僕の姉的存在の幼馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜

柿 心刃

文字の大きさ
340 / 380
第二十七話

5

しおりを挟む
最近、花音との距離感がぐっと近くなったような気がする。
それもこれも、香奈姉ちゃんが色々と手を回してくれているおかげでもあるんだけど正直嬉しくはない。
香奈姉ちゃんの妹ということもあり、あまり邪険にするわけにもいかないので普通に接しているけど、付き合いをするとなると二股をしているみたいで、なんともいえない気持ちになる。
もっと円滑なやり方があると思うんだけど……。

「どうしたの? 私の背中になにかついてる?」

香奈姉ちゃんは、思案げな表情でそう訊いてきた。
こんな時にそんなこと訊かれても、逆に困る。

「ううん。なにもついてないよ。…綺麗だなって思って──」
「そっか。まぁ、とにかく。なるべく早くお願いね」
「うん」

僕がたじろいでいると、近くにいた花音が口を開く。

「どうせお姉ちゃんの裸を見てデレデレしてたんでしょ。楓は意外とえっちぃから──」

その発言については、僕も完全には否定できない。
そもそも、なんで香奈姉ちゃんと花音が一緒にお風呂場の中にいるかというと──
香奈姉ちゃんが花音のことを誘ったのが始まりだった。
僕としては、なんとかならないかと思って香奈姉ちゃんに言ったのだが……。結果的にはこんなことになってしまった。
香奈姉ちゃんの裸はともかくとして、花音の裸を見るのはなんとなく申し訳ない気持ちになる。

「そこはなんとも……。僕としては──」

僕は、そう言って花音から視線を逸らす。
花音もなにかを思ってなのか、恥ずかしそうに赤面して僕に言う。

「な……。べ、別に楓に見られたから恥ずかしいとか…そういうわけじゃないんだからね!」
「わかってるけど……」
「っ……!」

花音は、よけいに恥ずかしかったんだろう。
僕から視線を逸らす。
花音の体つきもなかなかにして良い。
胸の大きさについてはまだまだだけど、見方によっては好みの人もいるんじゃないかな。たぶん。

「とにかく。はやくしてよね!」

花音は、ツンとした態度でそう言った。
香奈姉ちゃんはなにか言いたげだったが、僕が微苦笑したせいか言うのをやめる。
そういえば、花音の背中を洗ってあげるのは初めてかも。
通常は自分でやることだから、僕がやるだなんてことは絶対にない。

「背中だけだからね。それ以外は自分でやってくれよ」
「えっ。背中だけなの?」

花音はなぜか残念そうな表情を浮かべる。
僕はなにか変なことを言っただろうか。
普通は背中だけだと思うけど……。
さすがに前を洗ってあげるのは、色々と申し訳ない気持ちになるので遠慮しておくが。

「いや……。普通は背中だけじゃない?」

さすがの僕もそう言ってしまう。

「いやいや。洗ってくれるんなら、前の方もでしょ?」
「さすがに女の子の体を洗うのは……。背中が限界だよ」
「そう……。前の方は洗ってくれないんだ……。ちょっと残念だな」

ツンとした態度から一変して今度はシュンとなる。
僕にどうしろというのか……。
一緒にお風呂に入ることですら限界だというのに……。
すると近くにいた香奈姉ちゃんは、名案とばかりに口を開く。

「それなら、花音の裸を改めて見るっていうのはどうかな?」
「えっ」

僕は香奈姉ちゃんの言葉に唖然となってしまう。
そんなことを知ってか知らずか、香奈姉ちゃんは言葉を続ける。

「弟くんって、私の体は見慣れてるけど、花音の体はまだ見慣れてないでしょ? だったら、まず花音の裸を見てゆっくりと触ってもらうのが一番だと思うんだ。それなら、花音にとってもいい刺激になるかと──」
「ちょっ……。お姉ちゃん! さすがにそれは──」

花音がなにかを言いかけるも、すべてが遅かった。
香奈姉ちゃんは、ほぼ強引に花音に正面を向かせる。

「ダメだよ、花音。弟くんを振り向かせたいのなら、もっと積極的に攻めなきゃ」
「ちょっ……! お姉ちゃん!」

次第に花音の顔が真っ赤になる。
よく見れば耳の方まで真っ赤になっていた。
なにしろバスタオルなんて体に巻いてないから、全裸だ。
しかも大きすぎず小さすぎずなちょうど良い大きさのおっぱいを僕の目の前に晒している。
おへその下にある秘部は座っていてよく見えなかったが、まだ誰にもそこを捧げていないのはすぐにわかってしまう。

