夢にまで見たあの世界へ ~女性にしか魔法が使えない世界で、女神の力を借りて使えるようになった少年の物語~

ゆめびと

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12話「2本の魔線」

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「師匠...」

 前を向き、ロッククラブの元へと足を進めるミーチェ。
 ニケは、どうすればいいのかわからなく、声をかけるしかなかった。

「あとは、私一人で片付ける。お主は、休んでおるがいい」

 そういい残し、ミーチェは行ってしまった。

 ―――あの馬鹿者が、まだまだ子供だな...。
 さて、私一人であいつらに立ち向かえるのだろうか。
 正直勝算は、ほとんどないだろう。
 しかし、私がやらなければ誰がやる...
 ニケは、今日はもう無理だろう。
 ならば、せめて私一人で片を付けよう。

 ―――シロ...ほんと、ごめんな...。
 俺は無力だ、錬金術と魔法が使えるだけで...いきがっていただけだ!
 ミーチェ一人で行かせるのか?
 ふと、自分が自分に質問を問いかけてきた。

「でも。俺、また失敗したら...。次は師匠か、俺が死ぬ...。」

 お前は、このまま師匠が死ぬかもしれないのを見過ごすのか?

「だって、俺にはもう...シロもいなければ魔力も...」

 なら、魔力を補充してから後を追いかければいい。

「そう簡単に、言ってくれるなよ...」

 では、どうする?

「...やるさ。俺がやる、シロはまた召喚できるようになる...だけど師匠は...師匠だけは...!」

 わかってるじゃないか。お前が、持ってる力を出し切れ。

「やってやるよ...やってやるさ!」

 ニケは、瞑想を始めた。
 意識を背中に、いつもよりも深く。
 背中に集まりだした魔力が、脈を打ってるのがわかる。
 なんだろう、初めての感触だ。
 いつもより暖かく、強く脈を打つ魔力。
 しばらくして、いつもより魔力が大きくなっていることに気がついた。
 俺の身体で、何が起きてるんだ。
 今は、そんなことどうでも良かった。

「師匠、今いくからな!」

 ゆっくりと、眼を開けた。
 その眼差しは、決意に燃えていた。
 ニケは、走りだした。
 ミーチェの、後を追って。

「師匠...無事でいてくれよ」

 その足は、止まることなく早く、更に早く。
 引き返してきた道を、風のように駆け抜ける。

「ししょぉぉぉぉぉぉぉぉッッッ!!!!!!」

 ―――ニケを置いてロッククラブと対峙してるミーチェ。

「私でも、流石にこの数は厳しいものがあるな」

 魔力も残り少ない、重たい身体を動かしながら。
 一匹、また一匹とその鎌で薙ぎ払う。
 そろそろ、魔力が尽きるだろう...
 最後に、またニケと話がしたかったのもだ。
 あやつはもう、ここには戻ってこないだろう。
 だめだ...力が...。

「ししょぉぉぉぉぉぉぉぉッッッ!!!!!!」

 聞き覚えのある声だ...。

 ―――ニケが叫びながらミーチェの元へ向かう。

「師匠、無事か!?」

「はは、私としたことが...魔力切れを起こしたようだ」

「今すぐ安全なところへ...」

「いや、まだ戦える。が、倒せてあと1匹だろう」

「なら...俺がやるよ。師匠は休んでてくれ」

 ニケはそういうと、ロッククラブの元へと歩み始めた。

「ニケ!無理だけはするなよ!」

 その背中に、残った力で叫んだ。
 ニケは親指を立てて、歩いていく。

「まったく、ばかな弟子を持ったものだ...」

 少し離れたところに、移動したミーチェ。
 ニケに、もしもの事があったときのために瞑想を始めた。

「よお、おまえら」

 ロッククラブを、にらみつけるニケ。
 今ならできる気がする...
 左手に意識を、人差し指と中指に意識を...!
 2本の指から、2本の魔線が!

「ほら、できるじゃん...綴る!″雷電よ、我に力を、衝撃と共に敵を弾け″雷電の咆哮!」

 右手の人差し指を銃の形にして、押し寄せるロッククラブたちに向ける。
 人差し指には、2重の魔方陣が描かれていた。
 一匹のロッククラブのハサミが、ニケを捕らえようとした。
 ニケは、それを避けハサミを足場に高く飛んだ。

「真上から真下への衝撃波は、いかがでしょうか?お客様ぁッ!」

 真下を向いての降下、右手を下に向けロッククラブの頭上で放った!
 ドゴォォォォォンッッッ!!!!
 勢いよく放たれた魔法は、ロッククラブたちを巻き込み地面をへこませた。

「ふぅ...片付いた...のか?」
「まだだ!」

 瞑想を終えたミーチェが叫ぶ。
 突如背後の森から、地響きが伝わってくる。
 なにかが...こちらにくる...。
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