僕の姉的存在の幼馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜

柿 心刃

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第二十一話

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──朝。
楓の部屋に泊まった私は、起き上がると遠慮なく寝間着代わりに着た薄手のワンピース(ベビードールっていうんだけど)を脱いで、そのまま制服に着替える。
着替えをする時、当然下着選びから始まるのだが、楓の部屋で着替えをするとなると、種類も限られてしまう。
一応、2~3種類くらいは持って来るんだけど、それでも限界はある。
このくらいは、私にとってはまだ許容範囲だ。
私は、今着けている下着を脱ぐと、用意していた新しい下着を選び始めた。
幸いなことに、楓はまだ寝ている。
なんていったって、時間はまだ5時になる少し前なのだから、起きていないのは当然だ。
私は、楓の部屋にある大きな鏡の前に立つ。
そんなに私って、女の子としての魅力がないのかな。
おっぱいだって、同学年の女の子と比較したって、大きめなんだけど。
最近だと、ブラのサイズが合ってないような気がするのが唯一の悩みだったりするが。

「また大きくなってるのかな……? ブラが少しキツめだ……」

私は、楓に聞こえないようにそう言っていた。
パンツの方はちょうど良い感じなのだが、問題のブラジャーは、サイズが少し小さく感じる。
これはまたランジェリーショップに行って、新しいのを買わないとダメかな、これは……。
その時は、もちろん楓も一緒につれていこう。
どの色や種類が好みなのか、細かく聞かないと。

「やっぱりデートのついでに買いに行くのが一番いいよね。それだったら、偶然を装えるし」

とりあえずは、若干きつめだがブラジャーを身につけた。
さすがにノーブラってわけにはいかないし。
ブラウスの色が白なので、何かしらの原因で濡れちゃったら中がほぼ丸見えになるので大変だ。
そんなことを考えつつ、私は白のブラウスとスカートを順番に着用していく。
なんだか、楓の部屋で着替えをするのは、少し楽しかったりする。

「大丈夫だよね。弟くんなら、ちゃんとしたものを選んでくれるよね?」

私は、いまだ寝ているであろう楓にそう言っていた。
寝顔だけを見れば、ホントにあどけなさが残るくらい可愛い。
男の子に可愛いという言葉は不釣り合いな気もするが、楓のそんな寝顔を見ていたら、私の顔も綻んでしまうというものだ。
とりあえずは、今は黙って楓の側にいるとしよう。

学校の通学路にて。
私たちは、いつもどおりそれぞれの学校に向かって、一緒に歩いていた。
同じ方向にそれぞれの学校があるから、途中まではどうしても一緒になる。
私は、ちょうど良いと考えて楓の腕にギュッとしがみついた。
そんな時だ。
楓は、何を思ったのか私の胸部をまじまじと見てくる。

「どうしたの、弟くん? 私の胸ばかり見て──」
「い、いや……。なんでもないよ。ちょっといつもより大きく見えるだけ…かな」
「そう」

私は、普段と変わらないと思う胸部に視線を向ける。
たしかに普通の女子生徒に比べたら、私の胸はちょっと大きめだ。
それは、たわわに実った果実みたいに──だけど。
ホントに普段と変わらないよね?
形が変とか、そういうのはないよね?
心の中で自問自答しながら、ちょっと大きめな自分のおっぱいを凝視し、手で押し上げていた。
そして、思案げな表情を楓に見せて訊いてみる。

「触ってみる?」
「そ、そういうのは……。エッチなことをする時に黙って触るものだと思うし……」

楓は、そう言って私の胸に触ることを拒否していた。
今なら、触られても許してあげるのになぁ。勿体ない。
触りたい気持ちはないって言ったら嘘になるんだろうけど、それでも楓はちらちらと私の胸を見ている。
なにか気になる事でもあるのかな?
あったのなら、言えばいいのに。
そんなことを思った矢先のこと──
私が、少し前屈みになった時に事件は起こった。
ブチッと私の背中辺りで何かが切れた感触があったのだ。

