20 / 36
王国騎士団篇
第1話 そこに勇気はあるのか
しおりを挟む
シドラたちはルシファーの軍との戦いを終え、異世界の戦乙女、追放戦乙女であり王国騎士団志願の天使の少女、レヴァタイズを連れて王国オデヌヘイムに戻った。
戻ると、さっそくシグルド王が出迎えてくれた。
「そこの戦乙女らしき少女は?」
「は、はい。私は異世界から来ました。追放戦乙女所属のレヴァタイズです。今回は、この国の王国騎士団に入団する為にこの方たちについて来ました。」
「俺はこの国、王国オデヌヘイムの国王、シグルド・ニーベルング・オデヌヘイムだ。追放戦乙女は俺も聞いたことはあるが見たことはない。だが、なぜ追放戦乙女の一員であるお主が我が国の王国騎士団に入団する?」
「それは…」
そして、一呼吸置いてから、レヴァタイズは話し始めた。
「私は確かに追放戦乙女の一員です。ロキ様から[勇気を振りかざす者]を意味するこの名前ももらいました。でも、勇気も自信も持てなくて、その名前を本当に自分が持っていても大丈夫なのかいつも心配だし、私は特に戦力でもないから『その名前持ってるからって前線に出て来られると足手纏いだ』って言われるし…。だから、こっちで強くなってみんなを見返したいんです!…なので敢えてこっちに残ったんです。」
「そうか。ならば幾つか問おう。本当にそこに勇気はないのか?」
「え?ど、どういうことですか?」
「さっき、敢えてこの世界に残った、って言ったな?」
「そ、そうですけど…。」
「なら、お主は十分に勇気があるはずだ。」
「え?ど、どうしてそうなるんですか?」
「普通、世界樹経由で異世界に行くのは当たり前だがその多くはやむを得ずな事情が殆どで、自分から異世界に滞在しようとする奴は相当肝が据わっていると思うが。実際、俺もこの200年近くで異世界には何度も行ったが、未知の世界には到底滞在しようだなんて思えなかった。だからだ、自分の知らない世界に滞在しようと思えるのは、お主に勇気があるからだ。」
「で、でもみんなに迷惑かけてるかもしれないし…」
「しかし、お主は他の追放戦乙女から足手纏いなんて言われたんだろ?なら、そんな奴らを気に掛ける必要はない。さっきお主も言っていたであろう?強くなって見返したい、と。」
「はい。でも、私のわがままに付き合ってもらってもいいんですか?」
「気にしなくてよい。強さを求める者は同志として歓迎する。それに、熾天使が軍に加われば軍の士気も上がるであろうしな。まあ、気が済むまで我が軍で成長したまえ。」
「…はいっ!」
「久しいな、シドラ。世界樹から生きて帰れるとは、俺が見込んだだけのことはある。仲間も増えているようだが、紹介してくれないか?」
「はい。まずはシャラから。」
「初めまして。72柱の序列15、グラシャラボラスです。親しんでもらえるようにシャラって呼んでもらってます。72柱を2回倒しました。」
「何⁉72柱を2回殺しただと⁉…ふがいないことに俺はまだ7体ほど瀕死にしただけでいつも殺し損ねている。お主、よほど強いのだな。」
「はい。実は私、ルシファー(様)直伝の強化魔法を持っているので。」
「もしシドラたちが騎士団に入れば世は泰平だな。」
「ごめんなさい、王様。ある程度の要求にはお応えしますが、僕たちは騎士団に加入するつもりはないです。それに、あと何年かのうちに必ずルシファーたちは攻めてくるはうです。そう長く安泰は続きませんよ。」
「そうか。ならば我々も軍備の強化を…おっと、話題が逸れたな。他の新しい仲間も紹介してくれ。」
「私はステラ・ヘイチェイスです。私の足元、透けてないですか?」
「ん?確かに透けているように見えるが、まさかアンデッドの幽霊か⁉」
