恋人型ロボットKAI

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僕は、どうしようもない人間だった。

「ただいま....。」
『おかえりユウキ、お仕事お疲れ様。」
「あ、ありがとう...。」

カイさんで自慰をしないと決意した1ヶ月後、僕の性的欲求は限界を迎えていた。
ひょこっと現れたカイさんを直視することができず、少し素っ気ない態度になってしまう。

『.....今日、何かあったのか?』
「あ、ううん!ちょっと、お仕事で、落ち込むことがあっただけ...。」

嘘だ。本当は今のところお仕事に関して収入が低いこと以外に悩んでいることはない。でもこうやって優しく心配してくれているカイさんに、あなたを想ってしまうのが原因でこうなってます、なんて言えない。
これは完全に自分の甲斐性がないせいだ。

『.....ユウキ、こっちにおいで。』
「え、あ、うん...。」

一瞬カイさんの言葉遣いにドキッとする。
1ヶ月前までは、友達になっても敬語遣いがなかなか抜けられないカイさんだったが、自分なりの親しい間柄での口調を獲得できたらしい。.....僕の普段の言葉遣いとは全く違うため、別のを参考にして自力で学んだのだろう。
それにしてもその言葉遣いのせいか、ますます男らしさがカイさんから感じるようになってしまって、心臓に悪い。

『手、いいか?』
「う、うん...。」

言われるがままにカイさんに手を差し出すと僕の手首
を優しく握った。

『.......ちょっと失礼。』

そういうとカイさんは、余った左手で僕の首を触った。唐突に触られたため、声が裏返る。

「へっ...!?かッ、カイさん?」
『.......脈正常...熱もないみたいだ...。』

(あ、ああ、体調を測ってくれてただけか…。

.....あれ?でも、触らなくても確かめられますよ!って一ヶ月前のカイさんは得意気に言っていたのに。)

それにしても想い人からのスキンシップに似た行動は、その気が相手にはないとわかっていてもドキドキしてしまう。

『....が、心拍数の増加が激しいな...。』
「ッッ!!か、カイさん、僕ご飯食べるね!!」

逃げるように少し強引にカイさんの手を振りほどいて、いそいそと食卓につく。

「いただきます。」

黙々とご飯を口にしているとカイさんが椅子を引いて僕の隣に座った。
カイさんは食事が不要で食卓にはいつも僕の分のご飯のみが並べられている。そのため、一緒に座る必要がなく、カイさんは普段、僕が食べている間は別の作業をしていたことが多かった。
けれど、最近のカイさんは様子がおかしい。今みたいに特に理由もなく僕が食べている姿をじーっと見ていることが多くなった。
最初は僕の好みを把握しようとしてるのかな?なんて思ってたんだけど。どうも違う気がする…。
それというのも....

『....ユウキ。』
「ん?」

カイさんの手が僕の頬に触れた。

『ここ、ついてる。』
「!?、ングッ、ごほっ」

びっくりして咳き込んでしまった。
言われたところを触ると確かにご飯粒がついていた。

「あ、ありがと...。」

最近なんだかやたらとこういったスキンシップに似た行為がカイさんに多い気がする。
1か月前のカイさんなら『ここにご飯粒がついてますよ、ユウキ』って言って自分の頬を指していた。それくらいの距離感だったのに。
昨日もそうだった。ソファで小説を読んでいたら、『何を読んでいるんだ?』と横から声をかけられたので振り返ると、間近にカイさんが詰め寄っていてびっくりした。
心臓が飛び出るくらいびっくりしすぎて「わあああ!!」なんて大声をあげて後ずさったが、本人は『?、どうした?』なんてハテナのマークを表示させてケロッとしているもんだから、いちいちリアクションをとってしまっている自分が恥ずかしくなってくる。

(多分...カイさんなりの友達との接し方...。昨日のやつだって、友人関係を持つ間柄ならよくある光景だ。カイさんなりに僕との信頼関係を築こうとしているのがわかる。僕が過剰に反応してしまっているだけだ、分かってはいる。
が、カイさんを意識しないように1か月前から務めて理性を保っている僕にとっては非常にまずい。そもそも片思い中に好きな人に近づかれて意識しない方がおかしい。)

ご飯を食べ終え、食器を片づけようと席を立つ。
途端、カイさんに呼ばれた。

『.......ユウキ?』

ビクッッッ
「あ、な、なに...?」

椅子に座ったままのカイさんに視線を戻す。
ダメだ、意識すればするほど名前を呼ばれるだけで過剰に反応してしまう。

『ご飯、美味しくなかったか?』
「そ、そんなことない!!美味しかった!美味しかったけど...。」

失敗だ。もっと他の方法を探さないと...。
ひとまず今日は発散させよう、このままだとカイさんに不信感を抱かせてしまう。

「あ、あの.....きょ、今日この後なんだけど。」

久しぶりに言うと1か月前まで自分が何をお願いしていたのかとんでもない事に気がついた。

「30分...お風呂に入って貰っててもいい?」

カイさんは僕の言葉を聞くとピタッと静止し、数秒間フリーズした。

『......久しぶりだな....。30分で大丈夫か?』
「え....?」

30分で大丈夫か?どういう意味なんだろう。

(久しぶりのお願いだから再確認してるとか...?
でも、今の言い方だと、もう少し長くても大丈夫って事だよね…。)

「あの、じゃあ1時間とか...いい?」

ちょっと、長すぎる気もするけど久しぶりだし念の為...。

『.....わかった。』

そう言ってカイさんは席を立つと寝室に向かい、服を持って部屋からでてきた。

『行ってくる。』

カイさんが風呂場に向かい、ガラガラガラ、と風呂場の戸を閉めた。僕はそれを見て急いで食器を片付けて寝室の扉を開く。

「.......っ、はっ、ふーっ。」

1人になった途端、身体が一気に熱くなった。

(はやく....終わらせよう...。)

いつも通り、フラフラとクローゼットに向かい、僕の衣装ケースを開き、奥にしまってあるローションを取り出す。

「...ふっ、ふぅっ、へ、あれ..っ...?」

心做しかちょっと違和感を感じたが、普段使いしているいつも通りのローションだった。

そんなことより、と急いでベッドに寝っ転がり、ズボンを下ろす。何もしていないのに完全に勃起し、パンツの隙間からは我慢汁がタラタラと流れていた。

「はーっ、はーっ、ぐすっ、うぅ...。」

みっともない姿に嫌悪感を抱きつつも両手で自身のモノを取り出す。ローションを普段の倍ぶっかけ、初めから遠慮なく、激しく、しごき始めた。

「ん、んっ、ふぁぁ、あっ、はっ」

ぐじゅぐじゅといやらしい水音が耳元に響く。

「っふ、ん、は、あっ、んんっ」

(やばい、久しぶりだからもうイキそう...っ...。)

「ん、んんん、っ、はっ、はっ、あっ、あ」

イきそうになるものの、すんでのところで射精感が途絶える。

「んん''っ、んっ、い、イけない、んっ''」

射精感に達するまでの快楽が足りず、無意識に尻に手を伸ばした。既に手はカウパーとローションでベトベトで、すんなりと入った。

「あ、あっ、き、きもち、ん...。」

ぶちゅっ、くちゅ、じゅっ、ぐちゅっ

夢中になって前立腺を指で責め立てる。
次第に、射精感が限界を迎えた。

「はっ、あっ、あ、い、イく...っ..んん!!」

ビュルッ

「はーっ、はーっ、はーっ、.....あっ!」

息を整えて、射精したモノに視線を移すと手で覆うのを忘れて、精子がシャツにかかってしまっていた。

(や....ばい...忘れてた...どうしよ...。)

思考がまとまらないうちに、また自身のモノに目を向けるとイったはずのソレがまた勃ちあがるのが見えた。

(.....え...なにも...やってないのに...。)

ベッドから起き上がり、今度は正座になって、勃起したモノに手を添える。

「はっ、はァっ、ん、んん!!」

ぐちゅっ、ぐちゅ、ぐちゅっ

「んん、んっ、ふぁ、あ、」

(んっんんっ、イったばっか、なのに、また、イくっ、)

「っふ、あ、あっ、ああっ!」

パタッ...パタパタッ

先程射精したばかりで敏感だったせいか、今度は前だけで達し、手で受け止めることが出来た、.........が。

「はーっ、はーっ、、、、........!?」

顔を下に向けると、再び緩やかに勃ちあがる自分のモノが、ソコにはあった。

「あ、な、なんで...っ、」

連続の絶頂と疲労感に加え、収まらない昂りに姿勢を保てなくなり、顔をシーツに埋めて蹲る。

「ん、んんんっ、はっ、はァッ。」

どうしよう、まったく収まらない...。

「んん''、ぐずっ、ひぐっ、う''ぅ。」

どれだけ擦っても収まらない、バカになってしまった自分のモノに恐怖心が溢れ、グズグズと泣きじゃくる。

「ひぐっ、ずっ、っ、カイ''さん...カイ''さん''のばかぁ...。」

こうなってしまったのは全部、カイさんのせいだ。
僕は務めてカイさんの望む友達でいようと1ヶ月間の我慢を決意したのに。
自慰をやめた1週間後から明らかに肌の触れる回数が多くなったのだ。友達として接しているのはわかるが僕にとってそういう目で見ていないことぐらい、カイさんにもわかっているはずだろうに。

「んん''ん''、う''ぅ、ひぐ、っと、もだち、ならっ、さわって、く''るな''っ!!」

(あ、あ、ダメだ、また、またイきそう。)

「っ、ん''ん''、かい、さんっ、カイさん、ん、んっ、。」

ビュクッ、ビュルッ....

「はぁっ、はぁっ、あ、...。」

吐き出した精子が受け止めきれず、手からボタボタとシーツにこぼれ落ちた。

(あぁ、やばい、シャツも...シーツも、ぐちゃぐちゃだ...変えなきゃ....。あ、いま、なんじだ....。)

未だに昂ったままの身体が重たく、蹲ったまま顔だけを壁にかけてある時計に向けた。

(だいじょうぶ....まだ、40ぷん、時間、のばしてもらってよか.........、? )

ふと、寝室の扉に目を向けると少し隙間が開いているのが見えた。

(あれ....ぼく、しまいわすれたのか....あぶなかっ、.....ッッ!?!?)

瞬間、その隙間から青みがかった黒い機体に、白いシャツが見えた時、喉からヒュッッと息の詰まる声がした。

「ッ、か、ッ、かい.....さん.....?」

声を震わせながら呼びかけてみる。
途端に、扉の隙間から見える機体が僕の声に一瞬驚いたかのように揺れたかと思うと、フッと奥の方へと消えていった。

(うそ、うそだ、なんで.....まだ時間.....いや、そんなことより、カイさんに、僕のやってたことが....。)

先程まで昂っていたはずの身体が次第に冷え始め、顔が青ざめる。どう思い返しても、扉の隙間から見えた機体はカイさんだった。

(僕の、あんな醜態が、カイさんに...。)

きィっと部屋の扉が開き、タオルを持ったカイさんが僕の目の前に現れた。

『......すまない、立之日....。』

気まずそうに顔を横に背け、タオルを差し出す。
そんなカイさんの様子と、僕の名前を苗字で呼んだ時、ああ、今度こそ終わったと、僕の目の前は真っ暗になった。
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