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第七話 家族会議の始まり
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ここはリランテーヌ子爵家。
今、家族会議が行われている。
出席者は、わたしの継母、異母姉、異母妹、そして現当主である異母弟。
わたしは、三日前、ルアンソワ様から婚約を破棄すると言われた。
その正式な通知は、我が子爵家に翌日もたらされた。
その後、わたしの今後について、後見役である継母と彼女の側近の間で協議が行われていたようだ。
その間、わたしは、風呂などの時間以外は自分の部屋に閉じこもっていた。
食事も自分の部屋でとった。
今は誰とも会いたくない。
婚約破棄されたことがここまで心に打撃を与えるものだとは思わなかった。
ルアンソワ様のことを全く愛していなかったり、好きになる努力をしていなかったならば、ここまで打撃を受けることはなかっただろう。
わたしはルアンソワ様のことを好きになろうと努力してきた。
それがすべて無駄に終わったのだ。
なかなかその打撃からは立ち直れない。
わたしを心の底から愛してくれる人は、この世にいるのだろうか? ルアンソワ様のように、努力が通じなくて、浮気をする人しかいないのではないだろうか? そんな人しかいなかったら、これからいくら努力しても無駄な気がする。ああ、つらい。
もともとは、物事に対して常に前向きなわたし、しかし、今回については、なかなか前向きになることはできなかった。
この子爵家には、この苦しみを理解してくれる人はいない。
そして、婚約されてから三日目の夜、家族でこうして集まって今後の対応を協議することになった。
いや、協議と言えば聞こえはいい。
継母は側近との打ち合わせで、既にだいたいの方針を決めているようだ。
継母としては、側近の意見も聞き、家族とくに当主の了承をとったという形にしたいのだろう。
それがこの家からの追放ということになるのか?
その可能性は強いだろう。
そうでない可能性も少しはあると思いたい。
継母は血がつながっていないとはいってもわたしの母親だ。
そこまではしないものと思いたい。
この協議の中で、この家に残れる方向に進んでいければいいと思うのだけど……。
しかし、家族で集まったのは協議ではなく、単なるわたしに対する攻撃だった。
「だいたい、わたしを差し置いて、婚約などするからこうなるのよ」
厳しい口調で異母姉が言う。
わたしの家は家族構成が複雑だ。
お父様は、先代の子爵家当主。
わたしが婚約した後、この世を去った。
わたしのお母様は、お父様の二番目の夫人。
わたしの幼い頃にこの世を去っている。
異母姉は、お父様の一番目の夫人の子供。
異母姉の母は、お父様と離婚をしている。
異母姉の母が浮気をしたのが原因のようだ。
彼女は美人で、お父様と結婚する前、何人かの男性と付き合っていたそうだ。
お父様と結婚した後、しばらくの間はじっとしていたが、やがて浮気をするようになったとのこと。
美人なので、男性にとっては魅力があるのだろうけど、お父様の気持ちを思うとつらくなってくる。
今は実家の子爵家に戻っている。
異母姉は、時々会いに行っているようだ。
異母姉は、人一倍プライドが高く、わがままな性格。
お父様も、その母親と離婚していることを気にしているようで、かなり甘やかされて育てられたようだ。
そのことが大きく影響して、そういう性格になったのかもしれない。
美人であることは誰もが認めている。
しかし、縁談の話はなかなかこない。この性格が多分影響していると思う。
わたしの縁談が成立した時、
「わたしの方がはるかにお前より美しいのに、お前は婚約できて、わたしには縁談の話すらこないの? 全く、ルアンソワ様も物好きな」
と嫌味を言っていた。
いくら意地悪な異母姉でも、婚約成立の時ぐらい、少しは祝福してくれるものだと思っていたので、結構ショックだった。
婚約破棄ともなれば、ここぞとばかりにわたしを攻撃してくることは予想していたけれど……。
今、家族会議が行われている。
出席者は、わたしの継母、異母姉、異母妹、そして現当主である異母弟。
わたしは、三日前、ルアンソワ様から婚約を破棄すると言われた。
その正式な通知は、我が子爵家に翌日もたらされた。
その後、わたしの今後について、後見役である継母と彼女の側近の間で協議が行われていたようだ。
その間、わたしは、風呂などの時間以外は自分の部屋に閉じこもっていた。
食事も自分の部屋でとった。
今は誰とも会いたくない。
婚約破棄されたことがここまで心に打撃を与えるものだとは思わなかった。
ルアンソワ様のことを全く愛していなかったり、好きになる努力をしていなかったならば、ここまで打撃を受けることはなかっただろう。
わたしはルアンソワ様のことを好きになろうと努力してきた。
それがすべて無駄に終わったのだ。
なかなかその打撃からは立ち直れない。
わたしを心の底から愛してくれる人は、この世にいるのだろうか? ルアンソワ様のように、努力が通じなくて、浮気をする人しかいないのではないだろうか? そんな人しかいなかったら、これからいくら努力しても無駄な気がする。ああ、つらい。
もともとは、物事に対して常に前向きなわたし、しかし、今回については、なかなか前向きになることはできなかった。
この子爵家には、この苦しみを理解してくれる人はいない。
そして、婚約されてから三日目の夜、家族でこうして集まって今後の対応を協議することになった。
いや、協議と言えば聞こえはいい。
継母は側近との打ち合わせで、既にだいたいの方針を決めているようだ。
継母としては、側近の意見も聞き、家族とくに当主の了承をとったという形にしたいのだろう。
それがこの家からの追放ということになるのか?
その可能性は強いだろう。
そうでない可能性も少しはあると思いたい。
継母は血がつながっていないとはいってもわたしの母親だ。
そこまではしないものと思いたい。
この協議の中で、この家に残れる方向に進んでいければいいと思うのだけど……。
しかし、家族で集まったのは協議ではなく、単なるわたしに対する攻撃だった。
「だいたい、わたしを差し置いて、婚約などするからこうなるのよ」
厳しい口調で異母姉が言う。
わたしの家は家族構成が複雑だ。
お父様は、先代の子爵家当主。
わたしが婚約した後、この世を去った。
わたしのお母様は、お父様の二番目の夫人。
わたしの幼い頃にこの世を去っている。
異母姉は、お父様の一番目の夫人の子供。
異母姉の母は、お父様と離婚をしている。
異母姉の母が浮気をしたのが原因のようだ。
彼女は美人で、お父様と結婚する前、何人かの男性と付き合っていたそうだ。
お父様と結婚した後、しばらくの間はじっとしていたが、やがて浮気をするようになったとのこと。
美人なので、男性にとっては魅力があるのだろうけど、お父様の気持ちを思うとつらくなってくる。
今は実家の子爵家に戻っている。
異母姉は、時々会いに行っているようだ。
異母姉は、人一倍プライドが高く、わがままな性格。
お父様も、その母親と離婚していることを気にしているようで、かなり甘やかされて育てられたようだ。
そのことが大きく影響して、そういう性格になったのかもしれない。
美人であることは誰もが認めている。
しかし、縁談の話はなかなかこない。この性格が多分影響していると思う。
わたしの縁談が成立した時、
「わたしの方がはるかにお前より美しいのに、お前は婚約できて、わたしには縁談の話すらこないの? 全く、ルアンソワ様も物好きな」
と嫌味を言っていた。
いくら意地悪な異母姉でも、婚約成立の時ぐらい、少しは祝福してくれるものだと思っていたので、結構ショックだった。
婚約破棄ともなれば、ここぞとばかりにわたしを攻撃してくることは予想していたけれど……。
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