氷花学園サブカルチャー部!ー学園で人気の美女達が集まる部活だけど、ホントはオタクで残念な彼女たちと楽しいスクールライフを送ります。

荒星

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第九話 「地雷は何処に埋まっているかわからない」

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「さて! 二人とも入部おめでとう! 早速だけど部員を紹介するわ! 二人とも、もう出て来ていいわよ!」

 燐がそう呼びかけると、不自然に隅に置いてあったダンボールがガタガタと震えた。

「ちょ! 待つんだカレン! もうちょい手を……」

「麗子ちゃんこそ足をそっちに!」

「痛い痛い! カレン! お前はまな板なんだからぶつかると痛い……しまッ! おい、よせよせヤメロッ!」

 ダンボールから一度、鈍い音と短い悲鳴が聞こえると静かになった。

「あちゃー、尊い犠牲に合掌」

 燐がそう呟いて、ダンボールに向かって合掌すると中から人が2人出てきた……1人は出てきたというより倒れてきたというのが正解だが。

「ふう、やっとでれたよー。君が新入部員の高月君と柊さんだね? 私の名前はカレン・フローレンス。気軽にカレンって呼んでね!」

 カレン・フローレンス、生徒会副会長で燐と並ぶ人気者だ。普段の嶺二ならばその美貌のせいでまともに話せなかっただろうが、血塗れでうつ伏せに倒れている人物を見て、これは誰かとカレンに質問した。

「え、えっと。よろしくお願いします、カレンさん。ところでこの倒れている人は一体誰なんですか?」

 顔を引きつらせて嶺二が質問すると、カレンはにこやかな顔で答えた。

「うーんとね、この子は橘麗子ちゃん。私や燐ちゃんと同じ三年生だよ!」

 橘麗子と言えば、コバルトブルーの髪の無口でクールビューティーな天才少女として人気な三年生。
 のはずだが……嶺二は目の前の、仰向けにひっくり返されて白目を剝きながら、燐につつかれている人物が、どうにも噂で伝え聞いてた人物像と合致せず混乱していた。

「……この人が本当に、あの橘先輩?」

 雪菜もいぶかし気な目を向けている。

「噂なんてそんなもんよ。そういえば自己紹介がまだだったわね! 私は花園燐、気軽に燐さんって呼んで……って入学式で挨拶もしてるし知ってるか。改めて、これからよろしくね? 二人とも!」

「「よろしくお願いします!」」



 五分後。嶺二と雪菜は、炬燵に座りながら制服に着替えた燐に質問していた。

「そういえば燐さん。この部って一体何をする部なんですか?」

「特にコンテストとかに出たり、ボランティアしたりとかはないわね。基本、趣味仲間同士で駄弁ったり、ゲームしたりしてグダグダするだけね」

「はい! 燐さん!」

「はい、雪菜君」

「どうしてこの部は表で部員募集してないんですか! あと燐さんはどうしてあんな恰好したんですか!」

「いいところに気がついたわね! それじゃ、ヒントを出すから当ててみなさい。ヒント1、部員が私・カレン・麗子。ヒント2、全校生徒人気ランキング。ヒント3、ファンクラブ。もう分かった?」

 燐がヒントを出すと、嶺二は納得したような声色で言った。

「なるほど、燐さんたち目当てで人が集まり過ぎて部活どころじゃなくなると」

「正解、厳密に言うとそれもあるし、何よりも入部希望の人が多すぎると、本当に趣味仲間が欲しい人まで疑心暗鬼になって落としちゃいそうだからね。だからもしもの為の保険に、あんな格好してたのよ。断じて私の趣味ではないわ」

「それじゃあどうして僕たちを勧誘しようと思ったんですか? 直接会ったこともなかったのに」

 嶺二がそう言うと、燐はいたずらっぽい目で嶺二を見ながら、

「あら? 私、ちゃんと嶺二君と一度会ってるわよ?」

 と言った。

「え? いつ? どこでですか!?」

 燐と会ったなら、有名人であることとその美貌のお陰で、会ったことを忘れるなどという事は起こるはずがない。

「フフッ、ほら。4日くらい前に本屋で」

 ーーええっと……あの時は確か、変な黒髪の美少女にあったような。

「黒髪の綺麗な人には会いましたけど、燐さんには会ってませんよ?」

「その黒髪の綺麗な人が私よ」

「えぇ!? けど、燐さんは銀髪ですよ?」

「変装よ、変装。人に気が付かれたくないときは、いつも麗子が作った変装セットで誤魔化してるんだけど。今日は調整中で使えなかったの。だからあんなとんちんかんな姿で二人の面接してたわけ。それにあの時聞いたでしょ? もしも誰にも気を遣わずに、趣味仲間だけが集まる部活があったらさ、君は入りたい? ってね」

「なるほど……」

「それで嶺二君を調べていたら雪菜ちゃんも見つけたから勧誘したわけ」

「そうだったんですね」

 よっこらしょ、と燐はこたつから出るとこう聞いてきた。

「それじゃあ親交を深めるためにゲームでもしましょう? なにかやりたいゲームある? ス〇ブラ? 桃〇? 人〇ゲーム? それともTRPGでもやっちゃう?」

 嶺二達が答えようとしたその時、倒れていた麗子がそのままの体制で口を開いた。

「いや、ここは私に任せてもらおう。ちょうど作った新作の発明品が、パーティーゲームなんだ」

 こうして嶺二達は、玲子の作ったパーティーゲームをプレイすることになった。


 ーーその先が地獄だとは知らずに。
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