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9話「作戦会議!」
しおりを挟む目が覚めた、まだ外は暗い。
初めての依頼だ。
依頼内容は、魔物の討伐。
今まで、2度も魔物と戦ってきた。
だが、それは成り行きでだ。
今回は、違う。
俺たちが成功しなかったら、村に被害がでるかもしれない。
とりあえず、着替えてリビングに行こう。
着替えを終えて、リビングに向かうとミーチェがいた。
「おはよう、よく眠れたか?」
「あぁ」
「そうか。では、作戦会議と洒落込もうじゃないか」
ニケは、ミーチェの座っているテーブルに向かった。
「今回の依頼だが...少々気がかりでな」
「気がかり?」
「うむ。いつもなら、ギルドの増援があってもいいのだが」
「今回は、ギルドのほうに申請がきてないんだっけ?」
「あぁ。それが気がかりなのだ」
ミーチェは、いつにも増して難しそうな顔をしていた。
「この依頼はだな。毎年、この時期に何度かきていたのだ」
「毎年?」
「あぁ。このじきにロッククラブが、繁殖期に入るのでな」
「それで、数が多いって言ってたのか」
「そうだ。多くて10~30はいると、考えていい」
「そ、そんなにいるのか...」
「ただ。あいつらは、背中が堅いだけでお腹は柔らかい」
つまり、お腹を狙えってことだな。
だが...大きさもかなりあるといっていた。
「前回は、ギルドの冒険者達と協力して倒したのだが」
「今回は、ギルドの増援はなし。俺と、師匠と、シロしかいないってことか」
「ギルドの増援がないのが、すごく気になるのだ。嫌な予感もする」
「依頼を断ることは、できないのか?」
「できたらそうしておる。できないから、こうして話の場を設けているのだ」
「そうだったのか...」
ミーチェの言う、嫌な予感がなんなのか見当もつかない。
ただ、それが現実に起きないことを祈るまでだ。
「今回は、人手が足りなさ過ぎる。それに、ロッククラブは相性が悪いのだ」
「相性?」
「うむ。あやつらは、魔物であり蟹だ。私の使える魔法は、水と闇。相性は最悪なのだ」
「確かに...でも魔物と、闇属性魔法との相性って、何で悪いんだ?」
「簡単な話さ。まず、魔物と言う物は魔力が闇の力、つまり魔族によって生み出されたもの。それすなわち、闇からできたものに闇は効かない。というわけだ」
「なるほど。だとすると、師匠はお荷物ってことか?」
「お、お荷物とは、失礼な...」
確かに、ミーチェは俺より格上の魔法使いだ。
だが、相性が悪くダメージが通らないとなると、話は別だ。
「どうするんだ?」
「私も、前衛になるしかないってことだ」
「え?師匠、魔法使いなのに前に出るのか!?」
「そうだ。魔法使いが、必ずしも後ろで魔法を使うものばかりではないのだ。私だって、お主の錬金術と同じような魔法が使える」
「そ、そうなのか。びっくりした、肉弾戦でも、するのかと思ったぜ」
「だがな。余程の切れ味があるものか。もしくは、打撃武器でないと近接戦は厳しいのだ」
刀で石を切る話なんて、聞いたことがない。
だとすると、昨日のハンマーを使うしかないのか。
「前衛二人が、回復魔法が使えるが。シロが、どう動いてくれるかが鍵となる」
「ロッククラブって、石みたいに硬いんだろ?」
「あぁ。関節部分あたりは柔らかいが。基本的に、打撃で殴るか、大剣などでぶった切るかのどれかだ」
ぶった切るって...無理じゃね?
とりあえず、お腹と関節が弱いと。
ある程度の情報が揃った。
「ほかに、質問等あるか?」
「ロッククラブを倒し終えたら、村に報告に行くんだよな?」
「そうだ。お主は、初めて行くのだから迷惑がないようにな」
小声で、私の弟子なのだからとミーチェは言ったが、ニケには聞こえなかった。
「場所は、川を下ったところだが。ちょっと距離があるから、早めに出るぞ」
「わかった」
そういって、支度をしに自室に戻るミーチェ。
また、ミーチェと共に戦える事に嬉しさを感じるニケ...
不安と緊張が胸を締め付けるなか、時間は刻一刻と過ぎていった...。
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