夢にまで見たあの世界へ ~女性にしか魔法が使えない世界で、女神の力を借りて使えるようになった少年の物語~

ゆめびと

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10話「曇り空と川辺の魔物」

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 ミーチェは支度を終え、リブングで朝食を摂っていた。
 そこに、支度を終えたニケがやってきた。

「師匠、あのさ」

「ん?どうした」

「魔線について、聞きたいんだけど」

「魔線?なにかあったのか?」

「うん。自分なりに考えて、魔線を2本だせないかなって」

「2本?それは無理だろう。まず、魔力が安定しないはずだ」

 すこし、興味深そうに答えるミーチェ。
 ニケは、苦笑いを浮かべながらそうだよねと言った。
 ミーチェが席を立ち、皿を片付けに行った。

「ニケ、すぐにでるぞ」

「わかった、いつでもいけるよ」

「長期戦が予想されるから、気を引き締めておくがよい」

「早く、終わるといいね」

「そうだな」

 ミーチェは、歯切れが悪かった。
 さっき言ってた、嫌な予感ってのが気がかりなのだろう。

「さてと、魔物退治と洒落込みに行くかね」

「あぁ。俺たちなら大丈夫だよ!」

「お主が言うと、不安でしかないな」

 ミーチェは、笑いながら玄関に向かった。
 ここからは遊びじゃない。
 失敗したら、村の皆に迷惑がかかる。
 絶対に失敗できない...。
 ニケは、不安を胸に玄関を出た。
 空は、曇っていた。
 雨が降らなければいいのだが。
 ミーチェは、先に川辺の方向へと歩いていた。

「おいで、シロ」

 ニケは、シロを召喚した。
 シロは、いつもの通りケロっとしていた。

「お前は、呑気でいいよな」

 いつもどおりの、シロを見ると不安も吹き飛びそうだ。

「行こう、シロ」

 シロは、小さく咆えるとニケの後に続いた。

 川辺にでた。
 昨日、水浴びした時とあまり変化がない。

「あいつらがいるのは、ここを下ったところだ。あまり警戒しすぎると、周りが見えなくなるぞ」

「わ、わかってるよ」

「なら、いいのだがな」

 ミーチェを先頭に、ニケとシロは周囲を警戒しながらついていく。
 しばらく、歩いてからだ。

「空気が...違う気がする」

「いい勘だ。お主が、今感じているのは魔物の気配だ。ここ最近で、身についたのだろう」

「そうなのか...ってことは、近くにやつらが...」

 ニケは、つばを飲んだ。
 この先に、やつらが...ロッククラブが...。
 大丈夫だろうか、いや大丈夫なはずだ。
 ゴブリン相手では、引けをとらなかった。
 俺たちなら、いける。
 それに、師匠もいるからな。
 ゴブリンよりも楽かもしれない。

「いたぞ!」

 ミーチェの言葉に、ニケは現実に引き戻された。
 そうだ、考え事してる場合じゃない...!
 前方、約150mほど先だろう。
 なにか、黒いものが動いてるのが見える。

「あれが、ロッククラブ...」

「あぁ。しかし、数が多すぎる。軽く40はいるだろう」

「聞いてた話と違うぞ!」

「っし!声を荒げるな、気づかれたら一斉に来るぞ」

「ご、ごめん」

「用意しておけ、連携はそちらに合わせる」

「わかった」

 ニケは、左手に意識を集中させた。
 イメージを構築、ハンマー...。
 堅く、強く、大きく。
 右手と合わせるのを忘れた...!!!
 すると、あわせてもない左手からハンマーが練成された。

「っな!?お主、どうやった...!」

「わ、わからない...」

「ま、まぁ。準備ができたのならよい」

 左手に握る、長さ1mはあろうハンマー。
 ミーチェも、準備を始めたようだ。

「″漆黒の闇に命ず。汝、我との契約の元。その姿を見せたまえ″!我が元に来たれ!ギルティーサイス!」

 ミーチェが、呪文を詠唱し終えるとそこには長さ2m以上の鎌が握られていた。

「え...なにそのかっこいいの」

「べ、別に良かろう!さぁ、魔物退治と洒落込もうじゃないか!」

「っしゃぁ。行くぞ、シロ!」

 先陣を切ったニケ、そのあとにシロが全力てついていく...!
 ニケは、走りながら右手に魔線を展開した

「あやつ...右手でも、かけるようになったのか...!?」

 ニケの後ろを走りながら、ミーチェは驚いていた。

「″我、光の力を求めるもの。射抜け、その光と共に″!ライトニードル!」

 ニケは、右手を銃を撃つかのように構えバァンと言った。
 指先に魔方陣が展開され、魔法が起動する。
 敵の群れに向けて、光の矢が放たれた。
 前方にいた、ロッククラブが脳天を貫かれ動かなくなった。

「シロ、敵をかきまわせ!」

 ニケの指示と同時に、シロが前に出る!
 ロッククラブの目の前まで行き、バックステップをする。
 入れ違いに、ニケが大きなハンマーをしたから振り上げた!
 ドン、という音と共にロッククラブが宙を舞う。

「次!お前だああああああッッッ!!!!!!!!!!」

 すぐ横にいた、ロッククラブに向けてハンマーを薙ぎ払った!

「うおおおおおおおおッッッ!!!!」

 ハンマーが食い込み、ロッククラブが後方へ吹っ飛んでいく。
 そのまま、振り上げたハンマーをこちらに向かってきた一匹に向けて振り下ろした!
 グチャッ!っという音ともに、つぶれるロッククラブ。
 さすがに、一斉に来られるときつい...

「ニケ!伏せろ!」

 ニケは瞬時に伏せた。
 するとニケの真上を鎌が通過した...!!!
 鎌はそのまま、押し寄せてきたロッククラブに食い込み、真横にいたロッククラブたちを巻き込んでいった。

「あぶねー!死ぬぞ今のは!」

「だから、助けたのであろう?」

 胸を張るミーチェに、呆れながらもハンマーを持ち直すニケ。

「シロ、障壁纏って良いぞ」

 ニケがそういうと、シロは遠吠えと同時に吹雪の障壁を展開した。
 シロは、障壁を盾にロッククラブに体当たりを繰り出した。
 数は...まだ多い。
 このまま押し切れるか...

「″雷電よ、我に力を、衝撃と共に敵を弾け″雷電の咆哮!」

 ニケは、右手に展開された魔方陣を構えたまま走った。
 大きなロッククラブがハサミを振りかざしていた...!!!

「ここだ!くらええええええッッッ!!!!!」

 魔力を再度送り込み、魔法が発動。
 ハサミが、ニケの右手に触れる数cmで魔法によって弾かれる!
 すかさず、腹部へハンマーを叩き込むニケ。

「魔法の使い方が、わかってきたようだな」

「こんな感じかなって、ところで使ってるだけさ!」

 ミーチェは、大鎌を振りかざした。
 脳天から、大鎌を受けたロッククラブは泡を吹いて動かなくなった。

「いかん、流石に数が多すぎる...!」

「こりゃ大変そうだぜ」

 互いに背中を合わせながら周りを見渡した。
 額に汗が滴る。
 俺たちの戦いは始まったばっかだ...。
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