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第十二話
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自分の部屋に戻ると、僕は近くに置いてあったベースを手に取った。
個人練習でもしようかと思ってベースを手に取ってみたものの、調子はイマイチなんだよな。
「う~ん……。このままじゃ、ダメだな。そろそろライブをやるだろうし、それまでにはちゃんとしないと」
僕は、気合を入れ直して演奏を始める。
最近、香奈姉ちゃんとデートに行ったりしていたので、気が緩んでいるみたいだ。
せめてライブの時には、みんなの足を引っ張りたくない。
そう思ってベースを弾いていると、香奈姉ちゃんが部屋に入ってきた。
「頑張ってますね、ご主人様」
メイド口調でそう言ってくるってことは、香奈姉ちゃんはメイド服姿だ。
今度はストッキングを履いていないのか、素足を露わにしている。さすがに靴下は履いていたが。
今回のメイド服は、スカートの丈が短い。だいたい膝丈くらい。
あきらかに、さっき着てたメイド服とは違うタイプのものだ。
おそらくお風呂から上がった際に、違うメイド服に着替えたんだろう。
一体、何着持ってるんだろうか。
「いい加減、『ご主人様』っていうのはやめてよ」
「嫌ですよ。それのおかげでご主人様の部屋に気軽に入れるようになったんですよ。そのきっかけを無くしたら、ご主人様はまた距離を置こうとするでしょ」
「そんなことしないよ」
「ホントかなぁ~?」
香奈姉ちゃんは、またも顔を近づけてくる。
そんな可愛い顔を近づけてこなくてもいいから。
疑わしいことなんて、なにもないから。
「香奈姉ちゃんと僕との間に、距離なんてないでしょ。幼馴染なんだしさ」
「違うよ。今は、恋人同士…でしょ?」
香奈姉ちゃんは、そう言って頬を赤くする。
その問いかけには、頷くしかない。
「うん。恋人同士…だね」
僕は、香奈姉ちゃんの手を優しく握りそう言った。
香奈姉ちゃんがそう言うのなら、そうなんだろう。
香奈姉ちゃんは、嬉しそうに僕の手を握り返してきてるし。
しばらくして、何気なく訊いてくる。
「ところで、ご主人様は何を弾いていたんですか?」
「何を弾いてたって言われてもなぁ……。曲名はまだないんだ。ただの練習だよ」
僕は、ベースを軽く弾きながらそう答えていた。
──そう。
曲名はない。
ただ流れで弾いているだけのものだ。
香奈姉ちゃんは、僕を見て微笑を浮かべていた。
「そっか。練習か。頑張ってるんですね」
「次のライブがあるからね。今度は、足を引っ張らないようにしなきゃだし」
「そうだね。私も、ご主人様に負けてられないかも」
「バンドの時くらいは、名前で呼んでよ」
「別にいいでしょ。私がどんな風に呼ぼうと、ご主人様のことが好きなのは変わらないんだし」
「それなら、せめてメイド服はその……。いい加減にやめてほしいって言うか……」
僕は目のやり場に困ってしまい、香奈姉ちゃんから視線を逸らす。
香奈姉ちゃんは、僕の顔をそっと両手で添えて、そのまま香奈姉ちゃんの顔前まで向き直らせた。
「それは、できません。元はと言えば、ご主人様が言い出したことなんですよ。だから最後まで責任を取ってください」
「責任を取れって、どういうこと?」
僕がそう聞き返すと、香奈姉ちゃんは恥ずかしそうに頬を染めてスカートの裾を摘み、中が見えるギリギリのところまで引き上げる。
「こういうことです……」
「え……。もしかして……」
「うん。今回は、一回で許してあげる」
「一回って?」