「そうなんです。私は72柱のとある死霊闇魔術師に召喚されたらしいんですけど、文明崩壊はご存じですよね?」
「それはそうだが、文明崩壊で死んだのか?」
「少し違うんですけど、私が文明崩壊を起こした張本人です。」
「…ゑ?何ィーーーーー⁉」
「驚かせてすいません。でも、今は当時ほどの力は無いのでまた文明崩壊を私の手で引き起こすなんてことは無いと思います。」
「わ、我が国で力を開放するようなことは絶対にやめてくれ!!」
「分かってますよ。」
「あれ?そういえばパティーナちゃんは?」
「あ。確かにパティーナはどこへ?まさか、ユグドラシルに置いてきた⁉」
「そのパティーナ様とは、こちらのことでしょうか。」
「あ、ルキネアさん。その水筒は?」
「しばしお待ちを。」
そう言うと、ルキネアは水筒の蓋を開け、それをひっくり返した。すると、中から水色の液体らしきものが出てきて、それが人型を形成し始め、最後にはパティーナになった。
「なぜパティーナをあなたが?」
「オデヌヘイムの忍は、オーディン様やその支配下方が行った戦闘の後始末をすることが義務であり、歴史は浅くともここ60年近くの伝統であります。なので世界樹の50階層に行ったのですが、そこにこのパティーナ様がおられました。しかし、水の精霊であること以外は不明だったのでひとまず水の精霊を保管する容器に入れて持ち帰ってきた次第です。」
「それ水筒じゃないんですか?」
「いえ、専用の容器です。」
「シドラ。その少女も仲間か?」
「はい。パティーナは言葉はしゃべれないですけど、72柱の序列41、フォカロルの魔力から生まれた水の大精霊なんです。」
「そうか。フォカロルとは俺も茶会をしたことがある。奴は誰とでも茶会を開きたがる少し変わった奴だ。」
「そうなんですか。」
「これで全員か。お主ら、心して聞いてくれ。最近、俺が60年近く前に封印した暗黒竜ファブニールが復活した。3日後、我々は暗黒竜を封印しに遠征する。そこで、心裂剣リディルを持っているからにはシドラたちにもついて来てもらう。それでいいか?序でにレヴァタイズもついて来るといい。」
「えっ?いいんですか⁉」
「さっきも言っただろう?強さを求めるものは同志として歓迎する、と。」
「ありがとうございます!シ、シグルド様、も、もし明日かあさってのどちらかで予定の入ってない日があれば、私の新しい装備を買うのに付き合ってもらえませんか。」
「いいだろう。明日のうちにしなければならない仕事をできる限り終わらせて明後日にしよう。」
「あ、ありがとうございます!」
*
~2日後~
「シグルド様、はやく行きましょう。」
「あ、ああ。ま、まずはどこに行く…?」
「シグルド様、眠そうですけどもしかして夜なべしてまで仕事を頑張ってくださったんですか?でも、シグルド様が疲れてらっしゃるのなら今日は休養を…」
「いや、それでは夜なべした意味がなくなってしまうだろう?あと、少しでも気持ちから強くなろうと思うなら、俺相手でも敬語でしゃべらなくていい。」
「つまり、これからはシグルド様相手でも敬語を使わなくていいってことですか?」
「ほら、まだ敬語になってるぞ。」
「あ、すいません。どうしても昔から普段の会話にも敬語が交じっていた所為で癖になってるみたいです。」
「そうか、ならしょうがないか。最初はどこに行くんだ?」
「まず、軽装を見たいので服屋と武器屋を兼ねたお店に行きたいんですが。」
「それならいい店を知ってるぞ。騎士団御用達の店だ。」
「え?いいお店教えてくれるんですか?」
「もちろんだ。強さの為だろ?」
*
「わぁ。このお店とても広いですね。」
「この店の開業には俺も関わっているから店のどこにどの商品が置いてあるかは知っている。」
