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冒険者たちの悩み事。6
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~冒険者ギルド~
早朝、冒険者である彼らにとっては日常の掲示板巡りが行われていた。情報は必要不可欠なものであり、何事にも職業柄意識してしまう点が多いと聞く。が、しかし、今回の場合は違った。
あるひとりが、
「おーい! みんな、見てくれ! あの調合師に関して動きがあったみたいだぞ!」
と、声を大にして叫んだことによって仕事よりも先にそちらへと目が行ってしまっていた。
掲示板を前に、ざわつく冒険者達。
ギルドに所属しているほぼ全員が目を通した張り紙の内容。
『今回、調合師を新たに雇うことになったことはみんな知ってるわね。それで、彼のポーションの値段が高いってみんなが意識ていると思って相談をかけてみたのよ。そうしたら、『調合師ギルド』を設立すれば安くできるそうなの。彼のポーションの効果は、多少なりと金を出しても手に入れたい代物だと思うわ。だけどね、私たち冒険者の稼ぎなんて一日を過ごすくらいなのもわかってる。だから、彼のギルドが設立されたら手助けをしてほしいの。もちろん、私自身も手を貸すわ。今後のギルド同士の『友好関係』のために、ね』
まるでマスターからの手紙のようだった。普段の連絡等の張り紙は、基本的に受付嬢の仕事であり、書かれる内容も本題から内容と入り、今後どうするかなどと言った感じのものが多いのだが、今回の場合は、マスター直筆のもののようで冒険者達がざわつくのも無理もないものだった。
調合師ギルド。
その単語は世界のどこをみても存在しない。元々、調合師が単独で店を出す場合は『ポーション屋』としてしか呼ばれないため、そのような大規模な調合師の集まりは世界のどこを見ても『商人ギルド』の下請けの者たちしかいないのだ。
ギルド同士の友好関係のために。
ここでこれを言うのか。と、その場に居合わせた冒険者達は考えたものだろう。なぜならば、今後調合師ギルドが設立されれば、友好関係にある冒険者ギルドは真っ先に安く提供してもらえるからだ。シヴィーのポーションを多少の生活費をけちってでも買いたいと考えていた者は少なからずいるだろう。その者たちに呼びかけるかのように書かれたその文章に、冒険者達は湧いた。
足場を揃えればどんな依頼にでも迎える。
満場一致の考えだろう。今まで、勇者パーティーのためだけに用意されたような依頼も、シヴィーのポーションひとつでどうにかなるかもしれない。いつも以上に美味い飯を食えるかもしれない。そんな夢を抱きながら、冒険者達は仕事に戻ろうとするのだが、彼らの顔つきは夢なんかで終わるはずがないと確信を得たかのように清々しいものだった。
~冒険者ギルドの寮~
朝っぱらからしょんぼりして正座しているリリーとジェイク。一体何があったのかと疑問を抱く場面なのだが、ふたりの後ろに無残にも割れて飛び散った青汁がいろいろと物語っていた。
「はぁ。リリーも先輩っ面しないでジェイクを扱え、いいな?」
「わ、私にも調合師として手伝ってくれる人ができたって、勘違いしていた時期がありました」
「遠い目をしてないで反省しろ。あと、ジェイク。おめぇは俺の手伝い以外しなくていい。わかったか?」
「わ、わかったっす。旦那以外には、うんともすんとも言わないっす!」
呆れ顔のシヴィーと、意気込んで立ち上がるジェイク。しかし、リリーもリリーでジェイクのことを手伝いなどと言い出したのも、シヴィーがジェイクの紹介をめんどくさがってしなかったからであり、全体的に見て原因はほどんとシヴィーであったりもする。
「んじゃ、飯にするか」
「は、はい! それじゃぁ、私が──」
「私がやるからいいわ。リリーは手伝って、絶対料理に手をださないでよ?」
「わかりました!」
レイラと一緒に料理をするなら大丈夫だろう。と、シヴィーは腕を組んで眺めていた。全員揃って何かをするわけではないが、ちゃんとした役割分担で行う家事というのもなかなか悪いものではない。
しばらくして、キッチンのほうからなにかしら切る音と炒める音が聞こえ始め、調味料の香ばしいにおいが鼻についた。食材は、アルティミスが買い出しに行ったときに補充しているようで、困ることはないのだ。何気に気の利く本人は、黙々とモップで青汁を掃除しているのだが……。
「お、おえぇ……こ、この僕が! リリーさんの作ったもので吐くなんてこと……」
時折プルプル震えながらも吐き気を無理やり抑え込んで掃除をしていた。
ジェイクと仕事の話をしていて、ふと気が付いたシヴィー。もしかしたら、ジェイクに採取を頼めるのではないか。と、考えたはいいもののレイラの同行がなければマスターから許可は得られないだろう。しかし、もし採取ができるようになれば、新鮮な薬草の納品が可能となり、今よりは出費を少なく抑えて活動することが可能になるだろう。
