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第八十話 オクタヴィノール殿下と国王陛下と王妃殿下
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オクタヴィノール殿下の話は続く。
「わたしはルクシブルテール王国の王都に向かい、王宮に入りました。そして、父上と母上に会って、あなたと婚約したいということを伝えたのです」
わたしはオクタヴィノール殿下の話を聞いている内に、ますます緊張が増してきた。
「それで、どうおっしゃられたのでしょう?」
「手紙では、『父上と母上に相談したいことがあります』と書いておきました。しかし、『詳細はお会いした時に話をさせてください』と書いておいたのです。その為、あなたとの婚約の話をした時は、とても驚いておられました。そして、父上はすぐさま、『わたしは体の調子があまり良くない。だから、お前にはすぐにでも婚約してほしかった。とはいっても、この王国の令嬢ならば、わたしもいいと思っていたのだが、デュヴィテール王国の公爵家令嬢だとは……。お前にも以前言った通り、この王国内の令嬢であれば、お前の判断を尊重し、反対はしない方針でいた。お前の相手だという方の属するボードリックス公爵家自体は、デュヴィテール王国でも一二を争う名門貴族だ。家格としては申し分ない。しかし、この場合、家格が良いだけではダメなのだ。お前も知っているだろう。このルクシブルテール王国において、妃になるものは、この王国出身の令嬢ではなければならないということを。それがしきたりになっているのだ。このしきたりに従わなくてはならない。このしきたりがある以上、わたしはお前とその方の婚約を認めるわけにはいかない』とおっしゃられたのです」
「わたしもルクシブルテール王国のお妃は、自国出身の令嬢でなければならないというしきたりがあるということは存じておりました」
国王陛下は、特にしきたりを重んじる方。
予想していたこととはいうものの、こうして断られると、つらい気持ちになる。
オクタヴィノール殿下はどう対応したのだろう?
わたしはオクタヴィノール殿下の言葉を待った。
「でもわたしは、あなたのことが好きです、あなたのものです。この婚約は絶対に認めてもらわなければなりません。そこで、わたしは父上に、『しきたりに従わなければならないと言われていますが、このしきたりというのは、ただ昔から伝わってきていただけのもので、今までの歴代の当主が特に意味もなく従ってきただけのものです。婚約・結婚というものは『運命の女性』とするべきだとわたしは幼い頃からずっと思ってきました。リディテーヌさんは、わたしにとって、『運命の女性』だったのです。わたしは、リディテーヌさんと婚約・結婚することは、運命だと思いました。そして、実際に付き合い始めると、想像以上にわたしとフィーリングが合っていて、わたしが思っていたのよりも、さらに素敵な女性でした。わたしはますますこの方は、『運命の女性』だと思いました。わたしの妃になる方は、リディテーヌさんしかいないと強く思うようになったのです。父上、母上、わたしはリディテーヌさんのことを愛しています。リディテーヌさんの方もわたしのことを愛してくれています。どうか、まず婚約を認めてくださいますよう、お願いいたします』と申し上げたのです」
オクタヴィノール殿下はそう言った。
オクタヴィノール殿下は、わたしとの婚約を認めてもらう為に、熱意を込めて言ってくれたのだ。
ボードリックス公爵家のことを二人とも知ってはいても、リディテーヌの今までの悪い評判は耳に入っていないと思われる。
そして、わたしが生まれ変わる努力をしてから四か月ほど経っていて、今はもう「悪役令嬢」的なところを言われることも少なくなってきているので、これからは悪い評判が耳に入ることはないだろう。
オクタヴィノール殿下は、わたしのことを絶賛してくれている。
これほどありがたいことはないと思った。
ただ、少し褒めすぎだという気もする。
オクタヴィノール殿下はわたしのことを素敵な女性と言って褒めてくれた。
それはうれしい。
でも、自分では、まだ絶賛され、素敵な女性と言われて褒められるほどのところには達していないと思っていた。
わたしは今まで、これほど褒められた経験もないので、少し恥ずかしい気持ちになってくる。
