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第四話 継母と義理の妹の攻勢
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「ルシャール殿下、わたしはイジメなどしてはおりませぬ。ただ、年頃になってきているのに、礼儀作法があまりできているとはいえないので、口酸っぱく指導をしただけのことです。そして、傲慢な態度とおっしゃりますが、わたしはボードリックス公爵家の令嬢で、ルシャール殿下の婚約者。気品ある態度を取らなければなりませぬ。それを傲慢な態度と受け取られるのは、はなはだしく心外なことでございます」
わたしがそう言ったのに対し、ルシャール殿下は、
「よくもぬけぬけと申すものだ。自分が周囲に迷惑をかけていることを正当化したいと思っているようだな」
と厳しい表情で応えてくる。
「わたしはただ事実を申しているだけで、正当化しようとなどは思っておりません」
「全くきみはふざけたやつだ」
ルシャール殿下のわたしに対する口調がだんだん荒っぽいものになってきている気がする。
「今申した話だけでも婚約を破棄した理由になりうるが、それだけではない。きみはここにいるオディナティーヌを、彼女が公爵家に来た当初からすっとイジメていたそうではないか。自分の家族を大切にできないような人に、わたしの婚約者になる資格はない!」
ルシャール殿下はさらに強い調子で言う。
わたしは先程と違い、この言葉にはショックを受けた。
わたしがオディナティーヌをイジメた?
そんなことは初めて聞く話だ。
わたしが学校内で嫌われているということは、ある程度は耳に入っていた。
しかし、オディナティーヌからは、
「わたしをイジメないでください」
と言われたことはない。
いつも、わたしもことをイジメる継母(オディナティーヌにとっては実母)も、わたしがオディナティーヌをイジメているという話は一度もしたことはない。
全くルシャール殿下もわけのわからない話をするものだ。
そう思ったわたしは、
「ルシャール殿下、お言葉ですが、わたしはオディナティーヌをイジメることなど一度もしたことがありません。それどころか、『お姉さま』と呼んでくれて慕ってくれる子でございます。冗談もいい加減にしてほしものですわ」
と言った。
ずるとルシャール殿下は、
「ではオディナティーヌ本人に聞くことにしよう」
と言ってオディナティーヌの方を向き。
「オディナティーヌよ。きみは長年、リディテーヌにイジメられてきたそうだね」
と言う。
わたしは期待していた。
いつもわたしに対しては従順なオディナティーヌが、ルシャール殿下の言葉に対して反論することを。
そして、
「ルシャール殿下の婚約者にはお姉さまこそがふさわしいです。婚約者はわたしではなく、お姉様に戻していただきますよう、お願いします」
と言ってくれることを。
しかし……。
「ルシャール殿下、その通りでございます。わたしは、お母様とボードリックス公爵家に来て以来、このリディテーヌによって、様々なイジメを受けて参りました。それをずっと我慢してきたのでございます」
オディナティーヌはそう言って泣き出した。
継母は、そんなオディナティーヌの肩の上に手を乗せ、
「ルシャール殿下、わたしはオディナティーヌがリディテーヌによってイジメられていたのを、オディナティーヌから聞いておりました。しかし、それでボードリックス公爵家の長女であるリディテーヌを叱ることは公爵家全体の秩序を壊すことにつながってしまうかもしれないと思い、ずっと我慢してきたのでございます。リディテーヌも血はつながっていないとはいうものの、かわいい娘です。でも、そうやって甘やかしたのがよくなかったのでしょう。ごめんさないね、オディナティーヌ。つらかったでしょう。苦しかったでしょう。こんな情けない母親であるわたしを殿下、どうかお叱りください」
と涙をこぼしながら言った。
「お母様……」
手を握り合い、涙を流す二人。
わたしはこの二人の言っていることが理解できなかった。
わたしのことをかわいがるどころか、イジメ続けていた継母。
わたしの前ではずっと従順だったオディナティーヌ。
殿下はこの二人の話を聞いて、少し涙ぐんでいる、
周囲の出席者の中でも涙ぐんでいる人がいた。
それだけではなく、わたしに敵意を向けてくる人もいた。
わたしがそう言ったのに対し、ルシャール殿下は、
「よくもぬけぬけと申すものだ。自分が周囲に迷惑をかけていることを正当化したいと思っているようだな」
と厳しい表情で応えてくる。
「わたしはただ事実を申しているだけで、正当化しようとなどは思っておりません」
「全くきみはふざけたやつだ」
ルシャール殿下のわたしに対する口調がだんだん荒っぽいものになってきている気がする。
「今申した話だけでも婚約を破棄した理由になりうるが、それだけではない。きみはここにいるオディナティーヌを、彼女が公爵家に来た当初からすっとイジメていたそうではないか。自分の家族を大切にできないような人に、わたしの婚約者になる資格はない!」
ルシャール殿下はさらに強い調子で言う。
わたしは先程と違い、この言葉にはショックを受けた。
わたしがオディナティーヌをイジメた?
そんなことは初めて聞く話だ。
わたしが学校内で嫌われているということは、ある程度は耳に入っていた。
しかし、オディナティーヌからは、
「わたしをイジメないでください」
と言われたことはない。
いつも、わたしもことをイジメる継母(オディナティーヌにとっては実母)も、わたしがオディナティーヌをイジメているという話は一度もしたことはない。
全くルシャール殿下もわけのわからない話をするものだ。
そう思ったわたしは、
「ルシャール殿下、お言葉ですが、わたしはオディナティーヌをイジメることなど一度もしたことがありません。それどころか、『お姉さま』と呼んでくれて慕ってくれる子でございます。冗談もいい加減にしてほしものですわ」
と言った。
ずるとルシャール殿下は、
「ではオディナティーヌ本人に聞くことにしよう」
と言ってオディナティーヌの方を向き。
「オディナティーヌよ。きみは長年、リディテーヌにイジメられてきたそうだね」
と言う。
わたしは期待していた。
いつもわたしに対しては従順なオディナティーヌが、ルシャール殿下の言葉に対して反論することを。
そして、
「ルシャール殿下の婚約者にはお姉さまこそがふさわしいです。婚約者はわたしではなく、お姉様に戻していただきますよう、お願いします」
と言ってくれることを。
しかし……。
「ルシャール殿下、その通りでございます。わたしは、お母様とボードリックス公爵家に来て以来、このリディテーヌによって、様々なイジメを受けて参りました。それをずっと我慢してきたのでございます」
オディナティーヌはそう言って泣き出した。
継母は、そんなオディナティーヌの肩の上に手を乗せ、
「ルシャール殿下、わたしはオディナティーヌがリディテーヌによってイジメられていたのを、オディナティーヌから聞いておりました。しかし、それでボードリックス公爵家の長女であるリディテーヌを叱ることは公爵家全体の秩序を壊すことにつながってしまうかもしれないと思い、ずっと我慢してきたのでございます。リディテーヌも血はつながっていないとはいうものの、かわいい娘です。でも、そうやって甘やかしたのがよくなかったのでしょう。ごめんさないね、オディナティーヌ。つらかったでしょう。苦しかったでしょう。こんな情けない母親であるわたしを殿下、どうかお叱りください」
と涙をこぼしながら言った。
「お母様……」
手を握り合い、涙を流す二人。
わたしはこの二人の言っていることが理解できなかった。
わたしのことをかわいがるどころか、イジメ続けていた継母。
わたしの前ではずっと従順だったオディナティーヌ。
殿下はこの二人の話を聞いて、少し涙ぐんでいる、
周囲の出席者の中でも涙ぐんでいる人がいた。
それだけではなく、わたしに敵意を向けてくる人もいた。
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