そんなことを考えている間に、どうやら料理ができたらしい。キッチンから出来立てのスープなどを運んでくるリリーと、少し満足気なレイラ。そして、掃除を終えたアルティミスがテーブルへと向かっていく。
「ふふん。私だって、頑張ろうと思えば料理だってできるんだからね?」
少し不安になる発言だったが、味は文句のつけようがなかったので、喉を鳴らす思いで食いつくシヴィー達だった。食卓での食事はスパイスにもなる。そんなことをどこかの美食家から聞いたことがある、なんて話をアルティミスがしだしたのはいいのだが、内容がほとんど自分のことでレイラにスプーンで殴られていた。
「あんた、自分のこと以外しゃべれないわけ!? リリーの顔見てみなさいよ! なんも興味ないって顔してるじゃないの!」
「ワッツ!? 僕のどこが! ナルシィィィスト! だというんだい!」
「あ、あの。これ真顔です!」
「ははは、それを興味ないってんだ。ぶふ、あははは!」
どうしようもない会話。
だが、そんな会話でも楽しいひと時が過ごせる。
食卓というものは、ひとりで食べるものではなくみんなで楽しむものだと、シヴィーは笑いながらも実感したのだった。
早朝、冒険者である彼らにとっては日常の掲示板巡りが行われていた。情報は必要不可欠なものであり、何事にも職業柄意識してしまう点が多いと聞く。が、しかし、今回の場合は違った。
あるひとりが、
「おーい! みんな、見てくれ! あの調合師に関して動きがあったみたいだぞ!」
と、声を大にして叫んだことによって仕事よりも先にそちらへと目が行ってしまっていた。
掲示板を前に、ざわつく冒険者達。
ギルドに所属しているほぼ全員が目を通した張り紙の内容。
『今回、調合師を新たに雇うことになったことはみんな知ってるわね。それで、彼のポーションの値段が高いってみんなが意識ていると思って相談をかけてみたのよ。そうしたら、『調合師ギルド』を設立すれば安くできるそうなの。彼のポーションの効果は、多少なりと金を出しても手に入れたい代物だと思うわ。だけどね、私たち冒険者の稼ぎなんて一日を過ごすくらいなのもわかってる。だから、彼のギルドが設立されたら手助けをしてほしいの。もちろん、私自身も手を貸すわ。今後のギルド同士の『友好関係』のために、ね』
まるでマスターからの手紙のようだった。普段の連絡等の張り紙は、基本的に受付嬢の仕事であり、書かれる内容も本題から内容と入り、今後どうするかなどと言った感じのものが多いのだが、今回の場合は、マスター直筆のもののようで冒険者達がざわつくのも無理もないものだった。
調合師ギルド。
その単語は世界のどこをみても存在しない。元々、調合師が単独で店を出す場合は『ポーション屋』としてしか呼ばれないため、そのような大規模な調合師の集まりは世界のどこを見ても『商人ギルド』の下請けの者たちしかいないのだ。
ギルド同士の友好関係のために。
ここでこれを言うのか。と、その場に居合わせた冒険者達は考えたものだろう。なぜならば、今後調合師ギルドが設立されれば、友好関係にある冒険者ギルドは真っ先に安く提供してもらえるからだ。シヴィーのポーションを多少の生活費をけちってでも買いたいと考えていた者は少なからずいるだろう。その者たちに呼びかけるかのように書かれたその文章に、冒険者達は湧いた。
足場を揃えればどんな依頼にでも迎える。
満場一致の考えだろう。今まで、勇者パーティーのためだけに用意されたような依頼も、シヴィーのポーションひとつでどうにかなるかもしれない。いつも以上に美味い飯を食えるかもしれない。そんな夢を抱きながら、冒険者達は仕事に戻ろうとするのだが、彼らの顔つきは夢なんかで終わるはずがないと確信を得たかのように清々しいものだった。
~冒険者ギルドの寮~
朝っぱらからしょんぼりして正座しているリリーとジェイク。一体何があったのかと疑問を抱く場面なのだが、ふたりの後ろに無残にも割れて飛び散った青汁がいろいろと物語っていた。
「はぁ。リリーも先輩っ面しないでジェイクを扱え、いいな?」
「わ、私にも調合師として手伝ってくれる人ができたって、勘違いしていた時期がありました」
「遠い目をしてないで反省しろ。あと、ジェイク。おめぇは俺の手伝い以外しなくていい。わかったか?」
「わ、わかったっす。旦那以外には、うんともすんとも言わないっす!」
呆れ顔のシヴィーと、意気込んで立ち上がるジェイク。しかし、リリーもリリーでジェイクのことを手伝いなどと言い出したのも、シヴィーがジェイクの紹介をめんどくさがってしなかったからであり、全体的に見て原因はほどんとシヴィーであったりもする。
「んじゃ、飯にするか」
「は、はい! それじゃぁ、私が──」
「私がやるからいいわ。リリーは手伝って、絶対料理に手をださないでよ?」
「わかりました!」
