夢にまで見たあの世界へ ~女性にしか魔法が使えない世界で、女神の力を借りて使えるようになった少年の物語~

ゆめびと

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プロローグ

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 目が覚めるとそこは丘の上だった。
 何もない暖かい風が吹く広々とした大地。

「ここは、どこだ…?」

 少年は呟く...。
 うつぶせの状態から、起き上がろうとしたとき声をかけられた。

「ようこそ、私は神。名はアテナと言います」

 何を言ってるのだろう、起き上がりながら少年は首をかしげる。
 丘の上に、女性が立っていた。

「何を言ってるのか、っという顔ですね」

 アテナと名乗る神?は微笑みながら優しい眼差しを向けてきた。

「ここはどこなんだ!俺は部屋で寝ていたはずだ!これはドッキリかなんかなのか!?」

「ここは神の地、あなたは導かれたのです」

 アテナは、微笑みながらも話を進めた。

「神の地…?な…なんだよそれ…」

 自分の置かれている状況が、まだ把握しきれていない少年。

「貴方にはこれから私の世界、貴方の世界で言う異世界で私の代わりに地を歩き人々を助けてもらいたいのです」

「い…異世界だって…!?」

「はい、今こちらの世界では魔族と人、神の共存を強いられる状態にあるのです」

「ちょ…ちょっと待ってくれ…魔族?そんなものいるわけないじゃないか!」

「貴方の前にいるのは神ですよ?」

「あ、なら魔族もいて当然か!あはは。」

 少年は苦笑いを浮かべやがて真剣な眼差しに変わる。

「っで、あんたが俺をここに呼んだんだろ?」

「はい、そうです」

「ふむ…ならあんたのその世界?に行ってやるからさ、俺のお願い聞いてくれないかな?」

 少年の目は、初めて手にしたおもちゃを見るような目に変わる。

「私の可能な範囲であればその願い叶えましょう」

「え、まじ!?」

 やたらと嬉しそうにはしゃぐ少年。
 何を考えてるのだろうか、アテナは楽しげに少年を見つめる。

「俺の身体をいじって欲しいんだ」

「いじる?っと言うことはどう言う事です?」

「5つの力を授けて欲しい!例えあんたとの繋がりが耐えても消えない力を!」

「力…貴方はまだ若い、力に溺れず自分を見失わない自信はあるのですか?」

 少年はうつむいた。

「そんなものはない、だけど異世界に行くんだろ?魔法とか剣とかいろんなものが俺を待ってる!俺の世界は平和だったし俺はなんの術も知識もない、なら力さえあればそれらを手に入れれるかもしれない」

「そうですね、力があれば長い修練、鍛錬がなくともそれに頼ることができます。しかし良いのですか?その力が時に恐怖を、時に大事な人を失ったりするかもしれません」

「そうならないための力でもあるだろ?」

 何を言っても無駄だと思い、ため息をつくアテナ。
 その傍、少年は前いた世界より輝いて見えた。

「わかりました、貴方に力を授けましょう。絶えることのない力を、ですが覚えておいてください、力は使い勝手で人を救い、人を傷つけるものだと」

「そいつは最初からわかってる!」

 その自信はどこから来るのでしょうか?アテナは、少年の事を知らずここに呼び出し勝手に異世界に行けと言うのに。
 この少年なら…アテナはそう思った。

「俺が欲しい力はな…まず不老不死だろ?異世界に行くんだ死んでおしまいなんて面白くないじゃん?」

「不老不死…それは死ねず老いもせずただ孤独に時を過ごすだけですよ?」

 確かに不老不死は、その姿のまま永遠とも言える時をさまよい、過ごすことになる。
 なぜ不老不死になりたいのか…

「貴方はなぜ不老不死になりたいのですか?」

「あんた言ったろ?あんたの代わりに地を歩き人々を助けろって、それなら、俺が死ななければ救える命とか助けれる人も多いと思うんだ!あと、歳をとりたくない」

 きっと最後のが本音なのだろう。

「それから2つめ無限の魔力が欲しい!」

「む、無限ですか…?」

「そう、無限さ!魔力ってなくなると気絶したりとか動けなくなったりするんだろ?」

「そうですね、ですが私の世界では女性しか魔法は扱えないのですよ?」

「え…な、なら俺も魔法つかえるようにしてくれよ!それで無限じゃなくてもいいから普通の人の何倍も多い魔力を俺にくれ!」

「貴方は強欲ですね」

 アテナは、クスクスと笑いだした。

「な、何がおかしいんだよ…」

 少年は、頬を膨らませながらじっとこちらを見て来る。

「すいません、思ったことをつい言ってしまいました」

「べ、別にいいけどさ!それなら大丈夫だろ?」

「無限はさすがに無理ですが、人より多い魔力を与えることも使えるようにすることも可能です」

「よっしゃー!それなら問題ないな!」

 少年は、無邪気に笑いながら腰に手を当て嬉しそうに笑った

「あと、俺の身体能力をあげて欲しいんだ!反射神経とか、動体視力、筋力とかを」

「わかりました、あと2つはどうなさいますか?」

「んー…そうだなぁ。」

 少年は、考え込んだ...そろそろ少年と話す時間が、なくなってしまう。

「なら記憶力をあげて欲しい!俺は馬鹿だからな!魔法とか呪文とかすぐ忘れたら意味ないから」

 少年は、恥ずかしそうに言い出した。

「あと、今言った力とここで話しした事を忘れさせて欲しい」

「それは、何故ですか?」

「最初から俺に力があって、異世界で目覚めたら多分...俺は、その力を使って何かしらやらかしちゃうと、思うんだ」

「そうですか、わかりました」

「以上の5つの力…あー1つはお願いになっちゃったけど、4つの力を俺に授けて欲しい!」

「その願い叶えましょう。目覚めた時、身体が重たいと思いますが、しばらくすれば治ります。」

「ここで言われても、忘れちゃうんだけどなぁ…」

 少年は、小声で喋った。

「向こうの世界では、貴方はもう別人です。こちらの名を名乗るも新しい名を名乗るのも貴方次第です。」

「わかった、向こうに着いてから考えるよ」

「では、転生の儀式を始めます、私の世界をお願いしますね。」

「任せとけ!」

 転生の儀を始めると少年は、静かになった。
 こちらの世界での、未練がなければいいのだが…。
 光が少年を包み始め、転生を始めようとしたとき。

「アテナ様!あんなつまらない世界から俺が、夢にまで見たファンタジーな世界へ連れてきてくれてありがとな!俺、頑張るよ!」

 少年は、初めて笑顔を見せた。
 少年を、包んだ光が宙に浮き始め。
 やがて大きくなり空へと消えていく。

「任せましたよ」

 アテナは一人、何もない空に向けて発した。

「…っ……ね…。」

 光で前が見えなくなった時、かすかに声が聞こえた気がした。

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