とはいうものの、オクタヴィノール殿下の好意は、わたしの心を熱くさせていくものだった。
「わたしはルクシブルテール王国の王都に向かい、王宮に入りました。そして、父上と母上に会って、あなたと婚約したいということを伝えたのです」
わたしはオクタヴィノール殿下の話を聞いている内に、ますます緊張が増してきた。
「それで、どうおっしゃられたのでしょう?」
「手紙では、『父上と母上に相談したいことがあります』と書いておきました。しかし、『詳細はお会いした時に話をさせてください』と書いておいたのです。その為、あなたとの婚約の話をした時は、とても驚いておられました。そして、父上はすぐさま、『わたしは体の調子があまり良くない。だから、お前にはすぐにでも婚約してほしかった。とはいっても、この王国の令嬢ならば、わたしもいいと思っていたのだが、デュヴィテール王国の公爵家令嬢だとは……。お前にも以前言った通り、この王国内の令嬢であれば、お前の判断を尊重し、反対はしない方針でいた。お前の相手だという方の属するボードリックス公爵家自体は、デュヴィテール王国でも一二を争う名門貴族だ。家格としては申し分ない。しかし、この場合、家格が良いだけではダメなのだ。お前も知っているだろう。このルクシブルテール王国において、妃になるものは、この王国出身の令嬢ではなければならないということを。それがしきたりになっているのだ。このしきたりに従わなくてはならない。このしきたりがある以上、わたしはお前とその方の婚約を認めるわけにはいかない』とおっしゃられたのです」
「わたしもルクシブルテール王国のお妃は、自国出身の令嬢でなければならないというしきたりがあるということは存じておりました」
国王陛下は、特にしきたりを重んじる方。
予想していたこととはいうものの、こうして断られると、つらい気持ちになる。
オクタヴィノール殿下はどう対応したのだろう?
わたしはオクタヴィノール殿下の言葉を待った。
「でもわたしは、あなたのことが好きです、あなたのものです。この婚約は絶対に認めてもらわなければなりません。そこで、わたしは父上に、『しきたりに従わなければならないと言われていますが、このしきたりというのは、ただ昔から伝わってきていただけのもので、今までの歴代の当主が特に意味もなく従ってきただけのものです。婚約・結婚というものは『運命の女性』とするべきだとわたしは幼い頃からずっと思ってきました。リディテーヌさんは、わたしにとって、『運命の女性』だったのです。わたしは、リディテーヌさんと婚約・結婚することは、運命だと思いました。そして、実際に付き合い始めると、想像以上にわたしとフィーリングが合っていて、わたしが思っていたのよりも、さらに素敵な女性でした。わたしはますますこの方は、『運命の女性』だと思いました。わたしの妃になる方は、リディテーヌさんしかいないと強く思うようになったのです。父上、母上、わたしはリディテーヌさんのことを愛しています。リディテーヌさんの方もわたしのことを愛してくれています。どうか、まず婚約を認めてくださいますよう、お願いいたします』と申し上げたのです」
オクタヴィノール殿下はそう言った。
オクタヴィノール殿下は、わたしとの婚約を認めてもらう為に、熱意を込めて言ってくれたのだ。
ボードリックス公爵家のことを二人とも知ってはいても、リディテーヌの今までの悪い評判は耳に入っていないと思われる。
そして、わたしが生まれ変わる努力をしてから四か月ほど経っていて、今はもう「悪役令嬢」的なところを言われることも少なくなってきているので、これからは悪い評判が耳に入ることはないだろう。
オクタヴィノール殿下は、わたしのことを絶賛してくれている。
これほどありがたいことはないと思った。
ただ、少し褒めすぎだという気もする。
オクタヴィノール殿下はわたしのことを素敵な女性と言って褒めてくれた。
それはうれしい。
でも、自分では、まだ絶賛され、素敵な女性と言われて褒められるほどのところには達していないと思っていた。
わたしは今まで、これほど褒められた経験もないので、少し恥ずかしい気持ちになってくる。
とはいうものの、オクタヴィノール殿下の好意は、わたしの心を熱くさせていくものだった。
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