「すごいですね。シグルド様が関わっているお店ならよっぽど凄いお店なんですね。」
「ああ。別の意味でもな。」
「別の意味?」
「後で分かる。」
「シグルド様、この軽装とかどうですか?」
「その軽装は魔法をかけた特殊製法の布が使われているから動きやすさや防御力、通気性にも長けた高性能なやつだな。高額ではあるがその分買い直すことも少ないし…」
「そ、そういうことじゃないですよ!」
「そういうことじゃないなら何を…」
「私に似合うか、ってことですよ!ほ、ほら、例えば…、」
「ああ、とても似合ってる。戦乙女ならば強く美しくあるべきだからな。」
「ありがとうございます。で、でもこの軽装もの凄く高いですよ。」
「大丈夫だ。この店の商品は基本凄く高いがそこは俺が国王の権力で安くしてもらうから。」
「そ、そんなことして大丈夫なんですか?」
「さっきのは冗談だ。俺が買うよ。」
「申し訳ないですよ!自分の装備くらい自分で買いますよ。」
「じゃあ、俺からの騎士団加入祝い、ってことにすればいいか?」
「…はい。お願いします。」
「わかった。」
*
「剣は買わなくて本当によかったのか?」
「いいんですよ。私、あんまり両手剣が得意じゃなくて、昔からずっと長針剣タイプの武器しか使ってこなくて…。ほら、長針剣もそれぞれ直径が違うので1本1本に対応した人がいるんですよ。なので、一度1つの長針剣を使い慣れてしまうと、他の長針剣が使いづらくなるんです。」
「そうか。そうだ、強く美しくある為にはやっぱり…。」
「やっぱり…?」
「ここって?」
「世界でも数少ない精霊石を作る錬成所だ。俺の幼なじみのエルフが経営してる店だ。」
「精霊石の錬成って、確か賢者様や法王様に並ぶほど最上級の神聖魔法を取得していないといけないのでは…?」
「この世界では少し違うんだ。この世界ではエルフ族はみな精霊石の錬成ができるんだ。」
「そうなんですか。ところで、何をしにここへ?」
「もちろん、お主に精霊石の装飾品を買う為だ。」
「え⁉け、軽装も買ってくださったのにそんなお高いものまで…」
「実は、歴代の女王候補には候補の証として買っているんだ。」
「…え?わ、私が女王候補?わ、私は仮にも異世界人ですよ⁉」
「そんなことは関係ない。それより、はやく作ってもらおう。」
2人が中に入ると、そこにはクールな顔つきをしたエルフの女性がいた。
「久しいな、シグルド。って、お前大丈夫か⁉熾天使なんかを女王候補にしたらオーディン様とフレイヤ様のお怒りに触れやしないか?」
「問題ない。この娘は異世界の熾天使だ。」
「まさか、追放戦乙女の1人か⁉異世界のロキなんか得体の知れない神を敵にまわすなよ?」
「わかっている。それより、ご察しの通り…」
「女王候補に贈る精霊石だろ?何色にするんだ?」
「お主、何色がいい?」
「シ、シグルド様。お主、じゃなくてちゃんと名前で呼んでくださいませんか?」
「わかった。レヴァタイズ、何色がいい?」
「私はピンク色であざやかな宝石がいいです。」
「なら、ピンク・ミスティック・トパーズでやってくれ。」
「付与する魔法は?」
「『防御向上』、『攻撃向上』、『命中率向上』、『走力向上』、『視力向上』、『筋力向上』、『領域耐性』、『異常耐性』、『魔力回復』、『魔力削減』…くらいか。」
「いちいち注文が多いんだよ。まあ、依頼人の注文だからやるけどさ。」
「すまない。お詫びとして魔晶石を10Kgほどやろう。」
「よし、今からとびっきりのやつ作ってやるから外で少し待ってろ。」
そして2人が外に出て10分経つか経たないかのうちに完成した。
「ほら、これでいいんだろ?」