「私とのスキンシップに決まってるじゃないですか。──もう。私の口から言わせないでください。恥ずかしいんですから……」
また香奈姉ちゃんとエッチなことをするの⁉︎
ちょっと待ってよ。
まだ心の準備ができてないよ。
「そんなこと言われても……。まだ準備が……」
「さっき一緒にお風呂に入ったでしょ。準備はもうできてるよ」
そう言うと香奈姉ちゃんは、迷いなく僕に抱きついてきた。
僕はちょうどベッドの上に座っていたので、そのまま押し倒されてしまった形だ。
「ちょっ……。香奈姉ちゃん⁉︎ 一体何を……」
「スキンシップですよ。ご主人様は、そのまま動かないでくださいね」
僕を押し倒した香奈姉ちゃんは、僕が手に持っていたベースをそっと取り上げる。
おそらく僕とスキンシップをする上で邪魔だったんだろう。
「あの……。香奈姉ちゃん……」
メイド服姿でご奉仕したいのはわかるけど、ここまでやってほしいとは言ってない。
香奈姉ちゃんは、笑顔を浮かべて僕に覆い被さってくる。
「今日は、たくさんご奉仕させていただきますね」
「う、うん……。お手柔らかにお願いします」
そう言ってくる香奈姉ちゃんに、僕は頷くしかなかった。
香奈姉ちゃんが最初に僕にしてきたのは、キスだった。
いくらお互いに身体の関係があるとはいえ、調子に乗ってまたエッチな行為をするわけにはいかないと思ったんだろう。
メイド服も着ているし。
「相変わらず、硬いね。もうちょっと身体の力を緩めてもいいんじゃないかな」
「ごめん……。緊張していてそれどころじゃなくて……」
「そうですか。それなら、緊張をほぐしてあげないといけないね」
そう言うと香奈姉ちゃんは、僕の身体を指で触れ、魅惑的な笑みを浮かべる。
こんな香奈姉ちゃんは、今までに見たことがない。
さっきと違うメイド服を着ているからなのか、いつもよりも艶っぽく見えてしまう。
「え、ちょっと……。香奈姉ちゃん」
「どうしたの?」
「僕なら大丈夫だから。そんなことをする必要はないからさ。だから──」
僕がそう言った途端、香奈姉ちゃんは僕の言葉を遮るかのように唇を指で触れてくる。
「それが必要かどうかは、私が決めます。ご主人様は、じっとしていてくださいね」
「………」
そう言われてしまうと、僕は黙るしかなかった。
香奈姉ちゃんは、僕が着ている服をゆっくりと脱がしていく。
思わず抵抗したかったが、やめておいた。
それをすると不機嫌になるのは確実だったからだ。
香奈姉ちゃんは、僕の上の服を脱がし終えると、今度は下のズボンに手を伸ばす。
「ちょっ……。そこは……」
僕は、思わず香奈姉ちゃんの手に触れる。
香奈姉ちゃんは、頬を染めて言う。
「大丈夫だよ。ご主人様の貞操は、私が守るから……」
「それって……」
僕は、思わず言葉を漏らす。
僕の貞操って……。
すでに香奈姉ちゃんに奪われてるような気がするんだけど。
香奈姉ちゃんは、問答無用で僕のズボンを脱がしていった。
そんなに、僕のあそこを見たいんだろうか。
自分で言うのもナンだが、こんな貧相なあそこを見ても、嬉しくないと思うんだけど……。
しかし、香奈姉ちゃんの期待に満ちたその表情を見たら、なんにも言えなくなってしまう。
「安心してください。私は、ご主人様としかするつもりはありませんから」
香奈姉ちゃんは、笑みを浮かべてそう言うと、今着ているメイド服に手を添える。
──まさか。
今ここで脱ぐつもりなのか⁉︎
それがわかってるからって、止められるわけないんだけど。
「えっと……。香奈姉ちゃん」
「違うでしょ。私とする時は、『香奈』でしょ」
「え……」
もしかして、エッチをするの?
僕の部屋で?
