶺二は一度目を擦り、もう一度扉を開けた。

「こんにちは、今度こそようこそ! 我がサブカルチャー研究部へ!」

「どうやら間違えたようです。失礼しました」

 嶺二はもう一度扉を閉じた。

「さ、校舎に戻って部活見学の続きだ! 雪菜も一緒に……」

「逃がさないわよ……」

「ヒエッ!?」

 嶺二が後ろを向き引き返そうとした瞬間、扉が開き肩を掴まれた。

「は、離してもらえませんかね」

「いいえ放しませんとも。せっかくの部員候補をみすみす取り逃がしてたまるもんですか!」

「嶺二……嶺二の事は忘れない。だから……その、ごめん!?」

 嶺二は、捕まった嶺二を見て逃げようとした雪菜の手を掴んだ。

「離して!? お願い!!」

 雪菜が涙目で嶺二の手を振りほどこうとしているのを見て、嶺二は微笑んでこう言った。

「僕たち、友達だよね? 一人だけ逃げようなんて許さないよ」

 そうして、二人は部室に引き込まれた。


「いやーごめんね。驚かせちゃって」

 現在二人は、魔法少女のコスプレをした怪人と向かい合って、炬燵に座りながらお茶を啜っていた。

「それにしても凄いですね、色々と」

 嶺二がそう言うと、怪人は笑いながら肯定した。

「そうでしょ? 最新のゲーミングパソコンにテレビとゲーム一式。大量のアニメグッズもあるしソファもオーダーメイドで、よくうちの部員の一人はそこで寝てるわ!」

 ーーいえ、それも凄いんですけど特に凄いのは貴方の格好ですよ

 嶺二は突っ込もうかどうか迷ったが、怖いのでやめておいた。

「それじゃあ面接を始めましょうか」

 そう怪人は朗らかに言った。

「では質問1! 趣味は何ですか!」

「えっと、趣味はアニメとゲーム。あとはラノベ鑑賞で、最近はネット小説漁りにハマってます」

「右に同じく……」

「質問2! 特技は何ですか!」

「以前空手をやっていたので、空手を少々。あとはやられたら、人の嫌がることを的確にやり返せる自信があります」

「え? え? 特技ってそういう特技? ぴっ! と、特技は編み物です……」

「質問3! 入部出来たらこの部では何をしたいですか!」

「えー、とりあえず趣味仲間とだらだらアニメやゲームの話が出来たらと思います」

「お、同じく」

「では最後の質問! エ〇ァで好きなシーンは何ですか!」

「え、えっと。私は破でア〇カが三号機に乗り込む前と乗り込んだ後に、『私、笑えるんだ……』って言ったシーンです。その後は悲しかったけど、やっぱり私はあのシーンが好きです」

 ーーいやこれ関係あるの?

 と嶺二は疑問に思ったが、既に正常な思考が出来ていなかったので正直に答えてしまった。

「ペン〇ンがお風呂に侵入してア〇カがお風呂から飛び出してくるシーンです」

 ーーあ、つい本音が……

 その瞬間、嶺二は雪菜から凍えるような眼差しで見られた。

「二人ともすっごくわかるわ! あそこのア〇カは物凄く尊いし! お風呂のシーンも色々捗るし!」

 捗るって何がだろう。と嶺二が考えていると、拍手をしながら目の前怪人は言った。

「二人とも合格! おめでとう!」

「は、はぁ」

「えっと、ありがとうございます?」

 そう嶺二達が気の抜けた返事を返すと、怪人は仮面を取り去った。

 ーーえっ?

 その瞬間、白銀のように輝く腰まで伸びた銀髪が広がる。現れたのは、凛とした佇まいに青い瞳の綺麗な顔立ち。
 入学式で見た全校生徒の憧れの的、花園燐その人が目の前に居た。

「改めて、ようこそ我々サブカルチャー研究部へ! 二人ともこれからよろしくね!」

 彼女は嶺二達に笑いかけ、その透き通るような声で言った。



 


 ……無論魔法少女のコスプレのままである。





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