「代替わりごとに済まない。あと、言い忘れていたが俺としてはこれがお前にする最後の注文だったと思う。」
「そういう大事なことは先に言っとけよ。まさか、ルシファーと殺り合うつもりか⁉」
「もちろん、主神様の傘下でだが。」
「そうか。なら魔晶石をあと100Kgくれれば水晶系統の魔道具作りまくっとくぞ。」
「いいのか?ならば頼んだ。」
「国王陛下!!速報です!!」
「何事だ?申してみよ。」
「はい。たった今、村の住人から連絡があり、ファブニールが洞窟から一時的に脱走し、周囲の村を焼き払ったようです!!できるだけ出撃を前倒しにした方がよろしいかと思われます。」
「そうか。ならば少し待て。」
シグルドは宙に浮くと…
“〔全騎士団員及び上級冒険者に通達する!今、悪しき竜が罪なき民を苦しめている。そこで、出撃を前倒しにすることになった。昼間のうちに用意を済ませ、亥の刻には王城の前に集合せよ!世界平和の為に命を捨てる覚悟のある勇敢な戦士たちよ、その身を捧げるのだ!〕”
拡声器を使ったような爆音で国中に旨を伝えた。
「と、いうことで今夜出撃だ。俺たちもすぐに準備しよう。」
「う、うん。」
「さっそく、あの軽装を着て出撃してくれないか?」
「…喜んで!!」
こうして、暗黒竜ファフニールを討伐するおよそ200名に満たない軍が出撃した。
※「キャラ紹介」に[イメージCV]がつけられました。これからもこの作品をご愛読よろしくお願いします。
戻ると、さっそくシグルド王が出迎えてくれた。
「そこの戦乙女らしき少女は?」
「は、はい。私は異世界から来ました。追放戦乙女所属のレヴァタイズです。今回は、この国の王国騎士団に入団する為にこの方たちについて来ました。」
「俺はこの国、王国オデヌヘイムの国王、シグルド・ニーベルング・オデヌヘイムだ。追放戦乙女は俺も聞いたことはあるが見たことはない。だが、なぜ追放戦乙女の一員であるお主が我が国の王国騎士団に入団する?」
「それは…」
そして、一呼吸置いてから、レヴァタイズは話し始めた。
「私は確かに追放戦乙女の一員です。ロキ様から[勇気を振りかざす者]を意味するこの名前ももらいました。でも、勇気も自信も持てなくて、その名前を本当に自分が持っていても大丈夫なのかいつも心配だし、私は特に戦力でもないから『その名前持ってるからって前線に出て来られると足手纏いだ』って言われるし…。だから、こっちで強くなってみんなを見返したいんです!…なので敢えてこっちに残ったんです。」
「そうか。ならば幾つか問おう。本当にそこに勇気はないのか?」
「え?ど、どういうことですか?」
「さっき、敢えてこの世界に残った、って言ったな?」
「そ、そうですけど…。」
「なら、お主は十分に勇気があるはずだ。」
「え?ど、どうしてそうなるんですか?」
「普通、世界樹経由で異世界に行くのは当たり前だがその多くはやむを得ずな事情が殆どで、自分から異世界に滞在しようとする奴は相当肝が据わっていると思うが。実際、俺もこの200年近くで異世界には何度も行ったが、未知の世界には到底滞在しようだなんて思えなかった。だからだ、自分の知らない世界に滞在しようと思えるのは、お主に勇気があるからだ。」
「で、でもみんなに迷惑かけてるかもしれないし…」
「しかし、お主は他の追放戦乙女から足手纏いなんて言われたんだろ?なら、そんな奴らを気に掛ける必要はない。さっきお主も言っていたであろう?強くなって見返したい、と。」
「はい。でも、私のわがままに付き合ってもらってもいいんですか?」
「気にしなくてよい。強さを求める者は同志として歓迎する。それに、熾天使が軍に加われば軍の士気も上がるであろうしな。まあ、気が済むまで我が軍で成長したまえ。」
「…はいっ!」