レイラと一緒に料理をするなら大丈夫だろう。と、シヴィーは腕を組んで眺めていた。全員揃って何かをするわけではないが、ちゃんとした役割分担で行う家事というのもなかなか悪いものではない。
しばらくして、キッチンのほうからなにかしら切る音と炒める音が聞こえ始め、調味料の香ばしいにおいが鼻についた。食材は、アルティミスが買い出しに行ったときに補充しているようで、困ることはないのだ。何気に気の利く本人は、黙々とモップで青汁を掃除しているのだが……。
「お、おえぇ……こ、この僕が! リリーさんの作ったもので吐くなんてこと……」
時折プルプル震えながらも吐き気を無理やり抑え込んで掃除をしていた。
ジェイクと仕事の話をしていて、ふと気が付いたシヴィー。もしかしたら、ジェイクに採取を頼めるのではないか。と、考えたはいいもののレイラの同行がなければマスターから許可は得られないだろう。しかし、もし採取ができるようになれば、新鮮な薬草の納品が可能となり、今よりは出費を少なく抑えて活動することが可能になるだろう。
そんなことを考えている間に、どうやら料理ができたらしい。キッチンから出来立てのスープなどを運んでくるリリーと、少し満足気なレイラ。そして、掃除を終えたアルティミスがテーブルへと向かっていく。
「ふふん。私だって、頑張ろうと思えば料理だってできるんだからね?」
少し不安になる発言だったが、味は文句のつけようがなかったので、喉を鳴らす思いで食いつくシヴィー達だった。食卓での食事はスパイスにもなる。そんなことをどこかの美食家から聞いたことがある、なんて話をアルティミスがしだしたのはいいのだが、内容がほとんど自分のことでレイラにスプーンで殴られていた。
「あんた、自分のこと以外しゃべれないわけ!? リリーの顔見てみなさいよ! なんも興味ないって顔してるじゃないの!」
「ワッツ!? 僕のどこが! ナルシィィィスト! だというんだい!」
「あ、あの。これ真顔です!」
「ははは、それを興味ないってんだ。ぶふ、あははは!」
どうしようもない会話。
だが、そんな会話でも楽しいひと時が過ごせる。
食卓というものは、ひとりで食べるものではなくみんなで楽しむものだと、シヴィーは笑いながらも実感したのだった。
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ご指摘、感想ありがとうございます。
動機につきましてはリリー曰く、
「調合で稼ごうと思っていた」
と、ございます。
ポーション屋の人はすぐに作って店に並べていたのを見て、簡単に出来るとでも誤認したのでしょう。
レシピもまともに読めない。
これは、リリーが文字を理解してない、もしくは専門的な知識がないと言うように捉えてらっしゃると認識して、話を進めさせていただきます。
徹夜で調合を行い、調号の書を読もうとした際、眠気に襲われて寝落ちに至った。
勉強や頭を使おうとすると、眠気に襲われることってありますよね。リリーもまた、文章を読み込もうと1行読んだだけで睡魔に襲われて寝落ちしてしまったということです。
つまり、読むことは可能。だけど、知識は教えられたこと以外皆無でございます。
ワンツーマンで教えたけど失敗して青汁になる。
シヴィーも言っておりますように、
「抽出の過程までは良かったのに、出来上がったのがなんでこんなのなんだ」
と、ポットにお湯を注ぐところまでは問題はなかった。しかし、瓶へと移した時に出てきた原液が青汁であった。
シヴィーは全て教えてます。なのに、なぜリリーは失敗したのかは謎です。調合に嫌われてるのか、はかまたリリーが調合したから失敗したのか。
そして、最後に。
ポーションを使ったことがない上、どんなものか理解していない。
この世界において、ポーションは必需品のようなものであり、序盤でシヴィーが『治癒のポーション』を飲んだことに対し、リリーはなんも驚いておりません。
無知であれば、
「そんなものがあったんですね!」
と、感動を覚えているでしょう。
つまり、既に知っているから、いちいち驚くようなことではないのです。
以上、私の説明不足でストレスをかけてしまった事に謝罪を申し上げると同時に、これからも精進していける糧を下さったことに感謝を申し上げます。
動機については作中にて少しだけでていますが、根本的な話は後ほど出てくるかと思います。
今作の主人公はスーパー無頓着なので、何に対しても「まぁ、どうにかなるだろ」ってな感じなので、人間関係も同様、あいつは過去になんかやったらしいってなっても、「まぁ、どうにかなるだろ」と対応してしまいがちです。なので、基本的に第三者、もしくは何かしらのイベントがない限りシヴィー自身が、相手の過去を詮索したりすることはまずないのです。
毎日更新お疲れ様です。
気になったのですが、タグにある
ポーション中毒のロリエルフは、いつぐらいに
でてくる予定ですか?はやくみたいです
これからも更新頑張ってくださいね!
それはお楽しみってやつです!
毎日読んでいただき感謝の至り。