最弱パーティのナイト・ガイ

フランジュ

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フレイム・ビースト編

アイヴィー・ラファエラ

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北に進むと通りかかった荷馬車がいた。
ナイトガイのメンバーが今回の件の事情を話すと御者は快く乗せてくれた。

御者の行き先は北にある村のピアースだ。
ピアース村は北西にある町"ネルーシャン"と"ベンツォード砦"のちょうど中央に位置しており、その道は直線状になっている。

ひとまずピアース村へ行って休息を取り、そこから西へ進んでネルーシャンへ向かうという予定を立てた。

荷馬車が北へ向かうにつれて雪が降ってくる。
ガイとメイアは感嘆の声を上げた。
2人が雪を見るのは初めてだったからだ。

そんな2人の姿を見た御者の男性は笑みを溢ていた。

1日半ほど進んで村に到着したメンバーたち。
ここまで来るまでに魔物とは一切出会うことがなかったのは奇跡と言えるだろう。

村は閑散としていた。
道ゆく者たちの表情は暗い。
それどころかガイたちの姿を見ると睨む者までいた。

御者と別れる際、少しだけこの村で起こった出来事を話してくれた。

「なんでも若い女性がいなくなるって。みんなよそ者を警戒してるんだ」

「騎士団に相談は?ここは砦が近いだろう」

クロードが聞き返す。
御者はため息混じりに言った。

「相談したらしいんだが魔物の仕業だろうって。警戒を強めるとは言ってたみたいだけど一向に無くならないみたいだよ」

「なるほど。ありがとう」

「ああ。あんたらも気をつけてな。ネルーシャンが魔物の住処すみかって言われてるからな」

御者はそれだけ言って村へ入って行った。
ガイとメイア、クロードの3人は顔を見合わせる。

首を傾げながら口を開いたのはメイアだ。

「おかしくないですか?ここまで来るまでに魔物には会いませんでした」

「偶然だろ。北は魔物が多いって聞いたぞ」

「いや、あのアッシュとかいう男が言っていただろう。彼らはブラック・ラビットに魔物の討伐を依頼している。ゾルア・ガウスの性格を考えると、ほとんどの凶悪な魔物は倒されていると考えていい」

「じゃあ、ここの女性たちもローラと一緒で誘拐されたとか?」

「目的は不明だが考えられるね。まぁ明日、西のネルーシャンに行ってみればわかるさ」

「そうですね」

様々な疑問を残しつつも3人は村の小さな宿に泊まり、翌日にネルーシャンへ向けて出発した。

_______________


ガイ、メイア、クロードの3人は北西の町ネルーシャンに辿り着いた。

3人がいるのは町の中央部に位置する広場だ。
ここまで来るまでに騎士たちが乗ってきたと思われる馬が数頭いた。
さらに周りには崩れた家屋やオブジェがあり"完全な廃墟"と言っても差し支えないような荒廃した町だった。

町の状態を見るにやはりここは魔物が多くいる可能性もある。
ガイとメイアの警戒心は一段と増し、クロードも真剣な表情で周囲を見渡していた。

しかし、妙なことに魔物の気配は全く感じられなかった。

「本当にここで合ってるのか?帰ってこないってとは魔物にやられたと思ってたけど」

ガイはそう言って頭を掻いた。
当初の考えでは魔物の存在が帰って来れない原因ではないか……と思っていた。

「全く生き物の気配を感じないわ」

「もしかして入れ違いになったとか?」

ガイとメイアが顔を見合わせる。
そこにクロードが口を開いた。

「いや、町の入り口には騎士たちが乗る馬がいた。行きは馬で、帰りが徒歩とは考えづらい。騎士たちはまだこの町から出ていないだろう」

「でも魔物がいないところで誰にやられるっていうんだ?」

「さぁ?……とにかく探すしかあるまい。町の広さを考えると手分けをした方が早いだろう。君ら二人で町の奥へ行ってくれ。僕はもう少しこの辺を見て回るよ」

「ああ。行くかメイア」

「ええ」

2人はクロードと別れて町の奥へと進む。
クロードはそんなガイとメイアに笑みを溢しつつ手を振った。

ある程度、2人の姿が遠ざかり、完全に姿が見えなくなった瞬間、クロードの表情は一変して真顔になった。

「そろそろ顔を出したらどうだい?……だが、しかしこんな波動の使い方は見たことがないね。まだまだ世界は広いということかな」

その声は広場に響き渡る。
するとすぐに返答はがあった。

「あらあら、いつから気づいていたのかしら?」

「この町に入った瞬間からだ」

クロードがそう言うと数メートル先の地面が少しづつ割れていき、雪と砂が徐々に落ちていく。
ある程度、地面が広がると階段を上るようにして少女が姿を現した。

それは綺麗な顔立ちの眼鏡をかけた少女。
ブラックとブラウンが混ざった髪でパーマのかかったツインテール。
黒のガーリーワンピースでスカートは丈が短く、胸元には上品にリボンを付けてある。
防寒にぴっちりめの黒コートに黒いタイツを穿く。
手元を見ると大きな本を両手で抱えるようにして持っていた。

少女が完全に地上に上がると地面の割れ目はだんだんと閉じていった。

「君は何者かな?」

「私の名前は"アイヴィー"よ。"アイヴィー・ラファエラ"あなたは?」

「僕は"クロード"だ」

少女アイヴィーがその名を聞いて笑みを浮かべた。

「そう……あなたがあの"死神"なのね」

「そんな言い回しをするとなれば君の後ろには"ヤツ"がいるね」

「さぁ、どうかしら?」

「まぁいい。君が騎士団に手を下したのかい?」

「勘違いしてるみたいね。"私たち"はただ解決しに来ただけよ」

「どう言う意味だ?」

アイヴィーはその言葉に答えることはしたかった。
ただ手に持った本を片手で開くとパラパラとページがめくれて途中で止まる。
すると地面から土でできた楽譜台のようなものが現れた。
アイヴィーは台に本をゆっくりと置くと涼しげな表情でクロードに鋭い視線を送る。

「かなりの波動数値と見受けられる。やっぱりガイ達と別れてよかったよ。今から見せるものは少し……いや、かなり邪悪だからね」

そう言ってクロードはニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
こうしてクロードとアイヴィーの戦いが始まろうとしていた。
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