「久しいな、シドラ。世界樹から生きて帰れるとは、俺が見込んだだけのことはある。仲間も増えているようだが、紹介してくれないか?」
「はい。まずはシャラから。」
「初めまして。72柱の序列15、グラシャラボラスです。親しんでもらえるようにシャラって呼んでもらってます。72柱を2回倒しました。」
「何⁉72柱を2回殺しただと⁉…ふがいないことに俺はまだ7体ほど瀕死にしただけでいつも殺し損ねている。お主、よほど強いのだな。」
「はい。実は私、ルシファー(様)直伝の強化魔法を持っているので。」
「もしシドラたちが騎士団に入れば世は泰平だな。」
「ごめんなさい、王様。ある程度の要求にはお応えしますが、僕たちは騎士団に加入するつもりはないです。それに、あと何年かのうちに必ずルシファーたちは攻めてくるはうです。そう長く安泰は続きませんよ。」
「そうか。ならば我々も軍備の強化を…おっと、話題が逸れたな。他の新しい仲間も紹介してくれ。」
「私はステラ・ヘイチェイスです。私の足元、透けてないですか?」
「ん?確かに透けているように見えるが、まさかアンデッドの幽霊か⁉」
「そうなんです。私は72柱のとある死霊闇魔術師に召喚されたらしいんですけど、文明崩壊はご存じですよね?」
「それはそうだが、文明崩壊で死んだのか?」
「少し違うんですけど、私が文明崩壊を起こした張本人です。」
「…ゑ?何ィーーーーー⁉」
「驚かせてすいません。でも、今は当時ほどの力は無いのでまた文明崩壊を私の手で引き起こすなんてことは無いと思います。」
「わ、我が国で力を開放するようなことは絶対にやめてくれ!!」
「分かってますよ。」
「あれ?そういえばパティーナちゃんは?」
「あ。確かにパティーナはどこへ?まさか、ユグドラシルに置いてきた⁉」
「そのパティーナ様とは、こちらのことでしょうか。」
「あ、ルキネアさん。その水筒は?」
「しばしお待ちを。」
そう言うと、ルキネアは水筒の蓋を開け、それをひっくり返した。すると、中から水色の液体らしきものが出てきて、それが人型を形成し始め、最後にはパティーナになった。
「なぜパティーナをあなたが?」
「オデヌヘイムの忍は、オーディン様やその支配下方が行った戦闘の後始末をすることが義務であり、歴史は浅くともここ60年近くの伝統であります。なので世界樹の50階層に行ったのですが、そこにこのパティーナ様がおられました。しかし、水の精霊であること以外は不明だったのでひとまず水の精霊を保管する容器に入れて持ち帰ってきた次第です。」
「それ水筒じゃないんですか?」
「いえ、専用の容器です。」
「シドラ。その少女も仲間か?」
「はい。パティーナは言葉はしゃべれないですけど、72柱の序列41、フォカロルの魔力から生まれた水の大精霊なんです。」
「そうか。フォカロルとは俺も茶会をしたことがある。奴は誰とでも茶会を開きたがる少し変わった奴だ。」
「そうなんですか。」
「これで全員か。お主ら、心して聞いてくれ。最近、俺が60年近く前に封印した暗黒竜ファブニールが復活した。3日後、我々は暗黒竜を封印しに遠征する。そこで、心裂剣リディルを持っているからにはシドラたちにもついて来てもらう。それでいいか?序でにレヴァタイズもついて来るといい。」
「えっ?いいんですか⁉」
「さっきも言っただろう?強さを求めるものは同志として歓迎する、と。」
「ありがとうございます!シ、シグルド様、も、もし明日かあさってのどちらかで予定の入ってない日があれば、私の新しい装備を買うのに付き合ってもらえませんか。」
「いいだろう。明日のうちにしなければならない仕事をできる限り終わらせて明後日にしよう。」
「あ、ありがとうございます!」
*