「恥ずかしがる必要なんてないじゃない。どうせ全部見られちゃうんだし」
「うぅ……。それはそうかもだけど……」

そう言われたからか、悲鳴はあげなかった。
そこはわかっているみたいだ。
僕も、さすがにそれのフォローはできない。
あくまでも冷静に──

「とりあえず、背中から先に洗ってしまおうか」
「う、うん」
「もう! せっかくお姉ちゃんが気を利かせたのにっ」

香奈姉ちゃんは、見るからに不機嫌そうな表情になる。
そんな不機嫌そうに言われてもなぁ。
できることといえば、このくらいだと思う。
僕は、あえて花音の背後にまわる。
やっぱり花音の裸を見るのはちょっと抵抗があるが、この際仕方がない。

「せっかくだから、私も楓の背中を洗ってあげるよ」
「それはさすがに……。遠慮しておくよ」

花音にそんなことを提案されても……。
拒否する以外の選択肢しかないじゃないか。
花音の提案には、なにか意図的なものを感じてしまう。
それを感じたのか、香奈姉ちゃんは僕の腕に抱きついてきて口を開く。

「ダメだよ、花音。それをやるのは私なんだから──」
「お姉ちゃんだけズルい! 私だって、楓の背中を──」
「花音は、ただ私から弟くんを取り上げたいだけでしょ。他からはできても、私からはできないんだからね!」
「他からって……。私は楓以外の人からは何も──」
「問答無用です。弟くんのあそこは、私のものなんだから」

そう言って、香奈姉ちゃんは僕の下半身にある大事なあそこを握ってくる。
あまりにも優しく握ってきたから、ついつい反応してしまった。しかし──
僕のあそこは誰のものでもない。僕自身のものだ。
そこははっきりさせておく。

「誰のものでもないよ。これは僕の──」
「ホントかな?」

香奈姉ちゃんは、面白そうなものを見つけたかのような悪戯っぽい表情を浮かべて僕を見てくる。
そんな顔をされてしまったら、僕としてはどんな顔をすればいいのかわからなくなってしまうじゃないか。
やっぱり何度もセックスをしたくらいの仲だから、そんな余裕のある表情ができてしまうのかな。

「え、いや……。その……。少なくとも、特定の誰かの専用のものではなくて……」
「どういう意味?」

花音は、不思議そうな表情を浮かべてそう訊いてくる。
思案げ…ともとれる。
どうやら花音にとっては、エッチな話題はまだ疎いみたいだ。
たとえそれだけ良い体つきをしていても、花音には純潔を保っていてほしい。
完全に僕のエゴになってしまうかもしれないが……。

「花音には、ちょっとはやい話かも……」
「え~。なによ? 私には、話せないの? つまんないの……」

花音は、わかりやすいくらいにムスッとした表情になった。
体は大人かもしれないけど、心はまだまだ普通の女の子なんだな。
香奈姉ちゃんは、小さな子供を見るような視線で花音を見つめている。
香奈姉ちゃんもそんなに変わらないけれど、僕とセックスをしたっていう事実から、もうなにかの余裕が見てとれる。

「いつか…ね。花音にも大事な人ができたら、わかる時がくるよ」
「楓が教えてくれるの?」
「えっ」
「私の大事な人…楓以外にいないもんっ」

そう言って花音は、僕に抱きついてくる。
こんなことされたら、僕としてはどう対応したらよいのやら。

「そんなこと言われてもな。僕にはもう大事な人がいるし……」
「私は大事じゃないの?」
「花音のことは大事だけど……。そういう意味での大事じゃなくて……」
「同じだと思うんだけどな。違うものなの?」

香奈姉ちゃんは、とても不思議そうな顔をして訊いてくる。
一体、どっちの味方なんだ?
花音のことを応援したいのかな。
でも僕にとっては、一番大事にしたいのは香奈姉ちゃんだから、花音の気持ちには応えられない。

「違わないけど……。僕にとってはその……」
「私は、楓のことはとても大事だよ? それのなにがいけないの?」

なぜだか今日の花音は、いつもよりか素直な感じだ。
そんな花音を邪険にすることはできない。

「いけなくはないよ。ただちょっとね。一緒にお風呂に入るのは、よく考えた方がいいような気がして──」
「大丈夫だよ。隆兄には内緒にしてるから」
「そういう問題じゃなくて──」
「どういう問題なの?」
「………」

僕は、花音の思案げな様子を見て押し黙ってしまう。
たぶん、裸を見られてるという羞恥心はない。
それも僕に対しては──
きっとそれは香奈姉ちゃんも同様なんだろう。
花音は、微笑を浮かべて言ってくる。

「楓になら、なにをされてもオッケーだよ」
「私もかな。弟くんになら、どんなことだって我慢できる自信があるよ」

香奈姉ちゃんまでそう言ってくるのは、もはや反則だ。

「なにもしないよ……」

僕は、観念したかのようにそう言っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

処理中です...