「っ……⁉︎」

次の瞬間、私の動作がピタッと止まる。

「どうしたの? 香奈姉ちゃん」

楓は、思案げな表情でそう訊いてくる。
この感触は、間違いない。
私は、何が起こったのか瞬時に悟り、胸の辺りに両腕を添えて、その場で蹲る。
胸を抑えていたものの紐が切れてしまい、私の胸は支えがなくなってしまっていた。
腕で抑えておかないと、胸が下に垂れてしまう。
私の胸って意外と大きいから。
制服越しにもわかってしまうくらいに──

「うん……。ちょっと……」
「もしかして、生理とか?」
「生理は──もう通り過ぎてるかな……。これは、ブラの紐が……」
「紐ってまさか……」

楓は、多少あたふたした様子で私の肩に手を添えてくる。
こういう時は、試しでも胸を触ってみるのが普通じゃないのかな。

「うん……。ブラジャーの紐が…切れちゃった……」
「え⁉︎」
「そんな驚かないでよ。一番驚いているのは、私なんだから──」
「う、うん。ごめん……」

なぜ謝るのかわからないが、とにかく、今の状態は非常にまずい。
こんな時間に、ランジェリーショップは開いていないだろうし。
ましてや、自分の家まで距離があるから。
こういう時は──

「ねぇ、楓」
「ん? なに?」
「今日って、遅刻しても平気?」
「うん。大丈夫だと思うけど」
「それならさ。この先にある公園で一休みしよっか?」
「別にいいけど。香奈姉ちゃんは、大丈夫なの?」

楓は、心配そうな表情で聞いてくる。
そんなことを聞かれてしまったら。
大丈夫なわけがない。
ただでさえ、ブラジャーの紐が切れて、胸の方の安定感がない状態だ。
普通に考えても、猫背の状態から戻れるわけがない。

「ちょっと、大丈夫ではないかも……。できれば、楓に抑えててほしいなって……」
「いや……。それは、さすがに……」
「むずかしいことかな? 私のおっぱいを、楓の手で触って抑えるだけだよ。さすがに揉みしだくのは、やめてほしいけど」
「抑えていたら、黙ってたって揉みしだいてしまいそうだよ」
「それもそうだね。楓の手は、エッチだからね」

私の言葉で、楓はどんな反応をするかな。
でも、胸の安定感がないのは本当で、楓に私のおっぱいを抑えていてほしいのは、本音だ。

「仕方ない。ちょっとの間だけだよ」

楓は、私の期待に応えるかのように、私の後ろに回りこんで、そのまま私の胸に手を添える。

「うん。ありがとう」

このままだと楓に申し訳ないので、近くにあったベンチを見つけて、楓と一緒に腰掛けた。
体勢的には、楓の膝の上に私が腰掛ける形だ。
楓の手は、すっかり私のおっぱいを垂れ落ちないように押し上げている。
それは、たわわに実った果実を落とさないかのように……。

「やっぱり、楓の手はエッチだね。私のおっぱいを嬉しそうに揉みしだいてるね」
「も、揉みしだいたりなんて……。なんか知らないうちにそうなっちゃってるだけだし……。それにしたって、替えの下着とかって持ってきてなかったの?」
「替えの下着は持ってきてないけど、運動用のインナーなら、持ってるかも……」

私が言っていたものは、あくまでも運動用のものなので、普段使いには向いてない下着だ。
それも最近、小さくなってきたから、新しいのを買おうと思っていたんだけど……。

「それなら、それで代用──」
「はっきり言っておくけど、それを着用するつもりはないから」

私は、はっきりとそう言っていた。
正直言うと、運動用のものを普段から着用するのは息苦しさを覚えるので、あくまでも運動をする時にしか着けないんだけど。

「でも……。あるなら、緊急でも着けるべきでは──」
「嫌よ。そんなの着けるんだったら、いっそのことノーブラの方が──」
「ちょっ……。声が──」

そう言いかけたところで、楓が止めに入る。
周りには人がたくさん通っている。
きっと周りの人たちに聞かれたくなかったんだろう。
私も落ち着きを取り戻し、軽く咳払いをした。

「──とにかく。アレは絶対に着用しないからね」
「香奈姉ちゃん……」

楓は、呆れてしまったのか軽くため息を吐いて私のことを見ていた。
そんな顔をしたって、絶対に着ないんだからね。
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