~2日後~
「シグルド様、はやく行きましょう。」
「あ、ああ。ま、まずはどこに行く…?」
「シグルド様、眠そうですけどもしかして夜なべしてまで仕事を頑張ってくださったんですか?でも、シグルド様が疲れてらっしゃるのなら今日は休養を…」
「いや、それでは夜なべした意味がなくなってしまうだろう?あと、少しでも気持ちから強くなろうと思うなら、俺相手でも敬語でしゃべらなくていい。」
「つまり、これからはシグルド様相手でも敬語を使わなくていいってことですか?」
「ほら、まだ敬語になってるぞ。」
「あ、すいません。どうしても昔から普段の会話にも敬語が交じっていた所為で癖になってるみたいです。」
「そうか、ならしょうがないか。最初はどこに行くんだ?」
「まず、軽装を見たいので服屋と武器屋を兼ねたお店に行きたいんですが。」
「それならいい店を知ってるぞ。騎士団御用達の店だ。」
「え?いいお店教えてくれるんですか?」
「もちろんだ。強さの為だろ?」
*
「わぁ。このお店とても広いですね。」
「この店の開業には俺も関わっているから店のどこにどの商品が置いてあるかは知っている。」
「すごいですね。シグルド様が関わっているお店ならよっぽど凄いお店なんですね。」
「ああ。別の意味でもな。」
「別の意味?」
「後で分かる。」
「シグルド様、この軽装とかどうですか?」
「その軽装は魔法をかけた特殊製法の布が使われているから動きやすさや防御力、通気性にも長けた高性能なやつだな。高額ではあるがその分買い直すことも少ないし…」
「そ、そういうことじゃないですよ!」
「そういうことじゃないなら何を…」
「私に似合うか、ってことですよ!ほ、ほら、例えば…、」
「ああ、とても似合ってる。戦乙女ならば強く美しくあるべきだからな。」
「ありがとうございます。で、でもこの軽装もの凄く高いですよ。」
「大丈夫だ。この店の商品は基本凄く高いがそこは俺が国王の権力で安くしてもらうから。」
「そ、そんなことして大丈夫なんですか?」
「さっきのは冗談だ。俺が買うよ。」
「申し訳ないですよ!自分の装備くらい自分で買いますよ。」
「じゃあ、俺からの騎士団加入祝い、ってことにすればいいか?」
「…はい。お願いします。」
「わかった。」
*
「剣は買わなくて本当によかったのか?」
「いいんですよ。私、あんまり両手剣が得意じゃなくて、昔からずっと長針剣タイプの武器しか使ってこなくて…。ほら、長針剣もそれぞれ直径が違うので1本1本に対応した人がいるんですよ。なので、一度1つの長針剣を使い慣れてしまうと、他の長針剣が使いづらくなるんです。」
「そうか。そうだ、強く美しくある為にはやっぱり…。」
「やっぱり…?」
「ここって?」
「世界でも数少ない精霊石を作る錬成所だ。俺の幼なじみのエルフが経営してる店だ。」
「精霊石の錬成って、確か賢者様や法王様に並ぶほど最上級の神聖魔法を取得していないといけないのでは…?」
「この世界では少し違うんだ。この世界ではエルフ族はみな精霊石の錬成ができるんだ。」
「そうなんですか。ところで、何をしにここへ?」
「もちろん、お主に精霊石の装飾品を買う為だ。」
「え⁉け、軽装も買ってくださったのにそんなお高いものまで…」
「実は、歴代の女王候補には候補の証として買っているんだ。」
「…え?わ、私が女王候補?わ、私は仮にも異世界人ですよ⁉」
「そんなことは関係ない。それより、はやく作ってもらおう。」
2人が中に入ると、そこにはクールな顔つきをしたエルフの女性がいた。
「久しいな、シグルド。って、お前大丈夫か⁉熾天使なんかを女王候補にしたらオーディン様とフレイヤ様のお怒りに触れやしないか?」