僕は、唖然となる。
僕のそんな表情を見ていた香奈姉ちゃんは、僕の頬を指でツンッと触れて、言った。
「そんな顔しないの。ご主人様は、これから私とあんなことやこんなことをするんだから」
「もしかして、エッチなことをするの?」
「私は、ご主人様としたくてここまでやったけど……。ダメだった?」
「ダメってことはないけど、さすがにメイド服姿だとね。申し訳ないっていうか、なんというか……」
僕は、頬をポリポリと掻いて視線を逸らす。
すると香奈姉ちゃんは、ムッとした表情を浮かべ、その顔を近づけてくる。
「なんでそうなるかな? せっかく、ここまでやってあげたのに」
「いや……。だって、香奈姉ちゃんの大切な処女を僕のために失ってほしくないっていうか……」
「そんなの気にする必要はないよ。私の処女はもう、ご主人様のものだよ」
「え……」
僕は、香奈姉ちゃんの顔を改めて見る。
香奈姉ちゃんの突拍子のない言葉に、びっくりしてしまったのだ。
香奈姉ちゃんの処女って、僕のものなのか。
──いや。
香奈姉ちゃんの処女は、誰のものでもない。
「あの日、エッチをした瞬間から、私の処女はご主人様のものなんだよ」
「そうなの?」
「そうなんです! だからご主人様は、私とエッチなことをするんです。これは決定事項なんだから」
香奈姉ちゃんは、そう言ってメイド服を一枚ずつゆっくりと脱いでいく。
香奈姉ちゃんとエッチをすることはもう決定事項なんだ。
香奈姉ちゃんにハッキリとそう言われてしまうと、妙に納得してしまう僕がいる。
だったら、遠慮する必要はないのか。
僕は、香奈姉ちゃんの腰のあたりに手を添え、そのまま抱き寄せた。
「あら……。どうしたの?」
香奈姉ちゃんは、キョトンとした様子でそう訊いてくる。
嫌だったら、香奈姉ちゃんの方から離れるだろう。
しかし、そんな様子はない。
「うん。なんとなく……。香奈姉ちゃんのぬくもりが欲しくて」
「私のぬくもり?」
「うん。ダメかな?」
「全然ダメじゃないよ。ご主人様がいいのなら、いくらでもあげるよ」
香奈姉ちゃんは、僕の背中に手を添えてきた。
今は、エッチなんかよりも、お互いに体温を感じられるくらいのものの方がいい。
香奈姉ちゃんを優しく抱きしめていて、そう感じる僕だった。
個人練習でもしようかと思ってベースを手に取ってみたものの、調子はイマイチなんだよな。
「う~ん……。このままじゃ、ダメだな。そろそろライブをやるだろうし、それまでにはちゃんとしないと」
僕は、気合を入れ直して演奏を始める。
最近、香奈姉ちゃんとデートに行ったりしていたので、気が緩んでいるみたいだ。
せめてライブの時には、みんなの足を引っ張りたくない。
そう思ってベースを弾いていると、香奈姉ちゃんが部屋に入ってきた。
「頑張ってますね、ご主人様」
メイド口調でそう言ってくるってことは、香奈姉ちゃんはメイド服姿だ。
今度はストッキングを履いていないのか、素足を露わにしている。さすがに靴下は履いていたが。
今回のメイド服は、スカートの丈が短い。だいたい膝丈くらい。
あきらかに、さっき着てたメイド服とは違うタイプのものだ。
おそらくお風呂から上がった際に、違うメイド服に着替えたんだろう。
一体、何着持ってるんだろうか。
「いい加減、『ご主人様』っていうのはやめてよ」
「嫌ですよ。それのおかげでご主人様の部屋に気軽に入れるようになったんですよ。そのきっかけを無くしたら、ご主人様はまた距離を置こうとするでしょ」
「そんなことしないよ」
「ホントかなぁ~?」
香奈姉ちゃんは、またも顔を近づけてくる。
そんな可愛い顔を近づけてこなくてもいいから。
疑わしいことなんて、なにもないから。
「香奈姉ちゃんと僕との間に、距離なんてないでしょ。幼馴染なんだしさ」
「違うよ。今は、恋人同士…でしょ?」
香奈姉ちゃんは、そう言って頬を赤くする。
その問いかけには、頷くしかない。
「うん。恋人同士…だね」
僕は、香奈姉ちゃんの手を優しく握りそう言った。
香奈姉ちゃんがそう言うのなら、そうなんだろう。
香奈姉ちゃんは、嬉しそうに僕の手を握り返してきてるし。
しばらくして、何気なく訊いてくる。
「ところで、ご主人様は何を弾いていたんですか?」
「何を弾いてたって言われてもなぁ……。曲名はまだないんだ。ただの練習だよ」
僕は、ベースを軽く弾きながらそう答えていた。
──そう。
曲名はない。
ただ流れで弾いているだけのものだ。
香奈姉ちゃんは、僕を見て微笑を浮かべていた。
「そっか。練習か。頑張ってるんですね」
「次のライブがあるからね。今度は、足を引っ張らないようにしなきゃだし」
「そうだね。私も、ご主人様に負けてられないかも」
「バンドの時くらいは、名前で呼んでよ」
「別にいいでしょ。私がどんな風に呼ぼうと、ご主人様のことが好きなのは変わらないんだし」
「それなら、せめてメイド服はその……。いい加減にやめてほしいって言うか……」
僕は目のやり場に困ってしまい、香奈姉ちゃんから視線を逸らす。
香奈姉ちゃんは、僕の顔をそっと両手で添えて、そのまま香奈姉ちゃんの顔前まで向き直らせた。
「それは、できません。元はと言えば、ご主人様が言い出したことなんですよ。だから最後まで責任を取ってください」
「責任を取れって、どういうこと?」
僕がそう聞き返すと、香奈姉ちゃんは恥ずかしそうに頬を染めてスカートの裾を摘み、中が見えるギリギリのところまで引き上げる。
「こういうことです……」
「え……。もしかして……」
「うん。今回は、一回で許してあげる」
「一回って?」
「私とのスキンシップに決まってるじゃないですか。──もう。私の口から言わせないでください。恥ずかしいんですから……」
また香奈姉ちゃんとエッチなことをするの⁉︎
ちょっと待ってよ。
まだ心の準備ができてないよ。
「そんなこと言われても……。まだ準備が……」
「さっき一緒にお風呂に入ったでしょ。準備はもうできてるよ」
そう言うと香奈姉ちゃんは、迷いなく僕に抱きついてきた。
僕はちょうどベッドの上に座っていたので、そのまま押し倒されてしまった形だ。
「ちょっ……。香奈姉ちゃん⁉︎ 一体何を……」
「スキンシップですよ。ご主人様は、そのまま動かないでくださいね」
僕を押し倒した香奈姉ちゃんは、僕が手に持っていたベースをそっと取り上げる。
おそらく僕とスキンシップをする上で邪魔だったんだろう。
「あの……。香奈姉ちゃん……」
メイド服姿でご奉仕したいのはわかるけど、ここまでやってほしいとは言ってない。
香奈姉ちゃんは、笑顔を浮かべて僕に覆い被さってくる。
「今日は、たくさんご奉仕させていただきますね」
「う、うん……。お手柔らかにお願いします」
そう言ってくる香奈姉ちゃんに、僕は頷くしかなかった。
香奈姉ちゃんが最初に僕にしてきたのは、キスだった。
いくらお互いに身体の関係があるとはいえ、調子に乗ってまたエッチな行為をするわけにはいかないと思ったんだろう。
メイド服も着ているし。
「相変わらず、硬いね。もうちょっと身体の力を緩めてもいいんじゃないかな」
「ごめん……。緊張していてそれどころじゃなくて……」
「そうですか。それなら、緊張をほぐしてあげないといけないね」
そう言うと香奈姉ちゃんは、僕の身体を指で触れ、魅惑的な笑みを浮かべる。
こんな香奈姉ちゃんは、今までに見たことがない。
さっきと違うメイド服を着ているからなのか、いつもよりも艶っぽく見えてしまう。
「え、ちょっと……。香奈姉ちゃん」
「どうしたの?」
「僕なら大丈夫だから。そんなことをする必要はないからさ。だから──」
僕がそう言った途端、香奈姉ちゃんは僕の言葉を遮るかのように唇を指で触れてくる。
「それが必要かどうかは、私が決めます。ご主人様は、じっとしていてくださいね」
「………」
そう言われてしまうと、僕は黙るしかなかった。
香奈姉ちゃんは、僕が着ている服をゆっくりと脱がしていく。
思わず抵抗したかったが、やめておいた。
それをすると不機嫌になるのは確実だったからだ。
香奈姉ちゃんは、僕の上の服を脱がし終えると、今度は下のズボンに手を伸ばす。
「ちょっ……。そこは……」
僕は、思わず香奈姉ちゃんの手に触れる。
香奈姉ちゃんは、頬を染めて言う。
「大丈夫だよ。ご主人様の貞操は、私が守るから……」
「それって……」
僕は、思わず言葉を漏らす。
僕の貞操って……。
すでに香奈姉ちゃんに奪われてるような気がするんだけど。
香奈姉ちゃんは、問答無用で僕のズボンを脱がしていった。
そんなに、僕のあそこを見たいんだろうか。
自分で言うのもナンだが、こんな貧相なあそこを見ても、嬉しくないと思うんだけど……。
しかし、香奈姉ちゃんの期待に満ちたその表情を見たら、なんにも言えなくなってしまう。
「安心してください。私は、ご主人様としかするつもりはありませんから」
香奈姉ちゃんは、笑みを浮かべてそう言うと、今着ているメイド服に手を添える。
──まさか。
今ここで脱ぐつもりなのか⁉︎
それがわかってるからって、止められるわけないんだけど。
「えっと……。香奈姉ちゃん」
「違うでしょ。私とする時は、『香奈』でしょ」
「え……」
もしかして、エッチをするの?
僕の部屋で?
僕は、唖然となる。
僕のそんな表情を見ていた香奈姉ちゃんは、僕の頬を指でツンッと触れて、言った。
「そんな顔しないの。ご主人様は、これから私とあんなことやこんなことをするんだから」
「もしかして、エッチなことをするの?」
「私は、ご主人様としたくてここまでやったけど……。ダメだった?」
「ダメってことはないけど、さすがにメイド服姿だとね。申し訳ないっていうか、なんというか……」
僕は、頬をポリポリと掻いて視線を逸らす。
すると香奈姉ちゃんは、ムッとした表情を浮かべ、その顔を近づけてくる。
「なんでそうなるかな? せっかく、ここまでやってあげたのに」
「いや……。だって、香奈姉ちゃんの大切な処女を僕のために失ってほしくないっていうか……」
「そんなの気にする必要はないよ。私の処女はもう、ご主人様のものだよ」
「え……」
僕は、香奈姉ちゃんの顔を改めて見る。
香奈姉ちゃんの突拍子のない言葉に、びっくりしてしまったのだ。
香奈姉ちゃんの処女って、僕のものなのか。
──いや。
香奈姉ちゃんの処女は、誰のものでもない。
「あの日、エッチをした瞬間から、私の処女はご主人様のものなんだよ」
「そうなの?」
「そうなんです! だからご主人様は、私とエッチなことをするんです。これは決定事項なんだから」
香奈姉ちゃんは、そう言ってメイド服を一枚ずつゆっくりと脱いでいく。
香奈姉ちゃんとエッチをすることはもう決定事項なんだ。
香奈姉ちゃんにハッキリとそう言われてしまうと、妙に納得してしまう僕がいる。
だったら、遠慮する必要はないのか。
僕は、香奈姉ちゃんの腰のあたりに手を添え、そのまま抱き寄せた。
「あら……。どうしたの?」
香奈姉ちゃんは、キョトンとした様子でそう訊いてくる。
嫌だったら、香奈姉ちゃんの方から離れるだろう。
しかし、そんな様子はない。
「うん。なんとなく……。香奈姉ちゃんのぬくもりが欲しくて」
「私のぬくもり?」
「うん。ダメかな?」
「全然ダメじゃないよ。ご主人様がいいのなら、いくらでもあげるよ」
香奈姉ちゃんは、僕の背中に手を添えてきた。
今は、エッチなんかよりも、お互いに体温を感じられるくらいのものの方がいい。
香奈姉ちゃんを優しく抱きしめていて、そう感じる僕だった。
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