「問題ない。この娘は異世界の熾天使だ。」
「まさか、追放戦乙女の1人か⁉異世界のロキなんか得体の知れない神を敵にまわすなよ?」
「わかっている。それより、ご察しの通り…」
「女王候補に贈る精霊石だろ?何色にするんだ?」
「お主、何色がいい?」
「シ、シグルド様。お主、じゃなくてちゃんと名前で呼んでくださいませんか?」
「わかった。レヴァタイズ、何色がいい?」
「私はピンク色であざやかな宝石がいいです。」
「なら、ピンク・ミスティック・トパーズでやってくれ。」
「付与する魔法は?」
「『防御向上』、『攻撃向上』、『命中率向上』、『走力向上』、『視力向上』、『筋力向上』、『領域耐性』、『異常耐性』、『魔力回復』、『魔力削減』…くらいか。」
「いちいち注文が多いんだよ。まあ、依頼人の注文だからやるけどさ。」
「すまない。お詫びとして魔晶石を10Kgほどやろう。」
「よし、今からとびっきりのやつ作ってやるから外で少し待ってろ。」
そして2人が外に出て10分経つか経たないかのうちに完成した。
「ほら、これでいいんだろ?」
「代替わりごとに済まない。あと、言い忘れていたが俺としてはこれがお前にする最後の注文だったと思う。」
「そういう大事なことは先に言っとけよ。まさか、ルシファーと殺り合うつもりか⁉」
「もちろん、主神様の傘下でだが。」
「そうか。なら魔晶石をあと100Kgくれれば水晶系統の魔道具作りまくっとくぞ。」
「いいのか?ならば頼んだ。」
「国王陛下!!速報です!!」
「何事だ?申してみよ。」
「はい。たった今、村の住人から連絡があり、ファブニールが洞窟から一時的に脱走し、周囲の村を焼き払ったようです!!できるだけ出撃を前倒しにした方がよろしいかと思われます。」
「そうか。ならば少し待て。」
シグルドは宙に浮くと…
“〔全騎士団員及び上級冒険者に通達する!今、悪しき竜が罪なき民を苦しめている。そこで、出撃を前倒しにすることになった。昼間のうちに用意を済ませ、亥の刻には王城の前に集合せよ!世界平和の為に命を捨てる覚悟のある勇敢な戦士たちよ、その身を捧げるのだ!〕”
拡声器を使ったような爆音で国中に旨を伝えた。
「と、いうことで今夜出撃だ。俺たちもすぐに準備しよう。」
「う、うん。」
「さっそく、あの軽装を着て出撃してくれないか?」
「…喜んで!!」
こうして、暗黒竜ファフニールを討伐するおよそ200名に満たない軍が出撃した。
※「キャラ紹介」に[イメージCV]がつけられました。これからもこの作品をご愛読よろしくお願いします。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
R・P・G ~転生して不死にされた俺は、最強の英雄たちと滅ぼすはずだった異世界を統治する~
イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の取材中、異世界の大地の女神と接触する。
半ば強制的に異世界へと転生させられた彼は、惑星そのものと同化し、“星骸の主”として不死の存在へと変貌した。
だが女神から与えられた使命は、この世界の生命を滅ぼし、星を「リセット」すること。凛人はその命令を、拒否する。
彼は、大地の女神により創造された星骸と呼ばれる伝説の六英雄の一人を従者とし、世界を知るため、そして残りの星骸を探すため旅に出る。
しかし一つ選択を誤れば世界が滅びる危うい存在……
女神の使命を「絶対拒否」する不死者と、裏ボス級の従者たち。
これは、世界を滅ぼさず、統治することを選んだ男の英雄譚である。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる